【保存版】介護士になりたい!資格取得から就職までのステップ

介護業界は無資格でも仕事に従事することは可能ですが、無資格のままでできる仕事の範囲は限られてきます。

介護業界の仕事の多くは専門的な職務知識やスキルが求められるものが多いため、そうした知識やスキルを身に付けた証となる資格保有者の方が就職しやすくなりますし、キャリアアップも目指しやすくなります。

では、どのような資格を取得すれば介護業界に就職しやすくなるのか、資格の種類や取得方法などを中心にわかりやすく解説致します。

介護士になりたい・・・・介護士は資格?

介護業界に関わる資格取得を考える場合、どのような資格があるか名称や資格内容などを正確に掴むことがまず大切です。

そこで介護士とは具体的にどのような資格かということから確認しておきましょう。

実は「介護士」という資格は存在しません。

ネット上では「介護士」という言葉が当たり前のように使用されていますが、「介護士」は資格名称でもなければ、正式な用語でもないのです。

そのため明確な定義もありません。

介護士とは「介護に関わる資格職」を幅広く指す意味で主に使用されている

「介護士」という言葉の一般的な使われ方ですが、介護に関わる資格職全般を指す総称的な言葉として主に使用されています。

介護関連の主要資格には

・介護職員初任者研修
・実務者研修
・介護福祉士
・介護支援専門員(ケアマネージャー)

以上の4つがありますが、これら全てをひとまとめにした言葉はありません。

そのため、これら介護関連資格の総称として便宜的に「介護士」という言葉が用いられるようになったと見られます。

この記事でも「介護士」は介護関連資格の総称として位置付けて使用致しますが、「介護士」という言葉は正式な用語ではないことを予め理解しておいてください。

介護関連資格の概要(職務内容や受験資格など)を理解しておこう

先ほどの項目で登場した4つの介護関連資格の概要についてご紹介します。

介護職員初任者研修

2013年からスタートした資格が介護職員初任者研修という、資格名称らしくない名称ですがれっきとした介護資格です。

介護職員初任者研修は旧資格となった「ホームヘルパー」の2級にあたる資格で、いわば
介護業界に就職する場合の登竜門的資格として位置付けられます。

主な職務内容は?

職務内容は旧資格のホームヘルパーとほぼ同じです。

介護施設や個人宅などで高齢者や障害者など介護を必要としている方々の身の回りの世話を行うことが主な職務です。

具体的には排泄や入浴の介助の他、掃除や衣類の洗濯、調理や食事の提供などを行います。

受験資格は?

受験資格はありません。

業務経験の有無や学歴、あるいは年齢的な制限も特にありませんので誰でも取得可能です。

資格の取得方法は?

介護職員初任者研修は、試験を受けて合格すれば取得できるタイプの資格ではありません。

都道府県が指定している民間も含めた教育機関で行われる通学、または通学+通信を通じた130時間におよぶ研修を受講した上で修了試験を受け、合格する必要があります。

つまり教育機関に通って研修を受けることが必須条件となっている訳です。

都道府県指定の教育機関の探し方ですが、ネット上の介護資格関連ポータルサイトを利用する方が多いようですが、それらのサイト情報ではまれに対象外の教育機関が含まれている場合があります。

最も正確な方法はお住いの都道府県に問い合わせるか、各県のホームページ上で「介護職員初任者研修指定事業者」という言葉で検索を行うことです。

次にどの教育機関を選べば良いかですが、通学が義務付けられていますので仕事を抱えている方なら土日や夜間も対応している教育機関もあります。

通学できる条件や場所を基準に選ぶようにすると良いでしょう。

取得難度は?

修了試験は落とすための試験ではなく、不合格となった場合には必要な補講内容を確認し追試が行われる仕組みになっています。

所定の研修を全て受けて修了試験を受ければ、ほぼ確実に取得できます。

実務者研修

実務者研修は旧資格のホームヘルパー1級にほぼ該当する資格で、介護職員初任者研修と同じく2013年からスタートした資格名称です。

ホームヘルパー2級の上位資格が1級であったように、実務者研修は介護職員初任者研修の上位資格にあたります。

主な職務内容は?

ホームヘルパーの1級と2級ではそれほど職務内容が変わりませんでしたが、それと同様に介護職員初任者研修と職務内容はあまり変わりません。

介護施設や介護を必要としている方の個人宅で介助などを行うことが主要業務です。

その上で、介護職員初任者研修の上位資格にあたりますので介護職員初任者研修のスタッフへのアドバイスや指導といったリーダー的役割を担う場合もあります。

受験資格は?

実務者研修も受験資格はありません。

業務経験や福祉系学校の卒業履歴、あるいは特定の資格がなくとも取得できます。

しかし未経験、無資格で臨む場合にはこの後説明しますが450時間の研修受講が必要になります。

介護職員初任者研修の資格を所得していれば研修時間数が緩和されますので、介護職員初任者研修を先に取得しておくことをオススメします。

資格の取得方法は?

先ほどお伝えしたとおり実務者研修は無資格の方でも取得できますが、無資格の場合では450時間の研修を都道府県指定の教育機関で受ける必要があります。

しかし450時間の研修を通学、または通学+通信で学ぶのはかなり大変です。

集中的に学ぶ場合でも6ヶ月以上は要するスケジュールになっていますので、仕事を抱えながら受講する場合には1年近く、あるいはそれ以上かかってしまう場合もあります。

一方、介護職員初任者研修であれば実務者研修の1/3以下の研修時間で済みますし、介護職員初任者研修を取得後に実務者研修資格を目指す場合は130時間分の研修時間が免除されます。

従って無資格の状況からできるだけ早く資格を取得して介護業界へ就職したいという方は介護職員初任者研修を取得し、就職した上で実務者研修を目指した方が合理的です。

取得難度は?

実務者研修も介護職員初任者研修同様修了試験に合格することが求められますが、こちらも落とすための試験ではありません。

不合格となった場合には無料で補講や再試験を受けられる制度などが各教育機関で整えられていますので、研修をしっかりと受ければほぼ確実に取得できます。

介護福祉士

介護福祉士は名称独占の国家資格です。

介護福祉士の資格を取得した方だけが介護福祉士と名乗った上で介護関連業務に従事することが許されます。

介護福祉士は2017年1月の施行より、実務者研修の上位資格としての位置付けがより鮮明になりました。

介護スタッフとしてのキャリアアップを図る場合、実務者研修資格を取得した方が次に目指す資格が介護福祉士となります。

主な職務内容は?

介護福祉士の役割を一言で言うなら「プレイングマネージャー」です。

介護職員初任者研修や実務者研修同様に介護が必要な方へ排泄や入浴、食事の介助も自ら行いますが、同時に介助を行っている職員や家族などの相談に応じたり、アドバイスや介護方法の指導なども行います。

ケアワーカーとして介護を受けている方や介助者の精神的な支えになると共に、介護施設でのリーダー的役割を任されるのが介護福祉士と言えます。

受験資格は?

介護福祉士の国家資格を取得するには実務経験3年以上、且つ実務者研修資格を有すること(正確な表現は実務研修の修了者)の二つの条件を満たす必要があります。

介護業界での業務未経験の方、無資格の方には受験資格は与えられません。

資格の取得方法は?

介護福祉士の資格を得るには受験資格を満たした上で介護福祉士の国家資格試験を受験し、合格する必要があります。

実務経験として3年必要ですので、介護業界に就職してから最低でも3年はかかることになります。

国家試験対策としては民間教育機関で「介護福祉士試験対策講座」などが多数開講されていますので、これらを利用して勉強に励むことが効率的です。

取得難度は?

過去の合格率では5割程度です。

実務者研修の資格を持ち、3年以上実務を経験された方が集中的に学習に取り組めば、楽観視はできませんがそれほど取得が難しい国家試験とまでは言えません。

しかしながら資格制度の変更が予定されており、今後合格率などが変わってくる可能性もありますので合格率の動向は注意深く見守る必要があります。

介護支援専門員(ケアマネージャー)

ケアマネージャーは介護業界最難関の資格であり、求人ニーズも高く、女性の方々にとっては一般的な職種より高収入、高待遇を期待できることから特に女性からの人気が高い資格となっています。

しかしながら、資格取得までの道のりは容易ではありません。

2018年度からの制度改正により受験資格が更に厳しくなりますので、結果として更に取得が難しい資格となると見られています。

主な職務内容は?

ケアマネージャーの主な職務は要介護者のケアプラン、即ち介護計画を作成することです。

そのためには介護が必要となっている方やその家族がどのような介護サービスを望んでいるかをヒアリングしたり、相談にのったりすることが大切な使命となります。

また事務的な仕事としては、市区町村に対する要介護認定の申請書類作成代行なども行います。

受験資格は?

2017年度までであれば無資格者であっても介護業界で10年以上の実務経験がある方なら、受験資格を得ることができました。

ところが制度改正により2018年以後は業務経験期間に関係なく、無資格の方には受験資格が与えられなくなります。

2018年以後の主な受験資格は次のようになります。

check-c081相談員としての相談援助業務で5年以上
→生活相談員
→支援相談員
→相談支援専門員
→主任相談支援員
check-c081特定の国家資格を保有しておりその資格での業務経験で5年以上
→介護福祉士
→社会福祉士
→医師
→薬剤師
→看護師  など

つまり介護や福祉施設で専門相談員として5年以上の実務経験を積むか、介護士の場合なら介護福祉士の資格を取得した上で5年以上の実務経験がなければ受験資格を得られないということです。

資格の取得方法は?

2018年の制度改正より受験資格が厳しくなりますので、受験資格を満たすことがまず先決です。

その上でケアマネージャーの国家資格試験を受験し試験に合格後、所定の研修(30時間程度)を受講することで晴れてケアマネージャーとなることができます。

取得難度は?

合格率は毎年2割前後という難関資格です。

今回の受験資格の改正によって受験者が減少することにより合格率では多少緩和される可能性もありますが、受験資格のハードルが上がったことを考えれば取得難易度が高いことに変わりはないと言えるでしょう。

未経験者が介護業界へ就職するまでのステップ

介護士と呼ばれている各資格は誰でも取得できる資格と、有資格者のみ取得できる資格に大別できます。

未経験の方が取得できる資格は介護士の中で「介護職員初任者研修」と「実務者研修」の二つだけですので、資格取得後に介護業界への就職を目指すなら両資格のどちらかを取得した上で目指すという流れになります。

介護職員初任者研修修了→就職が最短ルート

各資格の概要説明でもお伝えしたとおり、介護職員初任者研修であれば130時間の研修で済みますが、実務者研修となるとその3倍以上の450時間・6ヶ月以上の研修が必要になります。

従って、最短ルートという視点で資格取得後の就職を考えた場合には

介護職員初任者研修の研修を受講  資格取得  介護業界へ就職

という流れが最短となります。

実務者研修資格取得者の方が就職に有利では?

実務者研修は介護職員初任者研修の上位資格となりますので、実務者研修の資格を持っていれば更に就職に有利になることは間違いありません。

しかしながら介護業界の人材不足は依然深刻であり、業務未経験・無資格の方でも採用されている現状があります。

介護職員初任者研修の資格保有者であればその点を評価してもらえますので、採用で有利になることはあっても不利な扱いになることはありません。

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