介護士の給料は介護職種の中で2番目に低いです。多くの施設は介護報酬のひとつである介護職員処遇改善加算をもらって介護士の給料に当てていますが、加算をもらわない施設も少なくありません。
今回はそんな介護士が給料を増やすための方法を紹介します。
【この記事で分かること】
- 介護士の給料は介護職種の中で2番目に低い
- 無資格の介護士の月給は有資格の介護士より25,000円から50,000円ほど安い
- 多くの介護施設は介護職員処遇改善加算をもらっているが、そうでない施設もある
- 介護士の給料アップのための方法が4つある
- 介護士の給料アップは転職が最も効果的
目次【クリックして移動できます】
介護士の平均給料や年収はいくら?
介護の世界にはいくつかの職種があります。
2018年の厚生労働省調査によると、介護の職種別に見た常勤介護従事者の平均月給額は次のとおりです。
職種 月給額(額面)
- 介護職員 30万970円
- 看護職員 37万2070円
- 生活相談員・支援相談員 32万1,080円
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・機能訓練指導員 34万4,110円
- 介護支援専門員(ケアマネジャー) 35万320円
- 事務職員 30万7,170円
- 調理員 25万4,450円
- 管理栄養士・栄養士 30万9,280円
見ての通り介護職種の中で介護職員(介護士)の平均月給は、調理員の次に低いことが分かります。
月給額の最も高い看護職員に比べ、約71,000円低いです。これは年間にすると約85万3,000円低くなります。ボーナスを含めると、その差はさらに広がりるでしょう。
看護職員は看護師にしかできない医療行為を除けば、介護士とほぼ同じ仕事をしています。しかも介護施設での医療行為は痰吸引・経管栄養・摘便など、医療機関での医療行為ほど高度なものではありません。
痰吸引と経管栄養は所定の研修を修了すれば、介護福祉士でも行うことができるレベルの医療行為です。
ほぼ同じ仕事をしているのに71,000円もの月給差があることは、介護職員(介護士)にとって大きな不満のひとつになっています。
介護士の保有資格による給与の違い
では、介護福祉士などの資格を持つ介護士と資格を持たない介護士とでは、どのくらい給料の違いがあるのでしょうか。
2018年の厚生労働省調査によると、常勤介護士の保有資格別の平均月給額は、次のとおりです。
保有資格の有無 月給額(額面)
- 保有資格あり
介護職員初任者研修修了 28万5,610円
介護職員実務者研修修了 28万8,060円
介護福祉士 31万3,920円 - 保有資格なし
26万1,600円
保有資格のない介護士に比べ、介護職員初任者研修修了者は約24,000円、介護職員実務者研修修了者は約26,000円、介護福祉士は約52,000円、それぞれ月給額が多いことが分かります。
介護士は、他職種に比べて給料が低いのは事実です。ただ介護士の給料も施設により差があります。介護士への給料についていろんな施設をしっかりリサーチしたうえで、どの施設に転職するかを決めることが大切です。
資格の有無による業務の差
介護士が取得できる資格は、介護職員初任者研修修了(旧ホームヘルパー2級)、介護職員実務者研修修了(旧ホームヘルパー1級)、介護福祉士の3つです。
介護士になるのにこれらの資格は必要ありません。ただ資格を持たない介護士は利用者の身体に直接触れる仕事はできないので、移乗・入浴・更衣・食事・排泄などの介助はできません。
身体に直接触れることは利用者の健康や安全への影響が大きく、資格を持たない介護士に任せるにふさわしくないからです。
資格を持たない介護士ができるのは送迎時の運転や食事の配膳、レクリェーションの進行など、利用者の身体に直接触れない仕事に限られます。
介護士の給与が上がる!介護職員処遇改善加算の届出状況は?
介護施設がもらう介護報酬のひとつに、介護職員処遇改善加算があります。これは介護職員の給料アップをスローガンに国が打ち出した政策のひとつです。
介護施設が介護職員処遇改善加算をもらうには、都道府県や市町村に加算をもらう施設としての届出をしなければなりません。
介護職員処遇改善加算の届出をしている施設は、全国にどのくらいあるのでしょうか。
2018年の厚生労働省調査によると、同年9月30日時点、全国の介護施設の介護職員処遇改善加算の届出状況は、次のとおりです。
届出をしている/届出をしていない
- 特別養護老人ホーム 98.5% / 1.5%
- 老人保健施設 94.6% / 5.4%
- 療養型医療施設 70.0% / 30.0%
- 訪問介護(ヘルパー) 88.4% / 11.6%
- 通所介護(デイサービス) 89.6% / 10.4%
- グループホーム 99.0% / 1.0%
療養型医療施設による届出が最も少ないのは、職員の内訳として看護師が多く、介護士は少ないためと思われます。
逆にグループホームは看護師のいない介護士だけの施設であるため、届出が最も多いと思われます。
一部の施設が届出をしていない理由
厚生労働省調査では、これら施設全体について、介護職員処遇改善加算の届出をしない理由について、次のような調査結果が示されています。
届出をしない理由/割合
- 職種間・施設間の給料バランスがとれなくなる心配がある 44.4%
- 給料アップの仕組みを設けるのが複雑で手間がかかる 37.2%
- 給料の管理が難しくなる 21.4%
- 給料アップの仕組みの決め方が分からない 21.1%
- 給料アップの仕組みについて法人や施設内での合意が難しい 10.7%
- その他 13.2%
「給料バランスがとれなくなる」以外の理由は、いずれも手続上の理由です。介護職員処遇改善加算の届出を増やすには、国が加算の仕組みをシンプルで分かりやすいものにして、施設が取り組みやすくしなければなりません。
一方で施設側も、加算の仕組みの理解に努めなければなりません。
多くの施設が介護職員処遇改善加算の届出をしている一方、届出をしていない施設もあります。届出をしている施設の方が高い給料を期待できます。介護職員処遇改善加算の届出の有無は、転職先を選ぶ際の重要ポイントのひとつです。
介護士の給料(年収)を上げる4つの方法
介護士は職業であり生活の糧を得るためのものです。であるなら、少しでも多く給料をもらいたいのは当然です。
介護士の給料を上げる方法として、次の4つが考えられます。
- 介護福祉士などの資格を取得する
- 夜勤に積極的に入る
- 生活相談員やケアマネジャーへキャリアアップする
- 給料の上がる介護施設へ転職する
介護福祉士などの資格を取得する
もしもあなたが保有資格のない介護士だったら、ぜひ資格を取りましょう。
介護士の資格は介護職員初任者研修修了、介護職員実務者研修修了、介護福祉士の3つです。できれば介護福祉士を取りましょう。
介護福祉士試験は介護現場で3年間の実務を経験した後、実務者研修を修了することで受験資格を手にできます。
介護福祉士試験の合格率
介護福祉士試験の2017年から2019年までの3年間の平均合格率は72.2%です。
介護福祉士は保有資格のない介護士より約52,000円高い月給がもらえます。
介護職員初任者研修と介護職員実務者研修は、民間機関が実施する研修を修了することで取得できる民間資格です。
これに対して介護福祉士は、厚生労働大臣が認定する国家資格です。民間資格と国家資格とでは、格の重みが違います。そのため介護福祉士の方が転職の際に有利です。
夜勤に積極的に入る
給料をアップさせたいなら夜勤に積極的に入りましょう。
全国の施設の介護士の夜勤手当の平均は、1回4,000円から8,000円くらいです。介護士の平均的夜勤回数である月5回で計算すると、月20,000円から40,000円の夜勤手当をもらえます。
ただ夜勤は日勤に比べて心身への負担が大きいです。法律の上で夜勤回数の制限はないとはいえ、自分の体力・年齢・生活状況などを考えて無理のない回数にすることが大切です。
身体をこわしたり、精神の不調をきたしたり、家庭内の不協和音を生じさせたりすることのないよう気を付けましょう。
生活相談員やケアマネジャーへキャリアアップする
生活相談員やケアマネジャーへのキャリアアップを狙うのもおすすめです。
月給で生活相談員で約20,000円、ケアマネジャーで約50,000円も介護士より上回っています。
生活相談員は施設の入所や退所の調整、通所介護など在宅サービスの利用開始の準備、ケアマネジャーなど外部との連絡調整などを行います。
生活相談員になる方法は市区町村によっても違いますが、多くの施設では社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャーなどの資格が必要とされています。
ケアマネジャーは介護保険サービスの利用計画(ケアプラン)の作成を中心に、利用者の生活全般の支援を行います。介護福祉士や看護師など、介護や医療の資格にもとづく仕事を5年以上続けることで受験資格が得られます。
給料の上がる介護施設へ転職する
現在勤めている施設より給料が上がる可能性の高い施設へ転職する方法もあります。
特にすでにお話しした3つの方法が難しい場合、この方法が最も確実かつ手っ取り早いのでおすすめです。
転職先を探すポイントは、2つです。
- 求人情報に給料を具体的金額で書いてあるか?
- 介護職員処遇改善加算をもらっているか?
求人情報に給料を具体的金額で書いてある施設を選ぶ
求人情報に給料を具体的金額で書いてある施設を選びましょう。
通常、「月給:〇〇円~〇〇円」という書き方がされます。具体的な月給額は採用面接の際に示されます。ただある程度の月給の幅が分かることで、今の職場より高い給料がもらえるかどうかを推し量ることができます。
反対に給料について「当社規定による」という書き方をしている施設は、やめた方がよいでしょう。給料額を事前に明かせない事情のある、いわゆる薄給ブラック施設の可能性が高いからです。
介護職員処遇改善加算をもらっている施設を選ぶ
また、上記と合わせて介護職員処遇改善加算をもらっている施設を選びましょう。加算は単純に給与アップの財源となります。
さらにこの加算をもらっていること自体が、施設が介護職員の給料アップに取り組んでいる姿勢の表れでもあります。つまり給料アップの見込める施設です。
介護職員処遇改善加算をもらっていない施設はやめた方がよいでしょう。財源や取り組み姿勢の点で介護職員の給料アップは期待できないからです。
本文で紹介した4つ以外にも、介護士の給料アップの方法はあるかと思います。いずれにせよ、自分の心身状態と生活状況に応じた方法を取ることが肝心です。
まとめ:介護士の給料年収上げたい人は転職がおすすめ
紹介した給料アップ方法のうち前3つは資格や体力、年齢が関わってきます。よって当てはまる人は限られてしまいます。
しかし最後の転職をするという方法は、誰でも使えます。よって介護士の給料アップには転職が最もおすすめの方法といえます。
その際は介護士転職サイトなどを利用することをオススメします。ハローワークに行かなくてもスマホで求人が確認できるだけでなく、給料がひと目で比較できるからです。
また、利用料金も完全無料であったり、専任のコンシェルジュが付いて給与や職場の人間関係の情報を教えてくれるなどのサポートも受けれるので、とりあえず利用してみて損はないでしょう。
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