薬剤師の平均年収まとめ!年代・男女別の年収相場や年収アップの方法も

薬剤師の平均年収

医療系専門職の薬剤師は、景気に左右されず安定した収入を得られる職業のひとつです。比較的高収入の職業ともいわれていますが、実際、どれぐらいの年収が期待できるのでしょうか。

また「同世代の薬剤師よりも年収が低い!」となった時は転職すべきなのか等、どのようにすれば年収アップを狙えるのかも気になるところです。薬剤師の年収相場と年収アップのコツについてまとめました。

薬剤師の平均年収は年度によるが585万円

人事院統計によれば薬剤師の平均年収は585.6万円でした。国税庁の調査によれば、同年度における日本人の平均年収は432万円なので、やはり、薬剤師は高収入が見込める職業といってよいでしょう。

さらに、人事院統計によればここ数年にわたる薬剤師の平均年収は、平成25年度556.8万円、平成26年度585.6万円、平成27年度590.4万円と、高い水準を推移していることがわかります。

景気の影響が少ない安定収入も薬剤師の魅力です!

参考:https://www.jinji.go.jp/kyuuyo/minn/minnhp/minR02_index.html

薬剤師の男女別・年齢別の平均年収を比較

では、次に薬剤師の男女別・年齢別の平均年収を比較してみましょう。

男性薬剤師の年齢別平均年収
年齢平均年収
20 歳~24歳341 万円
25 歳~29歳432 万円
30 歳~34歳521 万円
35歳~39歳599 万円
40 歳~44歳645 万円
45 歳~49歳609 万円
50 歳~54歳626 万円
55 歳~59歳652 万円
60 歳~64歳549 万円
65歳~69歳454 万円
70歳~592万円
女性薬剤師の年齢別平均年収
年齢平均年収
20 歳~24歳343 万円
25 歳~29歳414 万円
30 歳~34歳472 万円
35歳~39歳526 万円
40 歳~44歳547 万円
45 歳~49歳569万円
50 歳~54歳551 万円
55 歳~59歳553 万円
60 歳~64歳529 万円
65歳~69歳499 万円
70歳~346万円

男女とも50代前半までは年収アップが期待できることがわかります。

女性は男性と比較してやや低めですが、これは結婚・妊娠・出産・育児などをきっかけにパートや派遣として働く人が増えるのが一因でしょう。

しかし、そういった非正規雇用でも高い収入を得ているともいえます。

薬剤師の職場別の平均年収を比較

薬剤師が活躍できる職場はひとつではありません。病院、調剤薬局、ドラッグストア、製薬会社など、職場ごとの平均年収を見てみましょう。

職場平均年収
病院約450万円
調剤薬局約500万円
ドラッグストア約650万円
製薬会社約720万円

同じ薬剤師といっても、病院と製薬会社では200万円以上の差があることがわかります。

なぜ、このような違い生まれるのか、それぞれの職場での薬剤師の仕事について調べました。

職場で薬剤師の平均年収が大きく違うのは仕事内容が関係

どこで働くかによって薬剤師の給料は大きく違います。当然のことながら、職場ごとに求められるスキル、仕事内容なども異なってきます。

収入だけではなく、自分のやりたい仕事ができそうなのかをチェックすることも、転職サイトなどで求人情報を取捨選択する際に大事になってくるでしょう。

薬剤師の職場ごとの仕事内容についてまとめました。

病院での薬剤師の仕事

現在、日本全国に約8,500の病院があるといわれています。一部の大病院を除き、大多数を占める中小規模の病院では薬剤師の給料は低めです。

そのため、全体的に病院勤務の薬剤師の年収は少なくなっているのです。

しかし、病院ではさまざまな疾患に応じた調薬、薬歴管理、服薬指導などを行う専門性の高い仕事に取り組めます。

そのため、どこに転職するにせよ困らない経験をしっかりと積めるといっても過言ではありません。

その他、医師や看護師と協力してチーム医療に携わることができるのも、病院ならではの魅力です。たとえ、年収は少なめでも病院勤務というステイタスに惹かれる人もいるのではないでしょうか。

調剤薬局での薬剤師の仕事

病院の近所などにある調剤薬局での薬剤師の仕事も、病院勤務同様に調薬、薬歴管理、服薬指導などが中心になります。

最近では在宅医療を受けているお年寄りへのサポート業務も増加しつつあり、今後、高齢化社会の中でますますニーズは高まっていくでしょう。

また、調剤薬局には全国にチェーン展開しているところもあります。家族の転勤があった際など、新しい住居の近くに移動できる可能性もゼロではありません。

時短勤務、パートなどにも応じてもらえるだけではなく、なおかつ一定以上の年収も見込めるので、子育てや介護と仕事を両立させたい人にとっては見逃せません。

ドラッグストアでの薬剤師の仕事

調剤室併設のドラッグストアでは医師の処方箋による調剤、服薬指導などを行うこともあります。

しかし、一般的なドラッグストアでは、病院や調剤薬局と違い医師による処方箋が必要ない一般用医薬品の販売がメインです。

そのため、市販薬に関する幅広い知識が必要ですし、さらに、サプリメント、美容用品、健康食品についても詳しくなくてはいけません。

売上管理などマネジメント業務に携わることもあるので、将来的に独立や開業を考えている人にもおすすめです。

病院や調剤薬局と比較して高収入なので、独立資金を蓄えることも十分可能でしょう。

製薬会社での薬剤師での仕事

製薬会社での薬剤師の仕事は、新薬開発、自社製品の情報提供などになり、他の職場とは大きく異なります。なかでも新薬開発は多くの薬剤師にとって憧れのポジションともいえるでしょう。

また、病院や調剤薬局へ営業を行い、自社製品の情報を提供するMRとして活躍する薬剤師もいます。研究職、MRともに高収入で、とくに大企業ならば30代で1,000万円を超えるケースも少なくありません。

薬剤師の平均年収を都道府県別に比較

2018年4月に地方の小さな薬局が優遇されるような調剤報酬改定がありました。高齢化社会が進展する中、過疎化が進むエリアでもかかりつけ薬局が経営していけるようにとの改定でしたが、はたして効果はあったのでしょうか。都道府県ごとの薬剤師の年収を比較してみましょう。

都道府県別の薬剤師平均年収トップ10

2018年における、都道府県別の薬剤師平均年収トップ10は次の通りです。

ランキング都道府県平均年収
1島根県7,016,285円
2秋田県6,595,979円
3青森県6,186,044円
4熊本県5,911,599円
5鹿児島県5,896,315円
6富山県5,889,035円
7高知県5,885,659円
8大分県5,754,270円
9長崎県5,751,187円
10岐阜県5,714,830円

以上のように上位はいずれも地方ばかりです。一方、東京都は34位、神奈川県は35位、大阪府は42位とふるいません。

調剤報酬改定の効果もありますが、それ以上に地方では高齢化が都市部とは比較にならないスピードで進んでいることが原因でしょう。

それだけ病院にかかる人も多く、薬剤師はつねに不足状態です。そのため、高収入を提示して人材確保をしようとする病院、調剤薬局などが少なくないといえます。

すべての地方の薬剤師が高収入ではない!

しかし、ここでひとつ注意したいのが、地方ならどこでも薬剤師の平均収入が高いというわけではないという点です。トップ10はいずれも都心部から離れたエリアになっています。

一方、埼玉県30位、千葉県40位、兵庫県43位など、大都市周辺の都道府県はむしろ下位に沈んでいます。

つまり、地方ならではの高収入というメリットを享受したいならば、それなりの田舎暮らしをする覚悟も必要ということです。

恵まれた自然環境の中でのびのびと生活したいと考えているならば問題ないかもしれませんが、便利な都会生活から離れたくない人にとっては今一度よく考える必要があるでしょう。

住んでいるエリアの薬剤師平均年収を知ろう!

いずれにせよ、薬剤師が自分の年収が妥当なのかどうか知るには、自分の住んでいるエリアの平均年収を知ることから始めるのもひとつの方法です。

ネット記事を検索すれば最新情報を入手することもできますし、薬剤師専用の転職エージェントに相談してみるのもよいでしょう。

もしも、自分の年収が平均より低かったら、転職を考えるのも当然のことです。

しかし、年収アップばかりにとらわれて、意に沿わない仕事内容にモチベーションがダウンしてしまっては本末転倒といえます。薬剤師の転職を成功させるにはどのような点に注意すればよいのでしょうか。

薬剤師が転職で平均年収より稼ぐコツ

求人情報の年収の見方を間違えてしまうと「転職して年収が思ったほどアップしなかった」というならばまだしも「ダウンしてしまった!」ということにもなりかねません。

年収アップだけではなく、やりがい、キャリア形成、ワーク・ライフ・バランスの面などからも納得できる転職を成功させるため、注意すべきポイントについて紹介します。

年収以外もできるだけ具体的な情報を入手する!

たとえば、年収アップはできたとしても、それが長時間にわたる残業によるもの……というならば、その転職は一概に成功とはいえません。

転職活動の際には、必ず次のような情報を具体的に収集するようにしましょう。

  • 年収(ボーナスの有無にも注意)
  • 年間休日(完全週休なのかどうか)・有給取得率
  • 1日当たりの処方箋枚数
  • 平時と繁忙期の残業時間
  • スタッフの人数
  • 離職率
  • 昇給率
  • 平均年齢

求人票には書かれていない項目もあるので、可能ならば薬剤師のコミュニティから情報収集するのも大事です。

たとえば、子育て中ならば「突然、子どもが熱を出した時など、早引けはできるのか?」など、実際の職場の雰囲気について知ることができれば尚よいでしょう。

その辺りによって仕事のやりがいも大きく変わってくるはずです。

スタッフの雇用形態についてもチェック

通常、1日あたりの処方箋枚数が80枚ほどの調剤薬局ならば、最低でも2名の薬剤師が必要といわれています。

自分を含めて2名体制となりそうな職場でも、もう1人が正社員なのかパートなのかによっても休みの取りやすさなどは異なるでしょう。

必ずスタッフの雇用形態についてもチェックするようにしてください。

年収アップを見込める転職のタイミングをねらう!

正社員として転職をしたい薬剤師は、6月と12月のボーナスの後に職探しを始めるケースが大半です。ライバルが多いこの時期に転職活動をしても、希望通りの転職ができないケースも少なくありません。

一方、この時期以外は、薬剤師はつねに人手不足状態といっても過言ではありません。採用する側も高めの年収を提示するなどして、人材確保をしようとしています。

年収アップを見込める転職のタイミングを外さないようにしましょう。

薬剤師の男女別・年齢別の平均年収まとめ

最後に、今回の記事のおさらいをしましょう。

  • 薬剤師の平均年収は585.6万円(平成29年度)
  • 50代前半までは年収アップを期待できる
  • 男性薬剤師の方が平均年収は高め
  • パートなどの非正規雇用でも年収は比較的高め
  • 都市部から遠い地方ほど平均年収が高い
  • 転職の際には年収だけではなく他の条件も十分に検討する
  • 年収アップを見込める退職のタイミングがある!

薬剤師の年収は比較的高めなので、現状にとくに不満を感じていない人も多いかもしれません。

しかし、時には年収相場と比較して自分が十分に稼げているかどうか見直すことも大事です。

長く続けられる仕事なだけに、給料をアップさせると生涯年収では何千万円と違う……ということにもなりかねません。

まずは薬剤師専門の転職エージェントなどに相談してみてはいかがでしょうか。