様々な目的から異業種転職を目指す人は多いですが、やはり年収が下がるのを懸念している方が多いはずです。
そこで今回は異業種転職で年収がアップする人とダウンする人の違いや、異業種転職の注意点、メリットなどを詳しく調べてみました。
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異業種転職すると年収が下がる?
インターネットをみると「異業種転職すると年収が下がる」という主旨の記事をたびたび目にしますが、実際は異業種転職をすると年収が下がる人もいる、というのが正しいです。
中には異業種転職で年収がアップした人も多数いるので、ダウンすると決めつける必要はありません。
異業種転職をしても年収は変わらない人が多い
2020年に大手転職サイト「エン・ジャパン」が実施した異業種転職のアンケートによれば、異業種転職で年収が変わらないと答えた方が51%を占めていました。
参考:https://corp.en-japan.com/newsrelease/2020/21388.html
また、1~100万円ほど年収が上がってる人は49%もいました。
つまり、「異業種転職すると年収が下がる」というのは都市伝説だったといえます。
年収アップが実現する異業種転職のポイント
次の3つのいずれかに該当すると異業種転職でも年収アップに成功する可能性が高いです。
異業種に持ち運び可能な専門性の高いスキルがある
未経験の業界・業種でも前職で培ったスキルの専門性が高くて、転職先で持ち運び可能なものであれば年収アップに成功します。
2018年にエン・ジャパンがキャリアアドバイザー117人に異業種転職の実態調査を行いました。
その結果、35歳以上の異業種転職者の半数近くが50~200万円の年収アップに成功したことがわかっています。
アンケートの詳細を確認すると異業種転職で歓迎されるのは、事務管理系、営業・マーケティング、経営企画・事業企画、ITエンジニアの経験やスキルがある人たち。
特にメーカー経験者の原価計算のスキルや、AI/IoT/ビッグデータの知識を持つITエンジニアのスキルが歓迎される傾向にあります。
採用する企業側がこれらのスキルで培ったノウハウは業種を超えて応用できると判断しているからです。
前職より給与水準が高い業界に転職
前職より給与水準が高い業界に異業種転職するのも年収アップを成功させる1つの方法。
総合商社、自動車メーカー、医薬品メーカー、放送、金融業界などは比較的年収が高い傾向にあります。
業種に関係なく外資系企業は日系企業より給与が高く設定されている会社が多いです。
一方、ホームセンターや百貨店など流通業、建材や繊維・アパレルメーカーは他業界と比べて給与水準が低いです。
また、意外と見落としがちなのが転職先の福利厚生です。給与水準が高い会社、特に大企業は住宅手当や資格手当、時間外・休日手当など給料以外の各種手当を社員にしっかり支給する傾向にあります。
たとえば、住宅手当がない会社から住宅手当のある会社に転職したAさんがいたとします。
転職先でAさんは毎月3万円の住宅手当が支給されるので、1年間で36万円も年収が増えることとなります。
給与水準が低い業界にいる人は、給与水準が高くて福利厚生が充実している会社に異業種転職してみるのもよいでしょう。
評価制度が年功序列ではなく成果主義の会社に転職
評価制度に成果主義を導入する企業が増える一方で、社員の勤続年数で評価する年功序列制度が根強く残る企業も少なくありません。
現職で年功序列制度の企業にいる人は、成果主義の企業に異業種転職して年収アップを実現するのも1つの手段です。
不動産、保険、自動車メーカーなどの営業職は給料に歩合制を採用しているところがほとんど。
基本給が転職前と同じでも営業成績がよければよいほど年収がアップします。
また、外資系企業の多くは成果主義で、個人の実力や実績がそのまま給料に反映されます。日系企業のように年齢や性別で昇給しないことはまずありません。
福利厚生など手当が少ないベンチャー企業でも、給与のベースが高い幹部候補の採用なら年収アップが期待できます。
ただし、評価制度に成果主義を導入する企業は、高いノルマや目標が課せられることが一般的です。
仕事が厳しくてもよいので、自分の頑張りがそのまま給料に反映される会社で働きたい人におすすめの転職先といえます。
厳しいノルマや目標にプレッシャーを感じる人にはあまりおすすめできません。
異業種転職の年収における注意点
相場以上に高い年収を提示されたときは要注意!
未経験で相場以上の年収が提示された場合、その金額以上にスキルや激務が求められます。
年収の高さは企業が入社後に期待するパフォーマンスにも直結しています。
企業が求めるスキルも高いので、成果を出せなければ周囲から「期待はずれ」と思われることでしょう。
年収に応じた働きができない早期退職になりやすい
期待はずれと思われると職場の居心地が悪くなるので、退職を余儀なくされる恐れも否定できません。
転職会議など口コミサイトでネガティブな投稿がないにもかかわらず、相場より高い年収を提示された場合は必ず採用担当に入社後の業務内容と期待する役割を確認しましょう。
転職エージェント経由での求人なら担当のキャリアアドバイザーに「なぜその年収なのか」を詳しく聞いてみることをおすすめします。
異業種転職で高年収の職場はパワハラや労働環境が悪いことが多い
激務、パワハラが横行する離職率の高い企業は、求人を出してもなかなか人が集まりません。
求人を集めるために、あえて相場よりも高い年収で採用活動を行う企業も少なからず存在します。
採用担当に入社後に期待する役割を聞いて明確な答えが得られなかったら、転職先の労働環境がよくない可能性が十分に考えられます。
転職会議、キャリコネなどの口コミサイトにネガティブな内容の書き込みがないか確認してみるとよいでしょう。
年収ダウンの可能性が高い異業種転職の例
過去の転職回数が多い
スキルの持ち運びが可能な異業種転職であっても、転職回数が多いとこれまでに十分なスキルを身についていないと判断され年収がダウンする場合もあります。
前職より給与水準が低い業界に転職
先程の逆パターンで、前職より給与水準の低い業界に転職すると年収はダウンするケースが多いです。
外資系から日系企業に転職
その他には給与水準が高い外資系企業から日系企業に転職した場合も年収がダウンする傾向にあります。
また、大手企業からベンチャー企業への異業種転職も年収がダウンする代表的なケース。
資金力のないベンチャー企業では大企業のように福利厚生が充実していません。
給料は前職と同じでも住宅手当など各種手当が支給されなければ、トータルの年収は前職よりもダウンします。
異業種転職で年収ダウンする場合は転職すべきか改めて考える
異業種転職を実現したい人は仕事に「やりがい」を求める傾向にあります。
しかし、年収が下がるとそれに比例して生活水準が落ちてしまいます。
いくらやりたいことでも、生活水準が落ちると今までと同じ生活はできません。
旅行や外食など娯楽が楽しめなくなるばかりか、家賃や電気代、スマホ代、食費など生活必需品に関するお金も節約しなければなりません。
特に配偶者のいる人は年収がダウンすると住宅ローンの支払いや子どもの教育費の貯蓄に大きな影響を及ぼします。
やりたい仕事やスキルアップにつながることが部署異動で実現するなら、そのまま現職に留まることをおすすめします。
異業種転職で年収がダウンすると、生活に大きな打撃を与えることとなるので、本当に転職すべきなのかしっかり考えたうえで実行しましょう。
年収ダウンしても前より充実した毎日が送れる可能性も高い
とはいえ、年収ダウンの異業種転職は決して悪いことばかりではありません。
今の職場が毎日終電まで残業したうえ休日出勤も行っている企業であれば、異業種転職で年収がダウンしてもワークライフバランスの充実や精神的苦痛の解消、スキルアップにつながるのであれば、その転職は成功といえます。
年収ダウンは生活レベルの低下に直結しますが、前職で感じたストレスや苦痛が解消する場合もあるので一概に悪いことではありません。
異業種転職の年収まとめ
異業種転職は年収がアップする場合とダウンする場合と2パターンあります。
一般的に年収が高ければ高いほど、それに比例して仕事の難易度も高くなります。
残業が多くて目標やノルマが高くなっても、バリバリ働くことにやりがいを感じるならその異業種転職は成功といえます。
しかし、激務や厳しい目標やノルマに強いストレスを感じるなら、前職より年収がアップしてもその異業種転職は成功したとはいえません。
仕事の優先順位はその人次第ですので、目先の年収だけにとらわれず、仕事をするうえで自分が最優先することを決めてから異業種転職を行いましょう。