移動介護従業者とは|仕事内容や給料、資格取得の方法や費用、メリットを紹介

移動介護従業者(ガイドヘルパー)は、各都道府県知事が行う研修を修了することで得られる介護資格の一種です。

身体や資格、知的障害を持っており一人での外出が困難な方を支えます。当記事ではそんな移動介護従業者(ガイドヘルパー)の資格について解説しつつ、具体的な研修内容や仕事内容、給料、メリットも詳しく紹介していきます。

【この記事で分かること】

  • 移動介護従業者(ガイドヘルパー)について
  • 移動介護従業者の養成研修の内容
  • 移動介護従業者の仕事内容
  • 移動介護従業者の給料
  • 移動介護従業者のメリットは
  • 移動介護従業者の資格を活かした転職方法

移動介護従業者(ガイドヘルパー)とは?

移動介護従業者とは、障害を持つ大人または子どもの外出時の移動をサポートする知識とスキルがあると認定された人のことです。ガイドヘルパーとも呼ばれます。

サポートを受ける障害者は視覚障害者(児)・全身性障害者(児)・知的障害者(児)の3者に分けられます。

視覚障害者とは、生活に支障を来たすほど目の働きがひどく低下していると認定された人です。

全身性障害者は両腕両脚の働きが低下して、独りでの動作ができないまたはとても難しいと認定された人を指します。

知的障害者とは、精神面の働きがうまくいかないことから生活に支障があると認定された人のことです。

移動介護従業者は障害者の外出サポートを通じて、その社会参加に貢献します。障害者の社会参加が進む社会の流れの中で移動介護従業者への期待は大きく、就職や転職における追い風になっています。

移動介護従業者資格の取得方法

移動介護従業者養成研修を修了させる

移動介護従業者(ガイドヘルパー)の資格を取るには、前述した通り移動介護従業者養成研修を修了しなければなりません。この研修は、都道府県が指定した研修事業者が実施します。

研修はすでに障害者(児)の外出サポートの職に就いている人、またはこれから障害者(児)の外出サポートの職に就きたいと思っている人であれば誰でも受講可能です。

研修カリキュラムは視覚・全身性・知的という3つの障害種類ごとに別々の課程となっています。これは障害種類により、外出サポートの仕方が違ってくるからです。

各課程の研修内容は、次の表のとおりです。

移動介護従業者資格の研修内容

視覚課程

形式科目時間数
講義ホームヘルプサービス概論2
講義ホームヘルパーの職業倫理1
講義ガイドヘルパーの制度と業務1
講義障害者(児)福祉の制度とサービス2
講義障害・疾病の理解2
講義障害者(児)の心理1
講義移動介護の基礎知識2
演習移動介護の基本技術2
演習屋内の移動介護2
演習屋外の移動介護4
演習応用技能1
合計20時間

全身性課程

形式科目時間数
講義ホームヘルプサービス概論2
講義ホームヘルパーの職業倫理1
講義ガイドヘルパーの制度と業務1
講義障害者(児)福祉の制度とサービス2
講義障害者(児)の心理1
講義重度肢体不自由者(児)における障害の理解1
講義介護に係わる車椅子及び装具等の理解1
講義姿勢保持について1
講義コミュニケーションについて1
講義事故防止に関する心がけと対策1
演習抱きかかえ方及び移乗の方法1
演習車いすの移動介護2
演習生活行為の介護1
合計16時間

知的課程

形式科目時間数
講義ホームヘルプサービス概論2
講義ホームヘルパーの職業倫理1
講義ガイドヘルパーの制度と業務1
講義障害者(児)福祉の制度とサービス2
講義障害・疾病の理解4
講義障害者(児)の心理1
講義移動介護の基礎知識2
演習移動介護の基本技術6
合計合計19時間

いずれの課程も3日間くらいに分けて行われます。各課程を修了すると、研修実施事業者から修了証が発行されます。修了証をもらった時点で、移動介護従業者の資格を取得したことになります。

修了証は課程ごとに別々です。たとえば視覚課程の修了者には視覚課程の修了証が発行されます。つまり、「視覚障害者」「全身性障害者」「知的障害者」それぞれを対象にした3種類の資格があるわけです。

修了証を発行するのは実施事業者ですが、都道府県の指定した事業者であることから、移動介護従業者の資格は都道府県が認定する公的資格といえるでしょう。

資格取得費用

ガイドヘルパーの資格取得費用は事業者にとって異なりますが、1講座2~3万円、2講座セットで4~5万円という金額を出しているところが多いです。

後述する年収への影響を考えると、手間もそれほどかからない資格なので取得をしても良いでしょう。

どの研修課程も、とても実践的な内容です。それは、移動介護従業者の資格取得者が現場での即戦力となれることを意味します。即戦力は求人者が求職者に対していちばん求める条件です。移動介護従業者の資格取得は、就職や転職での大きなアピールポイントになります。

移動介護従業者(ガイドヘルパー)の仕事内容

外出時の安全を保つ

障害者(児)の外出時の安全を保つことは、移動介護従事者の一番大事な仕事といえます。

障害者の外出では視覚障害者が段差でつまずく、全身性障害者の車いすがほかの物にぶつかる、知的障害者が歩道から車道に飛び出すなどのトラブルが起きかねません。

こうしたトラブルなく安全を保ててこそ、障害者にとって楽しく有意義な外出となります。

サポート対象と一緒に色々な場所に行く

移動介護従業者がサポートする外出の行き先はさまざまです。

デパートやスーパーでの買い物、病院受診、役所での手続など日常生活に欠かせない場所はもちろん、気分転換や足腰鍛錬のための散歩、旅行や美術館めぐりなどのレジャーにも付き添います。

子どもの場合、遊園地やゲームセンターなどへ一緒に行くこともあります。

トイレや着替えの介助

障害者が外出先でトイレに行きたくなれば公衆トイレに誘導し、動作を介助します。

場合によっては事前に外出コースの公衆トイレを確認しておく必要もあるでしょう。

また、失禁その他で衣類が濡れるなどしたら着替えの介助をしなければなりません。こうした場合に備え、着替えを持ち歩くことも必要です。

天候や健康状態に気を配る

ガイドヘルパーは外出日の天候や本人の健康状態に気を配らなければなりません。

たとえば外出の途中で突然雨が降ってきて衣服がびしょ濡れにでもなれば、せっかくの外出が台なしです。当日の天気予報をチェックして、外出にふさわしい日かどうかを調べておきましょう。

どうしても外出する日に雨が降るようなら、傘や着替えなどの準備をします。

障害者(児)は他に何らかの病気を抱えていることが多いです。そのため本人の持病を前もって把握し、外出前にバイタルチェックや観察をして身体の状態を確かめましょう。

体調が思わしくないときは、ガイドヘルパーの判断で外出を中止することも必要です。

万が一急変した時のために、対応の仕方をしっかりと身に付けておくことも忘れてはなりません。

障害者(児)の外出サポートは、移動介護従業者にとって精神的、肉体的に大きな負担を伴います。移動介護従業者自身が健康でないと務まりません。十分な休養とストレス発散が大事です。あまりに疲労とストレスがあるようなら職場を変える、つまり転職を試みるのもひとつの方法といえます。

移動介護従業者(ガイドヘルパー)の資格を取得するメリット

障害者の自立に役立つやりがいを感じられる

障害者(児)の外出をサポートすることは、彼らが自分らしい自立した行動を支援することにほかなりません。

これは障害者にとって大きな喜びとなることはもちろん、移動介護従業者にとってもひとりの人の生活と気持ちを豊かにする活動として、やりがいと充実感を得られます。

コミュニケーション力を高めることができる

障害者とのコミュニケーションは、健常者のそれに比べてはるかに難しいものがあります。

たとえば全身性障害者には言葉を発することが難しい人も多く、ガイドヘルパーには本人が言わんとすることを理解する力が求められます。

また、知的障害者はものごとを理解し判断するのが難しい場合もあり、こちらの言うことを理解し判断してもらう、相手の言うことを理解することに苦労が伴うのが普通です。

ただ、「習うより慣れろ」のことわざのとおり、障害者とのコミュニケーションを繰り返すうちに少しずつコミュニケーション力が高まっていくことを感じられるでしょう。

就職や転職に役立つ

パラリンピックの盛り上がりに示されるように、今は障害者も積極的に社会参加する時代です。外出は社会参加の第一歩であり、障害者の外出を支援することは、その社会参加を後押しすることに他なりません。

移動介護従業者はこうした時代にマッチした資格であるため、移動介護従業者は就職や転職に有利な資格となっています。

給与がアップすることもある

ガイドヘルパーは、初任者研修のように国が明確に給与をアップするように指示を出している訳ではありません。

しかし有用な資格である事は間違いないため、施設によっては転職の際に資格を考慮して給与をアップしてくれます。

移動介護従業者(ガイドヘルパー)の平均給料・年収

移動介護従業者(ガイドヘルパー)の収入について、国による公のデータは示されていません。

そのため民間の求人情報を調査したところ、地域によって多少の差はありますが正規職員で月収約18万円から22万円、年収にすると約250万円から280万円が平均でした。

パート職員の場合は時給1,300円から1,500円が平均です。資格を取得しても給与が大幅に上がりはしませんが、無資格の介護士よりは月あたり1~3万円ほど収入はアップするでしょう。

パートやアルバイトの方が稼げるケースも

ガイドヘルパーの求人はその仕事内容の関係上、短時間でもパートやアルバイトのものが多いです。

そのため短時間勤務や副業など個人のニーズに合わせて働くことができるのですが、全身性障害者の求人は時給単価がかなり高い傾向にあります。たとえば首都圏や大阪であれば時給1800円という求人もあります。

施設や地域にもよりますが複数の施設でガイドヘルパーとして働くことで、正社員よりも稼げるというケースも多いです。

多くの資格を取るとより年収に反映されやすい

移動介護従業者資格には視覚障害・全身性障害・知的障害の3種類あります。できるだけ多くの種類の資格を取れば、仕事の範囲も広がって収入アップにつながるでしょう。

特に転職時に移動介護従業者の資格があることをアピールすれば、給与にそれが反映される可能性は高いです。

移動介護従業者の給料は事業所によってマチマチです。今の給料に不満があれば、移動介護従業者資格の持つ転職しやすいというメリットを生かして、より条件のよい事業所への転職を考えてもよいでしょう。

移動介護従業者(ガイドヘルパー)のまとめ

移動介護従業者は外出支援を通じて障害者に生きがいを与える重要な仕事ですが、苦労も絶えません。相応の給料をもらえて当然です。

せっかく資格を取得したのに給与が全然増えない方や、これから取得しようとしている方はちゃんと資格を考慮してくれる施設に転職するのが重要になるでしょう。

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