病院薬剤師に就職希望している場合、どのような志望動機なら採用担当者が「採用したい」と思ってくれるのでしょうか?
実は一口に『病院薬剤師』といってもやるべき業務が多岐にわたることもあり、病院によって求められる志望動機が異なります。
そこで今回は病院のパターンに応じて求められる薬剤師の特徴を紹介しつつ、それを元に志望動機の書き方や具体的なポイントを抑えた例文、採用担当に落とされてしまうNG例を紹介していきます。
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病院薬剤師に求められる人材の特徴とは?
急性期病院の場合
目まぐるしく患者さんが入れ替わり、状況の変化が速い急性期病院。
救命救急センターなどを保有している大規模病院はこのタイプが多く、全体的にあわただしい雰囲気が漂います。
このような急性期病院の場合、慢性期病院とは特徴が全く異なるため求められる人材のタイプやスキルも大きく違います。
急性期病院の薬剤師に求められるものは、具体的には以下のとおりです。
- 患者さんの入れ替わりに対応できる迅速な判断力
- 様々な症状や病気に対応できる広い薬剤知識とスキル
- 新卒か第二新卒(中途採用はされにくい)
慢性期病院の場合
急性期治療を完了した患者さんが継続的な治療やリハビリテーションを行う、慢性期病院。
リハビリテーションを持っている病院や療養施設などのことを指し、後期高齢化が進む現代では慢性期病院の数は増えつつあります。
このような慢性期病院は一時的な処置を行う急性期病院とはタイプが異なり、患者さんと長く付き合い寄り添うような治療方針が特徴です。
そのため慢性期病院に勤める薬剤師には、急性期病院とは違うタイプの人材が求められることが多いようです。
慢性期病院の薬剤師に求められるものは、以下の通りです。
- 高齢の患者さんと長く接せられるコミュニケーション能力
- 他の専門分野のスタッフや医師とも意見交換ができる胆力
すべての病院薬剤師に共通して求められる特徴
このように病院のタイプによって働き方も異なりますので、薬剤師として求められるスキルや特徴には多少の違いがあります。
とはいえどんなタイプの病院であっても、求められている人材には幾つかの共通点があるものです。
以下で挙げる特徴に該当しているのであれば、病院薬剤師として転職が成功する確率は大きく上がるでしょう。
- 他の部署とスムーズに連携できるコミュニケーション能力や業務の調整能力
- 臆せずに医師に意見を述べたり提案できる度胸
- 病院スタッフの一員としての責任感(調剤薬局と違い病棟で患者と積極的に接する機会もあるので)
- 医薬品の効能や副作用の把握、新薬開発のために働くなど医療への貢献意欲
病院薬剤師の志望動機の書き方ポイントと例文
就職を勝ち取るために必ず超えなければならない、面接の壁。
面接官から直接聞かれるにしても、履歴書に記載するにしても、一番注目され相手の関心を引き付けるのは志望動機です。
志望動機は仕事への熱意を伝える手段であり、どれだけ自分がこの仕事に就きたいと望んでいるか、どれだけ相手先にとって必要な人材であるかをアピールする要素になります。
ポイント1:医療の他の分野でも経験を積みたい
仕事に対する向上心をアピールすることは、志望動機としてはかなり有力な方法です。
病院薬剤師の場合、ドラックストアなどに勤務する薬剤師に比べて仕事量も多いですが、その分点滴や注射剤の調合など調剤以外のスキルを身に付ける機会が豊富にあります。
点滴や注射剤などのスキルは病院以外で習得することは難しいため、薬剤師が病院勤務を希望する大きなアピールポイントの一つと言えるでしょう。
例文
「私は広い分野で活躍できる薬剤師になりたいと願っています。
調剤という薬剤師の基本的な仕事内容に加えて、病棟での勤務やがん治療、新薬の治験など、患者さんのために少しでも多く薬学の知識と経験を深めたいのです。
貴院には多くの医療チームがあり、私が薬剤師としての経験を深めていくうえで最適な環境であると思っています」
ポイント2:チーム医療に魅力を感じる
ほとんどの病院薬剤師はチーム医療に参加しながら業務をこなすのが一般的です。
そのため、どの病院でも必ず求められるのがチーム医療をこなせる能力があるかという点です。
多くの人材の中から採用担当者に注目してもらうためには、チーム医療に焦点をあてた志望動機を考えておくと効果的でしょう。
例文
「私は専門家が集まり、皆で患者さんを助けるというチーム医療に大きな魅力を感じています。自分が病院薬剤師として働くのであれば、是非そのようなチーム医療を強みとしている病院に勤めたいと考えておりました。
貴院では、薬剤部が病棟での回診やカンファレンスにも参加しておられますし、患者さんに接する機会も多いと聞いています。また様々な分野、がん治療、栄養サポート、感染制御、医療安全などのチーム医療に薬剤師が参加しており、チーム医療への積極的な取り組みに感銘を受けています。
そこで是非、様々な場面で活躍できる可能性がある貴院で働きたいと思い、志望させて頂きました。」
ポイント3:病院が掲げる理念を尊敬している
他に志望動機として担当者の興味を引きやすいポイントは、他の病院との違いやその病院ならではの特徴に触れることです。
それによってこの病院を選んだ理由をはっきり提示することができるからです。
特に効果的なのは、病院が掲げている理念や信念に共感し、尊敬しているという態度を示すことです。
理念は多くの病院が大切にしていることですし、個々の病院によって違いがあるので「この病院にあっている人材を見つけたい」と願っている採用担当者にアピールするにはぴったりの要素です。
例文
「以前、講演会で貴院の院長の公演を聞かせていただきましたが、「病院を支えているのは資本や利益ではなく、医療従事者」という言葉が印象的でした。
病院はボランティアではないと言って利益追求を追い求めるところも多い中、患者さんの立場に立った温かい目線で運営を行い、そこで働く医療従事者を大切にする貴院の経営に尊敬の念を持つようになりました。
貴院は離職者も少ないと聞きますし、そのような立派な理念を掲げておられる院長の考えが反映されている病院ならば、私もその中の一員として加わりたいと強く感じています。」
ポイント4:患者さんと多くの時間を共有したい
「医療は患者さんのためのもの」というのは医療従事者すべてに共通した考え方であり、変わらない信念でもあります。
そのため患者さんのことを優先させて考えているというアピールは、外れのないアピールポイントの一つでしょう。
もしリハビリテーションがある病院や療養施設などがある慢性期病院に就職希望しているのであれば、患者さんと長い時間を過ごすことになる機会が多くなりますので、患者さんと多くの時間を共有することを願っていることを志望動機に含めると目を引くかもしれません。
例文
「患者さんに対する貴院の姿勢に私は大きな魅力を感じています。その姿勢は医療関係者が患者さんと接する際の態度にも大きく表れていますし、地域の住民から愛されている病院であるという事実も貴院の運営姿勢を的確に表していると思います。
患者さんを第一に考えながら働くことは私の信念でもあり、一番の関心事でもあります。貴院は薬剤師としてそれを実現できる唯一の環境だと感じています。」
ポイント5:評判の良さに感銘を受けている
病院の評判や地域の住民から頼りにされているという点に焦点を当てて、志望動機を固めるのもおすすめの方法です。
患者さんだけでなく医療関係者から見ても安心できる病院であることに感銘を受けているという内容を加えると印象が良く、周りをよく見ているイメージも醸し出すことができます。
例文
「貴院は患者さんからもとても良い評価を得ており、その存在感の大きさに私は感銘を受けました。貴院のホームページの中を拝見した時に知りましたが、貴院ではインフォームドコンセントを重要視されており、患者さんへのカルテ開示も行っておられます。
このような環境作りは決して全ての病院が行っているものではなく、大変貴重な存在であり、患者さんの安心と信頼を勝ち得る行為だと感じております。
安心と信頼は病院自体の評判、ひいては医療に対する評判へとつながりますので、私は貴院のような患者さんからの評判が良い病院で働きたいと思い、志望させていただきました。」
ポイント6:実際にこの病院でお世話になり感謝している
志望動機として特に効果性が高いのは、実際の体験を具体的に提示することです。
嘘を言うわけにはいきませんが、もし実際にその病院に入院したことがある、もしくは通院したことがあるのであればその体験を是非積極的に志望動機に含めましょう。
実際に経験して感じたことを元にしているのですから、病院側からしてみればよりリアルで参考となる意見として受け入れやすいでしょう。
例文
「実は私は学生の頃、肺炎の治療で貴院に入院し治療していただいたことがあります。医療に関する知識などなく、不安に感じている私の様子を見守ってくださっていた担当者の方はとても親切で、子どもながらに安心できたのを覚えています。
医師の方も看護師さんも薬剤師さんも、すべての医療関係者のチームワークが良く、患者さん達から信頼され頼られていると感じました。それがきっかけで、私も貴院の医療スタッフに参加したいと思うようになり、薬剤師をして一員になることを希望しております。」
病院薬剤師の志望動機としてNGな回答
志望動機は就職を成功させるための大きなポイントになりますが、その分採用合否に大きく関わるためNGな回答には気を付けなければなりません。
一番意識しておかなければならないのは、相手の都合ではなく自分の都合を前面に出して主張することです。
「自分の希望は伝えておかなければ!」と思う気持ちは分かりますが、それはもうちょっと後の段階でも十分遅くはありません。大切なのは、採用担当者に「この人はうちの病院にぴったりな人材だ」と思ってもらうことです。
そこで以下では病院薬剤師の志望動機として気をつけるべきNGポイントを4つご紹介していきます。
NG例1:自分のメリットだけを強調
転職というのは自分の都合にあっているか、希望通りの条件が通るかというポイントで決めるものです。
仕事が安定している、残業が少ない、勤務時間帯がちょうど良いなど希望は様々で、採用担当者もそれをよく分かっていますが率直に言ったからといって決して良い印象は与えることはできません。
自分にとってのメリットだけを強調してしまうと「同じような条件ならどこでもいいのかな?」と思われてしまう可能性が大です。
仮に「じゃあうちじゃなくても…」と言われてしまった場合、切り返す言葉も見つからないようであれば志望動機としては不十分といえるでしょう。
そのため、以下のような志望動機はNGとなります。
例文
「私が貴院に応募したのは、仕事が安定しているところに惹かれたからです。リハビリテーションセンターを中心とする貴院での勤務時間は固定性のため計画が立てやすいですし、残業も少ないようなので大変働きやすく魅力を感じております。私の家からも近く、通勤にも問題はありません。
また私は新しいことを沢山覚えるのは苦手ですが、決められたことを毎回同じように正確にこなすことは得意ですので、患者さんと長く付き合い長期間継続した治療を行うことに向いていると思います。」
NG例2:自分の成長を連呼
向上心のアピールは志望動機としてはとても効果的で良く使う方も多いですが、「色んな経験によって自分を成長させたい」というフレーズには注意が必要です。
一見すればこのフレーズは仕事への積極性の表れとも取れますが、病院によってはチーム医療によって協力して働くことに重きを置いている所もあり、個人の成長はチームの二の次という考えの場合もあります。
志望動機=自分の成長という印象を色濃く与えてしまうと、採用担当者に「それは他でやってください」と思われてしまう可能性もあります。
そう思われないためにも個人としてチーム医療にどのように貢献するつもりなのか、自分の成長をどのように生かすつもりなのかを具体的に提示することが必要になってくるでしょう。
例文
「私はOOを沢山経験することで沢山経験を積み、薬剤師として大きく成長したいと思い、貴院での勤務を希望いたしました。
OOの経験は病院ではないとできないものですし、多くの実績を積み重ねることで自身の薬剤師としての知識やスキルを磨くことができるからです。
今まで学んだことを貴院で精一杯活かし、新しい知識や情報を沢山吸収し優秀な薬剤師になりたいと思います。」
NG例3:給与に関する話
給与などの条件は働く病院を決める際の決断ポイントになりますが、初対面である面接の際にお金の話を持ち出すのはあまり良い印象は与えません。
しかも給与条件が志望動機であるなら、採用者としては「この病院にあっている人材」か判断できず困惑してしまうでしょう。
採用担当者が面接で志望動機を確認するのは、薬剤師という責任の大きな職業への理解があるかということや、病院の理念に沿って働ける人材かという点を見るためです。
給与などの細かな条件はこちらとしては重要ですが、面接担当の方からすれば志望動機としては重要ではなく、別に今言わなくても‥‥というレベルです。
印象を悪くしてしまえば採用されにくくなるので、給与や個人的な条件を志望動機として述べるのは止めましょう。
例文
「私が薬剤師を目指したのは、時給が高く比較的求人も安定しているからです。このご時世で給与面で安心して働けるというのはとても魅力が大きく、資格を取って働く価値があると感じています。
また貴院は社員寮の設備が整っていると聞いたため、家賃や光熱費を抑えられる点も大変助かる点だと思います。もし入社することができたら、収益を出せるように懸命に働きたいと思っています。」
NG例4:具体性がない話
薬剤師の志望動機だけに限ったものではありませんが、一般的によくNG例として挙げられるのが具体性のなさです。
これは良くありがちな話なので、気づいたら自分の志望動機が採用担当者から薄っぺらいと思われている可能性は十分にあります。
例文
「私は薬剤師としての経験をより向上させるため、貴院への就職を希望しています。色んな病院の理念や運営方針を見させていただきましたが、個人的には貴院の経営理念「常に学ぶことをやめない」という考え方に感銘を受けました。
色んな医療に力を入れておられる貴院のスタッフの一人として働き、患者さんのためにも常に学ぶことを欠かさない、そんな薬剤師を目指しています。貴院でなら自分の能力をより生かせると信じており、いろんな面で貢献できると自負しております。」
病院薬剤師の志望動機のサポートが得意な転職エージェント一覧
転職エージェントの中には、経歴やスキルを元に最適な志望動機を一緒に考えてくれたり、添削を無料で行うサービスを実施しているが何社かあります。
そこで以下では、志望動機サポートを行っている転職エージェントの中でも薬剤師の転職に特化したサービスを3つ紹介します。
病院薬剤師への転職を検討していて、自信がない方は下記サイトで無料のサポートを受けると良いでしょう。
病院薬剤師の志望動機の書き方まとめ
薬剤師の中でも病院薬剤師は薬学の知識やスキルを磨く機会が多いことから人気があります。
ただ人気がある業種だからこそ就職倍率は高く、面接を突破するためには一通りの準備と秘策が必要です。
中でも採用担当者が直接目にする志望動機は重要ですので、しっかりと対策をしておかなくては病院薬剤師への転職の道は閉ざされてしまうでしょう。
なお自分だけで考えるには限界があるという方のために、最近は薬剤師の転職サイトでエージェントが最適な志望動機を教えてくれたり、一緒に考えてくれるサービスをしています。
担当者の勤続年数にもよりますが、どのエージェントも過去に数百~数千人の薬剤師の転職を成功に導いてきた実績がありますので、確実に自分で考えるよりも担当者ウケの良い志望動機を考えてくれます。
他にも面接の書き方をサポートしてくれたり、言い出しにくい給料の代理交渉などもしてくれるので、病院薬剤師を希望される方はまずは転職エージェントに相談してもらってはいかがでしょうか。