早期退職迫られた300人に調査|希望退職で残った人はどうなる?

早期退職者_アンケート

現在、新型コロナウイルスの影響もあり早期退職を募集する企業が増えています。その中には誰もが知る大手・一流企業もあります。

早期退職と聞けば聞こえはいいですが、それにより職が見つからなかったり、給料が下がり苦しんでいる方は多いです。

当記事ではまだ情報の少ない早期退職後の実情を調査すべく、アンケートにて早期退職を持ちかけられた際に受けた説明や実際に退職するまでの猶予、現在の職業や給料などを調査しました。

早期退職者の人数や実情に関するアンケート
実施:ジョブシフト 編集部
回答方法:Webアンケート調査
調査日時:2021年3月5日 ~ 2021年3月7日

調査対象:
[予備調査]全国の30~65歳までの正社員・公務員・役員の男女(4,000名)
[本調査 ]ここ1~2年で早期退職を持ちかけられた経験のある方
回答者数:300人(男性241人 女性59人)

今回のアンケートは、まず予備調査として4,000人の正社員・公務員・役員の男女を対象に、ここ1~2年以内で早期退職を持ちかけられた経験があるか調査をしました。

そしてその中からここ1~2年で会社から早期退職を持ちかけられたと回答した方だけを対象に、本調査を実施した結果となります。

正社員の10人に1人以上が早期退職を持ちかけられている

早期退職_アンケート1

まず4,000人の正社員・公務員・役員を対象に早期退職を持ちかけられたことがあるか調査したところ、正社員の約11%がここ1~2年で早期退職を持ちかけられたと回答しています。

これは人数にすると422人で、正社員・公務員・役員の10人に1人以上は会社から早期退職を提案されたということになります。

かつては正社員であれば終身雇用で定年まで安泰、と言われていましたがその神話が完全に崩壊していることが分かるデータとなっています。

早期退職の原因の内、65%は新型コロナウイルスが関係している

早期退職_アンケート2

別の設問で早期退職の理由に新型コロナウイルスが関係しているか調査したところ、65%が関係していると回答しました。

このことから、早期退職の募集が増加する背景にも新型コロナウイルスが影響を与えているということが判明しました。

早期退職を持ちかけられた際、実際に会社から受けた説明

また、アンケートでは実際に早期退職を持ちかけられた方300人を対象に、その際に会社から受けた説明についても調査しました。

以下に寄せられた300の回答の内、いくつかを抜粋して掲載致します。

  • コロナウイルスの影響がもともと売り上げが伸びなかった会社側としてはいい口実になったようで、突然工場閉鎖と早期退職を告げられた。全員退職後、希望者は委託先の会社に斡旋してもらえるようになると言われた。(男性/53歳)
  • 人事部の研修に呼ばれ、早期退職者のセカンドキャリアを応援する制度があると説明された。また、退職金が割り増しされと説明された(利用していないので詳細は不明)。(男性/40歳)
  • コロナウイルスの影響で会社の売上が低下し、ある日部長から呼び出されて早期退職を勧告された。また、残っても望まない仕事をさせることになるかもしれないと言われた。(男性/44歳)
  • コロナで仕事がなくなり、呼び出しがあった。割増退職金を払うから今日でやめてくれといわれた。(男性/35歳)
  • 新型コロナウイルスの影響による業績悪化である日部長から呼び出されて営業時間の短縮と早期退職を勧告された。また、残っても望まない仕事をさせることになるかもしれないと言われた。(女性/43歳)
  • コロナの影響で取引先からの案件が減り、退職して自分で仕事を探してはどうかと薦められた。早期退職による退職金の支給なども一切なかったので応じなかった。(男性/48歳)
  • コロナの影響で事業を存続させることが難しくなり、人事から突然ズームミーティングで人員削減を行わざるを得なくなったと勧告された。拒否も可能だが、その場合は他部署に異動する事が前提であると言われた。(女性/41歳)
  • 経営者から呼び出されて売り上げ低下で早期退職を言われた。ただし退職金上積みだった。(男性/40歳)
  • コロナで事業が悪化し、雇用を維持できないので退職金増額と引き換えに退職して欲しいと言われた。(男性/41歳)
  • もともと右肩下がりだった業績がコロナの影響で加速度的に悪化。社員全員に退職金の積み増しを条件に早期退職を募る方針が示された。オンライン説明会があり、経営陣より今後はこれ以上の好条件を示せないことや、残っても望まない職種への転換、給与の段階的な大幅カットなどがあると言われた。(男性/57歳)
  • 固定顧客からの失注やプロジェクト頓挫による超過費用などがあり、管理部門、営業部門、縮小対象プロジェクトの該当部門の社員を対象に、人事部長から個別に話があった。(女性/49歳)
    自分自身は、個人的評価としては退職対象ではなかったそうで「全員に一律話をしているから」との前提で話を聞いた。ただ、残った場合は管理部門の人数減により、別の業務担当になる可能性があることは言われた。(男性/60歳)
  • 業務縮小になる可能性があり、社員全員が集められ、希望退職の説明があった。残っても部署替え、人数縮小が予想され給与も減額になる可能性があることを話された。(男性/53歳)
  • 早期退職に応じれば、規定の退職金よりも多くもらえると説明された。早期退職を募っているのは会社の年齢層が高すぎるためだと言われた。(男性/56歳)

早期退職を持ちかけられた人の内、受け入れたのは約43%

早期退職_アンケート3

アンケートの結果、早期退職を持ちかけられた300人の内、受け入れたのは約43%にあたる128人でした。

早期退職は割増で退職金を受け取れるなどのメリットもありますが、持ちかけられる方の多くは転職市場では厳しい立場にある40代~50代のため、受け入れても次の仕事が見つからない、仮に見つかっても給与は大きく下がるリスクがあります。

当アンケートでは早期退職を受け入れた方、受け入れなかった方に対して、実際にその理由についてもお聞きしました。

以下ではそれぞれについて紹介していきます。

早期退職を受け入れた理由を調査

実際に早期退職を受け入れた方128名を対象に、その理由について調査しました。

以下に寄せられた回答の内、いくつかを抜粋して掲載致します。

  • とりあえず会社都合の退職になるようなので受け入れた。このまま残っても部署を変わってまで苦労をしてこの会社のために働く気にはならなかった。(女性/53歳)
  • 早期退職を提案されてからいじめがひどくなってきたので受け入れました。(男性/50歳)
  • 退職金が思ったよりも良かったから。(男性/45歳)
  • 今後の生活資金が確保できたため退職を受け入れた。(男性/59歳)
  • 断ろうとしたものの、このまま社内に残っても自主退職に追い込まれたり、左遷させられるだけなので未来がないと感じた。それに割増の退職金を受け取れば今後の転職や人生にも繋げることができるので、早期退職を飲むことにした。(女性/33歳)
  • コロナ禍に便乗し、首切りをするような会社に、将来性はないと感じたからです。(男性/54歳)
  • このまま無理に断って肩身が狭い想いをしながら働くよりかは新しい環境でしっかりと働いた方が良いと感じたから。(男性/37歳)
  • 残っても給料が下がるだけなので見切りをつけた(男性/43歳)

早期退職を受け入れた理由としてはこのようなものがありました。

退職金が想定していたよりも良かったから、といった回答の他、いじめがひどくなったといったものがありました。

早期退職を拒否した理由を調査

また、合わせて早期退職を拒否した方172名を対象に、その理由についても調査しました。

以下に寄せられた回答の内、いくつかを抜粋して掲載致します。

  • 散々こきつかわれた直後だったので、使い捨てのようで納得いかなかったから(女性/38歳)
  • 年齢的にも再就職が厳しく、転職すればかなりの賃金低下も受け入れざるを得なかったため(男性/44歳)
  • 職種的に今転職活動をするのが難しいため(女性/33歳)
  • もう数年でその当時の規定の定年退職ができるので、そちらの方が良いと思ったからです(男性/60歳)
  • 若いころ会社の仕事を大量に押し付けられた結果、体が壊れて杖を使用して生活する体になった。この体では、雇ってくれるところはないから(女性/49歳)
  • 割り増しをもらって、会社をやめると、働かなくなってボケそうだし、じゃ、新しい会社でいうストレスもいやだから(男性/59歳)
  • 雇用主が退職金の上乗せに応じなかったため、早期退職が成立しなかった(男性/51歳)
  • 定年も近く再雇用が決まっていたので、今やめても困ると思ったから(男性/60歳)
  • 加算金が少なく、転職先も現状位の金銭が付与されるか疑問だったので(男性/58歳)
  • 今の時期、再就職先を見つけるのは困難なのは明らかなので拒否しました(女性/51歳)

早期退職を拒否した理由としては上記のようなものがありました。

やはり昨今の情勢から再就職は困難という理由から拒否する方が多いようです。中には使い捨てのような扱いに不満を感じたので拒否したという方もいました。

早期退職後は約30%の人が正社員以外に、中には無職になった方も

早期退職_アンケート4

早期退職を受け入れたと回答した方に現在の職業を聞いたところ、69.53%の方は現在も正社員を続けていると回答しました。

一方で残り約30%の方は無職、あるいは派遣・契約社員やアルバイトになってしまっているようでした。

早期退職をする際は、同条件で別の企業に正社員として転職できるようサポートすると説明されます。

しかし30%の方は正社員として再雇用されず、派遣社員やアルバイト、あるいは無職になってしまうのが現実のようです。

早期退職した人の内、約50%は給料が減って厳しい生活に

早期退職_アンケート5

また、合わせて早期退職後の給料についてアンケート調査をしました。

その結果、早期退職を募集する多くの企業では同条件の転職先を用意すると言われているにも関わらず、約50%の方は給料が減っていました。

宣言通り給料に変化のない企業は僅か32%、つまり3人に1人しかいません。

100,000円以上給料が減ったと回答している方も多く、これではある程度の貯蓄や資産がなければ老後の生活にも影響が出ることは容易に想像できます。

まとめ

今回のアンケートの結果から、早期退職の多くは新型コロナウイルスの影響であり、早期退職後も様々な弊害が出ていることが明らかになりました。

今後も早期退職を募集する企業が増加することが明らかであるにも関わらず、約束された転職サポートはされず、早期退職を受け入れた人の多くが職を失う、派遣やアルバイトとして働かざるを得ない、給与も低下するといった状況では拒否する方が増えていくでしょう。

かといって早期退職が集まらず高額な人件費のかかる社員を抱えたままでは企業も苦しいため、ベテラン社員が安心して退職できる環境を整えていく必要があると思われます。