昔と違い、IT機器や情報通信網の発達、つまり、パソコンやスマホの発達で、地方と東京の情報格差はあまりなくなりました。
しかし、やはり東京は憧れの土地であり、人を引き付ける何かがあるのは事実です。
今回は、東京で就職するメリットとデメリットをまとめてみました。
必ずしもメリットばかりではないことがわかりますが、どういう選択肢をするのか、この記事を参考にしていただければと思います。
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東京で働く!東京の求人倍率は全国トップ!仕事は多い
東京に仕事が多いのか、ここで都道府県別の有効求人倍率をみてみましょう。
都道府県別有効求人倍率|労働政策研究・研修機構(JILPT)
によると、2018年5月の「有効求人倍率」は東京が全国一位になっています。
- 全国平均 1.60倍
- 東京都 2.15倍
一人当たり二件以上の求人(仕事)があり、全国一就職しやすいのが東京都です。
2017年 | 2018年 | |||||||
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10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5 月 | |
全国平均 | 1.55 | 1.56 | 1.59 | 1.59 | 1.58 | 1.59 | 1.59 | 1.60 |
北海道 | 1.13 | 1.15 | 1.16 | 1.20 | 1.19 | 1.20 | 1.17 | 1.14 |
青森県 | 1.26 | 1.28 | 1.31 | 1.32 | 1.32 | 1.33 | 1.30 | 1.27 |
岩手県 | 1.41 | 1.44 | 1.44 | 1.46 | 1.42 | 1.45 | 1.45 | 1.44 |
宮城県 | 1.61 | 1.62 | 1.64 | 1.67 | 1.66 | 1.69 | 1.73 | 1.74 |
秋田県 | 1.39 | 1.43 | 1.43 | 1.50 | 1.48 | 1.59 | 1.60 | 1.51 |
山形県 | 1.59 | 1.63 | 1.63 | 1.73 | 1.65 | 1.60 | 1.61 | 1.57 |
福島県 | 1.47 | 1.48 | 1.50 | 1.51 | 1.49 | 1.51 | 1.53 | 1.51 |
茨城県 | 1.50 | 1.52 | 1.57 | 1.56 | 1.55 | 1.59 | 1.61 | 1.61 |
栃木県 | 1.38 | 1.37 | 1.40 | 1.41 | 1.37 | 1.42 | 1.42 | 1.44 |
群馬県 | 1.64 | 1.65 | 1.66 | 1.61 | 1.59 | 1.66 | 1.80 | 1.74 |
埼玉県 | 1.29 | 1.31 | 1.33 | 1.31 | 1.28 | 1.27 | 1.29 | 1.31 |
千葉県 | 1.28 | 1.29 | 1.32 | 1.34 | 1.35 | 1.33 | 1.34 | 1.36 |
東京都 | 2.11 | 2.13 | 2.15 | 2.08 | 2.09 | 2.07 | 2.09 | 2.15 |
神奈川県 | 1.20 | 1.20 | 1.21 | 1.23 | 1.22 | 1.19 | 1.20 | 1.20 |
新潟県 | 1.54 | 1.57 | 1.58 | 1.66 | 1.68 | 1.71 | 1.70 | 1.70 |
富山県 | 1.83 | 1.82 | 1.83 | 1.98 | 1.99 | 1.99 | 1.97 | 1.93 |
石川県 | 1.85 | 1.86 | 1.84 | 1.97 | 2.02 | 1.97 | 1.98 | 1.96 |
福井県 | 1.99 | 2.00 | 2.00 | 2.00 | 2.00 | 2.03 | 2.04 | 2.07 |
山梨県 | 1.42 | 1.44 | 1.47 | 1.48 | 1.46 | 1.49 | 1.46 | 1.44 |
長野県 | 1.65 | 1.67 | 1.67 | 1.70 | 1.65 | 1.70 | 1.69 | 1.70 |
岐阜県 | 1.82 | 1.84 | 1.92 | 1.90 | 1.92 | 1.97 | 1.97 | 1.97 |
静岡県 | 1.59 | 1.60 | 1.61 | 1.61 | 1.65 | 1.66 | 1.68 | 1.70 |
愛知県 | 1.86 | 1.87 | 1.88 | 1.91 | 1.89 | 1.93 | 1.95 | 1.98 |
三重県 | 1.66 | 1.67 | 1.65 | 1.68 | 1.70 | 1.75 | 1.73 | 1.69 |
滋賀県 | 1.33 | 1.36 | 1.37 | 1.36 | 1.37 | 1.42 | 1.37 | 1.36 |
京都府 | 1.52 | 1.52 | 1.53 | 1.56 | 1.56 | 1.62 | 1.58 | 1.55 |
大阪府 | 1.64 | 1.66 | 1.67 | 1.70 | 1.69 | 1.72 | 1.73 | 1.73 |
兵庫県 | 1.32 | 1.34 | 1.36 | 1.36 | 1.38 | 1.38 | 1.38 | 1.39 |
奈良県 | 1.35 | 1.35 | 1.34 | 1.40 | 1.39 | 1.42 | 1.43 | 1.42 |
和歌山県 | 1.28 | 1.30 | 1.32 | 1.34 | 1.29 | 1.30 | 1.27 | 1.26 |
鳥取県 | 1.66 | 1.68 | 1.69 | 1.68 | 1.61 | 1.58 | 1.58 | 1.60 |
島根県 | 1.64 | 1.65 | 1.68 | 1.67 | 1.66 | 1.71 | 1.69 | 1.73 |
岡山県 | 1.82 | 1.82 | 1.85 | 1.87 | 1.86 | 1.92 | 1.92 | 1.92 |
広島県 | 1.89 | 1.93 | 2.00 | 1.98 | 1.98 | 1.92 | 1.92 | 2.00 |
山口県 | 1.51 | 1.51 | 1.51 | 1.57 | 1.53 | 1.56 | 1.57 | 1.55 |
徳島県 | 1.44 | 1.45 | 1.45 | 1.41 | 1.37 | 1.43 | 1.46 | 1.44 |
香川県 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.77 | 1.84 | 1.73 | 1.78 |
愛媛県 | 1.57 | 1.56 | 1.56 | 1.58 | 1.62 | 1.60 | 1.57 | 1.56 |
高知県 | 1.21 | 1.25 | 1.26 | 1.25 | 1.25 | 1.21 | 1.29 | 1.31 |
福岡県 | 1.56 | 1.59 | 1.61 | 1.60 | 1.58 | 1.58 | 1.59 | 1.60 |
佐賀県 | 1.26 | 1.25 | 1.27 | 1.29 | 1.28 | 1.29 | 1.30 | 1.30 |
長崎県 | 1.21 | 1.22 | 1.21 | 1.25 | 1.25 | 1.22 | 1.19 | 1.22 |
熊本県 | 1.64 | 1.66 | 1.69 | 1.65 | 1.63 | 1.64 | 1.74 | 1.75 |
大分県 | 1.44 | 1.45 | 1.46 | 1.48 | 1.49 | 1.48 | 1.48 | 1.53 |
宮崎県 | 1.42 | 1.45 | 1.47 | 1.53 | 1.49 | 1.50 | 1.50 | 1.49 |
鹿児島県 | 1.23 | 1.25 | 1.27 | 1.26 | 1.27 | 1.24 | 1.27 | 1.27 |
沖縄県 | 1.14 | 1.15 | 1.16 | 1.17 | 1.14 | 1.12 | 1.17 | 1.12 |
出典:一般職業紹介状況(職業安定業務統計)|厚生労働省より作成
傾向として
- 求人倍率高い:大都市、北陸
- 求人倍率低い:北陸以外の地方
になります。
現状東京には人口流入が止まっていない=仕事には困らない
実際に東京へ出てくる人は増えているのでしょうか?
東京の人口推移を見てみましょう。
東京都のHPによると、東京の人口は年々増え続けていて、特に2000年前後から右肩上がりになっていることがわかります。
「東京都の人口(推計)」の概要(平成28年1月1日現在)|東京都
ポイントは
- 東京都の中でも23区周辺区(下町、山の手)で人口増加が多い
- 外国人だけではなく日本人も同じように東京へ流入してきている
- 一年間に10万人以上増加している
ということです。
オリンピックを前にして、インフラが充実しているからなのでしょうか。
大学の首都圏人員抑制政策~新卒で就活しにくい?
このように東京の人口は増え続けていますが、大学入学とともに東京に来て(首都圏の大学に入学)、そのまま東京で就職することが実は難しくなっています。
実は現在、政府や文部科学省の方針で、東京の大学(特に23区にキャンパスがある私立大学)の定員が限界まで絞られています。
東京の大学の定員の抑制に関する基本的な方向性・論点(案) |首相官邸
どういうことかというと
- 23区内にある大学の定員増は認めない
- 定員を超過して入学させた場合は補助金を減らす
というもので、以前ならば定員の1.5倍くらい合格を出し入学させていた各大学も、現在は定員ギリギリしか合格を出さず、欠員が生じたときのみ補欠から繰り上げ合格の措置を取っています。
つまり、23区内にある大学の難易度も偏差値も少子化なのにむしろ上がっているんです。
- 首都圏への人口の集中の防止
- 地方創生
- 過疎化を遅らせる
こういう理由もあり、東京へ大学入学時に出てくるのは、ここ数年で一気に難しくなっています。
この措置は23区内にある大学限定なので、神奈川県や千葉県、埼玉県に本部がある大学ならば大丈夫です。
そこの大学に入学→東京の会社に就職ということは可能になっています。
人口の東京への流入が予想以上に大事になっていることの表れでもあります。
このような現状を踏まえて、田舎を出て東京で就職するメリット、デメリットを考えて行きましょう。
地方から東京で働く・就職・転職するメリット
仕事の選択肢が多い
東京には数多くの企業や官公庁、団体があります。
つまり、自分がやりたい仕事、やってみたい仕事がある可能性は、東京がいちばん大きいのは事実です。
大企業はもとより、新興のIT、ベンチャー企業、おしゃれなアパレル企業、そのほか、みなさんがやってみたい仕事が東京にはあります。
逆に東京になくて地方にある仕事は、農業や漁業くらいでしょうか?東京湾で魚も獲れますし、都内に農園もありますが、既存の人たちが食べていくためのもので、新規に割って入ることはできないでしょうね。
人間関係がリセットされる
田舎の濃厚な人間関係が嫌、という人もいます。
東京をはじめ都会では、そういう人間関係がないので、今までをリセットして新しい人生を歩みたい人には、東京はうってつけです。
アパートの隣にどういう人が住んでいるのか、東京の人は気にしません。
筆者のかつて住んでいたアパートの隣人は、外部の駐車場を借りていたようですが、賃料を滞納していて、ある日帰ってくると、その隣の部屋のドアに「○○日までに返さないと強制執行するぞ!」という脅し文句が貼られていました。
暴力沙汰、流血沙汰寸前だったのかもしれません。
人間関係が希薄なのはデメリットにもなりますが、おせっかいな人がいないので「そろそろ結婚したら」みたいな「ウザさ」もありません。
好きなように生きられます。
時給、給料が高い
東京都内で働く場合、時給がおそらく全国一高いでしょう。
東京の最低賃金は現在「958円」です(2017年10月1日現在)。
つまり、都内で働く場合、時給950円以下のバイトは違法であり、ほとんどすべての職場の時給は1000円以上になっています。
これ、結構すごいことですよね。
ちなみに最低賃金最低は「737円」の自治体が複数あります。
東京と埼玉、千葉だと最低賃金が100円近く違う(東京が高い)のも意外と知られていない事実です。
つまり、(千葉県の)市川市や浦安市に住んで、(東京都の)江戸川区や葛飾区で働いた方が稼げるんです。
また、全国に支店がある企業正社員の場合「東京手当」「首都圏手当」のように、基本給に上乗せされて支給されるところもあり、物価や家賃が高い分を相殺できます。
転職先でも問題なく溶け込める
地方の場合、新卒で就職した場合、その会社にずっといる人が多いので、転職組はまず会社のコミュニティ(濃い)に溶け込む努力が求められます。
新卒の場合は、田舎の古い上下関係を引きづってしまいます(先輩後輩関係は絶対)。
しかし、東京の希薄な人間関係や、容易に転職できる環境の中では、転職組も(田舎から出てきた人も)比較的馴染みやすいです。
飲み会や社内行事に一切出ない正社員もいます。
田舎だとそういうのは難しいですよね。
ウェットな人間関係で転職しにくいという人は、東京で転職した方がメリットがありますね。
東京は圧倒的に面接の機会が多い、転職エージェントなどが多い
東京には会社がたくさんありますから、当然採用面接のチャンスも多いです。
また、転職産業もいちばん栄えています。
転職エージェントも、大手、外資専門、エンジニア専門、保育士専門、看護師専門など多種多様なエージェントがあり、より良い転職に役立ちます。
様々な企業へ就職、転職しやすいのも東京のいいところになります。
東京で働く・就職・転職するデメリット
家賃他物価が高すぎる
都内、特に23区の家賃は高すぎます。
ワンルームマンションでも7万円、8万円~10万円するところもざら。
二部屋以上あるところに住みたいならば、10万円以上は覚悟しないといけません。
田舎であれば、同じ広さの物件なら半額くらいで住むことができます。
いくら最低賃金が全国最高で時給が高くても、それ以上に家賃が高ければ差し引きマイナスです。
住環境はとても悪いと考えましょう。
高いのは家賃だけではありません。
丸の内近辺のランチは平均1000円です。
大したものでなくても1000円払ってランチというのは、相当懐に響きます。
自由を手に入れるためならいいのですが、お金を貯める目的なら、職を選ばないとむしろ貧困になってしまいます。
満員電車の通勤が「痛勤」
東京で働く場合、多摩地方の郊外とかでなければ、マイカー通勤はまずできませんので、満員の通勤電車に乗ることになります。
あの車内に一時間以上いることの苦痛と言ったらないです。
予想以上に体力、気力を奪われますし、健康にもよくありません。
痴漢の被害、あるいは痴漢冤罪など、満員電車を巡るトラブルも後を絶えません。
時間を有効に使いたいならば、職住接近している地方の方がいいかもしれませんね。
正社員になれないと将来がキツイ
三つ目、意外と気付かないのですが、正社員として就職・転職できれば問題ないのですが、派遣社員や契約社員で安易に妥協してしまうと、その後のキャリアが絶たれてしまうかもしれません。
求人数も多いのですが、正社員ではない非正規求人も多く、それでもそこそこの給料をもらえるため妥協してしまう人が多いです。
しかし、企業にとっては非正規雇用の人は、何かあった時の調整弁にすぎません。
いくらでも替えが利く存在であり、特に年長の非正規雇用の人は、自分しかわからない仕事を作って「替えが利かない存在」にならないと簡単に首を切られてしまいます。
退職後新しく仕事を探す場合も、正社員経験者ならばその経験やスキルを買って、転職もできますが、非正規しかやってきた経験がない人ならば、大した評価はされないでしょう。
筆者の昔の職場にもいましたが、いろいろな派遣の職場を渡り歩き、給料は20万円ちょっと。年金も健康保険も無視している人がいました。この人は、年を取ってからどうなってしまうのでしょうか?
東京にあこがれて出てきても、50代、独身、派遣、年収250万円、こういうレベルの人がざらにいて、この人たちは実家に帰らなければ人生詰んでしまいます。
東京で働くためのリスクヘッジ
以上、東京で働くことのメリット、デメリットを書きました。
東京は
- 仕事が多く選べる
- 時給も高い
- 薄い人間関係
というメリットもありますが、
- 物価、家賃が高い
- 非正規雇用に冷たい
- 生活は意外とキツイ
というデメリットもあります。
お金が貯まらない仕事についてしまうと、生活そのものができなくなります。
「貧困層」が田舎ではなく都会に多いのはそういうことです。暮らせない人には本当にドライな社会なんです。
「家業を継ぐ」「親戚の会社で働く」こういう「最悪何とかなる選択肢」を残しているだけで、精神的にも全然違います。後戻りできず、条件の悪い派遣を転々とする、というパターンに陥らないように事前にリスクヘッジをしておきましょう。
東京で働くためには転職サイトや転職エージェントを活用しましょう
東京都内の求人を地方のハローワークなどで探すのは大変です。
転職サイトならば、全国どこにいても東京の求人を探せますし、場合によっては地方面接(地方に会場を取りそこで面接)や、Skype面接(テレビ電話面接)をしてくれるところもあります。
そういう企業は採用にお金をかけているので、転職サイトに求人を出しているところの方がいいです(求人サイトへの掲載は企業側がお金を出します)。
転職サイトと転職エージェントの登録で、準備をしておきましょう。あとは、東京で働くメリット・デメリットを比較して決めましょう。
田舎を出て東京に就職・転職するメリットとデメリット比較 まとめ
- 東京の人口は年々増えている
- 東京の有効求人倍率は全国一位で就職、転職しやすい
- 最低賃金も全国一高い
- しかし家賃や物価が高く稼げない人にとっては生活が厳しい
- 非正規雇用の場合、上がらない給料と高い物価でお金が貯まらないおそれ
- 生活できなくなった場合のため田舎に戻っても何とかなるようリスクヘッジしたい
- しっかりと安定した職業を探すためには、転職サイトや転職エージェントでよく研究する