現在勤務している職場を辞める時に、退職の意思を伝えるのが「退職届」「退職願」ですが、書き方についてはあまり知られていません。
今回は自身の経験も踏まえて、それらの書き方について説明したいと思います。
この記事でわかる事
- 退職届・退職願の具体的な書き方
- おすすめのテンプレ
- ポイントを抑えて簡単に作る
目次【クリックして移動できます】
退職届・退職願の違いとは?
「退職届」と「退職願」の違いはあるのでしょうか?
簡単に言うと
- 退職届:「会社を辞めさせていただきます」
- 退職願:「会社を辞めたいんですがいかがでしょうか?よろしくお願いします」
の違いです。
退職願は、「願い出て会社側が退職を了承する」というプロセスがあるので、了承するまでならば「やはり考え直しまして・・」と退職の意思表示を撤回することが可能です。
一方、退職届は一方的に「辞めさせていただきます。もう辞めます」という意思表示なので、この時点で撤回するのは難しく、明らかに退職の覚悟が決まった場合こちらを出せばよいでしょう。
円満に辞めたい場合は退職願で、ムカつく会社で「辞めてやる!」と腹が決まった場合は退職届ですね。
退職願を出してから退職届を出す必要はありません。
退職願を出して会社から慰留された場合も、辞める意思が固いのであれば「残る意思はありません」と伝えましょう。
しつこいようなら、「退職届」を内容証明で郵送して後は一切出社しなければOKです。
「辞めさせないこと」は違法
ブラック企業に多い「辞めさせてもらえない」問題ですが、これは違法です。
「職業選択の自由」は日本国憲法22条の規定です。
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択 の自由を有する。
しつこくて、実際に退職の手続きが取られないようなら、公共機関の労働相談や労働基準監督署に相談してください。
アルバイトの退職について
会社の正社員については、退職届や退職願を書くべきですが、アルバイトの場合は、口頭で上司や担当者に退職の意思を伝えるだけで問題ありません。
ただし、職場によっては書面での提出を求める会社もありますので、そういうときは、この記事にように退職願・退職届を作成して提出してください。
退職届・退職願の書き方
退職届・退職願については、定型の「書き方」というのはありますが、要は退職の意思表示ができればいいので
「○月○日をもって辞めます。 △△△△(氏名)」だけでも構いません。
ただ、せっかく退職という決断を伝えるので、「様式美」として以下にある書き方をしていただければと思います。
これを真似ていただければ、退職の意思表示に必要な内容についても網羅することができます。
書く紙、封筒の書き方例【図解あり】
地味な便せん(縦書き)に手書きでもいいですし、ワープロで書いて印刷しても構いません。
サイズはA4かB5にしましょう(どちらでも構いません)。
書いた退職届・退職願を無地の封筒に入れます。
手書きの場合は黒または青のボールペンや万年筆を使います。
なお、これもあくまで「様式美」ですので、本当に許せない会社を辞める場合には、スーパーのチラシの裏にマジックで殴り書きでも構いません(「お前の会社はこの程度の価値しかないんだ!」)。
ただし、必要事項は漏らさないように書きましょう。
ブラック企業は「立つ鳥跡を濁しまくって辞めろ」という筆者の持論ですので、合法的にムカつきを晴らすためには一生に何度もある機会でもないので、こういうチラシに殴り書きも面白いかもしれません。
退職届を入れる封筒のチェックポイントまとめ
退職届を入れる封筒にはマナーがあります。以下の8つのポイントをチェックしましょう。
1.無地の白封筒を使う
柄の入ったものは大人しい柄であってもやめておきましょう。無地で白の二重封筒が望ましいです。
2.郵便番号が書かれていない封筒
郵便番号の枠のある封筒が多いですが、マナー上ではそれもない方がよいです。真っ白の無地を選びましょう。
3.退職届がA4サイズの場合は「長形3号」
A4サイズで退職届を作成する場合は封筒は「長形3号」がピッタリ入ります。変なところで折り曲げる必要のないピッタリサイズを選びましょう。
4.退職届がA5.B5の場合は「長形4号」
退職届がA5やB5の場合は「長形4号」です。退職届のサイズを決めてピッタリサイズの封筒に入れましょう。
5.表面には「退職届」または「退職願」と書く
封筒の表には「退職届」「退職願」と中央のやや上寄りに書きます。
6.裏面には、所属部署と自分の名前を書く
裏面には自分のフルネームと所属部署のみを書きます。
7.封筒裏の右上と退職届の右上が重なるように封筒に入れる
退職届を入れる方向です。退職届の折り方、送り方で詳しく説明しています。
8.封筒にノリ付けした後「〆」マークを書く
封筒の封入口をノリでとめてから「〆」マークを書きます。ただし手渡しの場合は必ず封をしなくてはいけないわけではありません。
退職届・退職願の具体的な書き方テンプレート
縦書きの場合以下を参考にしてください。
退職届
退職願
退職届と退職願で違う部分は「網掛け」の箇所のみです。
文章もこのくらい短くていいんですね。
ポイントを解説します。
自分をへりくだる意味で、行の下部に「私事」と書きます。これはあまり経験がないと思いますが、退職独特の書き方になります。
本当の退職理由を書く必要はなく、円満退職の場合、転職が決まった場合、結婚出産退職の場合、周囲が退職理由を知っていてもすべて「一身上の都合」でかまいません。
上で書いたように、「解約の申入れの日から二週間」ですから、退職届・退職願を提出した日よりも二週間以上先の日付になります。
退職届・退職願を渡した日になります。郵送の場合は、発送した日でかまいません。
部署名と自分の名前を書きます。当然、自分の名前がいちばん下に来るように、ここでもへりくだって書きます。名前の後に印鑑を押します。印鑑はシャチハタ以外ならば、実印でなくても大丈夫です。尤も、印鑑がなくても効力はあります。あくまで辞める意思をよりはっきり伝えるためのものです。ムカつく会社に最後の仕返しをしたいならば「拇印」を押すという方法もあります。
自分の会社の最高執行責任者の役職と名前になります。会長や理事がいても「代表取締役社長の名前」でいいです。敬称は殿か様。書く位置も、社長の名前が自分の名前よりも上に来るようにしましょう。
退職届・退職願の折り方、送り方
白封筒の表面に「退職届」ないし「退職願」と書き、封筒の裏面左下に「自分の部署名、自分の名前」を書きます。
退職届、退職願は三つ折りにしますが、その際、下図のように右上が一番上に来るようにします。
封筒に入れたら糊付けして、「〆」と書いて封入します。封緘の割り印までは必要ないですが、したい人はしてもかまいません。
退職届・退職願は郵送で大丈夫
退職届・退職願は会社に手渡しする必要はありません。
円満退職で、お世話になった上司に直接渡したいようなケースは、もちろんそれで大丈夫ですが、そうではない場合は一方的に郵送しましょう。
ついでに有給休暇が残っている場合は、一方的に有給を使いたい旨を書いた書状を送れば、退職まで有給消化をしながら好きなことができます。
退職届・退職願は「信書」になるので郵便で送ります。
「普通郵便」でも構いませんが、「送った、届いていない」のトラブルを避けるために、追跡機能や配達証明があるといいです。
つまりこのいずれかで送りましょう。
- 書留・簡易書留
- レターパックライト
- レターパックプラス
レターパックだと味気ないので、書留の方が辞める意思表示をする真摯さがあるでしょう。
でも、対立して辞めるのなら「レターパックで十分だよ」と嫌味を込めてもいいでしょう。
いずれにせよ「証拠が残る信書を送れる郵便」で送るのが大切です。
内容証明郵便で送るべき?
退職届・退職願を郵送する場合「内容証明郵便」で送るべきでしょうか?
結論から言うと、そこまでする必要はありません。
内容証明郵便の場合、専用の便せんなどで送ることになり、ものすごく冷たい印象を与えます。
借金の取り立てと同じカテゴリになるため、送られた方は激昂するかもしれません。
ただし、会社側が退職届・退職願の受け取りを拒否している場合は、郵便局にも退職意思の証拠が残る内容証明郵便で送り、会社側が言い逃れできないように(受け取り拒否もできない)することになります。
「ブラック企業から絶対に辞める場合は内容証明郵便、それ以外は書留など」と憶えておいてください。
退職を決意してから退職するまでの流れ
ここでは退職を決意してから退職届を提出、退職するまでの流れとポイントを説明したいと思います。
①退社を決意
一度退職届を出してしまうと撤回はできません。本当に退職するべきかどうかよく考えて決めましょう。
②就業規則や社内規定を確認
退職を決意したら、退職届を作成する前に就業規則を確認しましょう。「退職に関する手続き」を確認し、何か月前までに届け出ればいいのかチェックします。
法律では2週間前に届け出ればOKなのですが、円満に退職したい場合は就業規則に従って退職日を決めた方が無難です。
③退職希望日を記載した退職願・退職届を作成
退職日を決めたら次は退職届・退職願を作成します。
④退職届を提出
直属の上司に退職したい旨を報告し、退職届を提出します。
より円満に退職したい場合は提出前に相談し、認めてもらった上で退職届を提出するのがベストでしょう。
⑤退職
退職届が受理されれば無事退職できます。
補足:そこまで例に倣う必要はナシ
以上、退職届、退職願の書き方、出し方について書きました。
非常に儀礼的で、様式を大事にするのですが、これは必須事項ではありません。
稟議書の印鑑を傾けて、「お辞儀をするように押す」みたいなバカげたことだともいえます(特に折り方や封入の仕方)。
上司に出す印鑑は「左に傾ける」のがマナー? ネットは「狂ってる」「社畜魂だな」と大批判|キャリコネニュース
- 退職日(2週間以上前かどうか)
- 退職届か退職願か
- 提出先の宛名
この三点さえ間違わなければ大丈夫です。
あとはしっかり届いたかどうか追跡できる方法(手交か追跡可能な郵送)で相手に渡しましょう。
以上、退職届・退職願について説明しましたが、要は確実に退職の意思が会社に伝わればOKです。
辛い思いをして辞める人は、ここで精神的なストレスを受ける意味がありません。
必要事項だけ書いて、ワープロで打って一方的に送っていいんです。退職の意思表示が負担にならないようポイントだけ押さえて伝えてください。
退職届・退職願は何のために出すの?【豆知識】
退職届・退職願は、実は、絶対に提出しなければならないというものではありません。
民法の定めによると
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
つまり、二週間前に「辞めます」という意思表示をすればOKで、それは口頭でも、電話でも、メールでも構わない、というのが法律の定めになります。
これは、会社の就業規則で、「退職するときは一か月以上前に所定の様式の退職届を提出すること」とあっても、関係なく辞められます。
一企業の就業規則と、国で制定した民法では後者の規定の方が優先するに決まっているからです。
- 証拠に残る
- 精神的な負荷が少ない
以上の二点から、辞める意思表示をするときは退職届や退職願の形式にして、会社に伝えることをおススメします。
退職届・退職願の作り方まとめ
- 退職の意思表示は辞める二週間以上前に行う
- 必ずしも書面によらなくてもいいが、通常は退職届・退職願を書いて提出する
- 退職届は明確な意思表示、退職願は「退職伺い」で撤回も可能なケースがある
- 手渡ししなくても郵便で送ればいい
- その場合、追跡可能な書留郵便にする
- 受け取り拒否をする会社には内容証明郵便で送る
- 退職を拒むときは専門機関に相談する
- 退職届・退職願の書き方を押さえる
- きれいな書き方もあるが、要点が入っていればOK
- 退職届・退職願を書くのにストレスを感じるのはバカらしい