看護師の現場でいじめに遭ったら転職すべき?辞めずに続ける場合の対策は?
どんな職業であっても人間関係の悩みは尽きませんが、特に看護師はいじめが多いと言われています。
このページをご覧の看護師の方も、いじめられたとか、現在いじめられて悩んでいる……という方がいらっしゃるかも知れませんね。
もし看護師として働く現場でいじめに遭ったら、辞めるしか方法はないのでしょうか?解決策を探ってみました。
看護師のいじめは避けられない?
職場でのパワハラが問題になっている昨今ですが、看護師の世界では現在もいじめやパワハラが存在すると言われています。
職場のいじめで看護師を辞める人も!?
使命感を持って看護師として働いていても、同僚(先輩や上司を含む)のいじめが原因で退職する人がたくさんいます。
「都道府県ナースセンターによる看護職員の再就業実態調査」(平成24年)によると、現在働いていない看護師が直近の就業先を辞めた理由として次のものがあげられています。多い順にご紹介します。
- 1位:妊娠・出産
- 2位:自分の健康状態(身体的なもの)
- 3位:自分の健康状態(精神的なもの)
- 4位:子育て
- 5位:時間外労働(残業)が多い
- 6位:医療事故への不安
- 7位:親族の健康状態・介護
- 8位:責任の重さ
- 9位:適性・能力への不安
- 10位:職場でのいじめや嫌がらせ
- 11位:同僚との関係が悪い
仕事を辞めた理由で圧倒的に多いのは「妊娠・出産」ですが、10位に「職場でのいじめや嫌がらせ」が、11位に「同僚との関係が悪い」が入っています。また、15位に「上司との関係が悪い」、16位に「パワーハラスメント」が入っています。
職場の人間関係の悪化は心身に影響
退職理由にはっきりと「いじめ」と書けないことがありますし、このようなアンケートでもいじめ以外の理由をあげる人がいると考えられます。そのため、実際はもっと多くの人がいじめを経験している可能性があります。
また、いじめが原因で心身の不調をきたして仕事を辞めた人もいるでしょう。一方で、仕事は続けているが、いじめや人間関係で悩んでいる人もいます。
看護師のいじめの内容
では、実際にどのようないじめが行われるのでしょうか。
パワハラから陰湿ないじめまでさまざま
看護師のいじめの内容は実にさまざまですが、大きく分けると次のようなものがあります。
- 新人看護師へのいじめ
- 転職してきた看護師へのいじめ
- ミスを責める
- 仕事を押し付ける
- 持ち物を隠す・盗難など
- 悪口・陰口・無視
- パワハラ
それぞれを具体的に見ていきましょう。
新人看護師へのいじめ
新卒やまだ経験が浅い新人看護師はいじめの標的にされることがよくあります。新人は患者さんへの対応も看護の手技も知識も未熟なので、何かと注意される場面が多いのは仕方がないと言えるでしょう。
しかし、それが「指導」の域を超えて、「いじめ」になっているケースがあります。よく見られるのは、次のような場面です。
「何度言えばわかるの?」
「学校で何を習ってきたの?」
「覚えられないなら、ちゃんとメモを取っておきなさい」
といった仕事面での叱責のほか、
「どうせ独身だから、仕事が終わったら遊べるからいいわね」
とイヤミを言われることもよくあります。
特に叱責はこっそり注意されるのではなく、ナースステーションで同僚がたくさんいる場所で大きな声で叱られるため、本人はますますつらくなってしまいます。
転職してきた看護師へのいじめ
看護師としての経験はあるものの、転職した先で仕事の流れがつかめずにいじめられることがあります。
職場によってルールが異なるため、慣れるまでは仕方がありません。親切に教えてくれる人がいればいいのですが、そこのボス的な存在が怖くて誰も教えてくれないなどの状況になるといじめにつながり、居場所がなくなってしまいます。
ミスを責める
その職場で長く勤めていても、いじめの標的にされると小さなミスでも責められます。
「何年この仕事やってるの?」
とバカにされたり、叱られている様子を見てクスクス笑ったりされます。
仕事を押し付ける
ひとりにだけ仕事を押し付けるいじめがあります。しかも、いじめた本人は「忙しいから手伝ってもらった」と平然とした顔をしています。
看護師長や医師などほかのスタッフが見ていても、仕事をしているとしか見えないため、いじめだと気づかれないケースです。
持ち物を隠す・盗難など
ボールペンやペンライト、シューズなどを隠されたり、盗られたりといった陰湿ないじめがあります。
交替勤務の現場では、いつ誰が隠したのかわからないためどう対応していいのか困ってしまいます。
周囲に相談しても、「ロッカーの鍵はちゃんとかけていたの?」「持ち物は自己管理をきちんとしなきゃ」と言われるだけです。
まるで子どものいじめのようですが、現実に起こっている話です。
悪口・陰口・無視
これもかなりつらいいじめですね。
自分がいないところでコソコソと陰口を言われたり、あることないこと悪口を広められたり、また無視されたり……といったいじめが存在します。
パワハラ
上司が無理難題を指示したり、指示がコロコロ変わったりし、さらにそれが出来ていないと所かまわず叱られます。理不尽な指示が多いのもパワハラの特徴です。
相手が上司なので言い訳や弁明ができず、状況が悪化しがちです。
職場でいじめに遭ったらどうすればいい?
看護師は「白衣の天使」と呼ばれるように心優しいイメージがありますが、なぜこのような陰湿ないじめが起こるのでしょうか。
看護師の働く環境がいじめを生みやすい
看護師が働く環境はさまざまな面でかなり過酷です。それがいじめを生む背景になっていると考えられます。
- 人命を預かる仕事でストレスが強い
- 忙しくて気持ちの余裕がなくなる
- 女性が多い職場で感情がもつれやすい
特にストレスと忙しさがピークになると、つい大声を出したり、新人を叱責したりするのでしょう。
自分がいじめから逃れるため
また、自分がいじめの対象にされないために、他の人がいじめられると自分もそれに加担してしまうということがあります。
これも子どものいじめと同じでよくないことですが、一種の自己防衛と言えるでしょう。
いじめに遭ったときの対策
いじめられたときは、それぞれの状況に応じて次のような対策を取ってみましょう。
注意されたことは改良する | 自分の未熟さを指摘されているので、メモしたり、信頼できる先輩に教えてもらったりして改良していきましょう |
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同じミスは繰り返さない | 完璧にこなすことは無理でも、少しずつミスを減らしていきましょう |
我慢し過ぎない | いじめている相手が口ごたえしないと、いじめはエスカレートしがちです。我慢せずに上司に相談したり、反発したりするといじめが収まることがあります |
相談する | 勤め先の規模やシステムにもよりますが、パワハラ相談室がある場合はそこに、また、看護師長や看護部長などに相談してみましょう |
転職は解決になる?
看護師は女性が多いからどこの職場でもいじめがあるか……と言うと、そんなことはありません。和気あいあいとしている職場もたくさんあります。どうしても我慢できない場合や、職場の組織全体がいじめ体質で上司に相談してもラチがあかないという場合は転職を視野に検討しましょう。
転職すればすべてが解決するわけではない!
いじめの原因や理由が何なのかをよく考えてみましょう。
自分がミスなくきちんと仕事をこなしているのにいじめがある場合は、転職はひとつの解決法になります。
しかし、自分に何か落ち度がある場合は、それを解決しない限り違う職場に行ってもまた同じ悩みを抱える可能性があります。
- 注射や点滴などの手技や医療機器の操作がなかなか上達しない
- 患者さんの状態をきちんと把握できない
- 指示されたことをすぐに忘れる
- 遅刻が多い
- 挨拶がきちんとできない
このように何か原因がある場合は、まずそれを変えていくことが大切です。
自分ではきちんとしているつもりでも、挨拶の声が小さいとか、遅刻が多いといったささいなことからいじめが始まることがあるので、普段の行動をよく振り返ってみましょう。
自分の適性に合った職場かどうかを考える
急性期で忙しい現場なのに、おっとりした性格で患者さんの話し相手を長々としてしまう人はその職場に向いていないのかも知れません。
周囲は「もっとテキパキ動いてほしい」と思い、それが叱責からいじめに発展している可能性があります。
いじめの背景には、自分の適性に合っていないことが関係しているケースがあるので、その場合はもっと自分に合った職場に転職を考えるといいでしょう。
なお、看護師専門の求人サイトでは、コンサルタントが応募先の雰囲気や人間関係なども調べてくれるので、安心できます。また、自分にはどのような適性があるのかを客観的に見てくれるので相談してみましょう。
いじめに遭ったら無理は禁物
「自分のミスは改良しましょう」と書きましたが、無理は禁物です。
いじめや叱責に遭うと、「自分はまだまだダメなんだ」と自分で自分を責めてしまいがちです。しかし、実際は自分には向いていない職場だったり、組織全体が陰湿なところだったりということがあります。
くれぐれも無理したり、我慢したりして心身に不調をきたすことのないように注意しましょう。
看護師のいじめ~まとめ
看護師の世界は女性が多く、ストレスや多忙なども相まって、いじめが起こりやすい環境にあります。
しかし、いじめが原因で仕事を辞めたり、心身に不調をきたす人もいるので、我慢せずに前向きな解決法を考えましょう。
まずは自分のミスや未熟さが原因の場合は、それを改善していきます。また、信頼できる人に相談してみましょう。
それでも解決できない場合や自分がその職場に合っていない場合は転職を視野に検討するといいでしょう。その場合は求人サイトのコンサルタントに相談すると親身に考えてくれますよ。