今や退職代行を利用する方は非常に多く、請け負う企業も増えてますが、弁護士を介さない退職代行はリスクがあります。
今回はそんな退職代行を弁護士に依頼するメリットやデメリットと共に、おすすめのサービスも紹介していきますので参考にして下さい。
この記事でわかること
- 退職代行を弁護士に依頼するメリット・デメリット
- 退職代行を弁護士に依頼する料金の相場
- 退職代行業者と弁護士による退職代行の違い
- おすすめの弁護士退職代行サービス
弁護士なのに相談無料で、非弁の退職代行とあまりかわらない料金で依頼できるサービスもあります。
※正社員 5万円(税別)
⇒汐留パートナーズ法律事務所
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目次【クリックして移動できます】
退職代行を弁護士に依頼するメリット!
弁護士ならではの請求ができる
弁護士に依頼することで、一般的な退職代行の業者ではできない残業代の請求や、有給休暇の使用、パワハラへの合法的な仕返しができます。
そのため、特に以下のような人は積極的に弁護士に依頼して退職代行してもらうべきでしょう。
弁護士に頼みたいケース
- 1.未払いの残業代や給料があって退職と一緒に取り戻したい人
- 2.有給休暇を全部使って辞めたい人(で会社が断ると思われる人→有給は権利なので本来は取得できます)や「有給休暇の買い取り」交渉をしたい人
- 3.辞める原因がセクハラやパワハラなどハラスメント、あるいは犯罪行為によるもので、しっかり落とし前をつけたい人(場合によっては訴訟も
- 4.労災申請や損害賠償請求など会社側と戦って対価を得たい人
- 5.退職後、すぐ転職するわけではなく、保険や年金等の手続きが面倒な人
- 6.うつ病や他の精神疾患、病気などで会社とのやり取りをする精神力が全くない人(うつ病になると物事を考えられなくなります)
「退職の意思表示」+上記1~6が弁護士に依頼した場合できるのですから、どう考えても弁護士にお願いした方がよいです。
ただ「辞めたい」という意思が会社に伝わればよい方や、退職を拒否されたり、さらなる圧力がかかったりする心配がなければ、安い「退職代行業者」でも良いでしょう。
会社の訴訟にも対応できる
また、向こうが訴訟などをちらつかせても弁護士が行っているので問題ありません。
突発的な事項にも対応でき、むしろ「返り討ち」にしてくれるかもしれません。
自分が気付かない企業の問題点や攻めるポイントについても、有能な弁護士ならば指摘してくれるでしょう。
退職代行を弁護士に依頼するデメリット
価格が高い
退職代行を弁護士に依頼する場合、デメリットといえば価格ぐらいです。
単に辞める意思表示だけなら退職代行業者にお願いした方が3万円~5万円で済みます。
本当に辞めるだけで会社ともトラブルにならないのであれば、圧倒的に業者のサービスの方が得です。
一般的に弁護士報酬(依頼人が頼むときの価格)は高く、相場は以下のようになっています。
項目 | 相場 | 支払い時期 |
相談料 (依頼が相談のみの場合) | 5千円~1万円 (1時間) ※初回は無料の場合もある | 相談時 |
時間制報酬 (タイムチャージ) | 5千円~3万円 (1時間) | 契約内容によって異なる |
着手金 | 10万円~ | 正式に依頼するとき (委任契約書作成時) |
報酬金 | 経済的利益の額によって異なる | 事件終了後 |
手数料 | 契約内容によって異なる | 契約内容によって異なる |
実費 (出張時の交通費や郵送費など) | 発生しないこともある | 事件終了後 |
赤字になることもある
弁護士費用=着手金+(成功)報酬金+実費(+日当)が基本になります。
上の表は一般的な弁護費用ですので、退職代行業者よりも金額は高めです。
未払い残業代を取り戻せても、弁護士費用を支払ったら手元に残らなかった、ということも十分に考えられます。
また、争いが長期間になると辞めるためにかかった弁護士費用で退職金がなくなってしまうなんてこともあり得るでしょう。
自治体などの無料弁護士相談に行くこともできますが、無料なのはアドバイスをもらうまでで、実際にその弁護士にお願いする場合は、別途費用が掛かります。
退職代行を非弁業者と弁護士に依頼する場合の違い
では、退職代行と弁護士の違いやそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
退職代行業者のサービスは安い
ご存知のように、「退職代行」とは辞めたい本人に代わって、会社に退職の意思を伝え、退職までもっていくことです。
辞めたくても会社からの圧力などで、辞めさせてもらえない、あるいは「怖い」という心理状態にある人のストレスを肩代わりして、第三者によって退職の意思表示を代行してもらいます。
退職代行業者は、基本的に利用者(辞めたい人)の代わりに退職の意向を伝えるだけ(退職に関する連絡の仲介)です。
退職の意思表示や退職金の算定などの法的意思表示、交渉については本人が行い、退職代行は本人の使者としてそれを会社に伝え、会社からのメッセージを仲介します。
代行会社はあくまでも伝令(仲介)として伝えて、会社の意思をまた伝令(仲介)として受け取って本人に伝えます。間に退職代行会社が入っているだけということです。
退職代行業者に依頼するメリット
アルバイト | 正社員 | |
退職代行費用相場 | 3~4万円 | 4~5万円 |
「退職代行業」としてビジネスを行っているので、いい加減な対応はしません。確実に、退職代行業者としてできることを行います。
また、費用も安く、上の表を見てわかるように3万円~5万円で済みます。これで辞められるならばありがたいですよね。
しかし、退職代行業者にはできないことがあり、それを考えると弁護士に依頼した方がよいのでは?という考えに至ります。
退職代行業者は「非弁行為」が出来ず、リスクもある
退職代行業業者は弁護士ではないので、法律的なことについては代行することができません(「非弁行為・非弁活動の禁止」)。
サービス料をもらって退職に関する業務を代行することが「非弁行為」に該当し、弁護士法(※)に違反する、つまり、退職時に何らかの「交渉」を行っていると、違法行為になる可能性があります。
※弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
(弁護士法72条)
会社を辞めるというのは、雇用契約の解除ですから、会社側が争えば、法律的な内容を含む交渉になります。
弁護士ならば法律的なことの代理、交渉ができます(だから弁護士なのです)が、一民間業者にはそうした権限がありません。
『○○さんが会社を辞めます』ということを代行業者が会社に伝えるのは、本人に代わり雇用契約解除の意思表示をそのまま伝えるだけのことです。
※期限の定めのない雇用契約の解除は、解除の意思表示が相手に到達した時点で効力を発するため弁護士法72条が禁止するような交渉に当たらないこととなります。
(民法327条1項)
そのため、このような伝達だけであれば問題ないのですが、ここで会社が「いや、彼は日ごろから態度が悪く懲戒理由に相当する」「納得がいかない。彼は会社の情報を盗んだ」という感じで逆切れされた場合、退職代行業者は何もできません。
その事実を本人に告げて「あとは当人で話し合ってください」としか言えないんです。
そうなると、辞めたい本人はますます追い込まれてしまいます・・。
代行業者は有給の取得や残業の請求もできない
また、非弁の退職代行業者ができるのは「退職の意思表示の代行」のみであり、有給休暇の取得や未払い残業代(サービス残業)の請求などは管轄外です。辞めてからの諸手続き(保険や年金の切り替え)も代行はできません。
辞めたい人の中には、うつ病などで追い込まれ、ベッドから出れない人もいます。そういう人が、諸手続きを取るのは非常に大変です。
非弁の退職代行業者に依頼した場合、退職後の各種手続き(保険の切り替え、年金の切り替え、ハローワークへの登録等)はすべて依頼主本人がすることになります。
以下は弁護士にしか代行できないことです。
弁護士は残業代や有給の請求や法律問題も解決できる
弁護士の退職代行の仕事
- 会社との「辞める、辞めない」のトラブル
- 有給休暇取得や未払い残業代の請求
- 退職以外の会社とのトラブルの解決、労災申請
- 退職後の各種行政手続き
退職代行を弁護士に頼む場合の選び方
労働問題に強い弁護士を選ぶ
少なくとも専門的に
・労働問題
・解雇やセクハラ、パワハラ
・未払い残業代の請求
などを専門にしている弁護士に相談しましょう。
退職代行に留まるのであれば、たいていの弁護士ができることだと思いますが、普通に弁護士事務所に行って相談すると、上記のようにかなりの費用を請求されてしまう可能性があります。
有能な弁護士ほど報酬が高いですし、正直、退職代行を行うのは弁護士にとってもそれほど「割りがいい」「やりがいがある」仕事ではありません。
巨悪を相手に戦ったり、セクハラやパワハラがあったりすれば、企業責任を及したくて燃える弁護士もいますが、小間使いのような退職代行だけでは「そんなこと自分でやってよ。どうしてもというならやるけど高いよ」という対応をとる弁護士もいるでしょう。
刑事事件を得意とする事務所は避ける
行政訴訟や環境問題、刑事事件を専門にしている人に頼んでも、専門外ですから(それに煩わしい)、断られるか高い弁護士報酬を請求される可能性があります。
また、仮に請け負ってもらっても不慣れなので失敗したり、スムーズに進まない可能性が高いです。
実際に弁護士さんに聞いてきた退職代行のQ&A
公式サイト:https://www.gladiator.jp/careers/member4.html
退職代行と弁護士の大きな違いは?
どっちに頼めばいいのかわからない場合は?
特に、退職代行に依頼した後で残業代等の交渉をしたいとなると、退職代行業者に支払うお金と弁護士に支払うお金とでトータルの出費が大きくなってしまいます。
そのため、まずは弁護士に相談することがベターであるとは思います。
退職代行を選んだ方がいい場合はどんなケース?
退職代行におすすめの弁護士事務所やサービス4選!
退職代行サービスがこれだけ流行っているのは、社会的な需要があるからです。したがって、競争相手が少ないうちに、退職代行をメイン業務にする弁護士も登場しています。
この人たちは、民間の退職代行業の価格も知っていますから、通常の弁護士報酬ではなく、退職代行業者と同じ価格帯か、弁護士の付加価値としてやや高い程度で仕事を請けている人も増えてきました。
そうした弁護士が別の料金体系で「退職代行定額プラン」(退職代行オンリーで込み込み)のようなものを作っています。
退職代行だけなら定型業務で、数をこなせればそれなりに儲かるので、退職代行業者から需要を奪う弁護士が増えてくることも予想されます。
もちろん、正真正銘の弁護士なので何かトラブルがあっても交渉や対応ができますし、残業代請求や訴訟、退職後の手続等についても安心して依頼できます。
退職代行を行っている弁護士サービスを紹介!
1.ウラノス法律事務所
退職代行だけであれば
正社員 54,000円(税込)
パート・アルバイト43,200円(税込)
で退職業務を遂行します。
未払給料・未払残業代・退職金等の請求に関しては着手金無料で、回収した額の20%を成功報酬として支払います。全国対応、即日対応をモットーとしているので(相談料無料)、まず聞いてみてもいいでしょう。
2.弁護士事務所川越みずほ法律会計
弁護士による退職代行・内定辞退代行・休職代行サービス(全国対応/即日対応)
退職代行だけであれば
正社員:54000円(税込)
パート・アルバイト:32400円(税込)
で請けています。HPにあるQRコードからLINEに登録し、そこから相談もできます。退職と合わせて、有給取得や残業代未払い、パワハラやセクハラの慰謝料請求などをする場合は、完全成功報酬型を採用する場合があります。
退職代行だけで済みならばあまり高くないですね。
3.弁護士による退職代行サービス(弁護士 小澤亜季子、弁護士 十時麻衣子)
弁護士による
退職代行サービス(弁護士 小澤亜季子、弁護士 十時麻衣子)
女性弁護士2名が運営するサイトです。
退職代行料金は
65000円+税(5200円)
となっています。以前見たときは55000円でしたので値上がりしています。需要が多いと価格も上がる経済原則そのままですね。
残業代、未払い賃金請求やパワハラの慰謝料請求を一緒に行うと、加えて着手金100000円+成果報酬(20%)の加算となります。
さらに、民間の退職代行業者を使って失敗した場合「退職代行失敗 救済プラン」があります。これは
①弁護士ではない退職代行業者(非弁業者)による退職代行サービスを利用したのに
②退職に失敗して
③非弁業者から利用料の返金を受けていない場合
55000円(つまり1万円値引き)で退職代行するほか、非弁業者への利用料の返金や損害賠償の請求という弁護士として動いてくれるというものです。着手金無料、非弁業者からの回収額の30%が成果報酬になります。
4.ITJ法律事務所
退職代行・内定辞退は弁護士にお任せください – 弁護士法人ITJ法律事務所
こちらは正社員の場合少々安い価格設定になっています。
正社員は49000円+税(3920円)
パート・アルバイト39000円+税(3120円)
LINEに登録して相談することもできます。未払い残業代、給与、退職金請求等について着手金無料、成功報酬 経済的利益の20%となっています。
その他にも「退職代行 弁護士」で検索すると多くの弁護士、弁護士事務所がヒットします(急増しています)。
弁護士の退職代行にかかる費用の相場
さきほど4つの弁護士事務所を挙げましたが、相場としては
正社員 50000円+税
パート、アルバイト 40000円+税
が多いようです。
ただし未払い残業代請求やハラスメント訴訟、慰謝料請求などを行うと、成果報酬20%~25%が別途かかります。
つまり、数十万円かかることもあり、決して安くはないということです。
とはいえ未払い残業代などは自分一人では取り返せない可能性も高く、弁護士報酬を支払ってでもお願いした方がいいかもしれません。
「退職の意思表示だけを代行」:退職代行業者 3万円~5万円
「退職の意思表示+交渉、解決」:退職代行を謳っている弁護士 5万円~8万円くらい
「退職の意思表示+交渉、解決」:退職代行を謳っていない弁護士 着手金+弁護士報酬、日当他で10万円超~数十万円
とにかく確実に辞めるだけでいいのであれば「退職代行 弁護士」でヒットする弁護士の「退職代行定額プラン」にお願いすれば、「結局辞められなかった」というリスクを減らせます。
退職代行業者のとの差は数万円ですので、リスクを抑えたいのであれば弁護士事務所に依頼した方が無難でしょう。
弁護士の退職代行についてのまとめ
どちらに依頼するか迷ったら、法的に問題のありそうなトラブルはないが、どうしても辞めにくい
⇒ 退職代行
深刻なパワハラに悩み、未払い賃金や退職金などの問題も相談したい
⇒弁護士
といった使い分けが良いかと思います。
まずは一人で悩まずに、誰かに相談するところからでも始めてみましょう。
退職代行サービス Re:Start
年代 | 全年代 | 雇用形態 | 正社員,派遣社員,契約社員,パート社員,アルバイト |
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対象エリア | 全国 | ||
業界 | SE/Webエンジニア機械/電気広告/クリエイティブ営業職医療専門職金融専門職不動産専門職コンサルタント/士業経営企画/管理事務販売/サービス建築設計/土木/プラント/設備等事務/アシスタント公務員/教員その他 | ||
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この記事の監修者
【グラディアトル法律事務所】藤本弁護士