会社の雰囲気的に、有給休暇が取りづらいんだよね
しかしその結果、本来労働者の持つ、当たり前の権利である有給を取得できないのはもったいない話です。
今回は、退職にあたって、有給休暇を確実に消化するための方法をお伝えします。
この記事でわかること
- 有給消化についてのあらゆるギモンに答えます
- 有給消化するための手順がわかります
- 有給消化に関するトラブルの回避法がわかります
目次【クリックして移動できます】
退職・転職時に確実に有給消化する手順
会社側にどんな事情があろうと、有給休暇は必ず消化できます。
ここからは、有給休暇を必ず消化するための手順をご説明します。
退職時に有給休暇をスムーズに取得するためには、相応の事前準備が必要です。
ここでは要点を細かく分けて、具体的、且つ丁寧にご説明します。
有給消化の手順1:退職前に規則の確認
有給休暇を取得する場合、会社の就業規則を必ず確認しましょう。
有給休暇は、会社へ申請が必要な場合が大半です。
そのため、取得希望日の何日前までに申請が必要なのか、を把握する必要があります。
有給を消化する権利があっても、使用する条件を満たしていなければ消化ができません。
就業規則を盾に、はぐらかされてしまう危険性があります。
有給消化の手順2:有給休暇の残日数を調べる
まずは、あなたに付与された有給休暇が何日あるのかを調べましょう。
有給休暇の確認は、給与明細や会社の勤怠システムなどから把握することができるかと思います。
分からなければ、上司や人事に確認しても良いと思います。
ですがこの際に、退職の意思があることは気づかれないようにしてください。
有給を取りづらいような対応をされてしまう可能性があるため、注意が必要です。
有給休暇は自身でも勤続年数から計算することができます。
有給消化の手順3:退職日を決める
退職日は、引き継ぎに必要な期間と、有給休暇日数を考慮して設けてください。
あとで説明しますが、時季変更権という制度を会社側から行使されると有給の取得が難しくなります。
そして、引き継ぎなどに必要な期間を十分考慮した上で、退職までどれくらい必要なのかよく考えましょう。
上司や同僚に業務上迷惑をかけないようにするということは、社会人として当たり前のこと。有給消化以前の問題です。
有給消化の手順4:上司に退職の意向を伝える
取得可能な有給休暇の日数や、就業規則などの確認が済んだら、いよいよ上司に伝える時です。
まずは、上司に話合いの場を設けてもらうため事前にメール等でアポイントメントを取りましょう。
・話し合いの場には、会議室など周りに聞かれにくく落ち着いて話し合える場所を選ぶこと
・上司に退職の旨を伝えるのは、希望退職日の約1~2カ月前にすること
就業規則を確認し、余裕を持った退職の申し出をしましょう。
退職にせよ、有給にせよ会社側との調整が必要です。
上司に話した後で有給消化の旨を伝える
上司にはあなたが辞めた後も安心してもらえるよう配慮する必要があります。
引継ぎや、挨拶などあなたの後に残された人たちに対して、誠意ある行動を示しましょう。
具体的には、引き継ぎや挨拶を終えるための、スケジュールや資料の共有などです。
相手に、これ以上なにも言うことがない、と思わせることが理想です。
有給消化できない場合は労働基準監督署へ
有給消化がなかなかうまく行かず会社とトラブルになることも。ここでは、その代表的な課題を例に、対処方法をお伝えします。
会社が有給休暇を取らせたくない理由
- 人手不足で社員が1人でも抜けることが惜しい
- 有給休暇にかける人件費がもったいない
- あなた1人に許すと、事例となり他の社員の取得も促進される
次は、それぞれの課題に対する対処法をご説明します。
時季変更権を行使されたら?
先ほども少し触れましたがこれは、雇用者に有給休暇の申請をされた場合に行使できる制度です。
時季変更権とは?
- 雇用者に有給休暇の申請をされた場合に行使できる制度
- 有給申請の時期が会社に都合悪い場合、会社都合で申請時期をずらせる
- 仮に次の職場が決まっている場合、申請時期をずらされると有給消化できない
そのため、あらかじめ退職日を伝え、合意が得られていれば時季変更は実質無効にできます。
だからこそ、有給の申し出のタイミングには細心の注意を払ってください。
就業規則をネタに脅されたら?
退職の流れにおける手続きや、過去の失敗などを引っ張り出し、有給消化を諦めさせようとします。
ですが、規則違反と有給の使用には関連性がありません。
冷静にその事実を伝え、毅然とした態度で振舞いましょう。
違反や損害、損害賠償だという話で不安になってしまったら、そのまま労働基準監督署に相談してみましょう。
会社側には効力のない話であるかどうかの確認ができるはずです。
有給消化できない場合は内容証明を郵送する
正式には、内容証明郵便といいます。
郵便サービスの1つで、郵便を出した日付、相手が受け取った日付などを、郵便局が管理し、記録してくれるものです。
主に損害賠償の請求や、未払いの代金になどに活用することが多く、最終手段といえます。
会社に内容証明を送る際は、下記の内容を明記し送付してください。
- 退職日と有給消化の期間
- 退職前のため、時季変更権の行使は不可能であること
- 労働基準法119条にて、罰せられる可能性があること
ここまでやれば、確実に有給休暇は取得できます。
実際にここまでやり切るとなると、かなり面倒な事態ですが、言ってしまえばもうやめる会社です。
有給はこれまでにあなたが勤めてきた正当な対価ですから、受け取る権利があります。
こちらが弱気になる必要は、何一つないのです。
有給消化中に転職先で働く事についての確認
有給消化中に転職先で働くことは、雇用保険や二重就労の禁止だったりと両社に確認が必要になります。
特に同じ業界での転職の場合はNGと言えるでしょう。
有給消化後に給与の振り込みがあるか確認
晴れて、有給を取得することができたら終わり…ではありません。
最後に必ずお給料が振り込まれているかを確認してください。
余程、悪質なケースですが、お給料を振り込まないという可能性もあるでしょう。
そのような事態が起きた場合はどのような行動が正しいのでしょうか?
有給消化後、お給料が振り込まれていないことで考えられる可能性は2つです。
・悪質な会社からの嫌がらせ
・単に業務上のミスの可能性
まずはとにかく会社に連絡をしましょう。その際いきなり喧嘩腰ではなく、冷静な対応を心がけて振り込まれていない旨を伝えましょう。
振り込まれない場合は、当然お給料をもらう権利があるので、未払い問題となります。
ただちに、労働基準監督署に連絡をしましょう。
有給休暇についての疑問【豆知識】
そもそも有給休暇とは
(年次有給休暇)
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。引用元: Wikibooks:労働基準法第39条
休んでも出勤したものと見なされ賃金が支払われる「休日以外の休暇」のことです。その最低基準は労働基準法により定められています。
有給休暇を取得できる条件は下記の通り。
有給休暇を取得するための具体的な話に入る前に、まずは有給休暇に関する疑問を解消しましょう。
有給消化に関する、代表的な疑問や質問をまとめてみました。
これを読めば、基本的な有給休暇に関する疑問は解けるはずです。
ぜひ、参考にしてみてください。
有給休暇は何日取れるの?
有給休暇の取得可能な日数は、労働基準法を元に明確に定められています。
有給休暇は、雇用が開始された日から半年が経過した頃から付与されます。
また、勤続年数が長いほど、有給休暇の付与日数は増えていきます。
有給休暇は原則、いつでも取得することが可能だということは知っておきましょう。
勤続期間 | 6ヶ月 | 1年半 | 2年半 | 3年半 | 4年半 | 5年半 | 6年半 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
有給日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
有給休暇はアルバイトやパートでも取得できるの?
いいよなぁ、正社員は!
もちろん、派遣社員も同様ですよ。
アルバイトやパートの場合はシフト制ということもあり、フルタイムで働いている正社員と違って勤務日数もまちまちですが、この場合は希望を出している日数・時間数のうち80%以上きちんと働いていればOKと見なされるでしょう。
シフト自体が極端に少ない人や2~3時間の時短勤務の人は勤務先に確認してください。
そして、有給休暇は使用可能期限が2年と定められているため、2年以内の消化が必要となります。
2年を過ぎると、有給休暇は効力を失い、消失します。
有給休暇中ボーナスを受け取れる?
これに関しては、会社によって対応はバラバラです。
貰えるかどうかは、ご自身の会社の就業規則を確認しましょう。
ですが、ボーナスに関しては「支給日に在職」とされていれば支給対象となります。
しかし、勤務実績で査定額が考慮されるボーナスの場合は、有給休暇を理由に減額されてしまう可能性もあります。
金額に関しては就業規則や関係部署に確認してみるといいでしょう。
残りの有給消化はまとめてできるの?
原則として、有給休暇はまとめて取ることは可能です。
ですが、現実的に今の職場で取れるかというと、取りづらいというのが本音かと思います。
しかし、有給休暇は退職をしてしまうと無くなってしまいます。
そのため、最終出勤日までに使い切る必要があります。
在職中での消化が難しいようであれば、退職日までに消化できるように調整するようにしましょう。
有給休暇を買い取ってもらえる?
特例として、会社に有給休暇を買い取ってもらうことができる場合があります。
ですが、有給休暇の買取に関しては、労働基準法では原則認められていません。
では、どのような場合に買い取ってもらえるのか。
それは、あなたが有給を消化することで、会社側の業務に問題がある場合です。
そのため、基本的にこちらから申し出をして、許可されるものではありません。
状況によって、会社側からの申し出があります。
有給休暇は当たりまえの権利!負い目を持つ必要はありません
覚えておいて欲しいのは、有給は法律で定められた当然の権利であるということです。
上司に話すことが気まずかったり、同僚の目が気になったりするかもしれません。
しかし、それはあなたが悪いのではありません。
そのような社風を生んでいる会社の問題です。
気まずいという理由で諦める必要はありませんが、あなた自身の持つ責任は、きちんと果たすようにしましょう。
有給休暇は過去に、あなたが会社で勤めてきたことに対する正当な対価です。
負い目は感じずに気持ちよく活用できると良いですね。
有給消化についてのまとめ
- 有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利です。
- そもそも取れない、消化できないという会社が間違っています。
- 適切な段階を踏めば、確実に有給は取得することができます。
- 社会人として、引き継ぎなど誠意ある行動を取ることも重要です。
この記事を書いた人
過去には辻の料理学校を首席で卒業し、恵比寿の三ツ星レストランへ就職。
様々な経験を経て現在はライターや料理人もやっています。
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