フライチャイズ形式で独立して事業を営みたい場合、まず壁にぶち当たるのが開業資金とフランチャイズ加盟金です。
本来、『「自己」資金』というくらいなので、自分で貯めたお金を使うべきなのですが、なかなか用意できる人は少ないです。
しかし、「自己資金なしでも始められます」という業者や制度を使ってしまうと、後々、ひたすら利益を吸い取られる結果になりかねません。
加えて、フランチャイズの場合は「ロイヤリティ」が発生します。
ロイヤリティに加えて何かを返済しないといけなくなれば、何のために独立開業したのかわからなくなります。
フランチャイズ展開の特性が生む欠点以外に問題視されているのは、フランチャイザー側が「経営の安定性」「高収入」「低リスク」を前面に出し、慎重なマーケティングや加盟希望者へのリスクの説明を適切に行っていない点である。そのため、大きな負債を抱えて廃業するフランチャイズ経営者も少なからず出てきているが、必ずしもフランチャイザー側の問題だけではなく、フランチャイジー側が事業のリスクに関する十分な知識を身に付けないまま開業したことが原因になっている場合もある。
引用元: Wikipedia:フランチャイズ
開業時自己資金に補う分については、なるべくリスクが低い方法で調達しないといけません。
今回は起業・フランチャイズ・独立開業支援サイトとその支援について紹介したいと思います。
目次【クリックして移動できます】
自己資金がないとハマる「返済蟻地獄」
自己資金がない人でも、開業できる制度や支援会社というものは存在します。
しかし、それか創業したい人の弱みに付け込む悪質業者の可能性があります。
いくつか例を挙げたいと思います。
延々とお金を吸い取られる開業サラ金「店舗流通ネット」
別記事でも書きましたが、かつて私が融資の仕事をしていた時のお客様で、斬新で、個性的な他にはないコンセプトの居酒屋を経営している女性がいました。
彼女は自己資金がなかったので、居ぬき店舗の提供と店舗造作、開業資金の援助を受けられる店舗流通ネットという会社のシステムを利用して開業しました。
彼女の経営センスは抜群で、マスコミにも何度も取り上げられて、売り上げは年商で1億円近くになりました。
しかし、売上の多くを「店舗流通ネット」上納しているため、経営者自身の家庭はは「やっと生活できる」レベルしか所得がなかったんです。
お店は居ぬきで会社が用意し、開業資金のほとんどを貸し付ける(素人で自己資金がない人でも開業できる)わけですが、売上の多くを上納金として納めるというものでした。
店代、造作代の返済、と開業ノウハウ代が高く、いつまでたっても開業資金の返済が終わらない搾取システムでした。まるで賽の河原に石を積むがごとき、返済蟻地獄でした。
結局、この居酒屋の件は、弁護士の仲介で居酒屋に数千万円融資して、お店と権利ごと買い取ることで決着しました。このまま続けていても億単位で吸い取られることが明らかだったからです。誰でも開業できますがまったく儲からないケースもあるということです。。
奴隷フランチャイズ「ナポリの窯」
最近放送された『ガイアの夜明け』が確信犯的にその悪辣ブラックな体質を暴露するために放送したと話題になりました。
問題の回がこれで
人手不足を解決!宅配ピザチェーンが驚きの新型店舗!|外食王3~追跡!異次元サバイバル~
宅配チェーン「ナポリの窯」に所属するフランチャイズ店主のお店に宅配のバイトが来ず、「ワンオペ」(すき家で問題にされた全部ひとりで行うやつ)を強いられていたことへの対応策が
- 持ち帰り専用
- プレハブ小屋(トイレなし)
- 休憩時間なし(だってワンオペだから)
- 焼き窯は一つ(つまり多くの客をさばけない=意図的に儲けさせない)
- 年中無休
のお店を作ってやるという人間の尊厳も無視した悪辣極まるものでした。
もちろん、ロイヤリティや改装代は延々と本部へ上納し続けることになります。
ネット上も
アルバイトが集まらずに51歳がワンオペしてる「ナポリの窯」徳島店。
運営会社が考えた解決方法が「5畳の持ち帰り専門店」だったんだけど、4人助っ人(本部社員)いても人手不足で行列作るという本末転倒ぶりに涙出た。時給1500払えないから人手不足という外食、潰れてしまえ。 pic.twitter.com/w0s1kfAYxV— 新宿シュガーレス (@Sugarless_kid) 2018年7月17日
ガイアの夜明けにナポリの窯、脱デリバリーを宣伝するはずが宅配ピザワンオペ店から5畳プレハブ持ち帰り専門ワンオペ店とブラック企業ぶりを宣伝する結果に https://t.co/lIsSRA2pFS
— 全力2階建 (@kabumatome) 2018年7月17日
のように悪評しかありません。
独立開業おススメ支援サイト、支援機関
独立開業をお考えの方に当サイトがおススメする「支援サイト」「支援機関」を紹介します。
独自の判断で、変なフランチャイズに引っかかってしまっては、すべてが無駄になってしまいます。その前に情報収集と専門家のアドバイスを受けるべきです。
アントレ
フランチャイズ店の求人の、他全国各地の開業セミナー、開業講座の案内など開業に関する情報を網羅するポータルサイトです。
- 「アントレお金ナビ」(開業資金についてのQ&A)
- 「アントレセミナー」(創業セミナー)
- 「アントレカウンター」(開業無料相談会)
- 「開業支援サービス」
- 「機関誌 アントレ」(起業家のための情報誌)
など、独立開業するにあたって必要となる知識やノウハウをこちらのサイトから吸収できます。
実際に独立開業するかどうか迷っている人も、サイトに登録だけでもしておくとよいでしょう。
マイナビ 独立
独立・開業支援のマイナビ独立 │ 【マイナビ独立】独立・開業・起業・フランチャイズ募集転職や就職でおなじみのマイナビの独立開業バージョンです。自己資金と独立業態別(フランチャイズ 、代理店、商材、起業・事業支援 業務委託・フリーランス 独立候補社員(正社員・契約社員) )の求人情報を探すことができます。求人情報がメインなので、独立(本当に一人でやる)そのものの情報やノウハウについては、アントレに比べるとやや薄めです。
日本政策金融公庫 新創業融資制度
新創業融資制度|日本政策金融公庫創業融資を必要とする開業の場合、まずこちらに行ってください。
銀行や信金ではなく「日本政策金融公庫」(旧国民生活金融公庫)です。
「政府系」の金融機関で、税金が投入され、中小企業や開業希望者を救っています。利率、融資のための条件、いずれも民間金融機関よりも低く設定されていますので、お金を借りて開業したい人の第一選択肢はここになります。
自治体創業窓口
創業計画書の書き方、使えそうな創業支援制度などをわかりやすく説明してくれるはずです。窓口にいる相談員は実績のある専門家(中小企業診断士、税理士、社会保険労務士など)や経営指導ができる職員ばかりなので安心してください。
開業の成功は自治体の税収入にも直結するので、選りすぐりの精鋭が配置されているはずです。中小企業庁:創業支援事業者の相談窓口一覧
商工会議所・商工会
ただし、直接お金を貸すことはできませんし、開業後入会することを求められることもあるかもしれません(入会は義務ではありません)。「創業計画書」の書き方も無料でアドバイスします。創業ゼミナール、創業塾のように開業、創業にターゲットを絞ったメニューを用意しているところもあります。
起業・創業オススメ情報|東京商工会議所日常的な経営指導を受けながら開業後のサポートを受けることができます。費用も掛からず(会員にならなくてもOK)、コスパはとてもいいと思います。融資が必要な場合は、日本政策記入公庫にあっせんする形になりますが、独自の融資制度を設けているところもあります。
創業支援融資保証制度|東京商工会議所
もらえるものはもらおう!「助成金」「補助金」とその相場
融資と違い「タダでもらえる」のが「助成金」「補助金」になります。
もらえるものはもらってしまえ!という考えは誠に正しいのですが、数百万円タダでもらえるほど残念ながら世の中は甘くありません。
しかもお役所仕事で決めるものですから、手続きや書類は煩雑で、決定しても実際にもらえるまでに時間がかかるなど使い勝手がいいものではないことを知ってください。
助成金には
- 開業資金をもらえるもの
- 開業後従業員を雇う際などにもらえるもの
があります。
今回は前者のほうなのですが、後者をもらうために外国人や障害者を雇用しまくっている会社もあることをご理解ください(いいか悪いかは判断委ねます)。
創業、開業に関わる助成金、補助金の種類は膨大にあります。
また、すべての開業に適用できるものではなく、政策として伸ばしたい業種や仕事の開業を促すために資金を補助するので、みなさんがやりたいこととは違う可能性があります。
助成金、補助金は国のものだけでも
- 小規模事業者持続化補助金
- 創業促進補助金
- 第二創業促進補助金
- 第二創業促進補助金
- ものづくり補助金
などがあります。
詳しくは経営サポート「創業・ベンチャー支援」|中小企業庁をご覧ください。
その他、各都道府県や市区町村にも助成金、補助金がもらえる開業支援制度があります。
すべてをここで挙げることはできません。
例として、東京都を挙げると
創業活性化特別支援事業(創業助成事業、インキュベーション施設整備・運営費補助事業)|東京都中小企業振興公社
という制度があります。
助成金、補助金は様々あり、条件や必要書類も千差万別、非常にわかりにくいというのが本音です。
助成金・補助金相談なら自治体の創業関連部署、商工会議所・商工会などへ
そこで、助成金や補助金、具体的な創業支援策を含めて相談したい場合は、以下の機関に相談するとよいでしょう。
無料でアドバイスを受けられます。上のランキングとは少々異なるので注意してください。
自治体の創業窓口
中小企業庁:創業支援事業者の相談窓口一覧
○○振興公社のような団体
お役所的な雰囲気がなく、気軽に創業やお金がもらえる制度について相談できます。
TOKYO創業ステーション
商工会議所・商工会
ベテランの経営指導員によって、どの融資を受けた方がいいのか、どの補助金を利用できるのか、など詳しく相談してください。お金を貸したり給付したりする団体ではないので、公平な観点からジャッジを受けることが可能です。
全国の商工会議所一覧
日本政策金融公庫
公庫でも助成金、補助金の相談をすることはできますが、お金を貸す団体(政府系金融機関)ですので、合わせて融資のあっせんもあるはずです。断り切れないと思うのであれば、他団体に行きましょう。銀行や信金は公庫以上に営利企業ですので、助成金や補助金だけの相談はしにくいし、しない方が情報を握られずに済むと思います。融資前提ならば相談しても大丈夫です。
相談してはいけない人たち
個人でやっている「経営コンサルタント」や「中小企業診断士」、企業の「コンサルティング会社」「コンサルティングファーム」にはこの段階で、助成金や補助金の相談をしてはいけません。
特に「経営コンサルタント」は名乗ったその日から「経営コンサルタント」なので、能力がない、悪意がある、適切な指導をしない可能性があり、コンサル料だけ取られてしまうかもしれません。
起業・独立開業支援サイトのおすすめ一覧 まとめ
- まず独立開業支援サイトや公的機関に相談に行く
- 民間のコンサルタントへの相談は金銭的リスクが高い
- 独立に当たっての支援金(助成金、補助金)は高くて100万円程度
- 支援金を申請できる業種なども限られてる
- 自治体によって支援金や支援制度に差があるので、まず近くの自治体窓口へ行く
- 融資限定ならば日本政策金融公庫がベスト
- 開業後も継続してアドバイスを受けたいならば、商工会議所や商工会に行ってもいい
- 手近にある案件に応募しないで、じっくり情報を取捨選択して戦略的に開業する