厳しい現場でパニックになる看護師が続出とウワサの救急外来の業務内容とは?
災害や事故が多発する現代社会において、救急外来のニーズはますます高まっています。しかし、さまざまな症例の患者さんが搬送される上に、その場で的確な判断を求められるなど現場はかなり切迫したものとなります。
そのため、救急外来で働く看護師の中にはパニックになる人もいるほどです。しかし、救急外来での経験はその後の看護師人生で役に立つことがたくさんあります。
ここでは救急外来の看護師の業務内容について詳しくご説明します。
救急外来ってどんなところ?
まず、救急外来とはどんなところなのでしょうか?
救急外来では幅広い症状の患者さんに対応
救急の患者さんは総合病院の救急外来や休日診療の当番にあたっている内科、外科、小児科などのクリニックで夜間や休日でも診察・治療を受けることができます。
特に「救急外来」という名称がついているのは、総合病院に設置されているケースが多いようです。
救急外来は24時間診療
救急外来は土日・祝日などの病院休診日に夜間を含めた24時間受け入れを行っています。ただし、平日の診療時間内は一般の外来を受診します。
また、救急外来ではすべての診療科の医師が待機しているわけではありません。その日の宿直を担当している医師が診察を行います。
救急外来で多い症状
救急外来というとケガを想像しがちですが、ケガ以外の病気などさまざまな症状の人が受診します。
大阪府の救急医療情報センターでは救急車を呼ぶか迷ったときや救急車を呼ぶほどではないという場合に、どこを受診すればいいのかわからないという問い合わせに対して適切な医療機関の紹介を行っています。
同センターの年間の診療科別の情報提供件数は次のようになっています。
内科 | 16,893件 |
---|---|
整形外科 | 15,102件 |
小児科 | 14,779件 |
外科 | 7,889件 |
脳神経外科 耳鼻科・眼科 |
それぞれ約7,900件 |
このように幅広い診療科で救急外来に対応しています。
また、問い合わせが多いのは9時~10時と19時~21時だということです。
救命救急センターや災害地での看護
救急医療に関わる看護師は病院の救急外来の他に「救命救急センター」で働いたり、災害などの被災地に派遣されたりすることがあります。
上でご紹介したような総合病院の救急外来や土日・夜間に救急外来を受け入れるクリニックでは比較的応急処置的な治療が行われます。
一方で救命救急センターは中等~重症の患者さんに対応できるように医師や看護師が配置され、検査や治療の設備も整っています。
さらに最近ではドクターヘリに同乗して看護を行うフライトナースの存在が注目されるようになりました。本格的に救急医療に関わりたい場合は、救急看護クリニカルラダーで専門知識を学ぶ方法があります。
救急外来での看護師の業務内容とは
では、次に救急外来での看護師の業務内容について見ていきます。
救急外来での看護師の仕事の流れ
救急外来はさまざまな症状の患者さんが搬送されます。救急車で搬送される場合もあれば、家族が連れてくることもあります。
看護師の業務は次のような流れで進んでいきます。
- 患者さんの受け入れ
- 問診で症状を聞き取る
- バイタル(体温、血圧、脈拍、呼吸数)を測定する
- 医師の指示に基づいて処置を行う
- 検査が必要な場合は検査につきそう
- 入院する場合は病棟に病室の手配をする
- 患者とその家族に状況を説明し、入院または次回の受診を説明する
急を要するケースが多い
脳血管疾患や心疾患、出血などで生命に関わる症状の場合は、急を要することがあります。
診察室はあわただしくなり、医師の指示や質問が次々と飛んできます。そういった場面で冷静に判断し、的確な対応が求められます。看護師には幅広い知識と看護スキル、そして経験が必要だと言えるでしょう。
救急外来の看護師の業務内容はここが大変!
救急外来で看護師として働く場合には、精神的にも体力的にもタフさが求められます。
冷静な判断が必要
救急外来を担当する医師は、必ずしも患者さんの症状に詳しくないケースが多々あります。例えば、その日の宿直医が耳鼻科や眼科の場合、外科や内科の患者さんが搬送されると診断に手間取ることがあるのです。
そんなとき、看護師が症状を的確に把握して医師に伝えることが大切です。もちろん医師が診断をして治療を行うのですが、救急外来では看護師の存在はとても大きく頼りにされています。
救急外来看護師を経験して自信を失くすケースも
ただ、それだけに経験が浅い看護師の場合は、状況がつかめずに戸惑うケースがよく見られます。そんなときは「自分は看護師に向いていないのかも……」と自信を失くす人がいるかも知れません。
しかし、それはただ経験不足なだけなので、恐れずに多くの経験を積んでいきましょう。
血が苦手で患者さんの状態に絶句!?
事故などで大けがを負った患者さんの傷口や大量の血を見て青ざめてしまった……という看護師が多くいます。「看護師だから平気」というわけではないのですね。
それでも毎日、救急外来で患者さんの看護にあたっていると次第に慣れていき、落ち着いて対応ができるようになります。何よりも患者さんの生命が助かったという喜びが大きく感じられると言われています。大変さの中にもやりがいがあるということがわかります。
救急外来では患者さんとのつながりが希薄
一般の外来で通院する場合や入院する場合は、何日にもわたって看護師が対応します。そのため、患者さんと顔なじみになり、回復の様子を見守ることができます。
そんなときに看護師としての喜びを実感できるのですが、救急外来の場合はその場限りということがほとんどです。応急処置をした後は病棟に入院したり、別の病院を紹介したりします。
そのため、患者さんの回復を見届ける機会が少ないのが救急外来の看護師のさびしさだと言えるでしょう。
とは言っても現場ではそんな感傷に浸るヒマがないほど忙しいのが事実です。
救急外来の看護師の業務内容は役に立つ!
救急外来は忙しく、ときには医師やスタッフの怒号が飛び交うこともあります。気が弱い人や新人ナースはそれだけでパニックになってしまうかも知れません。
しかし、忙しく厳しい現場だからこそ、救急外来での経験はその後の看護師人生で役に立つと言えます。
さまざまな場面で救急外来の経験が役立つ
働く場所が救急外来ではなくても、患者さんの容態が急変することはよくあります。そんなとき、救急外来で多くの経験をしていると、的確な判断や看護ができるようになります。
幅広い医療の知識と経験が身につく
救急外来では内科、外科、小児科など多くの症例に対応するため、幅広い医療の知識や経験が身につきます。今後転職する際にも有効な自己アピールになるでしょう。
患者の家族への対応力がUPする
救急外来を訪れるのは患者さんだけではありません。多くの場合は患者さんの家族が付き添いますが、急なことで気が動転されるケースがほとんどです。
医師は治療に専念しているので、患者さんとその家族に対応するのは看護師が中心になります。不安を和らげたり、状況を説明したりして落ち着かせる大切な役目を担っています。
その経験から患者さんとその家族の対応力が磨かれていきます。
災害時にも役立つトリアージナース
大規模災害が頻発している日本では、災害時の救急医療が注目されています。特に患者さんの重症度に応じて治療の優先度を決定する「トリアージ」が知られるようになりました。
トリアージは災害現場だけでなく、救急外来など院内でも導入が進められています。しかも、トリアージの優先度の判断は医師だけでなく、看護師も行うことがあります。トリアージができる看護師のことを「トリアージナース」と呼び、今後の活躍が期待されています。
日本救急看護学会ではトリアージナースコースがあります。関心がある人は受講されるといいでしょう。
(トリアージナースコースの受講には日本救急看護学会が主催するフィジカルアセスメントウェブ試験に合格していることなどの条件があります。)
救急外来の看護師の業務内容~まとめ
救急外来には内科、外科、整形外科、小児科など多くの症状の患者さんが搬送されます。しかも、担当する医師は必ずしも専門の診療科医ではない場合があるため、看護師は患者さんの状態を正確にとらえて医師をサポートしなければなりません。
さらに患者さんの容態によっては生命に関わるケースが多いため、テキパキとした行動が求められます。医師の怒号を聞き、血や傷口を目にしてパニックになる看護師もいますが、やりがいを感じることが多いのも救急外来の特徴だと言えるでしょう。
救急外来で経験したことは、その後の看護師人生で役に立つことが多くあります。転職で自己アピールとして使えるほか、災害時の看護にも貢献できます。
救急外来勤務になった場合は、使命感を持って取り組むといいでしょう。