循環器内科は生活習慣病患者の増加に伴い、ニーズが高まっておりそれだけにどこの医療機関でも循環器内科医の求人は増えています。
患者の生命にかかわる診療科であると同時に心臓カテーテルや心臓エコー、薬物治療など高度な医療技術が求められる分野でもあります。
今回はそんな引く手あまたの循環器内科医の平均年収や給与、転職方法などを紹介しています。
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循環器内科医の平均年収はどれくらい?
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(令和元年)を見ると、医師の平均年収は約1500万円です。(全年齢、全診療科目が対象。100人~999人規模の病院勤務の場合)
では、循環器内科で働く医師の年収はどれくらいなのでしょうか。
勤務医と開業医、それぞれの年収事情を調べてみました。
循環器内科医の年収事情~勤務医の場合
総合病院の場合は同じ病院内であれば診療科目によって給与が大きく変わることはありませんが、当直や残業が多いと手当に反映され年収が高くなります。
いくつかの求人から循環器科の年収をご紹介します。
病院の規模で見る循環器内科医の年収
規模が大きい病院と個人病院では、同じ勤務医でも年収に差が出ます。
いくつかの事例で比較してみましょう。
国立病院機構の場合
国立病院機構に勤める医師の年収は下記のように役職によって差がありますが、役職についていない医師の場合は平均で約1520万円となっています。
(平成30年度平均額、ボーナスを含めた総支給額です。)
- 医師……約1520万円
- 医長……約1680万円
- 部長……約1850万円
- 副院長……約1960万円
- 院長……約2050万円
(参考:国立病院機構 採用情報)
https://nho.hosp.go.jp/career/cnt1-0_000362.html#dr01
無床クリニックの場合
無床クリニックで外来のみの求人を見ると、次のようなケースが多くあります。
いずれも東京都内のクリニックで日勤のみ、当直なしの求人例です。
- 内科クリニック(外来のみ)……1200万円~1500万円
- 内科クリニック(外来と健診)……1200万円~
- 内科クリニック(心臓カテーテルなし)……1100万円~1600万円
このように年収は1100万円~1600万円が相場で、当直手当がない分、病院勤務よりも年収は低い傾向にあります。
手当の有無で変わる循環器内科医の年収
病院勤務の循環器内科医の場合、当直や日直があるとその手当が加算されて年収も多くなります。
東京都内のある病院の給与と当直・日直手当は次のようになっています。
- 年収……1000万円~1800万円(諸手当は含まない)
- 当直……37500円(月曜~土曜)、4万円(日・祝)
- 日直……3万円
(参考:総合東京病院 採用情報)
https://secure.minamitohoku.or.jp/tokyo-hospital-form/doctor-r.php
当直手当は病院によって、また地域によって異なりますが、1回あたり15000円~2万円が相場だと言われています。手当の金額と回数によって年収にも差が出るため、求人を探す際はよく確かめておくことが大切です。
地域別に見る循環器内科医の年収
循環器内科医の年収は、地域によっても異なります。
大手求人サイトの循環器内科求人から地域別にいくつかの例をご紹介します。
長崎県大村市一般病院1200万円~1700万円
地域 | 医療機関 | 年収 |
---|---|---|
東京都杉並区 | 一般病院 外来 | 1400万円~1700万円 |
東京都港区 | 内科診療所 外来 | 1500万円(経験により変動あり) |
東京都立川市 | ケアミックス | 1200万円~1400万円 |
北海道石狩市 | 一般病院 | ~2000万円 |
北海道旭川市 | 一般病院 | 1800万円~2000万円 |
青森県青森市 | ケアミックス | 1200万円~2000万円 |
秋田県秋田市 | 一般病院 | 1800万円~2500万円 |
島根県松江市 | 一般病院 | 1200万円~1800万円 |
このように循環器内科はその特性から地方でのニーズが高く、求人も高年収を提示するものが多い傾向にあります。
循環器内科医の年収事情~開業医の場合
次に開業医の年収事情を見ていきましょう。
厚生労働省「医療施設(静態・動態)調査」(平成29年)の「診療所の診療科目別にみた施設数」によると、循環器内科の施設数は13,057施設で全体の約13%を占めています。
(施設数は複数の診療科目を持つ診療所を重複計上しています)
(参考:厚生労働省 統計)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/17/dl/09gaikyo29.pdf
ただ、診療科目別の開業医の年収ははっきりとしたデータが出ていません。医師の開業支援サービスを行っている会社の調査では、循環器内科の開業医の年収は約2500万円と出ています。
ニーズが高い地域では年収が高い
東北地方や山陰地方など高齢者が多く循環器内科医のニーズが高い地域では、開業医の年収も高い傾向があります。
開業医は初期費用や設備費用がかかる
開業医の年収は勤務医と比較すると高いですが、開業費用として少なくても5000万円、ある程度の設備を準備するとなると7000万円~8000万円ほどかかると言われています。
土地、建物を自分で準備する場合はさらに費用がかかるでしょう。
看護師や医療事務などの人件費もかかるので、初期費用と維持費がかかります。
循環器内科医~勤務医と開業医のメリット・デメリット
循環器内科医として働くには、勤務医か開業医のどちらがいいのでしょうか?
それぞれのメリット・デメリットをご説明します。
循環器内科医が勤務医として働くメリット・デメリット
まず、循環器内科医が病院など医療機関で勤務する場合のメリットとデメリットです。
勤務医のメリット
勤務医のメリットとしては、収入が安定しているという点があります。
また、有給休暇や長期休暇、育児休暇など福利厚生が厚いのでワークライフバランスが保ちやすいというメリットもあります。
仕事をしながら研修に出るなど勉強の機会が得られるのも勤務医のメリットだと言えるでしょう。
勤務医のデメリット
一方、病院という組織には年功序列的な要素があり、医師としてのキャリアが浅いと年収UPが望めないという側面があります。
また、所属する医局や病院内の人間関係で悩むこともあります。特に病院や医長などの方針で自分の意に沿わない医療を求められることがあり、それがストレスになって転職を考えるケースも多くあります。
勤務医は異動があり、場合によっては単身赴任したり、家族にもたびたび転居を強いることがあります。
循環器内科医が開業する際のメリット・デメリット
開業医のメリットとデメリットは次の通りです。
開業医のメリット
多くの診療科目の中でも循環器内科は開業しやすいというメリットがあります。
また、開業することで、自分が望む医療ができる点も大きなメリットだと言えます。診療方針だけでなく、休日や診療時間を自分で決められるのも開業医ならではです。
親のクリニックを承継する場合は、何年か勤務医として経験を積んで実家に戻り承継するといいでしょう。
開業医のデメリット
一方、開業医にはデメリットもあります。
まず、経理や人事、採用、労務管理など医療業務以外の業務もこなす必要があります。
また、同じエリア内に競合医院ができると患者の取り合いになるので、集患にも力を入れる必要があります。
開業医の場合は、自分が病気になると代わりがいないので健康管理に努めなければなりません。うっかり風邪もひけないというのが開業医の悩みだと言えます。
そして、万が一医療ミスなどで訴訟になったときには、自分が全責任を負うことになるという面も忘れてはいけないでしょう。
循環器内科医の働き方(仕事内容)
循環器内科の現場は急患や急性期の患者さんが多いので忙しくなります。オンコールも多いので、休憩時間でも気が休まりません。診療によって患者さんの生命が救われる場面が多いため、やりがいを感じられる診療科目でもあります。
カテーテルなど高度なスキルが求められる
循環器内科医は心臓カテーテルやPCI(経皮的冠動脈インターベンション)などのスキルを求められることがあります。
ただ、大規模病院では細かく専門が分かれていて、PCIを選択しないというケースもあります。
多忙なので働き方を考えることが重要
循環器内科は常に忙しく、時間がないという悩みがあります。
職場を選ぶ場合は、循環器内科医師や医療スタッフの数が多い医療機関であるかどうか、また休日が取れる環境にあるかどうかなどを考えることが大切です。
先生ご自身も仕事漬けにならないように、オンとオフの切り替えを心がけるようにしましょう。
在宅医療でプライマリーケアを行う道も
病院勤務に疲れたという場合は、在宅医療や病棟管理がない職場でプライマリーケアを行うという選択肢もあります。
内科全般の知識が必要になりますが、病棟勤務のような体力・精神力を消耗することがないため、ゆとりを持って診療にあたれます。
今の働き方に不満があれば転職をするのも手
やりがいと忙しさは常に表裏一体です。忙しすぎて、診療に追われては思うような医療ができなくなります。また、多くの症例を扱う循環器内科の現場では、病院や医長の方針と合わないケースも見られます。
今の働き方に不満がある場合は、転職するのもひとつの方法です。
循環器内科医は全診療科目の中でも、また内科系の中でも求人数が多い診療科目です。それだけニーズがあるということです。先生ご自身がどのような医療をしたいのかをよく考えて、年収などの待遇と働き方を検討されるといいでしょう。
循環器内科医の年収や働き方まとめ
循環器内科医の勤務医の平均年収は約1500万円ですが、医療機関の規模や地域によって異なります。
特に高齢者が多い地方では循環器内科のニーズが高く、求人の年収も高い傾向があります。
年収は当直手当の有無や金額によっても左右されます。年収を求めるために当直を増やすと先生自身の健康に差しさわりが出てしまいます。それならば年収が高い求人を探す方が早道です。
一方、開業医の場合は勤務医よりも年収は高いですが、開業資金や運営資金が必要で診療以外の人事や労務管理といった業務が増えます。
こういったことを考え合わせて、年収と働き方、やりたい医療ができるかどうかを考えて、必要であれば転職を視野に検討されるといいでしょう。
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