公認会計士になるには?受験資格や就職先まで詳しく解説!

※この記事は2021.8.25に更新した最新版です。

3大国家資格という言葉をご存じでしょうか。国家資格のなかでも、特に難易度の高い3つの資格を表す言葉です。

その3つのパターンはいくつかありますが、「司法試験」とともに必ず名前があるのが「公認会計士試験」です。

今回はそんな公認会計士になる方法や受験資格、就職先、合格率、試験のスケジュール、必要な勉強時間などを解説します。

 

難易度が高いだけに挑戦するには勇気が必要ですが、
合格のメリットは絶大ですので、ぜひチャレンジして下さい。

公認会計士になるには?

まず大前提として、2回の試験に合格する必要があります。

詳しくは後述していますが、この試験の時点で約9割の方が合格できずに終わっています。

その後、2年間の実務経験と実務補習所で単位を取得し、終了考査と呼ばれる最終試験に合格することで、はじめて公認会計士の資格が得られます。

最初に試験自体の難易度が相応に高い上、普通の資格と違い実務経験が必要なせいで、弁護士や不動産鑑定士と並んで最も難易度が高い国家試験の一つです。

公認会計士試験の難易度や合格率は?

合格率は8%~10%と言われている

公認会計士試験は非常に難易度の高い試験で、合格率は「8%から10%程度」といわれています。

実際に最近の合格率を見ていくと、以下の通りです。

  1. 平成27年度:志願者数10180人中、1051人が合格(合格率10.3%)
  2. 平成28年度:志願者数10256人中、1108人が合格(合格率10.8%)
  3. 令和2年度:志願者数13,231人中、1,335人が合格(合格率10.1%)

非常に狭き門ですが、近年は合格率が2桁%に達することが多いようですね。

公認会計士になるまでの平均勉強時間は?

平均で3年、3,000時間の勉強が合格の目安

平均学習期間は3年程度で、平均して3000時間の勉強が目安になるようです。

このような膨大な勉強時間を経て、毎年多くの方が公認会計士試験の突破を目指しますが、それでも合格率は約10%というのが現実です。

筆者の友人は約4年かかった

筆者の学生時代の友人にも公認会計士になった人物がいますが、彼が公認会計士試験を突破したのは大学卒後2年目、つまり足掛け4年近くかかったことになります。

大学3年時から資格学校と大学のダブルスクールを実行し、大学4年時には毎日8時間以上勉強していましたが、彼曰く「1日が24時間では足りない」とのことでした。

合格・勉強のコツは勉強の習慣化

人間は無限に勉強できるわけではなく、特に公認会計士のような難関試験の勉強となると体力的にも精神的にもエネルギーを要します。

そのため、リフレッシュしながら勉強していく必要があるのですが、勉強期間が数年と長いためやはり途中でダレてしまいます。

そんな時は「インプットはやめて、ひたすら問題だけ解く」ということを繰り返し、勉強を習慣化することで合格できたようです。

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公認会計士になるための受験資格

公認会計士試験には、基本的に受験資格がありません。

つまり、どんな人間でも何歳からでも挑戦することが可能です。もちろん学歴も関係ありません。

2006年までは大卒者のみ1次試験が免除されていたのですが、現在はこの1次試験が撤廃されています。

公認会計士の受験資格は高卒にもある?

一般的に公認会計士は大卒でなければ無理という印象がありますが、学歴は関係ないと説明した通り実際は高卒でも問題なく公認会計士になることができます。

もちろん試験自体は難しいので合格は簡単な道ではありませんが、キャリアアップの手段として公認会計士を目指すのは大いにありです。

公認会計士になるための試験の内容

短答式試験と論文式試験の2種類がある

公認会計士試験の試験内容ですが、「短答式試験」と「論文式試験」の2部構成になっていると考えてください。

そして「短答式試験」の合格者しか、後日行われる「論文式試験」を受験することができません。

短答式試験とは、一問に対しての答えが一つの選択肢や言葉になっている形式の試験を指します。

マークシートによる選択式がイメージしやすいでしょう。実際に公認会計士試験の短答式試験でも、マークシートを採用しています。

短答式試験の試験内容を紹介

短答式試験では、以下4つの大きなカテゴリーが設けられています。

・財務会計論……簿記や財務諸表論、その他企業の意思決定にまつわる情報提供に関すること
・管理会計論……限界計算、その他業績管理に役立つ情報提供などに関すること
・監査論……金融商品取引法や監査基準について問われること
・企業法……会社法、商法、記入商品取引法、その他監査対象となる組織に関すること

これらそれぞれのカテゴリーの正答率が最低4割以上、全体として7割以上の正答率で合格となります。

全体で70点をとっても、企業法で35点をとってしまうと危険ということです。また、この短答式試験に合格すると、2年間の免除期間があります。

つまり、一度短答式試験に合格すると、翌年と翌々年の試験では論文試験のみを受ければよいのです。

そのため、まずは短答式の合格を目指す方という方法も可能ですので、しっかり覚えておきましょう。

論文式試験編の試験内容を紹介

短答式試験に合格すると、次は論文式試験の合格を目指すことになります。

短答式と異なり問題に対する回答を論文形式で記述するため、内容に対する正確な理解と、一定以上の情報量が必要になります。

つまり、運の要素が少なくなるわけです。

論文式試験は以下のカテゴリーから出題されます。

・会計学……財務会計論(簿記や財務諸表論)、管理会計論(原価計算など)
・監査論……金融商品取引法や監査諸基準、監査理論など
・企業法……会社法、商法、金融商品取引法、その他監査対象となる組織に関すること
・租税法……法人税法、所得税法、租税法総論や消費税法、相続税法など
・科目選択制……経営学、経済学、民法、統計学から選択してひとつ

実はこの論文式試験にも免除制があり、公認会計士試験全体として不合格であったとしても、論文式試験のカテゴリーのうち合格基準に達したものについては「科目合格」となるのです。

そのため、一度合格したカテゴリーに関しては2年間の免除が可能になるので、不合格の科目だけに集中することができます。

短答式試験の免除制と合わせて、覚えておきましょう。

公認会計士になるなら知っておきたい免除制度について

公認会計士試験では、ほかの分野で一定の資格や学位を持っている人材を対象に、免除制を導入しています。

例えば、短答式試験では、以下のような人材が免除を受けられます。

・大学等で3年以上、教授や准教授に在職していた人(商学関連科目、法学関連科目)
・商学関係の研究で博士号を持っている人
・司法試験合格者

また、税理士資格保持者や税理士試験の科目合格者は、簿記論や財務諸表論が免除されます。

その他、会計監査業務に7年以上従事した人は財務会計論、監査論、管理会計論が免除。

ただし、これらを証明する書類が必要になります。

論文式試験も同等に免除される条件があり、基準は概ね以下の通りです。

・大学等で3年以上、商学関連の教授や准教授に在職していた人……会計学及び経営学が免除
・商学関連の博士号取得者……会計学及び経営学が免除
・法学分野で博士号取得者……企業法及び民法が免除
・大学等で3年以上、経済学関連の教授や准教授に在職していた人……経済学が免除
・経済学分野で博士号取得者……経済学が免除
・司法試験合格者……企業法及び民法が免除
・不動産鑑定士試験合格者……経済学または民法が免除
・税理士試験合格者……租税法が免除
・企業の会計制度の整備など実務従事者……会計学が免除
・監査制度の整備など実務従事者……監査論が免除

このように免除規定が充実しているのは、さまざまな分野から会計の分野へ人材流入を狙っているという背景があります。

実務レベルの知識をもっている方や、他分野(特に法学関連)で専門知識がある方は、有利な条件で挑戦できるでしょう。

【最新版】公認会計士試験実施スケジュール

公認会計士試験は、毎年6月に試験施行の官報公告が出され、8月から9月及び、翌年の2月から3月に受験願書が配布されます。

これは、短答式試験が年2回実施されるためです。(12月と5月)

論文式試験は1回で、基本的には8月下旬に行われます。

以下のスケジュールを例にすると、イメージしやすいでしょう。

令和3年度の試験日の例

試験施行官報公告願書配布期間願書受付期間試験期日合格発表日
短答式1回目令和2年7月上旬令和3年1月12日(火)
~令和3年2月25日(木)
令和3年2月5日(金)
~令和3年2月25日(木)
令和3年5月23日(日)令和3年6月18日(金)
論文式試験令和2年7月上旬令和3年1月12日(火)
~令和3年2月25日(木)
 令和3年2月5日(金)
~令和3年2月25日(木)
令和3年8月20日(金)
~令和3年8月22日(日)
令和3年11月19日(金)

参考:公認会計士・監査審査会

なお、令和4年(2022年)に関しては、例年通り短答式試験が2021年12月12日と2022年5月29日の2回に分けて実施されています。

長丁場になるので、ある程度ターゲットを絞りつつ、期間ごとに重点対策する分野を決めながら挑戦できる試験ともいえるでしょう。

この試験に見事合格することで、前述した2年間の実務経験や実務補修(研修)期間を経た後、公認会計士となれるのです。

公認会計士になった後の主な就職先は?

監査法人になる人が多い

公認会計士の就職先として最も多いのが、「監査法人」です。

さまざまな企業をクライアントとし、法律上正しい経営を行っているかをチェックします。

日本の法律上、企業に対して監査を行うことができるのは公認会計士だけのため、独占業務です。

さまざまなクライアントと接しながら、公認会計士としてのスキルを磨いていくことになります。

一般企業でのコンサルティング業務

また、通常の企業への就職をする人も多いです。

例えばベンチャー企業で合併や買収(M&A)に関する戦略立案を行ったり、経営全般のコンサルティングに従事するような仕事が多いでしょう。

特にMA業務は動く金額も大きく、この分野で成功すれば年収4桁を目指すことも可能など、かなりの報酬が見込めます。

ただし、実務レベルでさまざまな業界の知識を求められるでしょう。

公認会計士事務所

個人が運営する会計事務所に就職、あるいは自分自身で開業をする方も多いです。

監査法人やベンチャー企業にくらべると案件の規模は小さくなるかもしれませんが、財務書類の作成やコンサルティングを通して、地に足のついた実務スキルを磨くことが可能です。

中小企業が主な顧客となるので、首都圏でなく地方でも問題なく開業できるのもメリットです。

税理士法人

税理士法人は、2人以上の税理士が設立した税務処理を専門とする組織です。

大企業の監査法人グループに属しており多数の公認会計士を抱える大手から、少人数で運営している税理士法人まで幅広く存在しています。

主な業務は企業の税務や税関系のコンサルティングとなることが多いです。

公認会計士になるにはまとめ

公認会計士は、その専門性の高さと業務独占資格であることから、目指し甲斐のある資格です。

ただ何年も不合格を重ねると万が一諦めた時の就職がキツくなりますので、年数を決めた上で挑戦するのが得策かもしれません。

基本的には売り手市場となっており、大手の監査法人からも内定が得られやすいので、合格さえすれば仕事に困ることはほぼないでしょう。

正社員でも解雇されやすい不安定な時代ですので、会計分野に興味があり、専門的なスキルを身に着けたいのであれば、安定した需要のある公認会計士を目指すのは非常におすすめです。

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