ここでは、公務員から転職したいと考えている人に、知っておいていただきたいことを書きたいと思います。「戻れないリスク」についても理解を深めておいていただければと思います。
もし逆に「公務員に転職したい!」と思ってこの記事にたどり着いた人には、以下の記事がおすすめだよ。
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公務員を辞めて転職するなら知っておくべき離職率の低さ
まず公務員の離職率について見て行きたいと思います。 【総務省|地方公務員の退職等状況調査】や【平成25年度 年次報告書 年齢階層別離職率の推移 |人事院】などを見ると公務員の人の離職率は5%未満(1%~3%)となっています。
したがって、公務員を辞めるという人は何らかの目的を持って辞める人が多く、過酷な労働環境に耐えかねて、とか、あまりに給料が激安でやっていられない、というケースは少ないものと思われます。
公務員でも過労やうつ病はある
では公務員の職場全てがホワイトかというとそうではありません。最近学校の先生の労働環境が劣悪だという話が部活動の指導と絡めて言及されるようになりました。
近年注目される公立校教諭の過労問題
「過労死ライン」と呼ばれる毎月の時間外労働80時間を超えている先生は ・小学校:33% ・中学校:57% という文部科学省の調査結果があります。 自己申告でこの数字なのですから、実際はもっと残業せざるをない先生が多いはずです。
中学教諭、勤務週60時間超57% 部活の負担重く
引用元: 日本経済新聞
学校の先生だけが過酷な環境であるはずもなく、他の公務員も非常に厳しい環境に置かれています。 中央省庁の官僚が激務なのは良く知られています。 残業月300時間も…霞が関は「“脱“完璧主義」を! 元キャリア官僚が訴え|Abematimes その他にも、都道府県庁などでも残業が多く、大変だという話は枚挙にいとまがありません。 公務員の離職率が低いのは、志高く身をすり減らして耐えている人たちも一部にはいるからなのかもしれません。
「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与に関する特別措置法」という法律によって、給与の4%が上乗せされています。 学校の先生は通常の公務員よりも給与が高いのですが、それ以上いくら時間外労働をしても残業代を請求することができません。 一種の「みなし残業」なのですが上で書いた通り、教員の時間外労働はすさまじく、4%の上乗せではとても割りが合わない状況にあります。
特に教員はハード
学校の先生の精神疾患での休職率は非常に高いものがあります。
また、窓口対応の部署、特に生活保護や納税関係の部署では「モンスタークレーマー」も多く、心が病む人が絶えないようで、専門のメンタルヘルス研修をしています。 職場の人間だけではなく、お客さんからも罵倒されればそりゃ病みますよね。
「お前らは税金で食わしてもらっているのだから「お前のものは俺のもの。俺のものは俺のもの」」という「ジャイアニズム」全開の人もいるようです。
業種も営業だからなりやすいかというとそうでもないようです。 激しいノルマ営業の人が病みやすいのは事実ですが、ルート営業など適度に息抜きできる営業の人ならば、内勤、事務職で常にオフィスに閉じ込められる人よりもストレス解消ができるかもしれません。
その辺は業務の内容や社風もかかわってくると思います。
うつ病で退職?警察官を取り巻く過酷な環境
警察官の離職率は一般的な公務員のおよそ倍といわれています。 しかも近年、特に多いのが「うつ病」を理由に辞めるケースです。なぜこれほどまでに警察官に退職者が多いのか?それは警察官の労働環境の特殊さにあります。 教員より更に過酷な長時間労働や、危険を伴う任務、また現場によっては凄惨な光景を目にすることも。 その上、上下関係の厳しさや警察官特有の行動制約の多さなどに生き辛さを感じる方も多いのではないでしょうか。
教師からも親からも叱られたことがない若者もいるそうで、警察学校でもなるべく脱落者が出ることがないように、教官も指導には非常に気を遣うそうです。
それでもやっぱり公務員は恵まれている!?
確かに、普通の人がイメージする「公務員」は市町村役場とかにいる人かもしれず、行くと「暇そうにしている、彼らは恵まれている」と思われるかもしれませんが、実際は勤務場所や人間関係によって様々で、心や体を壊してしまう人もいます。 民間企業の中にはブラック企業がのさばっていて、悪徳経営者たちの好き放題になっている部分もあるため、「平均すると公務員の方がマシ」ということになるかもしれませんが、公務員でもブラックな職場や向かない仕事はありますし、逆に民間企業でも素晴らしく働きやすい職場も多いです。 こればかりは運やめぐりあわせの要素も大きいと言わざるを得ません。 ですので、ダメな職場で働き続けるくらいならばさっさと転職をしてしまった方がいいでしょう。
民間企業の多くでも「副業禁止」の就業規則はありますが、同業他社の仕事をしたり、今の仕事で得られる情報、ノウハウを使って副業したりしない限りは、バレても裁判で勝てます。
- 公務員の副業禁止:法律で禁止されている
- 民間企業の副業禁止:単に社内で勝手に決めているも、憲法22条(職業選択の自由)が優先
憲法の規定に比べてば、成り上がりワンマン社長が勝手に決めた就業規則など何の意味も持ちません。
公務員から民間企業・一般企業へ転職!辞める前に知っておくべき6つの事
というわけで、公務員でも過酷な労働環境がありますし、民間企業に比べて割りに合わないことも多く、転職したい、辞めたいという人がいるのは至極当然のことだといえましょう。 ただし、公務員から民間へ転職したい場合には注意しておいていただきたいことがいくつかありますので以下で述べたいと思います。
公務員を辞めても失業手当は出ない
まず、かなり大切なことですが、公務員を辞めても「失業手当」(雇用保険)というものは一切出ません。 民間企業に勤めていると、毎月の給与から雇用保険を引かれるのですが、公務員の場合これがないため、失業手当を受給できません。保険の積立をしていないのだから、保険金を受け取ることができない、という当たり前の結果になります。
退職金に該当する「退職手当」が失業保険の代わりだ、という見方もありますが、民間企業でももらえるところも多いので、イコール失業手当とは言えないと思います。 やはり公務員制度として、退職して民間企業へ転職するというのがシステムとして設計されていないのかもしれません。 ただし、失業手当がもらえないだけで、ハローワークの利用は問題なくできます。 ハローワークにある求人への応募はもちろん可能ですし、各種セミナーの受講(無料)や「教育訓練給付」(特定の資格を取るために通信講座などを受講した場合費用の一部が出る)の受給などもできますので安心してください。
民間と公務員ではマネジメント経験の評価に差が出やすい
民間企業の場合、特に経営層には「公務員は役に立たない」「ぬるま湯に浸かっている」「能力がない」など偏見に満ちた人たちが残念ながら一定数います。 そういう人が経営している会社への転職は難しい(選考で落とされる)かもしれませんし、そうした偏見がない経営者でも自社の社員として適切かどうかはシビアに判定されるでしょう。 若手の場合はむしろ公務員のほうが優秀(少なくとも公務員試験は通っているわけで)で、あとは自社の社員として育成すればいい(染め上げるともいう・・)ということもあり、あまり不利になりませんが、管理職として採用する場合は、マネジメントについて厳しい査定があるでしょう。 民間企業の場合、管理職のガバナンスの範囲が広く、同じ課長職○年の経験でも、公務員よりも幅広い業務を担当することもあるようです。
ただ、こればかりはどうしようもないわけで、丁寧にご自身の経験を訴えるしかないと思います。
資格保持者や特殊業務の公務員なら転職に有利
公務員でも資格を持っている人ならば、それを活かした転職が可能です。
- 国税専門官→税理士事務所
- 警察官→民間警備会社
- 労働基準監督署職員→大企業の人事労務、社会保険労務士事務所
- 国有財産管理職員→不動産鑑定士
- 医療機関職員→民間医療施設職員(医師、看護師など)
- 教員→塾講師
ただし、元の能力に大きく左右されるのと、転職しても待遇がよくなる保証はありません。 警察官→民間警備会社などでは、給料などが下がることはほぼ間違いなく、よほどどこかから引き抜かれるくらいの能力がないと、ステップアップにはならないかもしれません。
ご自身の価値がわからない場合は、転職エージェントに登録して、エージェントにご自身の市場価値を判断してもらってもいいと思います。
35歳以上は公務員でも転職難易度が上がる
公務員の場合も、民間企業と同じように35歳過ぎると、一般的な転職はかなり難しくなります。 他業種、未経験の仕事に転職できないのと同じように、公務員の場合はさらに潰しがきかないので、よほど戦略を持たないと苦労します。 年齢問わず誰でもできる仕事をやりたいわけではないですよね。 安定した職を投げうって転職するのであれば相応の戦略と見返りがないと「無謀」な判断になってしまいます。
公務員に戻りたい!しかし年齢制限の壁
ここがかなり重要なのですが、転職をしてやはり自分には向かないと思い、公務員に戻りたいと思っても年齢制限で戻れないリスクがあります。 公務員試験さえ受かれば、過去の経験はあまり問われないわけですが(だから民間を辞めて公務員を受ける人が多い)、その代わり年齢でバッサリ切られてしまいます。 国家公務員の場合は30歳が上限、都道府県や市町村も一部例外(35歳くらいまでOKの自治体あり)を除いてやはり30歳が上限の目安になります。 過去に公務員だったから、40歳になっても受験させてくれということはできません。 みんな一律な基準で試験するからこその公務員試験です。 「やっぱり民間は向かない」と思って公務員に再挑戦しても戻れないリスクがかなりあります。
公務員に戻れないリスクと、公務員に留まるリスクを天秤にかけて後者の方が大きいのであれば転職すべきです。 参考までに公務員試験の受験年齢について表にまとめました。参考にしてください。
国家公務員 | 地方公務員 | |
---|---|---|
制限なし(何歳でもOK) | 市川市 | |
40歳未満 | 社会人試験(係員級) | |
39歳未満 | 山形県 | |
36歳未満 | 徳島県 | |
35歳未満 | 千葉県、長野県他 | |
34歳未満 | 大阪府、大阪市他 | |
33歳未満 | ||
32歳未満 | 栃木県、岩手県他 | |
31歳未満 | 東京都 | |
30歳未満 | それ以外のすべての職種 | 神奈川県、埼玉県、北海道他 |
29歳未満 | 国立国会図書館 | 愛知県、広島県、仙台市他 |
28歳未満 | 静岡県、千葉市、堺市他 | |
27歳未満 | 参議院事務局 | 京都府、京都市 |
26歳未満 | ||
25歳未満 | ||
24歳未満 |
※詳しい年齢一覧は公務員予備校のHPなどにあります。
公務員を辞めてフリーでご飯を食べてる人に聞いてみた
辞める前に怖かったことって何だったんですか?
公務員になるために費やした時間が無駄になる
安定した給料がなくなってしまう
仕事ができない、悪いことをしたなどの理由がなければクビになることはほとんどありません。
職場に行って仕事さえしていれば毎月安定した給料が入ってきます。 その毎月入ってくる給料がゼロになってしまうのです。誰でも怖いですよね。
スキルや貯金についてどう考えていましたか?
在職中にスキルを身につけておくと安心
最低1年間は何もしなくてもいいぐらいの貯金があると安心
辞めてすぐに仕事が軌道に乗るとは限りません。 再びお金のために無理をして働いて体調を崩していては本末転倒です。 わたしは貯金があったので精神的に楽でした。
公務員を辞めてよかったことは具体的に何?
仕事中心の生活から解放された
週2日の休みは平日5日仕事をするための休息にあてなければなりません。 仕事を辞めてからはそんなあらゆる制約から解放されましたヽ(・∀・)
好きなことにどんどん挑戦できる
晴れて肩書きや制約がなくなったのでやりたいと思ったことは何でも挑戦できます。 公務員を辞めてすぐに製菓学校に通いました。 ワードプレスでブログをはじめました。 いつ何をしていても誰にも怒られません。 今は趣味の楽器を楽しむ時間、イラストスキルを習得する時間に充てています。
公務員から転職するならよほどの理由を用意しておくこと
公務員から民間への転職の場合、転職理由が重要になります。 「安定した公務員をなぜ辞めて転職するのか?」「この人、公務員でも務まらなかったのか?」と訝しがられる可能性があります。
面接官が持っている公務員へのイメージを打ち砕いて、自社で採用して活躍してもらえる人材であると強くアピールしましょう。 特殊な職業以外の公務員の方は自分が思っている以上に多種多様なことを業務中にこなしています。 上司との調整や書類まとめ能力、企画立案など次の仕事に活かせるポイントが実はたくさん。 勤めたい会社や業種は決まっているが自分のアピールポイントや履歴書の魅せ方がわからない人は転職エージェントに相談して履歴者から面接までをブラッシュアップすると転職成功率がアップする可能性はかなり高いです。
公務員からの転職は転職エージェントへ相談する事を強く薦めます!
もし本気で転職するならエージェントの方が転職成功率は圧倒的に高く希望の求人をコンサルタントが親身になって探してくれますが、⇒リクナビネクストを最初になぜ紹介したのか?というのは迷ってる段階ならエージェントは担当がつくので連絡を取り合うということが起こります。
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公務員から転職する場合、「公務員だから~」と偏見を持っている企業へは応募するだけ無駄です。ハローワーク経由で転職するよりも、転職エージェントを利用するのが効率的です。
企業がお金をかけて採用活動を行っているわけですから、しっかりした経営理念を持った経営者の会社が多く、公務員に対する「ぬるま湯」「楽している」などの偏見は少ないと思います。
みなさんの活躍できるフィールドは公務員だけではないかもしれません。ただし、せっかく公務員の身分にいるのですから、慎重に判断して戻れないリスクについても理解してください。応援しています! ※1社だとハズレ担当で後悔することも、必ず2社以上に登録して要望を聞いてくれ真剣に取り組んでくれる担当者と話しを進めること!
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まとめ:公務員を辞めたいあなたに
「公務員を辞めたい人」と一口に言っても、 ・安定した職場環境にやり甲斐を見いだせず新しい道を模索している人 ・過酷な労働環境に耐えかねて逃げ出したいと思っている人 ・「過酷ではないけどブラックだよ」と思う人 その他個々の部署、上司、人間関係も様々でひどい職場もあるでしょう。 このままこの職場にいると心や身体を病んでしまう、そんな状況の方は一刻も早く環境を変える方が良いかも知れません。 しかし、それぞれの事情がありますが、労働条件や待遇の面で公務員になりたい、恵まれている、と思う人がいるのも事実です。
ただ、一度でも転職が頭をよぎったのなら、転職エージェントに相談してみることをおすすめします。転職のプロに自分の市場価値を客観的に判断してもらうということは、公務員を続けるにしても、新たな道へ進むとしても、今後の自分の人生にプラスになることはあってもマイナスには作用しません。 とことん考えて、自分が一番納得できる道を選んで下さい。あなたの人生は一度きりなのですから。