PR
当サイト内で紹介する商品やサービスの一部には広告が含まれています。

看護と介護、両方の側面を持つ「療養型病院」における看護師の業務内容と役割とは

看護師が病院で働く選択肢の一つに、療養型病院もあります。その業務は、一般病棟のような急性期の患者ではなく、長期療養を行う必要がある患者をケアすることが主になります。さらに特徴的なのは、看護師として介護士的役割も担うことです。とはいえ、基本的には療養がメインということで、急性期に比べ、比較的業務にゆとりは生まれやすいです。慌ただしく業務に追われるのではなく、ゆったりと患者に向き合う時間を持ちたい、と考える方にとっては適した業務と言えそうです。

療養型病院とは

「療養」をメインとする患者を受け入れる病院

療養型病院はその名の通り、「治療」ではなく「療養」を目的とした病床をメインに持つ病院の通称です。つまり、急性期(精神病床・感染症病床・結核病床・療養病床以外の病床)と違い、積極的治療を行う必要のない、比較的状態が安定した患者を受け入れる病院です。医療処置を行うことが少ない分、ゆとりのある病床面積や、談話室の設置が義務付けられています。また、看護師の人員配置数も急性期に比べ少なく設定されているのが特徴的です。

療養型病院は2種類に分かれる

療養型病院は、提供される保険の種類によって、その病床は次の2種類に分けられます。

1.医療療養型病床 慢性期の状態にあり、入院医療を必要とする患者に対するサービスを「医療保険」で提供する病床
2.介護療養型病床 要介護認定された患者に対するサービスを「介護保険」で提供する病床、必要に応じて医療も受けられる。※2018年3月までに廃止予定

このように、医療保険によって提供されるか、介護保険によって提供されるかによって、病床は異なります。両者の違いは、医療療養型病床の場合、比較的自立できている患者を始め、要介護認定を受けていない患者が多いのに対し、介護療養型病床では要介護認定を受けた患者を受け入れることにあります。さらに、医療療養型病床の場合看護師は、看護業務と介護業務を兼任するケースが多いのに対し、介護療養型病床の場合は、介護士の配置基準が決められているため、看護業務と介護業務が明確に区分化されているケースが多いところにあります。

また、介護療養型病床の場合、2018年3月までに廃止予定で、患者はその後医療療養施設や介護施設、あるいは在宅にて在宅看護サービスを利用することとなっています。しかし、新たな改定案として、「療養機能強化型医療施設(仮称)」と「他の介護療養型医療施設」とに分けて存続する意見も出されており、まだ今後の決定については流動的な状態です。

医師よりも看護師や介護士が主役の現場

一般病棟であれば、治療がメインになるため、医師が業務の主役になります。しかし療養型施設の場合は、治療ではなく療養がメインです。だから業務の主役は看護師や介護士などとなります。療養がメインということで、施設設備も基本的なものだけに留められ、その分談話室や病床面積のゆとりに力を入れられていることが多いです。

また、積極的な治療を必要とする患者が対象ではないため、看護師の人員配置基準(100床あたり)も一般病床の3:1に比べて、医療療養型病床で4:1、介護療養型病床で6:1と多くなります。つまり看護師一人当たりで担当する患者の数は増えます。

療養型病院における看護師の業務と役割

通常の医療処置を行いながら他の専門職と連携して患者のケアを行う

療養型病院に勤める場合、看護師の業務は基本的に一般病床と同様の医療処置を行います。そしてその上で、入院している患者の安全を確保しつつ、長期療養によって感じやすい精神的・肉体的ストレスを緩和することを目的とします。そのために、リハビリや介護といった他の専門職の人とチームを組み、パイプ役となる必要があります。

介護的側面を持つ看護業務

療養型病院における看護師の具体的な業務には、次のようなことが挙げられます。

  • 申し送り、医師からの指示による処置とその報告業務、ケアプランの作成
  • バイタルチェック、検温、全身の状態観察、合併症予防、感染対策
  • 注射、点滴、採血、それに付随する処置
  • 胃ろうや経鼻栄養等による経管栄養のケア及びそれに付随する処置
  • 褥瘡処置
  • 吸痰
  • 配膳準備、食事介助、おやつ介助、与薬
  • オムツ交換、入浴介助、体圧分散及び身の回りのケア
  • リハビリテーション、緩和ケア
  • レクリエーションの開催

このように、バイタルチェックや注射、点滴などの看護業務に混じってオムツ交換や食事、入浴の介助など、介護業務も含まれることが特徴的です。これは、療養型病院に入院する患者というのが、病状は安定しているものの、寝たきりの状態、あるいは麻痺によって会話が困難、認知症を発症しているなどのケースが多いためです。

そして、そうした患者にとっては、病院が「生活の場」でもあります。だから看護師は、患者ができるだけ快適に生活できるよう、看護だけでなく介護も行う必要があります。レクリエーションが行われるのもその一環です。長く病院で生活する患者の「QOL(生活の質)」を高めることが目的です。

療養型病院で働くメリット・デメリット

勤務は比較的余裕があるが、介護的役割によって忙しく感じやすい

療養型病院の場合、一般に比べ看護師の定数が少ないことから、受け持つ患者数が多くなります。しかし業務自体は医療処置が比較的少ないため、時間的余裕も生まれやすいです。それにより患者一人一人と向き合う時間も増やしやすくなり、結果的に信頼関係を築きやすくなるというメリットがあります。

患者の急変さえなければ残業も比較的少ないようです。また、ケアを工夫する中で患者の状態が良い方向へ進んだときは、それがやりがいにもつながります。一方で、療養型病棟では、患者の死に直面するケースもあります。そのため、終末期の看護に関心がある人にとっては学びが多い職場とも言えるでしょう。

介護的業務が多い側面も

ただ、医療行為が少ない反面、介護的業務を行う機会が増えることで忙しさを感じる場合もあります。また、急性期病棟に比べると物足りなさを感じる人もいるようです。もし、最先端医療の現場で働きたいという意識や、高度な医療や手技を学びたいという向上心、急性期の患者さんを救いたいと考えるのであれば、それは一般病棟の方が理想に近づける可能性が高いです。

給料については一般病棟と同程度、夜勤もあると考えておいた方がいいでしょう。給料アップを目指すのであれば、摂食・嚥下障害看護認定看護師や、皮膚・排泄ケア認定看護師などの認定看護師の資格を取るのも選択肢の一つです。

求人情報は少なめ、転職サイトを活用しよう

療養型病院の求人数は、一般病棟に比べると少なめです。そのため転職を考える人にとっては見つけづらいことも多いです。そこで活用したいのが看護師専門の転職サイトです。非公開求人を見つけることができる他、アドバイザーやキャリアコンサルタントが担当してくれる場合も多く、より採用へと近づきやすくなります。また、少しでも多くの求人を見つけるために、できれば複数の転職サイトを登録されることをおすすめします。

療養型病院は今後さらにニーズが高まると予想される分野

病棟勤務をしつつ介護業務にも興味がある人におすすめ

これから超高齢化社会が進行するにつれ、療養型病院の必要性は高まると予想されます。介護業務に興味がある人や、一人ひとりの患者と落ち着いて接したいと考える方にとっては適した業務と言えそうです。また、療養型病院の看護師は、医師だけでなく、介護士や作業療法士ら他の専門職との関わりも深く、ときにはパイプ役となる必要もあります。さまざまな経験を積みたいと考える人にとってはチャンスとなる可能性があります。

看護師転職サイトを地域から探す

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます

看護師に人気の記事一覧