「未経験でIT業界に転職したいけど面接で有利になる資格は何?」
「どこの会社にいってもつぶしが利くIT資格をとりたいけどどれがおすすめ?」
転職活動を有利に進めるため、転職前にIT資格の取得を考えている人もいますよね?
特にはじめての転職だと「ライバルより少しでも優位に立ちたい」と思って、休みの日や仕事の合間に資格試験の勉強に励む人もいるのではないでしょうか?
国家資格と民間資格を含めてさまざまなIT資格があります。
しかし、すべてのIT資格が仕事に役立つものとは限りません。
膨大の時間を費やして勉強しても、面接では全然評価されないこともよく聞く話です。
IT業界の転職で有利になるIT資格と、とってもあまり役に立たない資格をご紹介します。
目次【クリックして移動できます】
IT転職で有利な資格11選!
経験者と未経験でそれぞれ転職で有利になるIT資格を紹介します。
経験者の転職で評価されやすいIT資格
国家資格でもベンダー資格でも経験者の転職で評価されやすいIT資格は実務で使えるものに限ります。
難易度が高ければ高いほど評価される傾向にあります。
時間を費やして勉強するのであれば、難易度が一番高いIT資格の取得を目指しましょう。
シスコ技術者認定
シスコ技術者認定とは、世界でトップシェアを誇るネットワークベンダー・シスコシステムズが提供するベンダー資格です。
多くの会社でシスコシステムズのネットワーク機器を導入しているため、実務に直結する資格といっても過言ではありません。
難易度は次の4つのレベルに分かれています。
- エントリーレベル(入門):CCENT
- アソシエイト(初級):CCNA、CCDA
- プロフェッショナル(中級):CCNP、CCDP
- エキスパート(上級):CCIE、CCDE
経験者の転職で評価されるのは初級レベルのCCNAやCCDA以上。
特にCCIEはネットワークのスペシャリストとして幅広い会社で高く評価される傾向にあります。
マイクロソフト認定資格(MCP)
マイクロソフト認定資格とは、Windowsでおなじみのマイクロソフトが提供するベンダー資格。
通称「MCP」と呼ばれる資格のことです。
マイクロソフト製品もWindows、Active Directory、Azure、SQL Serverなど多くの会社で利用されています。
そのため、MCPも実務で役立つ資格の代表格といってよいでしょう。
MCPの難易度は、次の2つに分かれています。
- アソシエイト(技術者として該当製品の技術スキルの証明):MSCA
- エキスパート(システムやアプリ設計・開発できる技術スキルの証明):MCSE、MCSD
どれも履歴書に書いて問題ありませんが、より評価されるのは難易度も高いMCSEとMCSDです。
オラクル認定資格
オラクル認定資格とは、データベース製品で世界のトップシェアを誇るオラクルが提供するベンダー資格。
代表的なオラクル認定資格にオラクルマスターがあります。
ユーザー数1,000人以上の基幹システムのデータベースはオラクルを採用するケースが多いです。
そのため、オラクルマスターも取得して損はありません。
オラクルマスターの難易度は以下の4つに分かれています。
- Bronze:データベース管理者の基礎知識取得の証明
- Silver:データベース管理者として運用保守を行うのに必要なスキルの証明
- Gold:データベース管理者として高度なスキルを保持することの証明
- Platinum:エキスパートレベルの経験豊富なデータベース管理者の証明
BronzeやSliverは実務でオラクルを操作したことがあれば比較的簡単に取得できます。
転職活動でアピールするならGold以上のレベルを目指しましょう。
Linux認定資格(LPIC)
Linux認定資格とは、NPO法人Linux技術者認定機関が提供するベンダー資格です。
通称「LPIC」と呼ばれています。
LinuxはWindowsと同じOSの一種。
基幹システムのサーバOSで使用されることが多いため、LPICも実務で使える資格の1つです。
LPICの難易度は次の3つに分かれています。
- LPIC-1:Linuxの基本操作や日常的な運用管理が行えるスキルの証明
- LPIC-2:Linuxの応用的な運用管理やサーバ構築が行えるスキルの証明
- LPIC-3:Linuxのエキスパートとしの高度な運用管理やサーバ構築が行えるスキルの証明
LPIC-1は未経験者でも1ヶ月程度の勉強で合格する人も少なくありません。
Linuxのスキルをアピールするのであれば、最低でもLPIC-2は取得しておくべきでしょう。
レベル4以上の国家資格
IT系国家資格でITエンジニアとして高度なスキルがあることを証明するならレベル4以上の資格がおすすめです。
レベル4以上の資格はどれも合格率が10~15%と難易度が高いものばかり。
転職では評価されやすい傾向にあります。
レベル4のIT系国家資格は大きく分けてエンジニア系とマネジメント系の2種類あります。
簡単に資格の内容を紹介しておくので、どれを勉強しようか迷っている人は参考にしてみてください。
エンジニア系の資格
ITエンジニアとしてより専門的で高度な知識が身につきます。
ネットワークスペシャリスト | ネットワークの企画・要件定義・開発・運用・保守に携わるITエンジニア向けの国家資格。 |
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データベーススペシャリスト | データベースの企画・要件定義・開発・運用・保守に携わるITエンジニア向けの国家資格。 |
情報セキュリティスペシャリスト | 情報システムを整備してセキュリティの専門家として運用・管理するITエンジニア向けの国家資格。 |
エンベデッドシステムスペシャリスト | エンベデッドシステムとは、スマートフォンやデジカメなど家電に組み込まれているシステムのこと。組み込みシステムの基盤構築・設計・製造を行うITエンジニア向けの国家資格。 |
システムアーキテクト | 企業の経営戦略や業務改善に携わるITストラテジストの指示を受けて、システムの要件定義や要件定義を実装。要件定義後にアーキテクチャを設計・開発するITエンジニア向けの国家資格。 |
マネジメント系の国家資格
現場で働くITエンジニアの管理を行う人たちや将来マネジメント系の業務に携わりたい人たち向けの資格です。
ITストラテジスト | ITの専門家として企業の経営戦略に基づき、ビジネスモデルの策定や業務改善の提案を行う人たちを対象とした国家資格。 |
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システム監査技術者 | システムの企画・要件定義・開発・保守・運用やシステム基盤の整備などセキュリティの観点で専門家として総合的に評価する人たちの国家資格。 |
ITサービスマネージャ | システム全体の継続的な安定稼働や品質管理など安全性と信頼性にすぐれたサービスの提供を行う人たちの国家資格。 |
プロジェクトマネージャー | システムの開発プロジェクト全体の方向性を決め、コスト・品質・納期の最終的な責任者となる人たちの国家資格。 |
未経験者が転職でアピールできるIT資格
IT業界の未経験者が転職で評価されやすいおすすめのIT資格を2つ紹介します。
基本情報技術者
基本情報技術者試験はIT系国家資格の1つ。
資格を取得すればITエンジニアが知っておくべき次の基礎知識が身につきます。
- ハードウェア
- ソフトウェア
- データベース
- ネットワーク
- プログラミング
- セキュリティ
- コンプライアンスなど
Slerやベンダーでは、新人研修で基本情報技術試験の合格を目指して新人に勉強させる企業も少なくありません。
対応範囲が広いのでIT業界未経験者は、覚えることが多くて大変に思うかもしれません。
しかし、覚えておいて損はないので頑張って勉強しましょう。
エントリーレベルのベンダー資格
「経験者の転職で評価されやすいIT資格」で紹介したエントリーレベルのベンダー資格も製品の基礎知識を学ぶのに役立ちます。
将来目指したい職種で活かせるベンダー資格のエントリーレベルを勉強しておくとよいでしょう。
- シスコ技術者認定資格:CCENT
- マイクロソフト認定資格:MTA
- オラクル認定資格:オラクルマスターBronze
- Linux認定資格:LPIC-1
取得しても転職で評価されないIT資格
いくら勉強してもIT業界の転職では全然評価されない資格もあります。
次に紹介する資格はITエンジニアとしてのスキルの証明にはならないので、勉強は避けるようにしましょう。
ITパスポート
ITパスポートとはIT系国家資格で、レベル1の難易度が最も低い資格です。
パソコンの基本操作、企業でのセキュリティ対策、ITを活用した経営活動など全職種のオフィスワークで知っておくべきITの基礎知識を証明するものです。
非IT系企業でも大企業を中心に内定者や新入社員など若手社員にITパスポートの取得を義務付けるところが少しずつ増えています。
そのため、ITエンジニアのスキルアップに役立つ資格とはいえません。
IT業界未経験者の転職であってもあまり評価されません。
IT系国家資格を勉強するのであれば、基本情報技術者試験にしておきましょう。[/chat]
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
マイクロソフトオフィススペシャリストは、Word・Excel・PowerPointなどOffice製品の操作スキルの証明に特化したベンダー資格です。
通称「MOS」と呼ばれています。
業態業種問わずオフィスワークで重宝される資格ではありますが、ITエンジニアのスキル証明に役立つ資格ではありません。
[chat face=”character_01.png” name=”” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=”maru”]どちらかといえば、就職活動をする大学生や事務職の転職活動を行う人向けの資格です。[/chat]実務で使わないマイナーなIT資格
さまざま種類のIT資格がありますが、実務で使う機会のないマイナーなIT資格を取得しても意味はありません。
マイナーなIT資格を面接でアピールされても、面接官が現役のITエンジニアでも「何その資格?」と知らないことも珍しくありません。
転職でIT資格があると有利になるケース
IT業界の転職でIT資格の取得が有利になるのは、主に次の3つのケースです。
客先常駐型ITベンダーへの転職
客先常駐型ITベンダーでの面接では、IT資格が転職で有利になる場合があります。
客先常駐型ITベンダーとは、自社のエンジニアの大半をお客様企業に常駐させて働く会社のことです。
客先常駐型ITベンダーの売上のほとんどが、お客様企業の常駐するITエンジニアの人件費。
お客様企業に常駐するITエンジニアの数が多ければ多いほど、会社の利益が上がります。
難易度の高いIT資格持つITエンジニアを多数抱えていることは、営業の際にお客様企業に優秀なITエンジニアがたくさんいることをアピールする材料となります。
あとで詳しく説明しますが、マイクロソフト認定資格(MCP)などベンダー資格を取得すると、ベンダーから自分の名刺に資格を載せることが許可されます。
そのため、客先常駐型ITベンダーでは有資格者の社員の名刺に資格のロゴを載せるよう指導する会社も少なくありません
また、客先常駐型ITベンダーでは社員の資格取得支援も積極的です。
一般的に以下のような資格支援を行う会社が多いです。
- 資格試験の受験料を全額負担
- 資格試験の勉強用の教材や講習費の負担
- 資格取得後に2~3万円程度の報奨金を支給
- 給料とは別に毎月2,000~5,000円程度の資格手当を支給
しかし、社員の資格支援に積極的な客先常駐型ITベンダーでもあっても面接で一番アピールすべきことは実務経験。
あくまでもIT資格のアピールは実務経験のプラスアルファで行うものと考えておきましょう。
インフラエンジニアの転職
次のようなインフラエンジニアの転職活動では、IT資格を持っていると有利になる場合があります。
- ネットワークエンジニア
- サーバエンジニア
- データベースエンジニア
- 運用保守システムエンジニア
転職サイトや転職エージェントの求人票の必須・歓迎スキルに「CCNAを保有していると尚可」「オラクルマスターSilver以上のスキル」など記載されることがあります。
求人票のスキルにIT資格が明記されている場合は、積極的にアピールしましょう。
求人票にIT資格の明記がなくても、仕事内容や応募条件に実務で携わる製品の名前を記載している場合があります。
■求人票の記載例
- シスコルーターの設計・構築
- Active Directoryの運用経験
- オラクルデータベースの運用管理経験
求人票にベンダー資格がある製品の名前が書かれている場合は、有資格者であることを積極的にアピールしてみてください。
IT業界の未経験者の転職
IT業界未経験者は実務経験がないのでアピールできるスキルが何もありません。
そのため、入社前にIT資格をとって実務に必要な最低限の知識があることをアピールしましょう。
IT業界には、日常生活で使わない専門用語がたくさんあります。
「最初のうちは先輩や上司のいうことがさっぱりわからなかった」とぼやく新入社員も少なくありません。
特に情報系の学部卒やIT系の専門学校に通った経験のない人は、仕事も含めてIT用語を覚えることに苦労する傾向にあります。
入社してから1日にも早く仕事に慣れるためにも、未経験者は積極的にIT資格を取得することをおすすめします。
IT転職で国家資格とベンダー資格はどっちが有利?
転職で有利になるIT資格は、大きく分けて「国家資格」と「ベンダー資格」の2種類あります。
転職活動で国家資格とベンダー資格のどちらが有利になるかは応募する会社次第。
一概にどちらが有利になるとはいえません。
国家資格とベンダー資格は、どちらも難易度別に試験の種類がいくつかあります。
両方ともに難易度の高い資格を持っている方が、転職では評価されます。
知らない人のために国家資格とベンダー資格のちがいを簡単に説明しておきます。
特に未経験でIT業界の転職を考えている人は参考にしてみてください。
国家資格
経済産業省が認定する情報処理技術者試験のこと。
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験などが該当します。
取得すれば専門知識を持つ情報処理技術者として国から認定されます。
有効期限がないため一度取得すれば、永久に履歴書や職務経歴書の資格欄に記入できるところがメリットです。
一方、試験の出題範囲が広いので勉強が大変といったデメリットもあります。
2019年5月時点ではIT技術者向けの国家資格は12種類あり、難易度はレベル1~4まで分かれています。
レベル1がITを知らない入門者レベルの知識。
数字が高ければ高いほど難易度が上がると覚えておいてください。
ベンダー資格
マイクロソフトやシスコシステムズなど製品ベンダー提供する民間資格のことです。
MCPやCCNA、LPIC、オラクルマスターがベンダー資格に該当します。
マイクロソフトやシスコシステムズなど実務で使う製品の技術や知識を体系的に学べる点が大きなメリットです。
IT技術の進歩に伴い、定期的に製品のバージョンアップを行うからです。
10年前など古いバージョンのベンダー資格を履歴書に記入しても意味がないことを覚えておきましょう。
IT系の転職は資格よりも実務経験を重視!資格は参考程度
IT業界の転職では資格を重視されることはあまりありません。
選考の過程で一番重視されるのは実務経験です。
一口にITエンジニアといっても以下のようにさまざまな職種に分かれています。
- ITコンサルタント
- プロジェクトマネージャー
- システムエンジニア
- プログラマ
- サーバエンジニア
- ネットワークエンジニア
- データベースエンジニア
- 運用保守システムエンジニア
- テクニカルサポートヘルプデスク
- 社内SEなど
どの職種の転職活動でも一番重視されるのは実務経験であることに変わりありません。
応募書類や面接でIT資格をアピールしても、ほとんどの企業で応募者の持つスキルの参考程度に思うぐらいです。
技術力の高いITエンジニアは仕事が集中して、連日遅くまで残業する人も少なくありません。
「激務の人ほど資格試験の勉強をするヒマがない」というのはIT業界でよくある話。
IT業界の中途採用の一次面接では、現場のマネージャークラスのITエンジニアが面接官になることが多いです。
転職先の実務に関係ないIT資格をたくさんとったことをアピールしても以下のような悪い印象を与える恐れもあります。
「うちの会社の業務を本当に理解してる?」
「仕事に関係ない資格の勉強をするヒマな人」
しかし、IT資格の種類により資格をとることは、決して無駄にはありません。
たとえば、Linuxサーバの設計・構築に携わるサーバエンジニアはLinux製品の知識や技術をすべて理解しているとは限りません。
技術的にわからない部分は、リファレンスマニュアルやLinuxの製品サポートに連絡して製品の知識を深めていきます。
このように実務に関係するIT資格であれば、製品知識を体系的に学ぶのに役立ちます。
ここからは、転職活動でIT資格の取得が有利になるケースを一緒に確認していきましょう。
IT転職で有利な資格まとめ
業態業種問わず中途採用の転職で重視されるのは実務経験です。
ITエンジニア向けの資格がたくさんあるIT業界でも例外ではありません。
そのため、一部の職種をのぞいてITエンジニアの求人票の応募条件に資格の記載はありません。
企業にとってIT資格はあくまでも転職者を評価する1つの手段に過ぎません。
IT資格をとるのであれば、応募企業のニーズに合うものや自分が極めたい分野のスキルなどしっかりした目的意識を持つようにしましょう。