ブランクありで復職が不安な人の看護師求人選び5つのポイント
医療の現場は日進月歩で、どんどん進化しています。看護師として過去に働いていたけれど、しばらくブランクが空いてしまうと最新技術についていけるのかどうかなど復職するのが不安になってしまいます。
特に看護師は人命に関わる仕事だけに、復職に対して不安や緊張を感じるのは当然です。
しかし、ブランクがあっても歓迎してくれる求人はたくさんあります。今回はブランクありの看護師の求人を探す際のポイントについてご説明します。
ブランクありの看護師が抱える不安
ブランクがある看護師は、どのような不安を抱えているのでしょうか。
看護師が仕事を辞める理由
先ず看護師が仕事を辞める理由を見てみましょう。
厚生労働省が平成22年に看護職員として退職経験がある人を対象に退職理由を調査したところ、次のような結果になっています。(複数回答あり)
出産・育児のため | 約22% |
---|---|
結婚のため | 約17.7% |
他施設への興味 | 約15% |
人間関係の問題 | 約12.5% |
通勤が困難なため | 約11% |
本人の健康問題のため | 約8% |
その他 | 約15% |
結婚や出産・育児にともなう理由で辞めた人が多いことがわかります。こういった人は子育てが落ち着いたころには「もう一度看護師として働きたい」と考えて、就職活動を始めます。
復職にともなう不安
しかし、子育てに専念する場合、短くても3~5年はブランクができてしまいます。すると、復職する際に、次のような不安を感じます。
- 最新の医療の知識や技術についていけないのではないか
- 注射など自分の看護技術が落ちているのではないか
- 家事や子育てと両立ができるか心配
- 新しい職場に慣れるかどうか不安
3番目の家事や子育てと仕事の両立や4番目の新しい職場に慣れるかどうかといった不安は、看護師以外の仕事でも感じるものです。
しかし、1番目や2番目の理由は、看護師ならではの不安だと言えるでしょう。
そういった不安を解消するために、「ブランクありでもOK」とか「研修制度あり」といった看護師の求人があります。
ブランクありの看護師求人を探す場合の注意点
看護師資格はあるが現在は働いていない看護師のことを「潜在看護師」と呼び、厚生労働省の調査では約71万人もいると言われています。
看護師不足はずっと続いていて、潜在看護師の復職が期待されています。そのため、多くの求人で「ブランクありでもOK」となっていますが、好条件に飛びついたところ、「こんなはずじゃなかった」と早期離職する可能性があります。
ブランクありの人が看護師求人を探すときの注意点を知っておきましょう。
ブランクありの看護師が求人を探すときの5つのポイント
ブランクがあるからこそ、次の点を注意しておきましょう。
- 自分の現状をよく把握すること
- 目先の条件だけで決めないこと
- 長期的な目線で仕事を探すこと
- 復職支援セミナーや研修は積極的に参加すること
- ブランクがあることを理解して受け入れてくれる職場であるか確認すること
では、ひとつずつご説明していきます。
自分の現状をよく把握すること
ブランクの期間にもよりますが、自分がどれくらい現場を離れていたのか、その間に新しく導入された医療の技術や看護技術、制度などにはどのようなものがあるのかを、ある程度調べておくと安心です。
特に自分が働きたい診療科や担当したい業務(透析や内視鏡など)があれば、事前に調べておくといいでしょう。
もちろん、最新技術などがわからなくても研修や現場で教えてもらうことはできますが、自分の気持ちの上で不安が解消できるという点でおすすめです。
逆にブランク中の経験が復職後に活かせることがたくさんあります。出産、子育て、親の介護などを経験していれば、自信になりますし、患者さんの気持ちがより理解できるでしょう。
そういった経験や強みを自己分析することも大切です。
目先の条件だけで決めない
就職活動と言うとつい報酬や条件に目が行きますが、それだけで選んでしまうと理想と現実のギャップに悩むことになります。
特にブランクがある場合は、慣れるまでに時間がかかることがあります。一方、職場では「ブランクありOK」としながらも即戦力を求めがちです。
まずは謙虚に、今の自分でできることを冷静に考えるようにしましょう。また、無理のないように勤務時間や保育所の有無なども確認することが大切です。
長期的な目線で仕事を探すこと
ライフプランは人それぞれで異なります。1人目の子育てが落ち着いたから復職しようと思う人でも、今後2人目の妊娠出産を望む場合は、産休・育休があるかどうかを考える必要があります。
また、段階的にステップアップする方法もあります。
例えば「今は日勤しか無理だけど、あと〇年すれば夜勤も可能」という場合は総合病院に就職して日勤からスタートする方法があります。
他にも「日勤中心のクリニックで看護師復帰をして、そこで経験を積んで病院に転職する」「最初は慢性期病棟勤務でスタートし、感覚を取り戻したら急性期病棟で働きたい」など、計画を立ててみましょう。
さらに、今まで主婦として家庭に入っていた人が看護師として働き出す場合、家族がどれくらい協力してくれるのかもよく考える必要があります。
無理せずに最初はパートで復職し、派遣、正社員とステップアップしてもいいでしょう。
復職支援セミナーや研修は積極的に参加すること
潜在看護師の復帰を後押しする制度として、厚生労働省や都道府県の看護協会(eナースセンター)で再就職支援研修や実習を実施しています。
無料で参加できるので、積極的に参加して受講しましょう。注射や点滴、血圧測定などを実際に行うことで感覚を取り戻したという人が多いようです。それだけでも自信につながるので、ぜひ参加されることをおすすめします。
ブランクがあることを理解して受け入れてくれる職場であるか確認すること
看護師の求人を見ていると「ブランクありでもOK」とか「研修制度あり」といったものがあります。
病院が独自で研修制度を設けていたり、慣れるまでは先輩看護師がついて指導したりといった取り組みをしているので、安心して働けます。
もちろん、応募の際にはどの程度ブランクがあるのかを伝えて、それでも大丈夫かどうかを確認しましょう。
ブランクありでの採用可能な看護師の求人とは?
最後にブランクありの人でも積極的に採用している求人をご紹介します。
総合病院や介護関係がおすすめ
どこでも看護師は大々的に募集していますが、中でもブランクがある人でも働きやすいのは総合病院や介護関係の求人です。
総合病院や介護関係がおすすめの理由
その理由はスタッフが多いという点です。総合病院は看護師長のもと、多くの看護師が働いています。
1人の看護師に対するウエイトが軽減されるので、ブランクがあって戸惑うことがある場合でも周囲の看護師がフォローしてくれます。もちろん、それに甘えるのはよくないのですが、総合病院なら研修制度やフォロー体制があるので安心できるでしょう。
一方、介護関係でも看護師の募集が増えています。医療の現場と異なり、重篤な患者さんは比較的少ないのが特徴です。そういった意味で最新の医療技術や医療設備に不安がある人にはおすすめできます。
ただし、こういった職場が「楽だから」という理由で選ぶのはNGです。どんな職場でも人の命に関わる仕事だということを忘れないようにしましょう。
ブランクがある人が避けた方がいい職場
大学病院は新卒看護師の採用が多く、常に最新の医療技術が導入されています。そのため、ブランクがある看護師は敬遠される傾向にあります。
前職が大学病院で、復職後も大学病院を希望するという場合は、自分でも技術や知識を積極的に吸収しようとする姿勢が必要です。
また、総合病院の中でも急性期病院は、ブランクがあるとついていくのに苦労します。採用する側も即戦力を求めるので、慣れるまでは慢性期病院やスタッフが多いクリニックなどで経験を積むといいでしょう。
まとめ
看護師資格は持っていても、現在は働いていないという「潜在看護師」がたくさんいます。医療や介護の現場では看護師不足が続いているため、このような潜在看護師に自信を持って復職してもらうための研修や支援制度を設けています。
看護師を辞めて数年というブランクがある人でも、求人はたくさんありますし、技術や知識に不安がある場合はこのような研修を受けて復職することが可能です。
ただ、いきなり急性期病棟の忙しい現場に復帰すると、ついていけずに落ち込んでしまう可能性があります。まずは比較的人員がそろっていて、忙しくない慢性期病棟や介護系の施設などからスタートしてみましょう。
復職には家族の理解や協力が必要なため、家族が慣れるという意味でもパート勤務からスタートし、派遣、日勤の正社員、交替勤務とステップアップするのもいい方法です。