介護施設には看護師や介護士の他に介護事務の職員がいます。未経験やブランクでも正社員を目指せるため人気も高いです。
当記事ではそんな介護事務の仕事内容やメリット、資格、給料、おすすめの転職方法について紹介しています。
【この記事で分かること】
- 介護事務の仕事内容、給料
- 介護事務になるメリット
- 介護事務に役立つ資格
- 介護事務になりたい人におすすめの転職サイト
目次【クリックして移動できます】
介護事務とは?
介護事務とは、介護施設の運営に必要な人材・設備備品・資金を調える仕事のことです。
介護スタッフが働きやすい環境を整え、しっかりとした介護ができるよう縁の下で支える仕事といえます。
特に介護保険サービス提供に対する報酬を請求すること(介護報酬請求事務)は、施設の運営資金を調えるのに欠かせない点で介護事務の中でも重要な仕事です。
介護事務に活かせる資格一覧
資格名 | 認定組織 |
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介護事務管理士 | 株式会社 技能認定振興協会 |
ケアクラーク | 一般財団法人 日本医療教育財団 |
介護報酬請求事務技能検定 | 学校法人三幸学園グループ 日本医療事務協会 |
介護事務実務士 | NPO法人 医療福祉情報実務能力協会 |
介護管理専門秘書検定 | 一般財団法人 日本能力開発推進協会 |
介護保険事務管理士 | 一般財団法人 日本病院管理教育協会 |
制度の上では、介護事務を担当するのに資格は必要ありません。
ただ、資格を持っていれば仕事への信頼度が増して人事評価が上がるのはもちろん、転職でのアピールポイントにもなりますのでおすすめです。
ではこれらの中でも特に取得者数の多い上位3つの資格を紹介します。
介護事務管理士
介護事務管理士は、株式会社技能認定振興協会が認定する資格です
資格を取るには、介護事務管理士技能認定試験に合格しなければなりません。試験のあらましは、次のとおりです。
受験資格 | 特になし。誰でも受験可能。 |
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試験内容 | 1:学科(択一式10問) ①法規 (介護保険制度、介護報酬請求の知識) ②介護請求事務 (介護給付単位数の算定、介護報酬明細書の作成、介護用語の知識)2:実技 ①レセプト点検(1枚) ②レセプト作成3枚 (居宅サービス、施設サービス) |
受験料 | 6,500円 |
合格率 | 約50% |
ケアクラークや介護報酬請求事務技能検定に比べ、合格率が低いのが特徴といえます。
ケアクラーク
一般財団法人日本医療教育財団が認定する介護事務資格として、ケアクラークがあります。
ケアクラーク技能認定試験に合格することで取れる資格です。試験のあらましは、次のとおりです。
受験資格 | 特になし。誰でも受験可能。 |
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試験内容 | 1:学科(択一式 25問) ①人間関係(コミュニケーション) ②高齢者・障害者の心理 ③社会福祉 ④老人福祉 ⑤地域福祉 ⑥社会福祉援助技術(ソーシャルワーク) ⑦介護概論 ⑧介護技術・障害形態別介護技術 ⑨リハビリテーション ⑩医学一般 ⑪介護保険制度 ⑫介護事務業務2:実技(2問) ①居宅サービス介護給付費明細書の作成 ②施設サービス等介護給付費明細書の作成 |
受験料 | 6,900円 |
合格率 | 約73% |
試験は、試験会場でなく自宅で行われます。郵送された試験問題を解いて、解答用紙を返送する形です。
介護報酬請求事務技能検定
介護報酬請求事務技能検定は、学校法人三幸学園グループ日本医療事務協会が実施する資格試験です。
合格すれば「介護報酬請求事務技能検定合格」という資格を手にします。検定を受けるには協会主催の介護事務講座を受講しなければなりません。
講座には3日間の通学コースと最短1か月の通信コースとがあります。
通学コース受講者は講座修了に引き続いて検定試験を受けます。通信コース受講者は自宅での受験となります。
受験資格 | 介護事務講座の修了者 |
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試験内容 | 1:学科(択一式 25問) ①介護保険制度のしくみ ②給付管理業務の実際 ③他制度との関係 ④介護報酬 ⑤居宅サービス(サービスコード表含む) ⑥居宅介護支援 ⑦施設サービス(サービスコード表含む) ⑧地域密着型サービス2:実技(2問) ①居宅サービス介護給付費明細書の作成 2通 ②施設サービス介護給付費明細書の作成 1通 |
費 用 | ①講座受講料:通学コース45,000円 通信コース43,000円 ②検定試験受験料6,000円 |
合格率 | 約80% |
講座と検定試験が一体になっていて、講座受講がそのまま試験勉強といえます。
介護事務の主な仕事内容
介護報酬の請求
介護報酬の請求とは、施設が利用者に提供した介護サービスに対する報酬(介護報酬)を請求することです。
報酬のうち介護保険で賄う分(多くは9割、まれに8割または7割)は各都道府県の国民健康保険団体連合会(国保連)に請求し、残りの1割から3割は自己負担分として利用者に請求します。
国保連への請求は決められた書式(介護給付費請求書・同明細書(レセプト))で行わなければ報酬の支払いを受けることができません。
レセプト作成が介護事務の実技試験科目となっているのはこのためです。介護報酬の請求は施設の収益に関わるので、介護事務の中でも特に重要な仕事といえます。
職員の勤怠管理
職員の勤怠管理とは、施設職員の勤務状況を把握して記録し、給与計算のもとにすることをいいます。
把握するのは始業と終業の時刻、時間外労働の有無、有給休暇の取得などです。
正しい勤怠管理がなされれば労働に見合った給与が支払われ、職員の働くモチベーションも保たれます。こうした点で勤怠管理は施設運営の大事な仕事といえるわけです。
設備・備品・消耗品の発注
施設の設備・備品・消耗品の発注も介護事務の大事な仕事のひとつです。
発注としてはたとえば浴室ボイラーの入れ替えや介護用ベッドの修理、おむつ類の購入などがあります。
これらは介護スタッフが業務を行うのに欠かせないものであることから、現場を支える介護事務の大事な仕事のひとつです。
来所者や電話への対応
介護事務職は、施設に来所した家族や業者、かかってきた電話への対応の大切さも忘れてはなりません。
真っ先に来所者と会ったり電話を受けたりするのは、介護事務職である施設がほとんどです。介護事務職は施設の顔といってもよいでしょう。
明るく、礼儀正しくスムーズなやり取りができれば、来所者などからの印象も良好です。逆に態度が暗かったりぞんざいだったり、やり取りがスムーズにいかないといったことがあると、来所者などの施設への印象は悪くなってしまいます。
こうした印象は回りまわって施設の評判となり、利用希望者の数にも影響します。来所者や電話への対応は、介護事務職として気を抜けない仕事です。
介護事務になるメリット
就職・転職でかなり有利
介護事務の資格や経験があると、就職・転職がとても有利になります。
介護事務は介護報酬請求を中心に施設運営の要となる職種です。介護事務の資格と経験のある人は、どの施設においても採用ニーズが高く、就職や転職で有利な立場に立つことができます。
様々な職場で活躍できる
介護事務の資格や経験があると、様々な職場で活躍できます。
介護事務の中心である介護報酬請求は様々な職場で行われます。特別養護老人ホームや介護老人保健施設など入所系施設、デイサービスやデイケアといった通所系施設、訪問看護や訪問介護に代表される訪問系サービス、要支援の認定を受けた利用者の介護報酬請求を行う地域包括支援センターなどです。
職場の選択肢が増えることで自分の力を発揮でき、労働条件もよい施設への就職や転職が可能になります。
年齢を気にせず働ける
介護事務は年齢を気にせず働くことができます。
普通の介護士は肉体労働が多いため、ある程度の年齢になると身体への負担が生じて続けるのが難しくなってきます。
これに対し介護事務はデスク上の仕事が大半を占めるので、多少体力が低下した年齢になっても続けることができます。
介護事務は経験年数を重ねるほど効率的な仕事ができるようになり、施設運営に貢献できるのです。
勤務形態を選べるようになる
介護事務は仕事の進め方もある程度自分でコントロールできます。また正社員・パート・アルバイト・派遣など、自分に合った勤務形態で働くことができます。
たとえば子どもが小さいうちは短時間のパートで働き、手が離れたらフルタイムの正社員で働くことも可能でしょう。
自分の生活状況に合わせて勤務形態を選べることは、介護事務の大きなメリットといえます。
介護事務の給与(年収)はいくら?
2018年の厚生労働省調査によると、常勤の介護事務職員の平均月給額は30万7,170円とされています。
これは一般的な介護職員より6,000円ほど多く、栄養士より2,000円ほど少ない金額です。
出典:厚生労働省「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/19/index.html
これは介護報酬請求を中心に施設運営を陰で支える仕事の重要性を反映した金額といえるでしょう。
介護事務のまとめ
介護事務は、地味な存在ながらも施設運営の要として重要な役目を担っていて、転職にも強い職種であることが分かりました。
既に介護事務職にある人がより良い条件の施設に移りたい、あるいは介護事務資格を取った介護士が介護事務職として働きたいと思ったのなら、転職をおすすめします。今よりも高い給料や良い環境で働くことが可能です。
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