ジョブカード(職業能力証明)とは?ダウンロード方法や記入例を紹介

読者の皆様は「ジョブ・カード」とは何かご存知でしょうか。

「ジョブ・カード」とは国、具体的には厚生労働省が推進している就職促進を目的とした公的な制度で利用されるものです。

ではジョブ・カードとは具体的にどのようなものであり、どう活用するものなのでしょうか。

国策として推進されており、転職や就職にも活かせるジョブ・カードについて詳しくご紹介します。

ジョブ・カード(制度)とは

ジョブ・カード並びにジョブ・カード制度について厚生労働省はどのように説明しているか、本省のホームページで紹介されている定義を確認してみることにしましょう。

(ジョブ・カード(制度)の定義)

「個人のキャリアアップや、多様な人材の円滑な就職等を促進することを目的として、ジョブ・カードを「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」のツールとして、キャリアコンサルティング等の個人への相談支援のもと、求職活動、職業能力開発などの各場面において活用する制度」

(出典:厚生労働省HP「ジョブ・カード制度とは」より)

この定義を読んでわかりにくく感じられた方も多いと思われますが、わかりやすく補足しますのでどうかご安心ください。

「生涯を通じたキャリア・プランニング」とは

厚生労働省の定義の中にに登場する「生涯を通じたキャリア・プランニング」とは何かがわからなければジョブ・カードについては理解できませんので、「生涯を通じたキャリア・プランニング」とは何かという点からまず説明致します。

「生涯を通じたキャリア・プランニング」とは、個人の学歴や職務経歴に加えて、

  • これから自分が取り組んでみたい、あるいは就いてみたいと考えている職業や職務内容
  • 上記を実現するために向上させたい、または新たに習得したいと考えている資質や能力
  • 上記の資質や能力に必要になると考える職業訓練や学習

これらを専用のシートにまとめることを「生涯を通じたキャリア・プランニング」と言い、それらをまとめた専用シートが「ジョブ・カード(の一種)」となります。

つまりキャリア・プランニングとは

”「履歴」+「職務経歴」+「(仕事に対する)将来目標」”の3つを(ジョブ・カードに)まとめること”

と言い換えることもできるのです。

「職業能力証明」とは

次に定義の中で登場する「職業能力証明」とは何かですが、こちらは言葉通りの意味で、特定の職業を行える能力を客観的に証明する情報をまとめることです。

証明する情報とは要は職業関連資格や免許証のことです。

それらを専用シート、つまりジョブ・カードにまとめることが「職業能力証明」となります。

ジョブ・カードとは「生涯を通じたキャリア・プランニング」と「職業能力証明」をまとめた専用シートのこと

ここまでの説明で「ジョブ・カード」についてはかなり理解できてきたと思われますが、改めてジョブ・カードについてわかりやすく定義してみることにしましょう。

ジョブ・カードとは

”生涯のキャリア・プランニング、即ち自分の履歴や職歴、将来就きたい仕事や高めたい能力の他、自分が有する資格や免許証等の情報をまとめた専用シート”

となります。

ジョブ・カード”制度”の「キャリアコンサルティング等の個人への相談支援のもと」とは?

次にジョブ・カード”制度”とは何かですが、厚生労働省の定義の終わり部分は「キャリアコンサルティング等の個人への相談支援のもと、求職活動、職業能力開発などの各場面において活用する制度」となっていました。

この部分もわかりにくいので翻訳いたします。

まず「キャリアコンサルティング等の個人への相談支援のもと」という点ですが、この部分をわかりやすく言えば「ジョブ・カードを作成したら、国家資格を持っているキャリア・コンサルタントのアドバイスを受けて下さい」という意味です。

ジョブ・カードは自分でまとめることが前提のため、自分ではうまくまとめたつもりでも他者から見たらわかりにくく、内容が十分伝わらないといった場合も生じます。

それをプロの目でみてもらって必要に応じて訂正するなどして、内容を更にわかりやすく、より魅力的なものに高めてくださいということです。

尚、キャリア・コンサルティングを受けることは制度上の義務という訳ではありません。

しかしながら、この後紹介するジョブ・カードを職業訓練受講などで利用する場合、一部の職業訓練講座ではキャリア・コンサルティングを事前に受けていないと受講できない場合もあります。

従って、ジョブ・カード制度をフル活用したいと考えている方であればジョブ・カードを作成したら、キャリアコンサルタントのもとを訪ね、キャリア・コンサルティングを受けておくことをオススメ致します。

尚キャリアコンサルタントを探してコンサルティングを依頼する方法ですが、次にご紹介する「キャリアコンサルタントwebサイト」へアクセスし、住まいや勤務地などから最寄りのキャリアコンサルタントを検索し、依頼するのが一般的な方法です。

キャリアコンサルタントwebサイト

ジョブ・カード”制度”の「求職活動、職業能力開発などの各場面において活用する」とは?

次は「求職活動、職業能力開発などの各場面において活用する」の部分についてです。

この部分の意味は「求人へ応募する場面や職業訓練講座を申し込む場面などでジョブ・カードを役立ててください」という意味です。

ジョブ・カードには履歴情報や職歴情報だけでなく将来の職務目標なども書かれていますから、国としては求人へ応募する際に履歴書などに加えてジョブ・カードも提出すると評価が高まる可能性がありますよと言いたい訳です。

また、国の制度で運営されている職業訓練校で職業訓練を受ける場合にはジョブ・カードの提出が必須となる場合もあります。

従って、先々何らかの職業訓練を受ける予定がある方はジョブ・カードを事前に準備しておいた方が良いと言えます。

ジョブ・カードのメリットとデメリット

ジョブ・カードについて一通りご理解頂いたところで、ジョブ・カードのメリットとデメリットについてもそれぞれ確認しておきましょう。

ジョブ・カードのメリット

  • 自分の履歴や職歴、今後就きたい仕事など、自分自身の棚卸しや自己分析に役立てることができる。
  • 自分がキャリアアップを図るために今後どのような能力を獲得すれば良いか、客観的に理解できるようになる。
  • 求人企業へ提出する応募書類にジョブ・カードを追加することで、履歴書や職務経歴書だけでは伝えにくい情報もアピールすることができる。
  • 職業能力訓練やハローワークを利用する際に活用できる(一部必須)。

 

ジョブ・カードのデメリット

  • 専用のシートに従って一から作成する必要があるため手間がかかり、大変である。
  • ジョブ・カードに対する企業側の認知度は決して高いとは言えない。そのため応募書類に添付してもどれだけ評価が高まるかは未知数である(全く評価してもらえない可能性もある)。
  • メールでの相談であれば無料だが、キャリアコンサルタントと対面で相談や指導を受ける場合には原則相談料が必要となってくる。

ジョブ・カードの利用の流れと記入例


ジョブ・カードを作成し、ジョブ・カード制度を利用するにはどうすれば良いか、基本的な流れにもとづいて説明致します。

ジョブ・カードをダウンロードする

ジョブ・カード制度を利用するには、「職業能力証明」などを書き込むための専用シートをダウンロードする必要があります。

ダウンロードは次にご紹介している専用ページから行ってください。

(「ジョブ・カード制度総合サイト」より)

記入例を参考にしながら「キャリア・プランシート」を作成する

専用シートをダウンロードしたらそれぞれプリントアウトした上で、自分の情報を書き込んでゆきます。

専用シートを作成する上で特に順番はありませんが、「キャリア・プランシート」から作成方法をご紹介することにします。

キャリア・プランシートをはじめて作成するという場合には、次のとおり記入例が紹介されていますので記入例を参考にしながら作成するのがオススメです。

様式1-1 キャリア・プランシート(就業経験がある方用)の記入例

ご紹介している記入例のキャリア・プランシートは「様式1-1」というシートで、1-1は就業経験がある方用となっています。

ちなみに既卒者や学生など就業経験がない方は「様式1-2」の方を利用します。

様式1-1の「自らのキャリア・プランに関する本人の記入欄」の書き方のポイントとしては、次のような事項があげられます。

  • シートを作成した日付を一番上に必ず書く。
  • 例文の通り、出だしの文章としては自分の略歴を1~2行程度で簡潔に説明する。
  • 適宜文章と文章の間に一行程度のブランクを入れて読みやすくする。
  • 自分が身に付けたい、向上させたい資質や能力の前に、現在の自分が不足していると考えている能力となぜそう考えるのかの理由についても簡潔に説明する。
  • 転職を検討している場合には、検討している事実も伝えるようにする。

「職務経歴シート」を作成する

職務経験がある方は「職務経歴書」に該当する「職務経歴シート」も作成します。

「職務経歴シート」の記入例

職務経歴シートと一般的な職務経歴書との最も大きな違いと言えるのが「職務の中で学んだこと、得られた知識、技能等」という項目がある点です。

習得した知識や技能をそれぞれの職務経験ごとに書く必要がありますので、この点は少々骨が折れるかも知れません。

もし身に付いた知識や技能が特にないという場合は記入例のように、「経験を通じて理解できたことやわかったことを」を書くようにすると良いでしょう。

「職業能力証明(免許・資格)シート」を作成する

「職業能力証明(免許・資格)シート」も作成が必要なシートです。

「職業能力証明(免許・資格)シート」の記入例

こちらは「いつ、どんな内容の資格や免許証を取得したか」をシートに従ってまとめるだけですので、特に迷う点はないはずです。

強いてポイントをあげれば、漏れがないようにすることです。

職業に関わる資格や免許証であれば学生時代に取得したものもシートに反映させる必要がありますので、自分が取得した資格はこれだけか、他にないかを入念に確認するようにしてください。

「職業能力証明(学習歴・訓練歴)シート」を作成する

職業能力訓練などを受けた経験がない方であれば、次の「職業能力証明(学習歴・訓練歴)シート」で必要なシートは全て揃うことになります。

「職業能力証明(学習歴・訓練歴)シート」の記入例

こちらは履歴書のようなものですが、それぞれの学歴において取り組んでいたことや経験したことなども書き込める点が異なります。

この点は一般的な履歴書には盛り込めない情報ですので、しっかりと書き込んでおくと自分をアピールできる材料にもできます。

ジョブ・カード利用者の感想をご紹介

「書類選考に役立ったかどうかは不明だが、自己分析には間違いなく役立った」(U氏30代男性)

「私はネットでたまたまジョブ・カードというものがあることを知りましたが、それまでは全く知りませんでしたね。
最初の感想としては面倒な仕組みだと思いましたが、国が推進している制度なので民間企業も書類選考などでジョブ・カードを求めるようになる可能性もあると考え、作成しておくことにしました。
作成してみての感想ですが、例文をみながら自分自身のことを細かく振り返りつつシートを作成したことで自分自身の棚卸しや自己分析がしっかり出来たと思います。
大変でしたが学歴や職歴のそれぞれの場面で身に付けたことを考えさせられましたので、これが特に自分の棚卸しに特に役立ちましたね。
さて、苦労して作成したジョブ・カードですが、実際に求人先へ添付書類として提出してみましたよ。
その結果ですが書類選考はパスし、先日無事内定も頂きました。
ジョブ・カードの提出が採用に役立ったかどうかはわかりません。
ただ、ジョブ・カード作成を通じて自己分析を行えたことが、採用面接の場面で役立ったことは間違いないですね。
ジョブ・カードは絶対に必要なものとは言えませんが、自己分析にはきっと役立ちますので就活生や転職を検討されている方々は実際に作成してみることをオススメします。」