田舎で悠々自適に農業をやってみたい、会社員生活はいい加減疲れたから自分のペースでできる農業がいい、誰にも邪魔をされずに自分と向き合いたいから農業をしたい、など農業に魅力を感じている人も多いのではないでしょうか?
今回は、農業への転職について詳しく調べてみました!
安易に脱サラしてしまっていいのか、失敗のリスクはないのか、色々検証してみたいと思います。
これを読んで、悠々自適な農業への転職の夢を叶えちゃいましょう!
・具体的に農起業や転職の伸び率が知れる
・農起業のリスクをはっきりと知れる
・農起業&転職の支援サイトが知れる
目次【クリックして移動できます】
農業(農家)は転職や起業におすすめな理由
なぜ新しく農業を始める人、農業に転職する人が増えているのか、農業には会社員にはない魅力があるのでしょう。
理由はいくつも考えられます。
- 人間関係から開放される
- 自分のペースで仕事ができる
- 自分の裁量の余地が大きい
- 都会の喧騒から離れて自然の中で生きていくことのすばらしさ
これらを突き詰めると「自己実現と社会人としての挑戦」に行きつくのだといえます。
農業はそのイメージのように田舎のおじいさん、おばあさんが担っている面も大きく、「ビジネススキル」「経営分析」「事業計画」など、サラリーマンがかかわるビジネススキームと離れたところにありました(大規模な農業を計画的にしている会社もありますが・・・、小作農はそういうのとは違いますよね)。
自然の中で土にまみれて仕事をするのも、これまでのオフィスとは異なり魅力的に見えるし「やりがい」が可視化されるからモチベーションもアップしそうだね。だから農業への転職は人気なのか。
農業への転職でもらえる補助金
「農家」が減っているという事実を皆さんニュースでも目にしたことがあると思います。
畑にする土地にもビルやマンションが建ち、農業をしている人は年々高齢化し辞めてしまう人が増えています。
農作物は輸入すればいいし、あえて広大な農場を管理するなんて大変すぎると、農業就業人数は大きく減少しています。
5年に1回まとめられる2015年農林業センサス報告書|農林水産省によると、2015年の農業就業人口は200万人割れ寸前。
日本の農業が危機に瀕しているのは事実みたいだ。
農作物を全て輸入でまかなうことは、島国の日本にとってはリスクが大きく(コメ不足でタイ米を輸入した年もありました。)、何とかして自給率を上げていかないといけません。そのためには農業の衰退を食い止める必要があるわけです。
そのため、日本政府は農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)などの制度を設け、新たに農業を始めたい人に資金的、経営ノウハウ的なバックアップを行っています。
農業次世代人材投資資金
平成24年度から青年就農給付金として始まった国の補助金制度です。現在では農業次世代人材投資資金という名前に変わっており、名前の通り次世代の農業を始めようとする人に対して補助するための制度です。
準備型と経営開始型の2種類あり、年間150万円の補助金を最大2年〜5年受けられるのが最大の特徴です。
高齢による離農者が増え、収入が不安定であったり、重労働、就農資金がかかるなどの理由で日本の就農者数は減少しており、このままでは日本の農業は衰退してしまうという危機感から生まれました。
新規就農者は増加傾向にある
農業次世代人材投資資金の補助金制度により、農業に転職する人が劇的に増加しているわけではありませんが、新規就農者調査|農林水産省によると、39歳以下の新規就農者は約1万5000人ということで、前年増が続いています。
健康志向やスローフードの高まりと相まって、少しずつですが農業への転職を考える人が増えているのも事実です。
農業女子も増加中!
女性が農業に転職することは可能なのでしょうか?
女性の場合、体力的に男性に劣るのは言うまでもなく、長時間肉体労働をする場合には大変でしょう。
しかし日本の場合、古来より女性は農業の大切な担い手であり、女性だから不利益を受けるという業界では決してありません。むしろ女性ならではの細やかなセンスが評価されて、人気の農作物を生産して成功している方もたくさんいます。
農業女子プロジェクト|農林水産省
また、女性ならではの農業への転職として「農家の嫁になる」というものがあります。これならば、家も土地も販路も(夫も)付いてきて「一石十鳥」くらいになりそうです。
農家の男性と結婚したい女性向け婚活サイトとして以下を挙げておきます。
農業専門婚活サイトRaitai~恋の種まき~ – ホーム
サイトの運営者は、ご自身が脱サラをして農業を始めて、農家の男性と結婚したという異色の経歴の持ち主です
転職かつ婚活もしてもいいという人は、こちらのサイトで「就職活動」をしても面白いかもしれません。
男性:農家(専業、兼業)農業法人勤務、新規就農希望者
女性:上記の条件の男性と結婚をしたいと考える方、農家の跡取り娘、田舎暮らしをしてみたい方
になっています。
実は農家の婿もこのサイトで募集しています(新規農業希望者)。新規に農業を始めたいけどバックアップがないという人もこのサイトで叶うかもしれません。農家の嫁、婿になりたい人、農業をやりたい人は試す価値があるかもしれません。
未経験者でも農業はできる?
農業を始めるにあたって必要なことは、この6つの要素であると言われています。
- 家
- 農地
- 資金
- 技術
- 販路
- 経験
農林水産省や自治体のバックアップによって、家や農地、資金についてはある程度サポートが期待できますが(実家の田舎に帰れば元々ある人もいますし)、後者3つについては素人にはなかなか大変な問題です。
何より重要なのが技術(栽培技術)であることはいうまでもなく、家庭菜園程度でトマトを育てたくらいでは太刀打ちできません。
よくある「未経験者歓迎」の求人のようなものではなく誰でもできるわけではないっていうのが正直なところだね。
食物マイスターや食生活アドバイザー、調理師、トラクター運転免許など、農業や食に関連する資格は持っているに越したことはありませんが、それが農業の転職に直接役に立つわけではなく、どこかで農業を経験しておかないと、素人がいきなり畑を耕せるわけでもありません。
ただ、農林水産省のサポートは資金面だけではなく
など、研修制度も充実させています。
しかし、「習うより慣れろ」なのは言うまでもなく、いきなり自分だけで農業を始めるよりも、どこかの大規模農場などで雇用されながら技術を磨き、人脈を作ってからのほうが上手くいくでしょう。
中にはセンスがある人もいて、いきなり成功するケースもありますが・・それはレアケースですね。
農業は儲かるのか?
大変なぶん、やりがいはありそうですが、農業で食べていけるのでしょうか?
色々な統計がありますが、平均すると300万円~400万円という農家が多いようです。
サラリーマンの平均年収は約420万円ですからそれと比較すると少な目、土地の管理も大変ですしどうなんでしょう?
会社に行き窓際族をしていても出世はできませんが、首にならない限りは食べていけますよね。
「働かざる者食うべからず」をまさに地で行くのが農業です。
めちゃ大変じゃないか!?
つまり、サラリーマンと違い経費で落ちる部分もありますから、見かけ上の年収では判断できません。
{売上-経費=所得(年収)}で経費で落ちる余地が大きいです。そして何より、自分で育てた農作物を自家消費できますから、食費もかなり節約できますし、うまく経営が軌道に乗ればそれほど悪くないように思えます。
問題は軌道に乗せることなのですが、上述の「農業次世代人材投資資金」などを利用して、開業当初の運転資金や当座の生活資金を確保できれば何とかなるのでしょう。
同じ面積の畑でも売れる野菜、単価が高い野菜とそうではない安い野菜(もやしとか)では売り上げや収益も変わってくるからね。
もちろん、その土地が何の栽培に適しているのか、気候は?など複合的に考慮すべき点がたくさんあります。
農業に転職する前に知っておくべき問題点
農業を始めるに当たっての補助金や支援制度など、国のバックアップは充実し、脱サラして農業へ転職する人は増えていますが、具体的に農家を始めるにあたって知っておくべき注意点もいくつかあります。
農業が大変といわれる理由
最初に書いたように農業従事者が高齢化していて、農家を継ぐ人が減っているのは、その労働環境にあることは言うまでもありません。
機械化が進み、昔に比べると楽になったとはいえ、クーラーも暖房もない外での作業が基本です。
農作物はこちらの都合など気にせず、ぐんぐん育っていきます。何もしないで放置すると枯れてしまったり、育ち過ぎて収穫の時期を逃してしまったりするかもしれません。
- 夏の暑い中での直射日光に照らされながら草むしり
- 真冬のまだ暗い早朝からの作業
- 台風が来ればその対応(ちょっと田んぼの様子見てくる・・・(( ;゚Д゚)))
- 害虫やカラスとの闘い
そして、会社員のような「定時」「定休日」がない仕事です。
一見、自分のペースで働けるのでは・・?と思うかもしれませんが、台風などの災害が起これば、何時であろうとその対策に走らなければいけませんし、会社員のようにカレンダー通りの連休など取ろうものなら作物は枯れてしまう恐れもあります。
思っている以上に、肉体的にも精神的にも負荷がかかる仕事であることは間違いありません。
ひょっとすると転職せずにそのまま会社員を続けていた方がいいかもしれませんよ。
失敗しても自分で責任を負わないといけません
何より農業で重大なのは、事業が失敗した時のリスクが大きすぎるということです。脱サラして安易な気持ちで始めても失敗する可能性があります。
「素人で農業を知らないから育てられない」ということが以外にも農業固有の潜在的リスクがあり、これはすべて自分で背負わなければいけないものになります。
収入が安定しないリスク
どこかの大規模農家に雇用されていない場合は、自営業になりますので毎月給料が入ってくるわけではありません。それどころか収穫期になり見事作物が採れても、売ることができないと1円にもなりません。
収穫までには種・苗、肥料、水、光熱費等先に運転資金、設備資金がかかります。資金繰りに余裕がなければあっという間にショートして潰れてしまうでしょう。収穫期までどう食いつなぐのか、そもそも無事収穫できるのか、ちゃんと売れるのか、特に初年度は資金的にどうなるのか予想が付きません。
気候、災害のリスク
農業は自然を相手にしますから、台風や豪雨、洪水など自然災害に遭う可能性があります。
もちろん、用水路の整備などである程度防ぐことができますが、巨大台風が直撃したり、局地的豪雨に見舞われたりしたら、農作物が壊滅してしまいます。
この自然災害リスクがゼロにはできないため、いくら丹精込めて育てても、全滅しなかったとしても、結果的に売り物にならない、商品価値が下がる、B級品、C級品になってしまうなどして収入が大きく減ってしまう可能性があります。
地域の人との付き合いは大切
会社社会の人間関係に疲れて一人でできる農業をしたい、という人もいるかもしれませんが、農業に転職しても人間関係から逃れることはできないでしょう。
農家として生活していく上で、その土地の地主や地元民、同業者や依頼先、取引先、行政など、農業に関わる人間関係は多種多様なのです。
中には、知らないところから来た農業をしたこともない「よそ者」に対する風当たりが強い所もあるかもしれません。それはなくても、田舎、農村独特のウェットな人間関係が肌に合わない人もいます。
そうなると、そこで暮らすこと自体が大きなストレスになってしまい、何のために転職したのかわからなくなってしまいます。
採れた農作物は勝手に売る」といっても、何のコネもツテもない人が自分の農作物を売ることはかなり難しいもんね。
そうなるとそこでの人間関係も発生します。
農業は自分一人で好きなペースでできる仕事ではないということです。
これらは基本自営業ですから、全ての責任を自分で負うことになってしまいます(大災害ならば見舞金や補償金も多少出るとは思いますが・・・)。
単に技術がないリスクだけではなく、農業という仕事の性質上どうしても発生するこれらのリスクを許容して、乗り越えることができなければ農業への転職は失敗してしまうでしょう。
安易に転職して~というものではなく、安全に転職したいのならば別の会社に転職した方がはるかにましです。
それでも、農業へのやりがいを感じて、新しい道を開拓したいのならば腹をくくってがんばりましょう。
それでも農業に転職したい人向けに転職サイトを紹介します
最後に独立開業して農業を始めるのではなく、農園や牧場に転職したい人向けの転職サイトを紹介します。条件を見ていただくとわかりますが、社員として働く場合、農業は安月給で早起き、休日も少ないというものがほとんどです。
それならば、こういうところで経験を積んだ後、独立して農業を始めた方がいいでしょう。参考にしてみてください。
あぐりナビ
農業求人サイトといえば「あぐりナビ!」。この分野では求人件数ナンバーワンの転職サイトです(求人件数約1000件)。
農家のおしごとナビ
新規に農業を始めたい人も大歓迎!という農業転職サイトです。農業に関するコラムや就農ツアーの案内なども行っています。
第一次産業ネット
新卒の農業、漁業求人中心ですが、転職の方もOKです。サイトの作りが農業っぽくなくて、ITの転職サイトのような構成になっています。農業をビジネスとして俯瞰して考えたい人はこのサイトに登録するといいかもしれません。
全国新規就農相談センター
「全国農業会議所」が運営するサイトです。求人情報の他、農業開業についても詳しく相談することができます。転職して独立開業したい意志が強い方はまずこのサイトを見ていただくと参考になるかもしれません。
農業への転職は一筋縄ではいかないのっで、色々なサイトや相談窓口でよく情報を仕入れて間違った選択をしないように、リスクを意識して動くようにしてくださいね。
農業に転職する人達!脱サラから未経験や女性まで魅力と失敗リスク まとめ
- 全国の農業人口は大きく減っている
- 一方で農業へ転職した人は国のバックアップもあり徐々に増えている
- 農業は素人が始めようとすると様々なリスクがある
- 農業固有の避けられないリスクもある
- 失敗すると負債などを自分ですべてかぶっています。相応の覚悟が必要
- 体力的にも楽な仕事ではないことに注意する
- 未経験者や女性でも転職できるが事前に農業についてよく理解することが必要
- まず従業員として大規模農場で経験を積むという方法もあり
- 農業はそれほど儲かるものではない
- やりがいを持って働けるように早急な判断は避けてよく研究する