今も昔も安定した職業として人気が高い職業が公務員ですが、中でも国の行政に関わることができる国家公務員は抜群の人気を誇ります。
そのため高倍率の競争に打ち勝つ必要があるのですが、例えば学力勝負となった場合に高卒で国家公務員を目指すことは大丈夫なのでしょうか。
この記事では国家公務員に興味があるという方を主な対象として、国家公務員の種類や国家公務員になるための方法、試験への取り組み方などをわかりやすく解説致します。
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国家公務員になるには?
国家公務員になる方法は、詳細に確認した場合には職種によって受験資格や試験内容などが異なりますが、大きな流れでは概ね共通しています。
詳細な内容や違いを説明する前に、まずは共通した流れからご紹介することにします。
国家公務員になるための主なプロセス
国家公務員になるたには、主に次の4ステップを経る必要があります。
採用試験
具体的な試験内容は専門職など目指す職種によってれぞれ異なりますので、詳細については個別に確認する必要があります。
その上で、採用試験の共通した項目や内容をあげるなら、主に一般教養を問う試験、目指している職種に関わる専門的な知識を問う試験、短文で意見を表現する論文試験、そして面接などがどの職種でも行われています。
また、一次試験と二次試験の複数回に分けて試験が行われるのも特徴です。
官庁訪問
官庁訪問と聞くと官庁に勤めているOBなどを訪問して話を聞く、OB訪問のようなイメージがありますが、勿論ただ訪問して話を聞くことではありません。
官庁訪問は採用試験合格者のみが有資格者となり、自分が希望する官庁を選択して”自主的”に官庁訪問を行い、志望者にとっては自分の意欲などをPRする機会となります。
官庁訪問を一般企業での就職プロセスに当てはめた場合なら、二次面接ではなく「最終面接」に”近い”プロセスと言えます。
しかしながら、一般企業の最終面接とは次のような点で異なります。
民間企業の最終面接は仮にAという会社の総合職を受けたなら、A社として最終的な面接を受けることが一般的です。
ところが国家公務員の採用制度は、民間企業に例えるならA社の経理部、営業部、総務部などをそれぞれ訪問し、それぞれの部署で最終面接を受けることができるような制度と言えます。
財務省なら財務省、厚生労働省なら厚生労働省の面接のやり方があり、面接内容も異なっています。
内定
採用面接である官庁訪問が終了し、各官庁で実施された採用面接に合格したら10月から11月頃にかけて内定通知が各官庁よりなされます。
官庁訪問という採用面接を受け、内定通知を得てはじめて国家公務員として採用されることが確定します。
採用
内定後、無事大学などを卒業し、通常4月1日に実施される採用手続きを終えたら「採用」となります。
採用手続きを終えたら国家公務員として本格的なスタートを切ることになります。
以上4つのステップが国家公務員になるための主なプロセスです。
大学に行かないと無理?高卒でも大丈夫?
国家公務員になるには「大学に行かいないと無理か」「高卒でも大丈夫か」という質問をよく頂戴しますので、この質問について「受験資格」と「学力」という二つの観点からお答えします。
受験資格という観点
試験に応募するには受験資格を満たす必要があります。
もし国家公務員採用試験の受験資格が「大卒見込みまたは大卒以上」に限定されるのであれば、受験資格を得る条件として「大学に行かなければならない」となります。
では国家公務員の受験資格において学歴はどうなっているかと言いますと、ズバリ「採用試験区分で異なる」というのが答えです。
大卒見込みもしくは大卒以上でないと受験できない採用試験区分の職種は高卒では受けることができません。
一方「高校卒業見込み」または「高校卒業後2年以内」といった受験資格の採用試験区分であれば「高卒でも大丈夫」となります。
ただし「高校卒業後2年以内」といった条件があるとおり、高卒なら誰でも良い訳ではなく、期限があることには注意が必要です。
学力レベルや大卒者との競争という観点
受験資格では「高卒」が大丈夫であったとしても、採用試験は知識や教養が問われますので、高学歴の大卒者と競争となった場合に難しいのではないかという不安についてお答えします。
実は国家公務員の試験区分別受験資格は「(見込みを含む)高卒者だけ」が受験できるものと、「(見込みを含む)高卒と大卒の両方」が受験できる試験区分があります。
前者であれば大卒者には受験資格がありませんので、大卒者との競争となる心配はありません。
次に後者ですが、こちらの場合でも高卒と大卒はそれぞれ別試験で採用試験が実施されます。
そのため、同じ採用試験区分ながらこちらの場合も大卒者と学力競争を強いられる心配はないのです。
どんな仕事がある?国家公務員の職種受験資格例一覧
国家公務員と一口に言ってもその職種には様々な種類があります。
ではどのような職種があるかということですが、国家公務員の職種はまず大きく3つの職種に区分することができます。
その3つとは次のとおりです。
総合職
総合職とは政策の企画立案をしたり、様々なポストを経験したりしながら「キャリア官僚」として国の行政に関わってゆく仕事です。
一般企業における「総合職」と同様なものとして考えると理解しやすいでしょう。
受験資格
一般職
こちらの一般職も総合職と同様に、一般企業の採用枠である「一般職」と似たような立場であり、主に総合職のアシスタントや事務が主要な業務となります。
受験資格
一般職は大卒者で30歳未満、高卒者、社会人それぞれ受験資格があり、社会人では40歳未満となっています。
専門職
専門職とはその名称の通り、特定の業務に専門知識や技能を持って取り組む職種のことです。
専門職の職種例
国家公務員の職種を3つに区分した場合には総合職、一般職、専門職となりますが、この3種の内、専門職には更に多数の職種区分があります。
専門職にはどのような職種があるか、大卒程度が受験資格となっている職種と高卒程度が受験資格となっている職種に分けてそれぞれご紹介します。
大卒程度
- 皇宮護衛官
- 法務省専門職員(人間科学)
- 矯正心理専門職
- 法務教官
- 保護観察官
- 外務省専門職員
- 財務専門官
- 国税専門官
- 食品衛生監視員
- 労働基準監督官
- 航空管制官
- 防衛省専門職員
高卒程度
- 皇宮護衛官
- 刑務官
- 入国警備官
- 税務職員
- 航空保安大学校学生
- 海上保安大学校学生
- 海上保安学校学生
- 気象大学校学生
学生も国家公務員である
専門職の「高卒程度」の職種事例を通じてお気づきになった思われますが、例えば航空保安大学校や気象大学校の学生も身分上は「国家公務員」となります。
大学校などを卒業した場合
各大学校を卒業したら、国家公務員の学生は各官庁で次のような業務に取り組むことになります。
- 航空保安大学校卒業後:航空交通管制部、空港等で業務を行う
- 海上保安大学校、海上保安学校卒業後:海上保安庁の巡視船艇などに業務を行う
- 気象大学校卒業後:気象庁や観測所などにおいて気象観測などの業務を行う
「海上保安官」は海上保安大学校または海上保安学校を卒業する必要がある
国家公務員のみが学べる大学校や学校を卒業したら、各官庁の職員として勤務することはお分かりになったと思いますが、これらの学校を卒業しないとなれない職種もあります。
その一つが「海上保安官」です。
海上保安官になるには高校を卒業したら海上保安大学校、大学や短大を卒業したら海上保安学校に入学し卒業する必要があり、一般の高校や大学を卒業しただけでは直接海上保安官になることはできません。
また「航空管制官」も、航空保安大学校で1年間の研修を受けることが義務付けられています。
但し、航空管制官は航空保安大学校の学生としての採用試験を受けるのではなく、航空管制官としての採用試験を受験し合格したら航空管制官の研修生として航空保安大学校で学ぶという点が海上保安官との違いです。
国家公務員のと試験内容と基本的な対策について
国家公務員になるにはどんな職種であれ、採用試験に合格する必要があります。
では国家公務員の「一般職」を事例として、採用試験の具体的な内容についてご紹介します。
大卒程度の試験内容
ご紹介したとおり国家公務員の一般職は大卒程度と高卒・社会人の二つの試験区分がありますが、大卒程度の試験内容は次のようになっています。
第一次試験
基礎能力試験
こちらは大卒程度の「教養」に関する知識が問われる試験です。
専門試験
専門試験は専門分野として受験者が選択した試験科目を1科目受験します。
専門試験には「電気・電子・情報」、「行政」、「機械」、「建築」、「化学」、「農業」などがあります。
一般論文試験
文字通り論文試験のことで、与えられたテーマに対して論述する筆記型の試験です。
第二次試験
人物試験
人物試験とは要は「面接」のことです。
二次試験で人柄などを評価されることになります。
高卒、社会人の試験内容
高卒と社会人の方は同一の試験内容となっています。
第一次試験
基礎能力試験
大卒程度で課される基礎能力試験と同様、一般的な教養知識を評価する試験ですが、大卒程度の試験よりやや平易な内容になっています。
専門試験
高卒、社会人向け採用試験で問われる専門分野は「事務」、「技術」、「農業」、「農業土木」、
「林業」でこの中から1科目選択して受験します。
作文試験
与えられたテーマへの理解力を短い文章で表現することが要求される試験です。
第二次試験
人物試験
大卒程度の人物試験と同じ意味で、面接が行われます。
受験対策:国家公務員試験対策の予備校に通うことがオススメ
国家公務員試験は総じて難関です。
特に総合職は最難関であり、東大出身者であっても合格は容易ではありません。
倍率も、応募する採用試験区分によって異なりますが、最低でも4~5倍、高倍率の採用試験になると40倍や50倍といった水準に達します。
こうした狭き門を突破するには独学では困難です。
独学だけでは受験情報があまり入ってきませんし、傾向を踏まえた効果的な対策学習を行うのも難しいからです。
学費負担が伴いますが、国家公務員の採用試験に合格したければ必要な投資と考え、予備校を利用することをオススメ致します。