看護師の仕事はストレスがいっぱい!よくあるストレスと3つの解決法
看護師の仕事は他職種よりもストレスがたまりやすく、その結果心身に不調をきたすこともあります。
「仕事に行きたくない」「もう辞めたい」という気持ちからうつ病に発展することもあるだけに、いかにストレスと向き合うかが重要です。
このページでは看護師によくあるストレスの原因とその解決法についてご説明します。
看護師に多いストレスの原因
どの職業にも、どの職場にもストレスはありますが、看護師には特有のストレスの原因があります。そんな看護師の「ストレスあるある」を見ていきましょう。
看護師はストレスが多い職業
日本看護協会では看護師の働く環境の改善に取り組んでいますが、その中で「看護師はメンタルヘルスの面でハイリスクの職業である」としています。
その理由として、次の点を指摘しています。
- 他の職業に比べて仕事量が多い
- 人命に関わる仕事なので常に緊張感がある
- チーム医療での人間関係
- 時間外労働や交替勤務などで生活が不規則になる
- 患者や家族から無理な要求をされるなど、患者・家族との関係性
どれも大きなストレスになりそうなものばかりですね。
新人ナースとベテランではストレスの原因が異なる!
新人看護師には、新人ならではのストレスの原因があります。
ある大学で学校を卒業した新卒看護師と助産師に「職務上でどんなことにストレスを感じるか」という「職務ストレッサー(ストレスの原因)」を入職時から3年間継続的に調査したところ、次のような結果が出たということです。
(回答者の勤務先は病床500床以上の大学病院勤務が73.5%、国公立病院が14.7%、その他の総合病院が11.8%です。)
職務ストレッサー | 1年目 | 2年目 | 3年目 |
---|---|---|---|
看護能力不足 | 38.2 | 35.5 | 33.4 |
患者・家族へのサポート | 10.9 | 10.2 | 10.4 |
看護援助ジレンマ | 9.5 | 10.0 | 9.9 |
同僚との関係 | 11.4 | 13.2 | 12.4 |
上司との関係 | 7.6 | 8.6 | 7.9 |
医師との関係 | 5.1 | 5.2 | 5.6 |
(数値は研究チームの計算式により算出されたものです。)
このように新人(1年目)は自分の看護能力不足にストレスを強く感じることがわかります。実際、先輩や上司に何度も同じことを注意されると、「自分ってダメだな~」と落ち込んでしまいますね。
一方、同僚や上司との関係は、1年目よりも2年目や3年目の方がストレスの原因になっています。
ベテラン看護師でもストレスはある
ある看護師求人サイトが実施したアンケートでは、「同僚や上司との関係」がストレスの原因1位になっています。2位は「仕事の責任が大きいこと」3位は「仕事の量が多い」となっていて、看護師の現場の大変さがうかがえますね。
また、仕事と家庭(プライベート)の両立やバランスの悩みがストレスになっているという回答も多く見られました。
中堅看護師によくあるストレスの原因をいくつかご紹介しましょう。
- 後輩を指導していたら、「あの先輩は怖い」と陰口を言われた
- 先輩と後輩の板ばさみで、常に周囲の顔色を見ながら仕事をしなきゃいけない
- 上司がすべて仕切っているが、そのときの気分で言うことが違うので振り回される
- 仕事でクタクタなのに、家に帰ればまだ手のかかる子どもの面倒でさらに疲れる
ベテラン看護師には、次のようなストレスがあります。
- 年齢的にも体力的にも夜勤がきつい
- 新人看護師がなかなか仕事を覚えない
- 新人のミスやすぐに退職するのはベテランである自分のせいだと責められる
- 若い看護師の話題についていけない
中堅もベテランも、それぞれの立場で悩みが多いことがわかります。
患者さんやその家族との対応がストレスになることも
看護師のストレスには、患者さんとその家族からの対応が原因になることもよくあります。特に次のようなクレームがあると、看護師は心身ともに参ってしまいますね。
- (外来で)待ち時間が長い
- (病棟で)ナースコールで何度も呼んでいるのに、来るのが遅い
- 注射がヘタ
- 患者への言葉使いが悪い、扱いが雑
- 頼んだことをしてくれない
看護師は精一杯やっているのですが、とにかく仕事量が多いので、「わかっていてもできない」「患者さんもそこは少し我慢してほしい」という思いがあり、ストレスになってしまいます。
看護師のストレスが高まるとバーンアウトすることも
ストレスを抱えつつも自分だけで何とか乗り切ろうとすると、やがて「バーンアウト」してしまうことがあります。
看護師のバーンアウトとは
バーンアウトとは「燃え尽き症候群」とも呼ばれるもので、それまで頑張っていたのにある日突然やる気がなくなってしまうことを指します。
上でご紹介した大学の調査では、看護師の仕事に就いて5年間の継続調査の中では3年目のバーンアウトの数がもっとも多いという結果が出ています。
これは3年前の新人時代は「まだ新人だから」と受け止められることが、3年過ぎると「3年も過ぎたのに、自分はまだ未熟だ…」と考えてしまうケースが多いためだと考えられます。
ストレスから心身の不調やうつになることも
もちろん看護師のストレスは新人だけでなく、中堅看護師もベテラン看護師も抱えています。
そして、ストレスを発散させずに我慢していると、やがて心身の不調やうつの症状が出ることがあるので注意が必要です。
看護師のストレス解消法
年齢や経験に関わらず、それぞれの立場で皆さんストレスを抱えています。その際のストレス解消法をご紹介します。
職場で解消する方法
患者さんの対応などは、自分だけではなく同僚も同じようにストレスを感じていることが多いものです。
その場合は、「〇〇さんの対応について」をチーム全体で話し合うようにしましょう。また、忙しくて手が回らずに患者さんが不満や不安を持っている場合は、仕事の割り振り方などを全員で相談することが大切です。
悪口や陰口は控えること
ただし、「〇〇さんって本当にイヤよね~」など、悪口や陰口を言わないようにしましょう。これは同僚に対しても同じことですが、どこで誰が聞いているかわかりません。
また、職場の雰囲気も悪くなってしまいます。「前向きに解決すること」を考えるようにしましょう。
プライベートで解消する方法
一方、ストレスはプライベートの時間で発散しているという人もいます。
- 趣味の時間を持つ
- スポーツジムやウォーキングなどで身体を動かす
- 旅行に行く
- ショッピングやおいしいものを食べる
- カラオケに行く
- 友達とおしゃべりする
ストレスの発散方法は人それぞれなので、自分に一番合う方法を探してみましょう。
同期と話す場合は要注意
職場でのストレスは、同じ職業の看護師同士がわかり合えるものです。特に同期や看護学校の同級生などは、年齢が近いのでついあれこれとグチを言ってしまいます。
それでストレスの発散にはなりますが、これもいつ、どこから他の人の耳に入るかわかりません。信頼していた同期の口から上司にあなたの不満が伝わり、評価が下がったということもあるので注意しましょう。
職場に合わない場合は転職してストレス解消
ストレスの原因の中には、「その職場に自分の性格が合っていない」というケースがあります。
- 注射は苦手なのに注射の多い部署にいる
- 患者さんとはゆっくり向き合いたいのに、常に忙しい戦場のような救急外来にいる
- 先進医療に関わりたいのに、小さなクリニックで風邪などの対応ばかりで不満
このように自分の適性ややりたいことと現在の職場がミスマッチの場合はどうしてもストレスが発生してしまいます。
その場合は、思い切って転職を考えてみましょう。
オープニング求人で心機一転スタート
職場の人間関係で悩んでいる場合は、オープニング求人を探すのもいい方法です。長く経営している病院は古参のベテラン看護師が仕切っていて、若い看護師はストレスを感じやすくなります。
一方、新規開業するクリニックや病院は「オープニング求人」を出しています。採用された職員全員が同時期にスタートするので、先輩後輩のしがらみがありません。
もちろん経験の差はありますが、みんなで仕事の流れやルールを決めていくので、やりがいがあり、楽しく仕事ができます。
看護師のストレスの原因と解決法~まとめ
看護師は人命に向き合う仕事でありながらも業務は多忙で、しかも同僚だけでなく患者さんやその家族との人間関係があり、ストレスを抱えやすい職業です。
現場では「できて当然」と思われるため、新人ナースは「自分はダメなんだ」と落ち込み、ストレスを抱えてしまいます。一方、中堅やベテランナースでも後輩の指導や医師・患者との関わりなどでストレスを持っています。
さらに交替勤務で生活のリズムが崩れる、家族との時間が取れないといったこともストレスになります。
このような看護師のストレスを解消するには、次の3つの方法があります。
- 職場のチーム全体で問題解決のために取り組む
- プライベートの時間に趣味などを楽しんでストレスを解消する
- 自分に合わない職場の場合は転職する
ストレスの原因によって解決法は異なるので、今の自分は何が一番大きなストレスになっているのかをよく考えましょう。