転職回数が多いと看護師でも採用には不利になる?今度こそ転職を成功させるコツ
看護師に限らず転職する際に、過去の転職回数が多いと「長続きしない人」という目で見られるため採用には不利になります。
しかし、そこは「人材不足」の看護業界です。自分に合う求人を探し、自己アピールをきちんとすれば採用につながりますよ。
このページでは転職回数が多い看護師が、次の転職を成功させるコツをご紹介します。
看護師は転職回数が何回以上なら採用に不利になる?
転職回数が多いと採用には不利になるとは言っても、一体何回以上転職をしているとマイナスになるのでしょうか?
一般には転職回数4回以上は不利になる
一般的に転職回数が4回以上の人は採用に不利になると言われています。それはやはり「長続きしない人」と判断されがちだからです。
しかし、転職回数が3回なら採用され、4回以上なら落ちると決まっているわけではありません。あくまでも一般論です。
看護師の転職回数が多いと採用に不利になる理由
退職する人にはさまざまな事情があるため、一概に転職回数が多いのが悪いというわけではありません。しかし、採用する側としては、「転職回数が多い=また辞めるかも知れない」という不安を抱いてしまいます。
それは採用に関して次のような費用や人員を割く必要があるからです。
- 募集に費用がかかる
- 面接や応募書類の審査に手間と人手がかかる
- 採用に関する事務手続きや持ち物などの準備が大変
- 採用後の業務の説明や育成に人手がかかる
- 職場に慣れるまでは戦力にならない
このように看護師が1人辞めると、次の看護師を採用し戦力になるまでには時間も人手もかかります。
そうでなくても忙しい現場で新人の指導や説明を誰かが担当するということは大きな痛手になるのです。
そのためにも採用後はできるだけ長く勤めてほしいと考えています。そういったことを考えると、どこに行っても長続きしない人は避けたいと考えるのもうなずけますね。
重要なのは転職回数だけでなく退職理由と在職期間
転職回数が多いと不安になると思いますが、重要なのはどんな理由で辞めたのかという「退職理由」と何年勤めたのかという「在職期間」です。
例えば「退職理由」で見てみると、結婚、出産、子育て、親の介護などで退職を余儀なくされた場合は「それは仕方がない」と判断されるでしょう。
しかし、20代で4回も転職していると、「もうすこし我慢して続けられなかったのかな」と思われる可能性があります。しかも、20代で4回転職しているということは、ひとつの職場で平均2~3年しか続いていないということになります。
もちろん、この場合も結婚や出産など家庭の事情、本人の健康状態などやむを得ない理由の場合は回数だけで不利になることはありません。
ただ、本人は健康で、特に結婚も妊娠もしていないという場合で10年弱で4回も転職していると、それは多いとみなされ不利になるでしょう。
おまけに退職理由が、「スタッフと気が合わなかった」とか「病院の方針が自分には合わない」など自分本位な理由で辞めた場合は「この人を採用しても、うちでも長く続かないかも知れない」と思われてしまいます。
看護師の平均的な転職回数はどれくらい?
看護師の平均的な転職回数はどれくらいなのでしょうか?
これは正確なデータがないのでわかりませんでした。でも離職率は出ているので、それを見てみましょう。
看護師の離職率
看護師は夜勤があり、生命の危機に直面する仕事で心身ともに「きつい」というイメージがあります。そのため、離職率が高いと思われがちですが、産業別で見てみると決して離職率が高いわけではありません。
厚生労働省の雇用動向調査結果(平成28年度)によると、全産業の中でもっとも離職率が高いのは宿泊業・飲食サービス業で30.0%、次いで多いのが生活関連サービス業・娯楽業で20.3%、それ以外のサービス業が19.1%とサービス業の離職率が高くなっています。
次いで教育・学習支援業の離職率が15.0%で医療・福祉は14.8%で全産業の中で5位となっています。ちなみにもっとも離職率が低いのは建設業の7.7%でした。
新卒の看護師は離職率が低い
上の産業別離職率では医療・福祉全体のデータなので、看護師以外の医療・福祉関係の人の数が含まれています。
日本看護協会の「病院看護実態調査」(2016年)によると、病院勤務の常勤(正職員)看護師の平均離職率は10.9%(新卒看護師は7.8%)でした。
離職率が10%ということは、看護師が10人いればそのうちの1人は辞めているということですね。それでも全産業別で見てみると、離職率は低いと言えます。
なお、同じ調査では個人病院の方が常勤、新卒ともに離職率が高く、約17%となっています。
看護師の転職理由
日本看護協会が実施したアンケートによると、看護師が退職するときの理由は多い順に次のものがあげられます。
- 出産・育児のため
- 結婚のため
- 他施設への興味
- 人間関係がよくないから
- 超過勤務が多いから
- 休暇が取れない、取りづらいから
退職理由が次の転職に影響を与える場合
出産・育児」や「結婚」という理由が多く、これは周囲も納得できて、引き留めにくいものです。次の転職でも、「子育てが落ち着いたので」と言えば決してマイナスにはなりません。
一方、人間関係で辞める場合は、周囲が悪いかも知れないが本人にも協調性が欠けていたのではないか、また本人は何か努力したのかと思われるでしょう。待遇や福利厚生に不満を持つ場合も、それを前面に出すと次の転職にマイナスになる場合があります。
転職回数が多い看護師が採用されるコツ
誰しも長い看護師人生の中では職場を辞めることがあります。何度か転職をした人が、次に採用されるにはどうすればいいのでしょうか。
ネガティブな退職理由をポジティブなものに変える
職場の人間関係が悪いとか、給料が少ない、残業が多い、休みが取れない・・・といった職場環境が理由で辞めたとしても、それをそのまま次の応募先に伝えると、「うちのスタッフとうまくやってくれるのだろうか」「うちもそんなに給料は高くないよ」と思われてしまいます。
一方、「仕事がなかなか覚えられない」「以前に注射でミスをして、それ以降医療ミスが不安で・・・」と自分のマイナス点を上げるのもよくありません。
「うちでもミスをされては困る」「うちは前職ほど忙しい職場ではないけれど、人の命に関わるのは同じだよ。甘く見てもらっては困る」と判断されてしまいます。
ネガティブな理由をポジティブな理由に変えるコツ
どんなことにもプラスの面とマイナスの面があるものです。
前職で忙しくてパニックになりそうだった、それが原因でミスをしたという場合は、「自分は性格がおっとりしているので、慢性期病棟で患者さんとゆっくり向き合いたいと考えました」などと答えるようにしましょう。
前職の退職理由は細かく伝えないことも重要
もし前職を辞めた理由が転職に不利になると思われる場合は、「引っ越して通勤が不便になったから」「家族の介護(または看護や育児)の理由で夜勤が難しくなったので」など、差し障りのない理由を伝えるのがおすすめです。
ただし、後で嘘がばれることのないように、よく考えましょう。
転職のミスマッチを避ける
転職を辞める理由は本当にさまざまですが、中には職場とのミスマッチもあります。
ミスマッチとは自分の希望や適性が今の職場と合わないということです。次のようなケースが考えられます。
- もっと患者さんや家族に寄り添いたいのに忙し過ぎて十分に関われない
- 忙しい現場でとっさの判断を求められるのは苦手
- 自分は高齢者の看護が向いている
- 注射室で毎日注射ばかりの業務だが、もっと違うことをやりたい
- 人の死に立ち会う現場よりは命が生まれる産婦人科の方が向いていると思う
- 家族のために残業は断りたいが人員不足で断れない
このように業務内容が自分の希望と違うとか、自分の性格には合わない現場である、家庭の事情と合わないなどさまざまなミスマッチがあります。
入職時は問題がないと思っていても、次第に自分や自分の環境が変化することもあります。
転職して長く勤めるためには、自分の希望や働く環境などをよく考えて仕事を選ぶようにしましょう。
まとめ
誰もが1度や2度は仕事を辞めたいと思うことがありますし、さまざまな事情で転職を余儀なくされることがあります。
一般には転職回数が4回以上は採用に不利になると言われていますが、それも年齢や在職期間、退職理由などによって評価は異なります。あまりにも短期間に何度も転職を繰り返すのは、「長続きしない人」と判断される可能性があります。
転職回数が多い人が次の応募で採用されるには、ネガティブな退職理由をそのまま伝えないことが大切です。また、自分の希望とミスマッチする求人はまた辞めたくなる可能性があるので、自分の希望や適性、働く環境などをよく考えて求人を選ぶようにしましょう。