薬剤師のみなさん、こんにちは。私は、とある田舎のドラッグストアで働く現役薬剤師のyakuzaicといいます。
「くすりの勉強」というブログを書いたり、ツイッターでたまに毒を吐いています。以前、以下のようなことをツイッターでつぶやいたことがあります。
「いい雰囲気の薬局」があったとする。それは今の職場の面子、人員が醸し出す余裕なのであって、そこに誰か1人加わるだけでも崩れる可能性のある気まぐれなもの。「実際入ったらブラックだった」なんてよくある話。人間関係で辞めた人は「雰囲気重視」になりがちだが、ソコで決めるのはやめた方がいい
— くすりの勉強 (@yakuzaic) August 14, 2020
この140文字のつぶやきでは、伝えきれなかったことを今回書いていこうと思います。
目次【クリックして移動できます】
人間関係で辞める人はなぜ多い?
薬剤師は離職率が高いと言われます。
他の業種についてはよく知りませんが、私が薬局で働いている実感として、すぐに辞めていく薬剤師は多いです。そう言う私も5回の転職を経験しているので、多い方でしょう。
辞める理由としては、「人間関係に対する不満」「給与、労働時間など勤務条件に対する不満」 「結婚」「出産」「親の介護」などが挙げられます。
女性の多い職場なので、生活環境の変化に伴い、辞職を余儀なくされるというのはよくあることです。
しかし、何といっても辞める原因第1位は人間関係でしょう。私の過去の転職理由もほとんどが人間関係によるものでした。
薬局は人間関係が特殊な空間
しかし、人間関係なんてものは薬剤師特有のものではなく、どのような職種であっても生じてくる問題なので、薬剤師の離職率の高さの根本的な原因とは言えないような気もします。
ただ、薬局という職場環境は、普通の会社と違って「少人数の狭い空間」であり、人間関係の悪化は他の職種と比べてより一層居心地の悪さを感じることは確かです。
薬剤師不要論もある
医療機関の経営者は医師ですが、薬局の経営者は薬剤師ではないことがことが多い。株式会社も多い。医薬分業問題を医師vs薬剤師という構図で描かれると違うような。経営者同士の争い。利権の奪い合い。薬剤師不要論にまで発展しても経営者は痛くも痒くも無い。
— くすりの勉強 (@yakuzaic) March 7, 2015
ここを掘り下げるとまた違う記事になってしまうので、多くは語りませんが、「必要とされていない」という感覚が辞めたい気持ちを加速させていることもある。
医者からは「余計なことはするな」、患者からは「説明いらない。薬だけちょうだい。」、世間からは「薬局多過ぎ。薬剤師儲け過ぎ。」と言われ、薬剤師の自尊心、自己肯定感は下がり続けています。
そこで調剤ミスなどの大きな失敗をすれば、「自分の存在は迷惑なのでは?」という思いが膨らみ、転がり落ちていくのです。
辞めても結局、薬剤師しか仕事は無いんですけどね。
薬剤師不足も関係している
薬剤師不足を加速させてるのはドラッグストア内の調剤薬局だろう。1日10枚〜20枚程度でも生き残れる体力があるし、簡単にドラッグストア内部に作れるからバンバン作れる。国が求める面分業の姿がそこにあるのかも知れないが、この過渡期における業務負担は現場にとって厳しい。
— くすりの勉強 (@yakuzaic) March 19, 2019
薬剤師が転職しやすい根本的な原因としては、「薬剤師不足のため、多くの求人がある」ということが考えられます。
薬剤師過剰時代が到来するとも言われていますが、地方ではまだまだ求人募集しても集まらない状況が続いています。私の住んでいる地域は薬科大も無いので、より一層深刻です。
「辞めてもなんとかなる」という環境が薬剤師を辞める方向に向かわせているのは事実でしょう。
もし自分が薬剤師ではなくて、「辞めたら再就職は難しい」という職種であったら、簡単には辞められなかったでしょう。
ありがとう薬剤師免許。薬剤師不足で求人が多い、ということは裏を返せば、現在勤めている薬局にとっては、「辞められては困る存在」であるともいえます。
新しい職場を見つけるのは薬剤師にとって、比較的たやすいです(そこでまた長期間働くことができるかどうかは別として)。
難しいのは辞める時です。必ず引き止められます。さらに薬局長ともなると、退職の意向を伝えてもなかなか後任が見つからないことも多く、「次の人が見つかるまではいてくれ」と泣きつかれ、モヤモヤした気持ちで現在の職場に留まるということもあります。
そして、実際に辞めるということが決まると経営者や上司は手のひらを返したように「このクソ薬剤師が!」という罵声を浴びせてきます。
「どこも行っても同じだ」「どこに行っても通用しない」と味噌クソに言われます。
本当にどこの薬局も同じなのだろうか?
もっといい薬局がある?
意外とどこに行っても同じ
いくつかの薬局を見てきて、確かに「どこの薬局も大して変わりはない」と思うことはあります。薬剤師の基本的業務、患者対応で大きく変わることはありません。
しかし、罵声を浴びせてきた上司はいないわけで、また違う人間関係を構築することができる。
薬局はどこも似たり寄ったりかも知れないが、自分は確実に変わっている。成長している。
同じ職場でも成長できたかも知れません。しかし、職場を変えると「ある程度経験のある薬剤師なら、この程度は知っていて当然」という周囲の目を浴びることで、そこに合わせようと努力する。
職場を変えることで、心機一転、高校デビューのように、今までの自分の悪い部分を見つめ直し、新たなスタートを切ることができる。
どこに行っても、嫌な人間、嫌な上司はいます。初めは優しく接していた上司も、勤続年数とともに仕事を押し付けられ「イヤな上司」になることもあります。
つまり、「人間関係」を重視する薬剤師にとって、薬局選びはあまり意味がないということ?「いい雰囲気の薬局だ」と思っても過剰に期待しないほうがいい、というのが自分の意見です。
それを踏まえた上で、あえて、私が陥った「いい雰囲気の薬局の選び方」をみていきたい。
薬局の選び方
アットホームな雰囲気の職場
求人募集の文言でよくみられる「アットホームな雰囲気の職場です」という謳い文句があります。
その文言を言葉通り受け取る人はいないだろうけど、面接の際に薬局の様子をうかがい雰囲気を確認することはある。
アットホームな雰囲気の職場というPRをする薬局は個人経営の社長と従業員の距離が近い薬局であることが多いが、アットホームだと思っているのは社長だけ。
休日にバーベキューをしたり、社員旅行をしたり、実際にやられると苦痛でしかない。歓迎会やお別れ会、忘年会、新年会など必ず出席を強要させられる。私は下戸なので苦痛なのです。
そのような職場が好きな人もいるので、これがダメというわけではないが。
上司との距離が心地よい
経営者との距離で言えば、全国にチェーン展開している薬局は、「社長に会ったこともない」ということも多い。
個人経営の薬局だったり、地域密着型で数店舗しか経営していない薬局だと、社長との距離は近い。その分、意見が反映されやすいので、意識高い系の戦士型薬剤師にとっては好都合だろう。
しかし私のような、指示待ち兵士型薬剤師は、権力者が近くにいると心が安まらないのである。
「飲み会も仕事のうち」と言う上司がいるが、飲み会は仕事では無い。残業代も発生しないし、仕事中に飲んでもいけない。「飲みたくなければ飲まなくてもいい」と言っておきながら「鍛えれば強くなる」と言うマウンティングを取られる、そんな酒飲みだけが開放感に浸れる公開アルハラ処刑場。禁酒法求ム
— くすりの勉強 (@yakuzaic) February 15, 2020
忙しいかどうか
雰囲気がいいかどうか、ということにも結びつくが、「忙しいかどうか」という点も重要なポイントである。忙しければイライラしてくるし、当然雰囲気は悪くなる。
忙しいかどうかを判断するためには、まず、1日の処方せん枚数を知る必要がある。
薬局の忙しさは処方箋枚数で推し量ろうとするのが普通である。法律上は処方箋枚数40枚までは薬剤師一人で回せる。
しかし、眼科の処方40枚と内科の処方40枚では忙しさは異なる。眼科の処方40枚なら一人でもいけるが、内科の処方40枚(一包化込み)は一人では回せない。
小児科は散剤、シロップなど面倒。お子さんのいない若い薬剤師には難あり。
耳鼻科にも結構子供が来るので小児科に準ずる。婦人科は男性薬剤師には何も話してくれない。
眼科は目薬ワンパターン。整形外科は湿布ワンパターン。精神科も粉薬が多いし、服薬指導もしんどい。
消化器科も意外と精神系の薬が処方される。内科は一包化もあり、しんどい。
病院の門前は全てが入っている病院もあり、一番しんどい。
でも、診療所の門前だと医師との付き合いも生じてくるが、病院の門前だとその心配は少ない。
面で受けているドラッグストア内の薬局が一番気楽かも知れないけれど、事務無し一人薬剤師で対応しなければならない。レセプトもしなければならず、オールマイティにこなせる必要がある。
チェーン展開している薬局だと色んな薬局に応援に行かされる可能性がある。重い処方が多いかどうかは、処方箋単価を聞いてみると良いだろう。1枚15000円を超えると、個別指導のリスクも高いので、薬局長になったときの不安も大きい。
休日日数の多さ
忙しさはさほどでもなくても、休みが少なかったり、半日出勤があったり、拘束時間が長いと負担感は増える。
年間の休日数で「年間休日数120日以上」というのもよく見られるが、何日以上というのは基本的に〇日ということ。それ以上は有給のこと。
有給は基本的に病気や冠婚葬祭を理由にしなければ取りづらい。2020年の年間休日数で考えると、土日祝日をあわせて120日である。
つまり土日祝日休んで年間120日。「当たり前じゃん」と思ったあなた、違います。
もっと休めるはずです。12月31日は?1月2日は?休めて当然じゃね?公務員なら年末年始の12/29~1/3までは休みです。
つまり120日は最低限。それを切る薬局だとちょっとしんどい。
残業の多さ
「残業なし」というアピールをしてくる薬局もあるが、基本的に怪しい。
残業しなければならない状況になるかどうかは基本的に不確定な要素だと思うからだ。
私が「いい雰囲気」の薬局というのが、「気まぐれなもの」だと思う理由に、薬局の人員のバランスの難しさがあります。
「1人だと大変、2人だと多い」とか「2人だと不足、3人だと過剰」ということが結構ある。1.5人とか2.5人という人員配置が出来ればいいが、体を分裂することはできない。
正社員とパートの違いだったり、経験値などで、仕事の処理能力に違いがあると、それだけで余裕が無くなることもあるし、「いい雰囲気」ではなくなることがある。
つまり、薬局の雰囲気も忙しさも不確定な部分が大きいので、結局は給料で決めるのが一番間違いがない、と転職を繰り返した結果思うのである。
薬剤師の給料
時間はお金では買えない
今まで私が転職の際に重視してきたことは、「雰囲気」と「時間」でした。
雰囲気で決めない方がいい、というのは今まで書いてきた通りですが、忙しさというのも薬局選びの重要なファクターである。
一度勤めると、忙しさは上司によって軽んじられる。「忙しい」を言い訳にするな、と。
しかし、女性の多い職場であるがゆえに、忙しさも一定ではないことがある。同僚が結婚しているか、出産しているかといったことも忙しさに影響してくるファクターである。
しかし、そんなことを考えて職場選びをしていたら、どこにも勤めることができないのである。なので、最終的にはお金で割り切るしかないと思っている。
「時間はお金で買えない」と思っているかも知れないが、「時は金なり」とも言いましょう。
600万円×40年間で2億4千万円。2億4千万円稼ぐことを目標とすると、年収800万円なら30年でOK。
年収630万円でも38年という計算で2年間短縮される。
給料は高いほうが良い
人生という長い道のりで考えると、給料が高い方が長い休日をもらえる可能性があるのだ。
まあ、若い皆さんにとっては「今」の時間が大切で将来の時間など興味は無いかも知れませんが…、
以上、結論としては、「年収が大事」というごく一般的な判断基準になってしまいました。しかし、金があっても、使う時間が無ければ意味がいない。20代の時間は、60代の時間よりも輝いている。それもまた真実。
「地雷薬局の見極め方」というタイトルで書きましたが、正直言って、どの薬局にも地雷は落ちていると思います。それを踏まずに何年勤められるか。何年我慢できるか。何のために仕事をしているのか。
仕事を辞めたいというメンタルの時には、金のために仕事をするのがバカらしくなって「お金なんていらないから」となるが、リスタートの際には現実を見ることが重要であると思う。
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あなたはすでに地雷薬局の見極め方を知っているはずです。なぜなら、今まで地雷薬局に勤めてきたのだから。
完
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