長い就職活動を経てようやく内定を獲得した!と思っていたら「内定取消の通知」が来て慌てていませんか?
慣れないスーツを着て緊張しながら面接を繰り返し、やっと獲得できた内定が取り消される絶望感は半端ないですよね。
「ふざけるな!」と怒りに震えている人もいると思います。内定をもらった時点で就活も止めたのに、直前になってやっぱりやめた!と会社都合でなかったことにされたらたまったものではありません。
だからこそいざ内定取消の通知や連絡がきてしまったときに備えて、どう対応すればいいのか事前に知っておくべきです。
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内定取り消しは違法ではない?
理由や根拠のない取り消しは違法となる
まず企業が求職者に対して内定を出すということは、その時点で雇用契約が成立したという状態になります。
つまり内定取消は実質解雇と同義になるのです。会社が正社員に対して正当な理由なく解雇ができないように、内定を法的に認められる理由もなく取り消すことはできません。
場合によっては弁護士に相談して、内定取消の撤回や慰謝料の支払いなど然るべき責任を企業に求めることも可能です。
内定取り消しが違法にならないケースもある
ただし以下のような条件が揃っている場合は、法的に内定取消が認められるので注意しましょう。
- 内定後の経営事情から、その人を雇うと今いる社員を解雇しなければならない
- 内定を出したあと、内定者が病気や事故などで予定通りの就業ができなくなった
- 内定後に内定者の情報に嘘があった場合
- 内定者が在学中の大学で留年し卒業できなくなったとき
これらの理由に該当した場合は、残念ながら内定取消はそのまま受理されてしまう可能性が高いです。
しかし、ただ経営状況が悪いからというだけの理由で内定を取り消すことは認められません。
まずは内定取消問題に強い弁護士に相談してみましょう。
新卒や転職の内定取消を弁護士に相談した際の費用目安
具体的な金額は弁護士事務所ごとですが、最低でも50万円~100万円程度の費用は発生すると考えておいたほうがいいでしょう。
ただ事務所にもよりますが、最初の30分は相談料無料としているところが多いです。
その後30分ごとに5000円などの料金設定がされています。
また実際に起訴や裁判を依頼するとなれば、着手金と報酬金+経済的利益の十数パーセントといった料金設定が一般的です。
そのため、利益によっては費用を差し引いても黒字になるでしょう。
しかも最終的にその企業に入社する可能性が低いという点を考えると、別の企業を探したほうが有意義と言えるでしょう。
新卒や転職で内定取り消しをされた時の対処法
1日でも早く就職活動を再開する
いつどんなときに内定取消に直面するかは誰にも分かりません。今現状内定取消をされて途方に暮れている人は、結論から言って早々に就職活動を再開したほうがいいです。
弁護士なりを通して抗議をしたとして、1度内定取消を出した企業に無理やり入社しても、あまりいい結果は待っていません。
転職エージェントや転職サイトに相談をしつつ、少しでも早く行動を起こすことをオススメします。以上を踏まえて、内定取消に対して行っておくべき対策についてもご紹介しておきましょう。
これをやっておけば、万が一内定取消の通達を受けたとしても慌てずに次の行動ができるようになります。
複数社の内定を獲得しておく
就職活動・転職活動を問わず、内定はいくつもらっても問題ありません。
むしろ求職者側の立場で考えれば、より多くの選択肢の中から自分に合った企業を選べる状況に持っていくのは、とても賢い行動です。
複数社から内定を得ておけば、その内の1社が内定取消を通達してきたとしても、一切問題はないでしょう。
1社目の内定が出るとその時点で就職活動を終えたくなる気持ちは分かりますが、いざというときに備えて2~3社の内定を獲得できるまで続けてみてください。
内定獲得後も就活を続けることで、もしかすると内定獲得企業よりもすばらしい会社に出会えるかもしれません。
自分の問題で内定取消になる要素を排除しておく
内定が取り消しになる理由として、自分が原因となるケースもあります。
具体的な内容に関しては後述しますが、履歴書に虚偽の内容を書いたり、内定後にトラブルを起こしたりすると、内定取消が法的にも認められてしまうのです。
せっかく獲得した内定を自分の素行で撤回されないためにも、内定取消になりそうな要素は徹底的に排除しておきましょう。
新卒や転職の内定が取り消しされる主な理由6つ
内定取消には大きく分けて「会社都合である場合」と「内定者に問題がある場合」の2パターンがあります。
基本的に会社都合の場合は、よっぽどの状況でない限り法的に認められません。繰り返しになりますが、内定を出すということは「求職者の入社を認める」という意思表示そのものだからです。
その内定を取り消す行為は解雇と同じ意味を持つため、正当な理由がない限り認められるものではありません。
上記の理由も含めて、内定取り消しになる理由について触れていきましょう。
会社都合で内定取消になる理由
まずは会社側の都合で内定取消通達を出す場合の理由です。
内定後に会社の経営状況が傾いた
第一に考えられるのが、内定者を決定したあとで会社の経営状況が悪化した場合です。少しでも人件費や教育費を削るために、確定していた内定者を切り捨てにかかります。
しかし、法的には会社の経営事情による一方的な内定取消は認められません。
もう既存の社員を雇うだけでもギリギリでやむを得ないというケースでは別ですが、ただ「今期赤字だったから」など一過性の都合では適用されないのが原則です。
その他の理由
会社の経営状況以外で内定が取り消しになる場合、その他で不都合があるためだと考えられます。企業が何もなく内定者を切り離すことはありません。
- 上層部の定める採用基準が変更になった
- 翌年には会社が他社に買収されることになった
- 会社の計画的な破産が確定した
など。
イレギュラーなケースが中心なので、実際にはもっと多くの内定取消理由が存在するでしょう。
厳密に内定取消の正当な理由として認められるのは一部だと思いますが、内定取消の内部都合としてはこのようなことが想定されます。
内定者の問題で内定取消になる場合
次は内定者側に問題があり内定取消になるパターンです。
とくに新卒就職で多く、転職や再就職ではあまりありません。
内定後に喧嘩や犯罪などのトラブルを起こした
内定をもらったあとで社会的に問題がある行動をしてしまうと、内定を取り消す正当な理由になります。その人材が入社することで会社の信用そのものを落としてしまう危険性もあるため、仮に内定を出していたとしても撤回することができるのです。
社会的に問題のある行動とは、主に喧嘩や犯罪などが挙げられます。これから社会人として働いていく以上、最低限の社会マナーは守って生活しておきましょう。
大学が卒業できなかった
大学在学中に就職活動をするのはごく当たり前のことです。早めに内定を獲得できれば、残った学生生活を大いに満喫できるでしょう。
しかし、卒業前に単位を落としてしまい留年が確定すると、獲得していた内定は取り消しせざるを得ません。正社員として勤務できないのですから。
会社側に相談すれば待ってもらえる場合もありますが、基本は採用見送りになると考えていいでしょう。内定をもらえたからと安心しないように注意してください。
過去に大きな犯罪歴があったことが判明した
あまりないことですが、過去に犯罪歴などを持っていると内定取消の要因となる可能性があります。
本来は内定取消の正当理由として認められないことですが、事前にそれを面接などで伝えていなかった場合、会社によってはリスクとして捉えるかもしれません
これらの個人情報や経歴は自ら伝える義務こそありませんが、知られると内定取消の要因となり得ます。また会社によっては賞罰歴(犯罪歴)の申告を採用条件に定めているケースもあり、この場合は正直に伝えなければなりません。
もし、犯罪歴があるのに賞罰歴を隠して内定をもらった場合、虚偽の情報を会社に提出したという点から内定取消の正当理由に該当します。
虚偽の情報で就職活動していたことが発覚
賞罰歴はもちろん、出身大学や名前・資格・住所・年齢などあらゆる個人情報は事実に基づいて記入しなければなりません。
嘘の情報を提出して内定をもらった場合、発覚すると内定取消や懲戒免職・解雇の正当な理由となります。
年齢的に再就職が難しいから少し若くサバを読んで・・・など、自分が有利になるよう情報を偽ると後々のリスクが圧倒的に高くなってしまうのです。
新卒や転職で内定取り消しをする企業は辞退した方がいい可能性も
無理やり入社しても出世や明るい未来はない
苦労して内定を獲得したのに取消にあってしまうと、何とかして撤回してもらいたいと考える人も多いと思います。
たしかに弁護士などを通して戦っていけば、内定取消を撤回させられる可能性はあるでしょう。しかし、1度内定取り消しを出した企業に入社しても、あまり明るい未来が待っているとは考えられません。
時間もお金もロスするので別な就職先を探した方がいい
争うために必要な費用や時間を考えると、多少苦労をしてでも別の就職先を探したほうがいいでしょう。
面接官に就活の時期が遅くなった理由を聞かれても、内定取消の事情を説明すれば配慮してもらえます。
内定取り消しの違法や理由まとめ
内定取消は非常にショックな出来事です。取消をされた瞬間、すべてが嫌になるかもしれません。
ですが「そんな会社に入社しなくてよかった」と前向きに考え直し、今度こそ最高の会社から内定をもらえるように頑張りましょう。