介護事務管理士の資格があると、介護報酬請求など介護事務能力があると評価されます。
この記事ではそんな介護事務管理士の資格の取り方や仕事内容、取得費用やメリット、給料への影響などを紹介していきます。
【この記事で分かること】
- 介護事務管理士は、認定試験に合格した後、介護報酬請求など介護事務を担当する。
- 介護事務管理士受験講座を受けることが認定試験合格への早道である。
- 介護事務管理士になれば転職が有利になる。
- 転職活動では転職サイト利用がおすすめ。
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介護事務管理士とは?
介護事務管理士とは、介護関係の施設や会社での事務処理能力を認定する民間資格のひとつです。
株式会社技能認定振興協会(JSMA)が実施しています。介護事務管理士の役割でも特に大事なのが、介護保険の報酬請求です。
介護事務管理士の資格取得方法
介護事務管理士の資格を取るには、介護事務管理士技能認定試験に合格しなければなりません。
受験資格 | 特になし。年齢を問わず誰でも受験可能。 |
---|---|
試験内容 | 1:学科(マークシート択一式10問) ①法規(介護保険制度、介護報酬請求の知識) ②介護請求事務 (介護給付単位数の算定、介護報酬明細書の作成、介護用語についての知識)2実技(3問) ①レセプト点検(問1) ②レセプト作成 (問2:居宅サービス 問3:施設サービス) |
受験料 | 6,500円 |
受験形式 | 在宅受験のみ(新型コロナウイルス感染拡大にともなう措置)。 送られて来た試験問題に解答して送り返す。 |
介護事務管理士の合格率は?
介護事務管理士技能認定試験の合格率は、約50%といわれています。
他の介護事務資格であるケアクラーク(73%)や介護報酬請求事務技能検定(約80%)に比べ、合格率が低いです。
2人に1人は不合格となるので、介護士資格の中では比較的きびしい試験といえるでしょう。
介護事務管理士の研修内容と費用
介護事務管理士技能認定試験の勉強は独学でもできますが、出題傾向に合わせた効率的な勉強をするには受験講座を受けるのが一番です。
技能認定振興協会(JSMA)のグループ企業である株式会社ソラストの受験講座内容を紹介します。
ソラストの講座は、次のカリキュラムによる通信講座です。
期間 | 講座内容 | 課題 |
---|---|---|
1か月目 | 制度の仕組み 支給限度額 給付管理業務 請求と支払い | 第1回レポート提出 |
2か月目 | 居宅サービスの算定 支援サービスの算定 居宅サービスの請求書類の書き方 支援サービスの請求書類の書き方 | 第2回レポート提出 |
3か月目 | 施設サービスの算定 施設サービスの請求書類の書き方 地域密着型サービス |
第3回レポート提出 |
4か月目 | 利用者負担の徴収 他制度との関係 介護従事者の基本知識 |
なお受講料は40,000円です。送られて来た教材で自習し、レポートを提出して添削を受けます。全レポート合格で講座修了です。
最短4か月間で修了ですが、12か月間在籍できるので、仕事をしながら最長12か月間で修了する人もいます。
介護事務管理士を受講できるスクールと費用
介護事務管理士技能認定試験の受験講座を行っているのは、ソラストだけではありません。
ソラスト以外で介護事務管理士講座を受けられるスクールを紹介します。
実施団体 | 講座名 | 受講料 |
---|---|---|
株式会社ユーキャン | 介護事務講座(通信) | 一括 39,000円 分割 3,300円×12回=39,600円 |
NPO法人ウェッブ ストーリー | 介護事務管理士対策講座(通学) | 32,000円 |
読売理工医療福祉専門学校 | 介護福祉学科(通学) | 一年次 118万4,500円 |
資格試験の勉強では、出題傾向に合わせた効率的な対策が合格への近道です。その点で受験講座の受講をお勧めします。
時間とお金がかかりますが、ひとりでダラダラと勉強するより合格率が高まることは確かです。後述する介護事務職への就職や転職で収入が増えれば、かかった費用を取り返すこともできます。
介護事務管理士の仕事内容
介護報酬の請求
所属する介護施設や会社が利用者に提供した介護サービスの費用のうち介護保険でまかなう金額の支払いを、都道府県の国民健康保険団体連合会という団体に請求します。
請求に必要なのが、「介護給付費請求書」「介護給付費明細書」という2種類の書面です。これらの書面が間違っていると介護報酬をもらえません。決まりにしたがって正しく作成することが必要です。
介護施設や会社の収入のほとんどが介護報酬で、そこから職員の給与や設備・物品の費用がまかなわれることから、介護報酬の請求は施設・会社運営の基本となる重要な仕事といえます。
利用者負担分の請求
利用者に提供したサービス費用のうち介護保険でまかなわれない金額(自己負担分)を利用者に請求します。
自己負担分1割の利用者がほとんどで、2割または3割負担の利用者は少ないです。
自己負担分を利用者から回収することは、それが施設・会社の収入となることから介護事務管理士の大事な仕事のひとつといえます。
設備・備品・消耗品の発注
施設や会社の設備(浴室のボイラーなど)・備品(パソコンなど)・消耗品(オムツ類など)に不具合や不足がある場合、専門業者に修理や納品の発注を行います。
設備・備品・消耗品が欠けると介護現場、事務部門かを問わず施設・会社の運営に支障を来します。こうした状況にすみやかに対応するのも介護事務管理士の大切な役割であるわけです。
来客や電話への応対
施設・会社への来客や電話に応対することも、介護事務管理士として気を抜けない仕事です。
来客への明るくていねいな態度、電話の内容を正しく聴き取り関係部署にきちんと伝えることは、施設・会社への評価を高めます。
逆に暗くぞんざいな態度、電話内容が関係部署に正しく伝わらないことは施設・会社の評価を下げるでしょう。
施設・会社への好評価は、「あの施設・会社ならしっかりした介護サービスをしてもらえるだろう」という評判を呼びます。それは利用者数を増やし施設・会社の収入アップへと繋がるきっかけとなるのです。
介護事務管理士の資格を取得するメリット
介護事務管理士になるには、6,500円の受験料のほか、3万円以上の受験講座費用もかかります。
それでもこの資格を取った方がよいといえるメリットは何なのでしょうか。介護事務管理士の資格を取るメリットを6つ紹介します。
業務遂行の知識やスキルが身につく
介護事務管理士の資格を取ることで、介護事務に必要な知識やスキルを身に付けることができます。
法律の上では資格がなくても介護事務を行うことは可能です。ただ介護事務管理士試験に向けての勉強の中で、報酬請求を中心とした介護事務の知識とスキルが自然と身に付いていきます。
こうして身に付けた知識とスキルがあれば、介護事務を正しく、そして早くこなすことができるのです。
転職や就職で有利になる
介護事務管理士の資格は、転職や就職を有利にします。
介護事務管理士の資格を持っていることは、介護事務の知識とスキルを備えた即戦力となることを示すものです。施設や会社は即戦力となる人材を求めます。転就職が有利に進むことはまちがいないでしょう。
全国どこでも働くことができる
介護事務管理士の資格があれば、全国どこでも働くことができます。
超高齢社会のため介護関係の施設や会社は全国にあります。転居することになっても介護事務管理士の資格があれば、転居先の土地にある介護施設や会社で介護事務職として働ける可能性が高まるのです。
働く場所が多い
介護事務管理士の働く場所は、多方面にわたっています。
もちろん基本的には介護関係の施設や会社で働くことが多いです。ただ最近はそれ以外の職場で働く人も増えています。たとえば、次のような職場です。
医療クリニック
医療クリニックでも介護保険の訪問看護・訪問リハビリ・居宅療養管理指導(訪問診療)を行うところが増えてきました。
そこでは当然、介護保険の報酬請求業務が必要です。介護事務管理士の資格があれば、こうしたクリニックで働くことができます。
国民健康保険団体連合会
各都道府県に国民健康保険団体連合会という組織があります。域内の介護事業所からの報酬請求を受け審査し、報酬の支払いを行う組織です。
介護事務管理士の資格があると介護報酬事務の知識と経験が豊かと評価され、採用される可能性が出てくるわけです。
介護ソフトウェア制作会社
介護報酬請求はもとより、介護保険業務はパソコンにインストールされたいろんなソフトウェアを使って行われています。ケアマネジャーの作るケアプランがその例です。
介護保険のソフトウェアは多くの企業で開発され、各施設や会社が購入して利用します。介護報酬については国民健康保険団体連合会に請求する期限が毎月10日と決まっているため、できるだけ効率的かつ正確に処理できるソフトウェアへのニーズが高いのです。
介護事務管理士としての知識・スキル・経験をアピールすれば、介護ソフトウェア会社への就職も可能になるでしょう。
希望に合った勤務スタイルを選べる
介護事務管理士の資格を取れば、希望に合った勤務スタイルを選べるようになります。
介護事務職の中には常勤として1日8時間勤める人のほかに、次のような形で働いている人もいます。
- 午前中のみの非常勤勤務
- 介護士を兼務して介護現場と事務部門の両方で働く
- 報酬請求を行う月初めだけ働く
働き方のバラエティさは他の職種にない、介護事務管理士ならではの特徴といえるでしょう。
充実感を味わうことができる
介護事務管理士にはその資格ならではの充実感があります。
介護事務管理士は利用料そのほかの関係で利用者や家族と接することが多く、介護でお世話になっている感謝のことばをもらうことが多いです。給与・設備・備品・消耗品などのことで職員と話す機会も多く、速やかな対応に感謝されることもあります。
利用者・家族・職員から感謝の気持ちをいただくことで介護事務管理士としての充実感が生まれ、明日の仕事へのエネルギーとなるのです。
介護事務管理士の給料や年収
介護事務管理士の給料は専業か、現場の介護士と兼任で働くかで変わってきます。
専業の場合は月給で20~27万円。年収にすると300~400万前後であることが多いです。
一方で介護士と兼業で働くと月収22~30万、年収にすると330~500万ほどになるよう求人が多いです。
この辺りは施設や地域によって異なるのですが、資格のない介護士と比較して月3万円ほどの給与は上がると考えて良いでしょう。
介護事務管理士まとめ
介護事務管理士という資格は今の職場での給与や立場で役立つのはもちろん、転職においても有利な資格です。
介護事務管理士として転職をしようと思うなら、転職サイトの利用がおすすめです。転職サイトは紹介求人の質が自社への評価につながるため、いわゆるブラック施設・会社は紹介求人から振るい落とされます。
また、転職サイトでのみ紹介される未公開求人もあるため、とても多くの求人案件に出会うこともできるのです。ハローワークにはない転職サイトの魅力といってよいでしょう。
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