ヘッドハンティングというと敏腕ビジネスマンをイメージする人も多いかもしれません。
しかし、じつは薬剤師もスカウトやヘッドハンティングで転職する人が少なくないのはご存知でしたか?
薬剤師のスカウト、ヘッドハンティングの実情、利用する際の注意点などについてまとめました。
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薬剤師にスカウト転職やヘッドハンティングはある?
結論から言うと、薬剤師にもスカウト転職やヘッドハンティングはあります。
この記事をご覧の方の中には実際にヘッドハンティングを受けて、判断材料とするために読んでいる方もいるかもしれません。
ヘッドハンティングというと腕利きの営業やサラリーマンが声をかけられるイメージですが、高いスキルを持っていれば薬剤師もヘッドハンティングを受けることがあります。
ただ確率はサラリーマンより低いですし、薬剤師のスカウトやヘッドハンティングは後述しているような注意点もあるので、受けたからと浮かれて承諾しない方が無難です。
そもそもヘッドハンティングとは?
ヘッドハンティングは人事戦略のひとつ
本来、ヘッドハンティングとは経営者や幹部クラスの優秀な人材を外部から自社に引き入れることです。
スカウト、引き抜きなどとも呼ばれ、優れた人材を奪うことで対抗企業を弱体化させ、自社を発展させる人事戦略のひとつといっていいでしょう。
ヘッドハンティングといえばこれまでは経験豊かなミドル層が中心でしたが、最近では若い優秀な若手もターゲットになっています。
ヘッドハンティングを行う業種も多岐にわたるようになり、いまや薬剤師業界でも「ヘッドハンティングで転職した」という話も珍しいものではありません。
依頼を受けたスカウトマンが動く
かつてはヘッドハンティングといえば外資系企業が中心でしたが、現在は多くの日本企業も行っています。
しかし、企業の人事部が直接実施しているわけではありません。実際にヘッドハンティングを行っているのは企業から依頼を受けた外部のスカウトマンなのです。
スカウトマンは事前に一定の報酬を受け取り、企業が希望する条件に合致する人材獲得を目指すこともあります。
一方で、人材確保に成功した時だけ報酬が支払われるケースも。成功報酬の場合、数百万円から一千万円と非常に高額なことも多く、スカウトマンはつねに優秀な人材を探している状態です。
薬剤師のスカウトやヘッドハンティングは2種類ある
薬剤師のヘッドハンティングには大きくわけて2種類あります。
ロングリスト方式
スカウトマンが持っているリストの中からランダムに声をかけていく方式です。
薬剤師ならば学会参加者名簿や、過去に転職をした人の情報などが参考にされることもあるでしょう。
この場合「どうしても欲しい人材」と見なされているわけではないので、ヘッドハンティングならではの高待遇を期待できないケースも少なくありません。
指名スカウト形式
「ライバル会社のこの人を引き抜いてほしい」などと、ターゲットを絞ったヘッドハンティングです。
ロングリスト形式と違って、仕事内容、年収などの希望通りの条件で転職できます。
薬剤師の転職も指名スカウト形式をねらっていきたいところです。
薬剤師のスカウト転職やヘッドハンティングの流れ
まずは電話がかかってくることが多い
薬剤師のヘッドハンティングは突然かかってくる1本の電話から始まることがほとんどです。
「そんな電話がかかってくるのは大企業や大学病院など、優秀そうな薬剤師だけでは?」と、思っている人もいるでしょう。
しかし、実際は調剤薬局やドラッグストアに5年以上勤務していて、管理薬剤師として活躍しているキャリアがあるならばヘッドハンティングの電話をもらう可能性はゼロではありません。
ただし、個人の携帯電話ではなく勤務先に連絡がきたならば、残念ながらロングリスト形式のヘッドハンティングと考えられます。
次にスカウトマンと面談
「このヘッドハンティングは悪くなさそうだ」と、感じたならば、スカウトマンとの面談に話を進めてもよいでしょう。
スカウトマンは基本的にこちらの希望する時間、場所にあわせてくれるので遠慮なく伝えるようにしてください。
この時、高級ホテルのカフェなどを提案されることもあります。
しかし、場馴れしていないとつい舞い上がってしまい、よく考えたら必ずしも好条件とはいえない求人に飛びついてしまうこともあるので一概にはおすすめできません。
危なそうな方は日頃通いなれているカフェなどを指定してはいかがでしょうか。
企業と面接
「このヘッドハンティングを受けてみよう!」と、思ったらいよいよ企業側との面接です。
希望する面接日時をスカウトマンに告げれば企業の人事担当者と交渉してもらえるでしょう。
面接の前には下記記事を参考に、徹底的に対策を行っていきましょう。
ただし、年収や待遇面などのこちらの希望を企業が飲むまでやりあってもらえるかというと疑問です。
スカウトマンは企業側の人間ですので、企業が提示した通りの条件を満たす人材を探すのが仕事なので仕方のないところかもしれません。
スカウトマンに流されるままに転職してしまうと、必ずしも自分の思った通りの転職にならないことも多々あります。
薬剤師がスカウトやヘッドハンティング転職をする際の注意点
ヘッドハンティングの電話を受ければ、それだけで自尊心をくすぐられることもあります。
しかし、じつは薬剤師はスカウトマンのカモにされがちというのはご存知でしたか?
成功報酬目当てのスカウトマンを避ける
スカウトマンは企業に人材を紹介して成功報酬を得ています。
成功報酬は人材に設定された年収の5割~6割程度です。
薬剤師はもともと年収高めの職業なのでスカウトマンにとってもオイシイといっても過言ではありません。
スカウトマンがとくに狙っているのが初めての転職を試みようとしている薬剤師です。
転職市場での自分の価値も把握していないことが多く、スカウトマンにすすめられるがまま……ということも多く、カモになってしまうことも少なくありません。
これから転職活動をスタートしようとしているならばいきなりヘッドハンティングを利用するのはおすすめできません。
甘い言葉にうかつに乗らない
「将来の幹部候補として」「破格の条件で」といった誘いを受けたとしても、もしかしたらそれはロングリスト方式でランダムに選んだ薬剤師全員に適当にいっているのかもしれません。
甘い言葉に乗せられないようにしましょう。
たとえばドラッグストアで「幹部候補として複数店舗の応援をして欲しい。年収は破格の700万円」といった打診をされたとしても、その700万円にはじつは残業代60時間分が込みだったという話もあります。
それでは破格の条件どころかむしろ悪条件です。
幹部候補といえば聞こえは悪くありませんが「いつ幹部になれるのか」など、できるだけ具体的に話を詰めるようにしてください。
指名に見せかけたスカウトをしっかり見抜く
実際、薬剤師のヘッドハンティングはほとんどがロングリスト方式です。
薬剤師は慢性的な人材不足状態にあり、とくに離島などの過疎地では深刻な問題になっています。
「こんな場所に来てくれる薬剤師ならレベルは問わない」「できるだけ安く雇える薬剤師ならば誰でもいい」といったケースも少なくないのです。
ロングリスト方式であるにもかかわらず「◯◯先生をぜひ迎えたいドラッグストアがある」と平気でいってくるスカウトマンもいます。
学会発表で注目された、講演活動をして話題になったということでもない限りたとえ管理薬剤師でも指名スカウト形式でヘッドハンティングされるのは極めてまれです。
本当に指名スカウトなのかよく見極めるようにしてください。
薬剤師の転職はスカウトやヘッドハンティングよりエージェントがおすすめ!
以上のようにヘッドハンティングは薬剤師にとって必ずしも最善の転職方法ではありません。
それよりも、転職エージェントに登録してみてはいかがでしょうか。
転職エージェントとは
転職エージェントとは、求職者と企業をマッチングする人材紹介サービスのひとつです。
求職者にとっては無料で利用できるのも大きなメリットといえるでしょう。
薬剤師に特化した転職エージェントもあるので、ぜひ利用をおすすめします。
「薬剤師 転職エージェント」などで検索すれば複数のサイトがヒットするので、まずはいくつか登録してみてはいかがでしょうか。
複数登録がおすすめ
転職エージェントは同時にいくつか登録しておくことをおすすめします。なぜならば転職エージェントごとに持っている情報も異なるからです。
複数の転職エージェントを活用するメリットはより多くの求人情報をキャッチできることだけではありません。
転職希望先の内部事情をより詳しく知ることもできます。一般的な転職サイトの記事にはないような秘密の内部情報も転職エージェントならば教えてくれるのです。
転職エージェントごとにつながりの深い企業は異なるので、やはり複数登録しておくのが正解といえるでしょう。
面接や条件交渉の代理などサポートが充実
自分一人で転職活動をする場合、転職サイトから気になるところをピックアップして1~2社にアプローチするのがせいぜいという人が大半ではないでしょうか。
一方、転職エージェントを利用すれば「自分が納得する企業と出会えるまで何度でも面接する」ことも難しくありません。
なぜならば、転職エージェントは企業への接触、面接日時の設定など面倒なことはすべて代行してくれるからです。
仕事と転職活動を両立したい人の心強い味方にもなってくれるでしょう。
さらに、年収アップや労働条件改善の交渉などもかわりにしてくれるので頼もしい限りです。
薬剤師の転職を成功させるためにぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
薬剤師のスカウト転職やヘッドハンティングまとめ
最後に、今回の記事のおさらいをしましょう。
- ヘッドハンティングは敏腕ビジネスマンだけではなく薬剤師業界にもある。
- ヘッドハンティイグはスカウトマンが行い、契約が成立すれば成功報酬をもらえる。
- 薬剤師のヘッドハンティングはランダムに声をかけているだけのロングリスト方式がほとんどで収入アップも難しい。
- 薬剤師はヘッドハンティングよりも転職エージェントがおすすめ。
- 転職エージェントは無料で利用できる上に、企業との年収アップ、待遇改善などの交渉もしてくれる。
薬剤師でもヘッドハンティングはありますが、ほとんどがロングリスト方式になっています。
「どうしても迎え入れたい」というヘッドハンティングではないので、希望条件を叶えてもらえないことも少なくありません。
やはり、薬剤師はヘッドハンティングではなく転職エージェントを活用することをおすすめします。