航空管制官は責任に対し年収が低い?辞めた体験談、将来はなくなる?

皆様は航空管制官についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。

空港や飛行機を舞台としたアクション映画などで、航空管制官がレーダーを見ながら飛行機のパイロットへ指示を繰り出すシーンなどがしばしば登場しますが、そうした場面を見て航空管制官にカッコよさや憧れの思いを抱いている方も少なくはないでしょう。

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ところがそうしたイメージとは裏腹に、傍からではわからない航空管制官特有の苦労や大変さがあります。

そこでこの記事では航空管制官ならではの苦労や重圧といったあまり知られていないマイナス面にもスポットを当てると共に、航空管制官への転職を志すも挫折した方の体験談を通じ、航空管制官を目指す場合に必要となる心得や覚悟などをお伝えして参ります。

航空管制官の主な仕事内容

飛行場管制業務

空港で最も高い建物であり、しかも四方がガラス張りとなっているのが管制塔と呼ばれる建物です。

この管制塔において、航空管制官が目視によって空港へ着陸、あるいは離陸しようとしている飛行機のパイロットに指示を出すことで、安全に飛行機を誘導する業務が飛行場官制業務です。

ターミナルレーダー管制業務

管制塔の下部にはレーダー管制室というものがあり、そこには映画などでもお馴染みのレーダー機器がずらりと並んでいます。

ターミナルレーダー管制業務とはそのレーダー管制室において、空港からでは目視できない遠方を航行中の飛行機に対しレーダー機器をフル活用しながら、安全に航行できるよう高度や針路等に関する指示を出す業務のことです。

ドラマでも航空管制官の仕事は責任重大だった

2012年に深田恭子さんが主演を務めた【TOKYOエアポート~東京空港管制保安部~】は、羽田空港を舞台に、航空管制官の仕事をテーマとしてドラマが繰り広げられています。

深田恭子さんをはじめ、佐々木希さん瀬戸朝香さん要潤さんも出演していました。
ドラマを見る限り、発音の良い流暢な英語も航空管制官には必要なスキルのようですね!

国家公務員である航空管制官とは、【空の交通管理をして、飛行機の離発着を安全かつスムーズに行うために指示をすること】が仕事です。
空港にある管制塔が、仕事の現場になります。

航空管制官の仕事は大きく分けて2つ!
【飛行場管制業務】【ターミナルレーダー管制業務】があります。

それぞれどのような仕事なのか?詳しくみていきましょう!

超難関!航空管制官になるには?

受験資格を満たすのが大前提

受験資格は大きく二つです。

一つは学歴で、短大、高専、大学以上の学校を卒業しているか卒業見込みであることです。

二点目は年齢です。

航空管制官採用試験は30歳になるその年までしか受験資格を得ることができません。

31歳以降は受験資格がなくなりますので、年齢が30歳に近い方は特に注意が必要です。

もし30歳で不合格となれば、その時点で諦めるしかないのです。

航空管制官採用試験への合格

航空管制官になるには「航空管制官採用試験(1次試験~3次試験の計3回)」を受験し合格して、国家公務員になることがその第一歩となります。

航空管制官の合格率は例年でだいたい5%前後です。

95%前後の人が落ちるという大変狭き門であり、試験の問題集を買ってきてちょっと勉強する程度ではまず合格できないと考えて構いません。

もし合格を目指すなら最低でも1年程度は勉強付けの毎日を覚悟する必要がありますので、サラリーマンの方が仕事を抱えたまま試験勉強を両立させることは至難の業と言えます。

視力や聴力にも問題がない

航空管制官の受験資格は以下のとおりです。

  • 短大、高専、大学以上の学校を卒業していること
  • 年齢が30歳まで(31歳になる年は受験できません)
  • 日本国籍をもっていること

航空管制官の受験資格は持っているけど、以下の条件に1つでも当てはまる人は、試験に合格することができません。

矯正眼鏡使用を問わず、以下の条件に当てはまる場合は不合格になります

  • どちらか一眼でも0.7に満たない
  • 両目で1.0に満たない
  • どちらか一眼でも、80センチメートルの距離で、近距離視力表(30センチメートル視力用)の0.2の視標を判読できない者
  • どちらか一眼でも、30~50センチメートルの視距離で、近距離視力表(30センチメートル視力用)の0.5の視標を判読できない
  • 色覚異常をもっている

片耳でも以下の失聴がある人も不合格になります

  • 3,000ヘルツで50デシベル以上
  • 2,000ヘルツで35デシベル以上
  • 1,000ヘルツで35デシベル以上
  • 500ヘルツで35デシベル以上

学歴だけでなく、身体能力の必要性も問われます。
受験するときは、病院でしっかり健康診断を受けましょう。

TOEICなども英語力も重要

試験内容は一般教養の他、航空管制官にとって必要な空間把握力に関わる試験と英語などがあります。

航空管制官になるための試験は、3次試験まであります。
1次・2次試験では英語の文法を始め、英会話はヒアリングも行われます。

実際、航空管制官の業務では、パイロットのやり取りは英語で行われるので、英語力はかなり重要です。

国内線の飛行機だけでなく、国際線の飛行機の離発着・誘導をする必要があるからです。
世界各国から、飛行機は空港にやってきます。
さまざまな国籍の人とやりとりをするには、英語は必須能力です。
一次試験の英語は、大量の長文を素早く読み込む力も必要です。
二次試験のリスニングは、長文&会話のスピードも早いので、慣れておきましょう。
目安としては、TOEICで最低でも600点は取れるようにしておきましょう。
700点あれば、少し余裕がでます。

高い集中力と判断力、重圧に耐える精神力が必要

航空管制官の仕事内容は先程ご紹介した二つの業務ですが、それらの業務をやり抜くには長時間途切れない集中力、状況を瞬時にしかも的確に判断する能力、そして重圧に耐える精神力が必要です。

例えば

  • 空港を取り巻く気象は刻々と変化します。
  • 急に突風が吹く場合もあれば、突然雪が降り出すこともあります。
  • 変化するのは気象だけではありません。
  • 飛行機に突然トラブルが発生したり、動物が滑走路に迷い込んだりすることもあります。

そういった常に変化する環境の中で、航空管制官は何が最も安全で適切かを瞬時に判断し、的確にパイロットへ指示を下さなければなりません。

しかも、もしそうした判断や指示でミスをしてしまった場合には飛行機の安全性が脅かされ、最悪多数の人命が奪われる大惨事を招きかねないのです。

謝罪すれば済む話ではありませんので、航空管制官にミスは絶対に許されないのです。

つまり航空管制官は、刻々と変化する環境の中で、絶対にミスが許されない判断を瞬時に下さなければならないという大変な重圧に業務時間中ずっとさらされることになります。

この重圧に耐え続けるタフな精神力がなければ、航空管制官としての職務を全うし続けることはできないのです。

現時点で航空管制官になるのが難しそうと思った方は、厳しいことを言いますが管制官になるのはほぼ無理と言わざるをえません。以下のサイトなどを活用し、素直に別なお仕事を探した方が良いでしょう。

補足:航空管制官は通信講座でも取得可能なの?

航空管制官の資格は、通信講座では取得できません。
試験にパスした人のみ取得できます。

しかし、試験にパスするための勉強を通信講座ですることはできます。
航空管制官になるための学校に通う余裕がない人は、試験対策を通信講座で行うといいでしょう。

航空管制官の試験は非常に難易度が高いです。
片手間の勉強では合格するのは難しいので、目指すのであればしっかりと対策をしましょう。

試験合格後に航空管制官になるまでまでの流れ

公務員として研修に合格する

大変な狭き門をかいくぐり無事試験に合格しても、即管制官になれる訳ではありません。

国土交通省が所管する航空保安大学校で公務員として給与を得ながら、1年間研修を受ける必要があります。

無事1年間の研修を終えたら、全国各地の赴任先へ配属されしばらくは訓練生と言う身分でOJTを受けます。

その後内部試験に合格してようやく一人前の航空管制官と認められます。

航空管制官になってからも試験に合格しなくてはいけない

では航空管制官採用試験に合格し、研修を受けて内部試験もパスすれば後はずっと航空管制官として仕事ができるかと言うとそうではありません。

航空管制官は国際的な取り決めにより、パイロットと英語でスムーズにコミュニケーションが行なえるよう定期的に英語能力証明試験を受けて、一定以上の英語力があることを証明し続ける義務があります。

また、航空管制官は定期的に全国の空港へ転勤を命じられますが、転勤すれば気象条件や地形、風向き、空港の構造や滑走路等それぞれ条件が異なってきますので、ベテランであっても都度訓練や研修を受け、且つ内部試験に合格することが求められます。

それらに合格できなければ、航空管制官本来の業務を行なえなくなります。

つまり航空管制官として第一線で活躍し続けるには、「勉強し続ける覚悟」が必要と言えます。

ここまで読んで航空管制官は難しそう、と感じた方は以下の記事で自分の適職を診断するのもおすすめです。

航空管制官の年収を解説!努力や重圧に見合っている?

ご紹介したとおり、航空管制官は超難関といわれる試験を突破しなければなることができず、しかもなった後はとても大きな重圧に耐え続ける必要がある仕事ですが、それだけの努力や苦労に見合った年収を得ることができるのか、航空管制官の年収について見てみましょう。

航空管制官は国家公務員ですので、年齢に応じてだいたいの年収が決まっています。

まず航空管制官全体での平均月額給与は約43万円、平均年収額は650万円前後となっています。

年代別での年収目安としては

  • 30代:540万円程度
  • 40代:720万円程度
  • 50代:830万円程度

といった金額になります。

年収は悪くないが苦労に見合ってない

ご紹介したとおり、年収額そのものは決して悪い方だとは言えません。

しかし航空管制官は一般公務員と異なり、高度な専門性が問われる専門技術職であることを踏まえれば決して好条件とも言えません。

例えば法律の専門職と言える検察官は階級があがれば、40代であっても年収は軽く一千万円を超えます。

航空管制官になるための大変な努力と、業務時間中ずっと重圧に耐え続ける対価として航空管制官の年収をとらえた場合、むしろ割に合わない仕事と言えるかも知れません。

航空管制官になるメリット・デメリット

航空管制官になるための大変さや、なってからの責任の重さ等、マイナス面もしくは短所と言える面を中心にお伝えしてきましたが、勿論航空管制官ならではの長所というものもあります。

ここで航空管制官の長所と短所を整理してみることにしましょう。

航空管制官のメリット

  • 空港や飛行機の安全を確保する大変やり甲斐のある仕事である。
  • 社会的に尊敬される職種であり、印象や評価も高い。
  • 国家公務員として安定した収入を得ることができる。
  • あまり残業と言う概念がない。基本的に勤務時間が終われば仕事を終えることができる。

航空管制官のデメリット

  • 試験突破が容易ではなく、年齢上も30歳までしか受けることができない。
  • 仕事にミスが許されず、大変なストレスに毎日さらされる。
  • 全国に転勤を命じられる。原則として赴任地は選べない。
  • ずっと試験を受け続ける必要がある。即ち勉強し続ける必要がある。

航空管制官は将来的になくなる?

AIにより航空管制官の仕事はなくなる、と言っている方も多いですが、結論から言うと完全に無くなることはないと予想されます。

確かにAIが肩代わりできる仕事内容もあるので、部分的にはAIに代替されて配置人員が減る可能性はあるでしょう。

しかし、航空管制官の重要な仕事である航空機事故が発生した、あるいは発生しそうな時の柔軟な対応はAIには困難です。

事故のケースや原因は千差万別で、対応も事故を起こした航空機の機種や気候条件によって変わってきます。

平常に運行ができている状況であればAIでも対応できますが、緊急時には人間の対応が必要になるので、当面は航空管制官の仕事がなくなることはないでしょう。

航空管制官の離職率はどのくらい?

航空管制官は20代〜30代の人が現場で活躍している割合が多いようです。
40代以上になると現場ではなく、勤務管理や緊急時の対応・人材育成業務に回ることが多いため、現場がメインになる機会が徐々に減っていくようです。

航空管制官はやりがい以上に責任が重く、せっかく試験にパスしたけれど、精神的についていけずやめる人も多いそうです。
そのため人手不足も深刻になっています。

しかし激務だけれど、現職で働き続けている人の割合が多いので、離職率が極端に高いというわけではなさそうです。

航空管制官の合格率は5%と非常に狭き門!
それなりの覚悟を持って仕事をしている人が多いのかもしれませんね。

航空管制官になりたい人におすすめのシミュレーションアプリ

航空管制官の仕事のイメージをしたいなら、アプリで体験してみるのも◎!
飛行機を衝突させないようにうまく誘導できますか!?
【Take Control of the Tower(無料)】

多くの飛行機が、管制塔に向かって飛んでくるので誘導するゲーム!

レベルがあがると、時間制限あったり、着陸コースや飛行機の数が増えていきます。
【ぼくは航空管制官 RUNWAY STORY 大阪Lite(無料)】

飛行機の離発着をコントロールする航空パズルゲーム!

限られた空港設備の中でうまく指示を出して、飛行機のコントロールをしましょう。

素早い判断力が必要!

航空管制官になろうか迷っている人によくあるQ&A

航空管制官の倍率はどのくらい?


航空管制官の受験率は年々減少しています。

一番ピークだった平成22年度の倍率は、20倍前後と非常に高かったです。

平成29年度の受験倍率は約7.5倍でした。
年々かなり減少しているので、チャンスがあれば受験する価値はありそうです!

独学でも航空管制の資格は取れる?

航空管制官は試験合格後、航空保安大学で1年間研修を受けます。
この試験を合格するのが最大の山場です。
試験は基礎能力を始め、高い英語力が必要になります。

公務員としての能力や、航空管制官として必要な記憶力・空間把握力も問われます。
ただの一般常識を問うような問題ではないので、独学では難しいかもしれません。

この英語も一般的な会話ではなく、航空管制官に携わる専門的用語を使用します。
単語の意味を覚えるだけでなく、どのような会話をしているのか?を理解する必要があります。

しかし、実際受験した人によるとTOEICが700点ある人は余裕をもって受験ができた人が多いようです。

もし独学で勉強をする場合は、過去問を研究して、傾向と対策を分析しましょう。

航空管制官は女性でもなれる?

航空管制官は女性でもなれますし、実際活躍している人が多いです。
現時点では、男性航空管制官の割合が多いです。

平成29年度の女性受験者の倍率は約7倍、合格率は14%でした。
(男性の倍率は約8倍、合格率は約12%)

男性の受験者が圧倒的に多いですが、女性の合格率の方が高かったです。

航空管制官って残業あるの?

基本的に交代制なので残業はありません。
勤務時間は1日8時間の24時間体制のシフト制で、早番・遅番・夜勤の3パターンで組まれています。

早番は早朝7時からのスタートなので、仕事が終わるのも15時頃と早いです。
夜勤業務も深夜0時までの人と、0時以降から朝までの2つに分けられます。

かなり集中力がいる仕事なので、30分〜1時間ごとに交代して細かい休憩が多いのも特徴です。
つまり、各シフトの人が1人ではなく何人もいるということです。

有給は取得可能なの?

人員不足といわれる航空管制官ですが、有給はとりやすい環境にあるようです。
同じ時間帯のシフトを担当する人が多いからこそ、調整しやすというのは魅力的ですね!

航空管制官の仕事をしている人は、グループ内で調整をして長期休暇なども取っているようです。
オン・オフをはっきりさせて働かないと、集中力がもたないとか!

航空管制官の年間休日はどのくらい?

年間休日については明記されていませんが、基本的に5日働いて2日休むというシフトです。
4週間で8日の休みがあるので、96日は確保されています。

航空管制官の人員不足は深刻で、最小限の人数で回している空港が多いそうです。
なので、年間休日120日に届いていない求人もあり、休みにゆとりはないかもしれませんね。

海外勤務(海外転勤)を含む異動はある?

10年同じ場所で働いている人もいれば、3〜5年の期間で異動をしている人もいます。

航空管制官は、転勤をするとその都度訓練を受けなくてはいけません。
空港によって、必要な資格が違うからです。

また、出向という形式で海外に転勤することもあります。

航空管制官になりたいなら知ってて当たり前!知識と過去問

航空管制官の試験は、数学などの一般的な問題が出されることはありません。
問題を推理して答えを出したり、物事の判断力を推理するような問題が出されます。

問題数自体はあまり多くありませんが、1つの問題を終えるのに時間がかかるので、配分を気をつけておきましょう。
また、英語の特典配分は高めに設定してありますので、落とさないようにしっかり力をしっかりつけましょう。

過去問も掲載されているので、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

航空管制官に向いている人・向いていない人

出身大学でわかる航空管制官になる人が多いのは何系?

航空管制官になるのに、理系・文系は関係ありません!
しいていえば、文章読解能力も必要ですし、空間計算も必要なので【どちらも向いています】
東大・慶応・早稲田などのいわゆる6大学を卒業したからといって、なれるわけでもありません。

英語力はかなり大切かもしれませんが、学力重視ではないからです。

航空管制官に向いている人
  • 物事において臨機応変に適切に判断ができる人
  • チームワークを大切にできる人
  • 集中力や記憶力が高い人
  • 頭でしっかり状況把握をして、順序よく解決できる人は航空管制官に向いています
航空管制官に向いてない人
  • 長続きしない、ただ飛行機が好き
  • 与えられた仕事に対して、100%実力を発揮しない
  • 「まぁいっか」でなんとなくの雰囲気で物事をあやふやにしてしまう
  • 仕事量に対して適切な報酬ばかりを重視する人

航空管制官は、1つ間違えれば大きな航空事故につながります。
飛行機と飛行機の距離感、空間判断能力がないとぶつかってしまいます。
レーダーと、数字のみがたよりです。

国家公務員で、仕事の責任も重いけれど、もらえる給料は少ないです。
航空管制官の仕事に心から誇りをもたないと、続けることができない仕事なのです!

どうせ公務員になるなら楽だったり給料が多いほうがいいという方は、残念ながら航空管制官は向いていないでしょう。
素直にそれらの条件を満たした公務員の試験を受けた方がいいです。

航空管制官を辞めた人の体験談

A氏(当時28歳)
【体験談】私が管制官を目指してやめた理由
A氏は航空管制官の採用試験に合格し、航空保安大学校へ研修生として入学しましたが研修を修了する直前に、航空管制官となることを断念しました。
A氏はなぜ断念したのか。
彼の口から語られた経緯やその理由をご紹介しますので、航空管制官を目指している方は同じような挫折感を味合わないようにするためにも、ぜひ参考にしてください。「私は子供の頃から実は航空管制官の仕事に憧れていました。
きっかけとなったのはハリウッド映画で空港を舞台としたアクション映画だったのですが、その映画に登場した航空管制官がとてもカッコ良く思え、ぜひこうした仕事につきたいと長年思い続けていました。しかし大学卒業前に挑んだ採用試験では不合格となり、泣く泣く当時内定をもらった商社に入社しましたが、やはり航空管制官への夢が捨てきれず、会社を数年で退職して受験勉強だけに専念しました。
その結果、なんとか2回目のチャレンジで無事合格でき、航空保安大学校で研修を受ける身分となりました。ところが・・・あと一ヶ月程度で研修修了という時期に、私は航空管制官になることを断念しました。その理由ですが、一言で説明できるようなものではありませんが、簡単に言えば頭では十分理解していたつもりだったはずが、実は航空管制官に課せられる責任の重大さをほとんど理解できていなかったことに気付かされたというか、このまま無理して航空管制官になっても、きっと責任の重さに耐え切れなくなることがわかったから・・・といった理由です。例えば研修の中では「そんな状況では的確に判断しろという方が無茶だ」と怒りが込み上げてくるような難しい場面での判断や指示方法を幾度となく問われました。
しかし、そうした状況でも冷静に的確に判断しなければなりませんし、その判断が誤ってしまえば悲惨な事故を招いてしまう場合がある訳です。つまり航空管制官に求められる判断とその責任度合いは自分が頭で描いていたことより何倍も大きかったことを、恥ずかしながら研修を通じてようやく理解することができたということです。
そのことがようやくわかったので、きっとこのまま航空管制官になってしまえば自分が壊れてしまう・・・そうした思いに至り、退職を決意しました。後進の皆さんにお伝えしたいことは、月並みですが航空管制官の仕事は皆さんが想像している以上に厳しく責任が重い仕事であるということです。
それが想像以上であったとしても挫折しない覚悟や勇気があるかどうかは、航空管制官を志す前によく自分自身で考えて欲しいと願います。」

航空管制官以外にも航空業界の仕事はある

航空管制官の他にも航空業界には整備士や空港内のサービス業務・事務など幅広い職種のお仕事があります。

 


 

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