看護師の仕事、結婚や妊娠してもこのまま続けるべき?働きやすい職場に転職した方がいい?
夜勤がある職場や患者さんを抱きかかえるなど重労働が多い職場で働く看護師さんにとって、結婚や妊娠したら仕事を続けるべきか迷いますね。
そんなときにどうすればいいかについて書いています。
現役看護師が結婚や妊娠したときの選択肢
まず、結婚や妊娠したときは、次のような選択肢があります。
- 今の職場でそのまま続ける
- 違う医療機関に転職する
- 退職し専業主婦になる
今の職場で続ける場合
今の勤務先を辞めずに続ける場合でも、次の選択肢があります。
- 同じ所属科で正職員のまま今まで通り働く(夜勤や早番・遅番があればそれも続ける)
- 同じ雇用形態(正職員)で業務や所属科を変えてもらう(急性期病棟から慢性期病棟など)
- 夜勤をなくしてもらう
- 常勤(正職員)からパートに変えてもらう
違う医療機関に転職する
結婚や妊娠を機に別の医療機関に転職するケースはよくあります。
特に結婚によって通うのが遠くなった場合などは止むを得ません。また、家族との時間を増やしたいという理由で夜勤のない勤務先に転職することもあります。
妊娠した場合は特に身体に負担が少ない勤務先を探すことが考えられます。
退職して専業主婦になる
看護師の退職理由でもっとも多いのが「結婚」「出産・妊娠」です。結婚しても妊娠していなければ仕事を続けられるのではと考えがちですが、退職理由の1位は妊娠・出産、2位が結婚になっています。
もちろん、一度結婚して、パートやアルバイトとして再就職するケースもあります。
看護師が結婚や妊娠で仕事を辞めるメリットとデメリット
看護師が仕事を辞める理由として、結婚や妊娠は一番自然で引き留めにくいものです。
しかし、本当に辞めてしまっても大丈夫でしょうか?
看護師が結婚や妊娠で仕事を辞めた場合のメリットとデメリットを見てみましょう。
看護師が結婚や妊娠で仕事を辞めた場合のメリット
仕事を辞めて家事や子育てに専念した場合のメリットとしては、次の点があります。
- 時間に余裕ができるので家事や趣味の時間がたっぷり取れる
- 出勤時間にとらわれることがないので自分のペースで家事ができる
- 身体的に楽
- 出産後は子育てに専念できるので子どもの成長を楽しめる
- 時間的にも身体的にも余裕があるので精神的にゆったりできる
看護師が結婚や妊娠で仕事を辞めた場合のデメリット
一方、看護師という仕事を辞めてしまうとデメリットもあります。
- 収入が減る
- 外部との人の関わりが減るので、それがストレスになることがある
- ブランクができると復職が不安になる
デメリットが意外とこたえる!
看護師は同年齢の人と比較すると、収入が高い職業です。ところが結婚して仕事を辞めてしまうと、収入が0になってしまいます。
わかっていたこととは言え、かなりこたえます。また、家族や近所の人としか会話をしない生活は楽なようで、社会に取り残されたような気がしてストレスになります。
また、ブランクができると技術の劣化や最新知識の不足などが復職時に大きな不安になってしまいます。
妊娠しても看護師を続けるのも大変
一方、妊娠しても看護師を続けることは可能ですが、次の点でかなり大変です。
- 重いものは持たない方がいいが、その分周囲に気を使う
- 感染症のリスクがある
- ちょっとしたニオイに敏感になり吐き気を催すことがある
- 精神的に不安定になりがち
- 疲れやすくなる
- 足がむくむ
このように心身ともにダメージを受けるので、それをよく考えて仕事を続けるのかどうかを考えていきましょう。
なお、職場でのサポート体制があるかどうかも普段から意識して見ておくといいですね。先輩ナースで妊娠中も働いていた人がいる場合は、その様子を見たり、その人からアドバイスをもらったりするといいでしょう。
結婚や妊娠しても働きやすい職場に転職して看護師を続けるのがベスト
上記のように結婚・妊娠をきっかけに看護師を辞めることはメリットもありますが、デメリットもあります。
収入面だけでなく、将来また看護師として働くことを考えるときっぱり辞めるのではなく、働きやすい職場で続けられるのがベストだと言えます。
妊娠後も働き続けるために産休と育児休業をチェック
働きながら出産や子育てをする場合は、産休と育児休業を上手に活用することが大切です。まず、それぞれの制度について知っておきましょう。
産休とは
産休は正式には「産前産後休業」と言います。
産前休業 | 出産予定日(出産当日を含む)の6週間(42日)前から取得できる (多胎妊娠の場合は14週間(98日)前から取得可能) |
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産後休業 | 出産の翌日から8週間(56日間)取得できる |
なお、中にはもっと早くに現場復帰したいと考える人がいるかも知れませんが、労働基準法第65条で出産後8週間は労働してはいけないことになっています。
また実際の出産日が出産予定日よりも遅くなった場合でも、産前休業は生まれる日まで取れますし、産後休業も出産日の翌日から8週間はきちんと取得できます。
育児休業とは
育児休業は産休が終わってから、子どもが1歳になるまでの間、休みが取れるというものです。
ただし、育児休業の取得には次のような条件があります。
- 正社員であること
- パート、派遣社員、契約社員の場合は今の職場で1年以上働いていること、子どもが2歳になるまでに雇用契約が満了しないことの条件を満たしていること
なお、産休や育児休業中は休業開始時の賃金の50%程度の給付金が給付されるほか、社会保険料が免除されます。
正社員で働いている場合はそこで育児休業を取るのがお得
給付金のことを考えると、少しでも給与が高いところに勤めている方がお得です。長く勤めていると、それだけ給与も多いはずなので、転職せずにそのまま働いて産休や育児休業を取るといいでしょう。
もちろんその場合でも体調に配慮することが大切です。妊娠がわかったら早めに職場に知らせて、夜勤のない部署に変えてもらうなどの相談をしてみましょう。
結婚や妊娠しても看護師として続けやすい転職先
妊娠しているのがわかっていて就職活動をするのは、ちょっと無謀です。また、採用されてから1年以内に出産しても、育児休業が取れません。
できれば、結婚した段階で、妊娠・出産を視野に入れて転職活動を進めておきましょう。転職先は次のポイントで探すのがおススメです。
- 家から近くて通いやすいところ
- 残業が少ない職場
- 身体に負担が少ない職場
- 託児所や保育所がある職場
では、それぞれを具体的に見ていきましょう。
家から近くて通いやすいところ
独身時代とは異なり、主婦になると何かと用事が増えていきます。そこに子どもが生まれるとなおさらです。
そのため、何かあったときにすぐに自宅に戻れるように家から近い職場や通勤に便利な職場に転職するのがおススメです。
残業が少ない職場
主婦業や子育てをしながら働くのは本当に大変です。実母や義母(夫の母)など誰か家事を手伝ってくれる人がいればいいのですが、そうではない場合は残業が少ない職場を選ぶようにしましょう。
身体に負担が少ない職場
寝たきりの患者さんのベッド移動や体位変換などがあると身体に負担がかかってしまいます。
妊娠中はもちろんですが、出産後は子育てで自分自身が疲れています。重いものを持ち運んだり、腰に負担がかかったりする業務が少ない個人経営のクリニックなどの仕事を探すといいでしょう。
託児所や保育所がある職場
子どもが生まれてからも働きたいという場合は、託児所や保育所がある医療機関を選ぶといいでしょう。特に夜勤をして収入を得たいという場合は、夜間の託児があるかどうかをよく確かめることが大切です。
ただ、日勤のパートの場合は地域で通いやすい保育所があれば、近所の友だちも一緒に通えるのでその方がいい場合があります。
それぞれの状況に合わせて、保育所や幼稚園、小学校(学童保育を含む)の場所などを考慮して仕事を探すことが大切です。
決して無理はしないこと
働き続けるのがベストとは言っても、やはり身体が一番大切です。
特に妊娠中は悪阻や流産・早産の心配があります。決して無理をせず、母子ともに健康で出産できるように考えましょう。
また、家族との話し合いも十分にしておきましょう。自分は働き続けるつもりでも、旦那さんや家族が仕事は辞めてほしいと思っていると、家庭内での摩擦が生まれます。
一方で家庭の経済面のこともよく相談しておきましょう。結婚、妊娠後も少しでも家計の足しになるように、パートの求人を探す方法もあります。
結婚、妊娠や出産を視野に入れた転職活動に正解はありません。
それぞれのご家庭の事情に合わせてベストな方法を選ぶようにしてください。
まとめ
結婚が決まり子どもを望んでいる場合や妊娠したら、仕事はどうすればいいでしょうか。
体調や家族の協力体制などにもよりますが、まずは身体に負担がないように考えることが大切です。なお、妊娠がわかってからの転職活動はほぼ無理なので、結婚したタイミングで妊娠を視野に転職を検討するようにしましょう。
今の職場で継続して働きたい場合は、産休や育児休業が取れます。ただし、夜勤や身体に負担のかかる業務を変えてもらえるかどうかを確認する必要があります。
転職した場合の育児休業は正社員であること、雇用されて1年が経過していることなどの条件があります。これらも考えて早めに行動することが大切です。
結婚、妊娠による転職は個々の家庭によって状況が異なるため正解はありません。家族とよく相談して考えるようにしましょう。