看護師長の年収(給料)や仕事内容を大学病院、国立病院など8施設別に紹介
病棟や外来で重要な役割を持つ看護師長ですが、病院という組織の特性上その年収や給料を知る方は非常に少ないです。
そこで当記事では看護師長の年収(給料)や賞与の金額とともに、知る方の少ない詳しい仕事内容を紹介しています。高収入の看護師長の求人があるサイトも掲載してるので参考にして下さい。
看護師長の平均年収(給料)はいくら?
看護師長の年収は上位の方で740万円、平均年収は550万円から600万円が相場となっています。
一般的な看護師の平均年収は約480万円ですから、看護師長の一般的な年収と比較して70万円から120万円もの差があります。看護師長になるのは高収入を目指す一つの方法と言えるでしょう。
また、看護師の基本給は約37万円、管理職手当はの平均約45,000円、管理当直手当が8,600円×月2回とそれなりの金額をもらえるのですが、医療機関によっては夜勤が減ったり管理当直手当が少なかったりします。
そのため、職場によっては看護師長であっても、夜勤をこなす看護師より月収が低くなることがあるため、キャリアアップで年収増を目指すのであれば夜勤有りや役職手当が優遇されている医療機関で働くことがポイントになってきます。
職場(施設)別:看護師長の年収(給料)について
前述した通り看護師長の平均給与は約37万円で、そこに管理職手当が平均45,000円、管理当直手当が平均8,600円×2回加算されます。
そこで以下ではその上記の手当を前提とした上で、施設別の年収を記載していきます。
大学病院の看護師長の年収(給料)
まず大学病院で働く看護師の平均年収は約490万円、お給料は手当を含め平均約30万円と言われております。
ここに看護師長の平均手当45,000円、管理当直平均手当の17,200円を加えると、大学病院で働く看護師長の平均年収は約570万円、月給は約36万円というのがもっとも近いデータとなります。
ただし大学病院は職場によって年収の差が大きいため、同じ看護師長でも平均年収を余裕で超える年収をもらっている方も少なくありません。
大学病院の看護師長の仕事内容
大学病院は病院としての機能と教育や研究のための機能を持ち合わせているため、診療科も細かく分かれています。また、研修や勉強会などの教育体制が整っているという特徴があります。
医療に関する研究を行っていることから、最新の医療知識や技術を学べるのは大学病院で働く看護師の大きなメリットといえます。
このように一般の病院とは異なる特徴を持った大学病院ですが、看護師の仕事内容は基本的に一般の病院と同じで、配属された部門で患者の看護をしたり、診療補助を行ったりします。
看護師長の場合は担当する部門の目標設定や人材育成、看護師のマネジメントなどがメインの仕事になりますが、他の医療機関と違うのは看護師の教育にも携わることです。
大学病院の教育は一般病院の教育指導とは異なり、看護部教育計画が構成されているので、計画に従って教育のサポートをしたり、教育が受けられる環境を整えたりするのも看護師長の仕事の一つとなります。
国立病院の看護師長の年収(給料)
国立病院で働く看護師の平均年収は約400万円、お給料は手当を含め平均約29万円と言われております。
ここに看護師長の平均手当45,000円、管理当直平均手当の17,200円を加えると、国立病院で働く看護師長の平均年収は約470万円、月給は約36万円というのがもっとも近いデータとなります。
国立病院は年収や月収がやや低めですが、福利厚生は公務員とほとんど同じなので、給与以外の面では手厚い待遇が受けられます。
国立病院の看護師長の仕事内容
国立病院は、独立行政法人扱いの国立病院機構が運営しているので、厳密に言うと国立病院ではなく国立病院機構で働くということになります。
しかし、国立病院ではないとしても、国家公務員と同等の高水準の看護が求められます。看護の仕事内容自体は一般の病院と同じですが、高度医療を担っている職場が多いことから、一般の看護師であっても高度なスキルや知識を得るために教育研修制度を受けるのが一般的です。
看護師長の仕事内容に関しては、現場の業務を取りまとめたり、看護師がスムーズに仕事が出来るようマネジメントを行ったり、自部門の問題を解決するなど一般の病院の看護師長と変わりありません。
ただし、国立病院ではプリセプター制度を導入しているのが一般的なので、新人看護師のサポートや看護師のキャリアアップに関するヒアリングなどスキルアップやキャリアアップのマネジメント業務に時間を割く割合が大きいのが他の医療機関の看護師長との違いです。
クリニックの看護師長の年収(給料)
クリニックで働く看護師の平均年収は約390万円、お給料は手当を含め約25万円と言われております。
ここに看護師長の平均手当45,000円、管理当直平均手当の17,200円を加えると、クリニックで働く看護師長の平均年収は約470万円、月給は約31万円というのがもっとも近いデータとなります。
クリニックの看護師長の仕事内容
クリニックには基本的に入院設備や救急外来もないので、外来診療を行う医師の診療サポートをするのが看護師のメインの仕事となります。
診療前のバイタルチェック、診察時の補助、検査の説明や医師の指示による治療の補助、点滴、注射など内科で行われる看護がクリニックでの業務です。
小規模で専門科目しか扱っていないクリニックでは看護師長は配置されませんが、中規模以上のクリニックで複数の科目がある場合は看護師長が配置されます。
クリニックにおける看護師長の仕事は、看護師の技術や知識のサポート、マネジメントや院内の衛生管理、看護業務を滞りなく行うための整備などが中心になります。
また、シフト管理も行いますし、人が足りない時には現場に出て診療補助をすることもあります。
病棟がある病院よりも仕事量が少なく、夜勤もないので、他の医療機関の看護師長と比較すると年収や給料面ではクリニックの看護師長の方が低い傾向にあります。
訪問看護ステーションの看護師長の年収(給料)
訪問看護ステーションで働く看護師の平均年収は約435万円、お給料は手当を含め平均約30万円と言われております。
ここに看護師長の平均手当45,000円、管理当直平均手当の17,200円を加えると、訪問看護ステーションで働く看護師長の平均年収は約505万円、月給は約36万円というのがもっとも近いデータとなります。
訪問看護ステーションの看護師長の仕事内容
訪問看護ステーションでの仕事は、自宅で療養や治療を行っている利用者を訪問し、主治医の指示書のもと医療行為やケアを行います。
基本となるのはバイタルチェックや点滴、服薬指導、床ずれ予防などの処置ですが、利用者の状態によっては、機能回復のために歩行訓練や嚥下訓練などを出来る範囲でケアをすることもあります。
看護師長の場合は利用者の看護業務に加え、現場の業務の取りまとめや看護師のマネジメント、トラブル時の対応などを行います。
看護業務と並行して看護師長の業務を行わなくてはいけないので、一般の訪問看護師よりは仕事の負担が大きくなります。
その代わり、病棟の看護師長のように他の部門との連携や入院患者の入退院の日程調整など、細かい雑務がないのがメリットと言えます。
介護保険老人施設の看護師長の年収(給料)
介護保険老人施設で働く看護師の平均年収は約450万円、お給料は手当を含め平均約27万円と言われております。
ここに看護師長の平均手当45,000円、管理当直平均手当の17,200円を加えると、介護保険老人施設で働く看護師長の平均年収は約520万円、月給は約33万円というのがもっとも近いデータとなります。
介護保険老人施設のお給料に関しては、自治体が運営しているところよりも民間事業者が運営しているところの方が高い傾向にあります。
介護保険老人施設の看護師の仕事内容
介護保険老人施設は、大きく分けると自治体や社会福祉法人が運営する介護保険施設と、民間事業者が運営する施設の2種類になります。
これらの中でも介護老人保健施設や特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどいろいろな種類に分れていますが、看護師が配置されるのは介護保険施設やサービス付き高齢者住宅、有料老人ホームなどになります。
介護保険老人施設での看護師の仕事は、利用者の健康管理です。バイタル測定や持病がある人には往診対応、服薬指導、食事の見守り、利用者の巡回などが主な業務です。
一般病院のような看護ではなく、利用者の健康をチェックし、異常があったら適切な処置を行うのがメインの仕事なので、看護の負担がないのがメリットです。
介護保険老人施設では病院のように看護師が多くいるわけではありませんが、看護師長が配置されている場合は、看護師がスムーズに業務を行えるようにシフト調整や業務管理、処置のアドバイス、介護士とのカンファレンスへの参加、情報共有や問題解決などが業務となります。
年収と見合ってる?看護師長の仕事内容とは?
看護師としてずっと働くつもりであれば、いずれは役職を目指したいと思っている看護師も多いのではないでしょうか。
トップの看護部長になるための最初のステップは看護師長です。病棟など各部門のリーダーとなる看護師長を目指すのであれば、看護師長の仕事内容を理解しておく必要があるので、どういった仕事や役割があるのかを確認しておきましょう。
病棟内看護の目標設定と達成
看護師の看護目標の対象は患者で、自分が担当する患者の看護計画に沿って看護活動を実行するのが主な仕事になります。
一方、看護師長は個々の患者の看護ではなく、病棟全体の看護活動の質を高めるための看護目標の設定を行うのが仕事です。
病棟では看護師一人ひとりが看護目標を立てますが、このときの指針となるのが看護師長が設定する病棟内の看護目標になります。
何をすれば看護の質が高められるか、どこを変えれば理想の看護が行えるのかなど、病棟内全体に対する改善点をチェックし、看護師長が目標として具体化していきます。
この看護目標を元に、看護師がそれぞれに看護目標を設定します。そして病棟全体と個々の看護目標が達成できるように、実践的に取り組みを行い、病棟内の看護の質を向上させるのが看護師長の重要な仕事となります。
人材育成
病棟内の看護の質を高めるために的確な看護目標を設定し、達成に向けて取り組むことも大切なことですが、そのために必要となるのが看護師の育成です。看護師の技術やスキルに成長がなければ、どんな目標を立てても看護の質は変わりません。
そのため、看護師長は人材育成という仕事もこなす必要があります。専門知識の強化や新しい知識を身につけるのは、病院が行っている教育制度でカバーできますが、知識を持っていても実践能力がなければ看護には活かされません。
そこで必要となるのが、身につけた知識を臨床現場で実践できるようにする人材育成です。
看護師の知識を臨床現場で落とし込めるように、看護師長が持つ経験を元に指導体制を構築し、実践能力を育てていきます。
より良い看護サービスが提供できる看護師を育てることは、看護の質を高める直接的な取り組みであり、看護師長の大事な仕事の一つでもあります。
ただし、病院の規模によっては看護師長が育成プログラムの枠組みを作り、実践的な指導は看護主任が行うこともあります。
現場の看護師のマネジメント
看護師長は、現場の看護師のマネジメントも行います。
個々の看護師の能力や得意なことを的確に見いだし、適切な部門に配置をしたり、シフトの組み方を考えたりするのはもちろん、看護師の悩みを聞いてアドバイスをするなど業務内容の考察からメンタルのケアまで総体的なマネジメントを行っていきます。
マネジメントがしっかり出来ないと、配属先に不満を持つ看護師が増えたり、悩みを抱えたまま退職に至ってしまったり、現場の統率が取れなくなってしまいます。
こういった状況をマネジメントによって回避し、現場を上手くまわすのも看護師長の仕事です。
異動前などは看護師とヒアリングをしてキャリア志向を把握し、計画的にキャリアの成長を促すこともマネジメントの一つです。
看護師が成長するのはそのまま看護の質を向上させるのに役立ちますから、定期的にカウンセリングをしてキャリアの発達を支援するのも看護師長の大切な仕事となっています。
各部門と連携して問題を解決する
規模の大きい病院の場合、病棟内の問題を解決したり病棟業務をスムーズにまわしたりするために、他の部門と連携しなくてはいけないこともあります。
このような時に先頭にたって、各部門のリーダーや看護部、医師などの関係者とカンファレンスを行うのも看護師長の仕事です。ここで活きてくるのが、看護師長の資質の一つである敵を作らないコミュニケーション能力です。
病院の多くは看護師不足もしくは人員に余裕のない状態ですし、部門ごとに他の仕事を持っていますから、自分の部署で請け負う業務を減らそうとするリーダーは少なくありません。
しかし、ここでけんか腰になってしまっては、自分の部署に負担がかかってしまう可能性があります。看護師長は自分の部署の看護師に極端な負担がかからないよう、周りと摩擦を起こさず上手に業務を割り振らなくてはいけません。
そのため、普段から他部門とコミュニケーションをまめに取ることも看護師長の仕事と言えるでしょう。
看護師の代表としての交渉
看護師長は、担当する部門の看護師の代表という役割を持っています。
そのため看護業務以外での交渉も仕事となります。たとえば、看護師が看護目標を達成するために現場環境の改善などの要望を出してきた場合、看護部門の長として経営者と交渉することもありますし、治療方針の関する提案があれば医師に相談をするのも看護師長の仕事です。
また、毎日患者に接している看護師の業務をまとめているという立場から、患者の家族に対して様子や回復状況を説明することもあります。
医師によっては、患者の家族と関わるのを嫌がることもあるので、家族と医師の間に入り、相談や質問を受けるという仕事も行わなくてはいけません。
看護師長のメインの仕事は、看護師が看護だけに集中出来る環境を作ることなので、直接看護に関わらない交渉や折衝は看護師長の業務となります。
看護師長に必要なスキルや資質
柔軟性のあるリーダーシップ
部署のリーダーの役割を持つ看護師長にもっとも必要となる資質はリーダーシップです。
リーダーシップというと、部下をぐいぐい引っ張っていくイメージがあるかもしれませんが、看護師長に必要なのは柔軟性のあるリーダーシップです。
看護師長がすべてを決定して看護師に従わせるというのではなく、現場で働く看護師の意見に耳をしっかり傾けながら、正すところは正し、変えなくてはいけないところは上層部に意見を伝えて変えていくのが看護師長に求められるリーダーシップです。
看護師が適切な看護を行うためには、現場のチームワークが何よりも大切です。ワントップのリーダーシップでは、個々にたくさんの仕事を抱える看護師をまとめ上げることは出来ません。
上から目線ではなく、現場で一看護師として働いていた自分を忘れず、意見を受け入れながら正しい判断をして看護師を引っ張っていけるリーダーシップが求められます。
敵を作らないコミュニケーション能力
看護師長は、看護師だけではなく他の部署のリーダーや上司、経営陣、患者やその家族などあらゆる人とコミュニケーションを取らなくてはいけないので、コミュニケーション能力も必須です。
コミュニケーションの取り方には、「うわべだけ感じよく誰とでも付き合える八方美人型」と「敵を作らず、周りの意見を聞きながら平和に付き合える平和主義型」の2種類があります。
看護師長に必要なのは平和主義型のコミュニケーション能力です。人の意見を聞くふりをしながら、何も考えず指示も出せない八方美人型では、看護業務をスムーズに回したり、一致団結させたりすることは出来ません。
一般看護師の意見の中には、自己都合や自分本位な考え方もあります。そういった意見を聞いた時、看護師に対して真っ向から反対したり諭したりするのではなく、一通り話を聞いて、どこに問題点があるのか、どう言えば正しい方向に導けるかを冷静に判断するのが看護師長の役割です。
正しい判断をするには、本音を話してもらわなくてはいけません。だからこそ、壁を作らずコミュニケーションを取ることはとても重要なので、看護師長にはコミュニケーション能力も必要な資質となるのです。
看護師としての豊富な知識と確かな技術
当たり前のことですが、ただリーダーシップやコミュニケーション能力があるだけで看護師長になれるわけではありません。
現場看護師のリーダーとなるのですから、看護師としての豊富な知識と確かな技術も必須の資質です。一般看護師に看護のことで質問をされたとき、「それは知らない」「やったことがない」というのでは、看護師長としての信頼を失ってしまうのはもちろん、誰もついてきてくれなくなります。
経験年数によって、持っている知識や技術は変わりますが、早い段階からICUや循環器科など難しい科目を経験したり、ジョブローテーションを行っている職場で働いたりすることで、知識や経験を増やすことは可能です。
今はまだ経験不足の面があるとしても、将来的に看護師長を目指すのであれば、いろいろな科目が経験出来る病院へ転職をしたり、自分で勉強をして知識は身につけたりするなど、看護師長に必要な資質を少しずつでも養っていきましょう。
適材適所を見極める力
看護師長の大事な仕事の一つが、看護師の配置です。一人ひとりの看護師がどういったスキルを持っているのか、どんなことが得意なのかを把握して、やりがいを持って働いてもらえるようにするための、適材適所を見極める力は看護師長にとって重要な資質です。
看護師のモチベーションが下がれば、看護の質も低くなりますし、現場の雰囲気も悪くなってしまいます。現場の士気が下がれば、看護師をまとめるのも難しくなるため、看護師長としての業務にも支障が出てくるかもしれません。
もちろん看護師が希望する部署に配属できるよう尽力することも大事な仕事ですが、客観的に能力や長所を見極めて、看護師に提案できるのは、看護師の働きを間近で見ている看護師長ならではの役割です。
たとえば本人が将来的に役職を希望していたとしても、マネジメント能力が低かったり、人材育成に興味がなかったりするのであれば、役職ではなく看護師のスペシャリストとしての道を示すことで、看護師の能力を引き出せます。
年次やスキルだけではなく、適正も判断しながら人事配置ができれば、より看護師長としての評価も上がり、次のステップへの弾みも付くでしょう。
看護師長の年収や仕事内容のまとめ
今回は看護師長の年収について紹介しました。看護師長は一般的な看護師と比較して高収入ですが、仕事内容や要求されるスキルは高いです。
ただ将来を見据えたキャリアアップをする場合は有効な選択肢の一つであることは間違いありません。
看護師長への転職を目指す場合。、ハローワークやインディードのような媒体には求人がないことがほとんど(あってもブラックが多い)ですので、転職サイトを利用することをオススメします。
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