わが国の介護施設にはいくつかの種類があり、特徴も様々です。この記事ではそんな介護施設のそれぞれの特徴や業務内容、働くメリットとデメリット、給与などについて紹介します。
他の介護施設への就職・転職を考えている介護士は施設の違いをしっかりと理解した上で、自分の力を発揮できて高い給与ももらえる施設を探すことが大切です。
【この記事で分かること】
- 介護施設にはいくつもの種類がある。
- 施設の種類ごとに特徴、業務内容、働くメリットとデメリット、給与などが異なる。
- 転職先施設を探すポイントは、自分の力を発揮できて高い給与をもらえることである。
介護施設の選び方!施設別の特徴やメリット、給与を紹介
介護士として就職・転職先を探すにはそれぞれの介護施設の種類と特徴を知ることが大切です。
そこでまずは利用率の高い8つの施設について特徴や介護士として働くメリットデメリット、給与などを紹介します。
特養(特別養護老人ホーム)
特別養護老人ホーム、略して特養と呼ばれる介護施設は原則として要介護3以上の高齢者が入所します。一生の生活を送る、いわゆる「終の棲家(ついのすみか)」です。
メリット・デメリット
特養で働くメリットは、入所者の入れ替わりが少ないためひとりひとりの入所者と深いつながりを持てることです。そのため、入所者が亡くなった時、涙を流す職員の一番多いのが特養です。
特養で働くデメリットは入所者の介護度が高い分、介助の量が多いことになります。寝たきりで食事・入浴・排泄の全面的な介助の必要な方はもちろん、重度の認知症のため一時も目が離せない方など、職員の負担はとても大きくなります。
給与・月収
そのため特養で働く介護士の月給は比較的高く、2018年厚生労働省調査による、介護職員処遇改善加算をもらっている施設の常勤職員の場合、平均33万2,260円(税込)です。
業務内容
特養の介護士の主な業務内容は食事・排泄・入浴・移動などの介助、体操やレクリェーションによる運動や気分転換の介助、シーツ交換・居室掃除・衣類洗濯などの生活環境整備、状態観察による健康管理などです。
また、夏祭りなどの行事を通じて、入所者の家族や地域の方たちとの交流を図る施設も多い傾向にあります。
勤務形態
特養の介護士の勤務形態は完全な不規則勤務です。毎月の勤務シフトに従い日勤・早番・遅番・夜勤を交代でこなします。
休日は1年間または1か月間を通じて週40時間労働になるよう、シフトに組み込まれます。
有料老人ホーム
有料老人ホームには、「介護付き」、「住宅型」、「健康型」の3つのタイプがあります。まずそれぞれの特徴を比べてみましょう。
項目 | 介護付き有料老人ホーム | 住宅型有料老人ホーム | 健康型有料老人ホーム |
---|---|---|---|
対象者 | 要支援1以上の高齢者 | 高齢者 外部サービスを使うなら要支援1以上 | 高齢者 |
サービス内容 | 食事の提供 排泄、入浴などの介助 健康管理 リハビリ 生活全般の見守り | 食事の提供 郵便物の管理 共同空間の掃除 生活全般の見守り 緊急時の救急車要請 | 食事の提供のみ |
職員 | 介護士が常駐 | 管理人と調理担当者のみ | 管理人と調理担当者のみ |
介護保険 | 使える | 使える | 使えない |
入所形式 | 施設入居契約 | 賃貸借契約 | 賃貸借契約 |
メリット・デメリット
これらの有料老人ホームで働くメリットは、幅広い介護度の方がいるのでいろいろな介護パターンを経験できることです。
一方で介護付き有料老人ホームで働くデメリットは、介護度が高く寝たきりで食事・入浴・排泄の全面的な介助の必要な方が多いため、職員の負担がとても大きいことです。
月収・給与
有料老人ホームの介護士の月給は、民間の調査によれば平均で27万円前後といわれています。
勤務形態
介護付き有料老人ホームの介護士は完全な不規則勤務です。休日は年間・月間を通じて週40時間労働のシフトに組み込まれます。この辺りは特養と同じです。
老健(介護老人保健施設)
老健は3か月間ほど入所して、リハビリテーションを中心に生活して自宅に戻る形の施設です。理学療法士・作業療法士などリハビリ専門職が常駐しています。
メリット・デメリット
老健で働くメリットは管理者である医師・看護師・理学療法士や作業療法士など、医療系スタッフとの関りが多いため医療・医学についての知識を身に付けられることです。
老健で働くデメリットは、経管栄養・酸素吸入・導尿カテーテル留置・痰吸引など医療的ケアを必要とする入所者が多く、医療・医学の知識・経験の乏しい介護士が対応に苦しむことです。
給与・月収
老健で働く介護士の月給は、2018年厚生労働省調査では介護職員処遇改善加算をもらっている老健の常勤介護士の場合、平均31万7,350円です。
業務内容
老健介護士の業務内容は特養の介護士とほぼ同じですが、リハビリ施設であることから入所者に日常生活動作を通じてのリハビリテーション(生活リハビリ)を促すことが重要な業務です。
そのため、日中はベッド上でなく椅子や車いすで過ごしてもらう、食べ終わった食膳は自分で配膳カートに戻してもらう、入浴の際に手の届くところは自分で洗ってもらうなどの作業を入所者に負担してもらいます。
勤務形態
老健の介護士は、完全な不規則勤務です。休日は年間・月間を通じて週40時間労働のシフトに組み込まれます。そのため、勤務形態は特養や介護付き有料老人ホームの介護士と同じと言えるでしょう。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
メリット・デメリット
サ高住で働くメリットは介護付き有料老人ホームに比べて介護度が低く、比較的自立度の高い入居者が多いので介護そのものの負担はそれほど大きくないことです。
一方でサ高住で働くデメリットは介護の負担が少ないことの裏返しとして、食事・排泄・入浴などの介助を深く経験できないことです。スキルアップはあまり期待できないでしょう。
給与・月収
サ高住で働く介護士の月給は、民間調査によれば東京など都市部が約20万円前後、地方だと15万円前後といわれています。
業務の負担が少ない分、他の介護施設と比べて給与はかなり低くなっています。
勤務形態
夜勤職員を置く置かないに関わらず、勤務は月間シフト表による不規則勤務です。
休日も年間、または月間を通じて週40時間労働になるよう決められています。
デイサービス(通所介護)
デイサービスは自宅で暮らす高齢者が、日中に施設へ通う形のサービスです。送迎は施設が行います。
業務内容
主に食事の提供、食事・入浴・排泄の介助、機能訓練、健康状態のチェック、動作全般の見守り介助などを行います。
機能訓練は全員で行う体操やレクリェーションなどの軽運動やテーブル拭き・タオルたたみ、食器洗いなどの日常生活動作によるものが中心です。
中には機能訓練指導員によるマンツーマンの機能訓練を行う施設もあります。
メリット・デメリット
デイサービスで働くメリットは、送迎の際のやりとりを通じて家族への対応のあり方を学べることです。送迎の際に利用者宅の生の生活環境を見ることができることです。日勤だけなので、不規則勤務のきつさを味わわなくてよいこともメリットです。
デイサービスで働くデメリットは、利用者は自宅生活のできるレベルの方たちなので食事・排泄・入浴などの介助を深く経験できないこと、気持ちのしっかりした方や気難しい性格の方への接遇や会話に神経を使うこと、送迎時の大変さがあること(交通事故の危険、雨や雪の日の運転や乗降車、送迎時刻の厳守など)などです。
給与・月収
デイサービスで働く介護士の月給は、2018年厚生労働省調査によれば、介護職員処遇改善加算をもらっているデイサービスの常勤介護士の場合、平均26万2,900円(税込)です。
休日
デイサービスで働く介護士の休日は、施設の休業日によって異なります。休業日が土日祝日または土日の施設では、休業日が介護士の休日となります。休業日が日曜日だけの施設では、日曜日のほか、シフトで決められた平日1日が介護士の休日になります。
訪問介護
訪問介護とは。訪問介護員(ヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、安否確認や食事・排泄・入浴などの介助(身体介護)、掃除・調理・買物などの介助(家事援助)を行うサービスです。
メリット・デメリット
訪問介護のメリットは、原則ひとりでの訪問となるので自分のペースで仕事ができること、利用者と深いかかわりができることです。
訪問介護のデメリットは、決められた時間内に決められたメニューをひとりでこなさなくてはならないプレッシャーがあることでしょう。
利用者の急変など緊急時にすぐに手助けしてもらえる同僚がそばにおらず、気の合わない利用者でも一対一の時間が存在するので苦痛になりやすいです。
給与・月収
訪問介護員(ヘルパー)の月給は、2018年厚生労働省調査によれば介護職員処遇改善加算をもらっている常勤ヘルパーの場合、平均29万1,930円です。
休日
訪問介護員(ヘルパー)の休日は、直接雇用か登録型かで異なります。直接雇用ヘルパーのほとんどは訪問介護事業所の管理者やサービス提供責任者ですので、出勤日と休日がシフトによって「〇月〇日」と決められます。
管理者やサービス提供責任者以外は登録型ヘルパーがほとんどですので、出勤日がシフトによって「〇月〇日〇〇時から〇〇時」と決められています。それ以外は休日となります。
小規模多機能型施設
小規模多機能型施設とは、通所介護(デイサービス)、訪問介護(ヘルパー)、ショートステイ(短期間の宿泊付き介護)が組み合わされた施設です
29名定員の登録制で、料金も月額制です。登録利用者は必ずデイサービスを利用しており、その時々の状況によりヘルパーやショートステイも利用できます。介護士はこの3種類のサービスを交代で担当することになります。
メリット・デメリット
小規模多機能型施設で働くメリットは、デイサービス・ヘルパー・ショートステイという3種類のサービスを同時に経験できることです。また、相手をするのが登録利用者だけなので状態を把握しやすいことです。
小規模多機能型施設で働くデメリットは、たとえばデイサービスに来ていた利用者が急きょショートステイを希望した場合、対応しなければならず、時間外や休日の出勤もやむを得なくなることです。
給与・月収
小規模多機能型施設で働く介護士の月給は、民間調査によれば、介護職員処遇改善加算をもらっている施設の常勤介護士の場合、平均20万円前後から24万円前後といわれています。
勤務体制
小規模多機能型施設で働く介護士の勤務は、月間シフトによる不規則勤務です。休日は、年間または月間を通じて週40時間労働になるよう決められます。ただ、急なショートステイやヘルパー希望があると、シフト変更を余儀なくされ、休日も変わってきます。
ショートステイ
ショートステイとは、要支援1以上の高齢者が短期間の宿泊付き介護を受けるサービスです。
ショートステイを行う施設は、特養、老健、ショートステイ専用施設の3つです。特養と老健のショートステイでの仕事は、すでにお話しした本入所者への仕事と同じです。
メリット・デメリット
ショートステイ専用の施設で働くメリットは、短期間入所のいろんな高齢者の姿を見られることです。働いていれば、自然と高齢者のタイプに応じた介護方法のバリエーションを学ぶことができます。
ショートステイ専用施設で働くデメリットは、短期間で入所者が入れ替わるため、一部のリピーターを除いて入所者の状態・ADL・病歴・性格をふまえた介護方針を立てるのに苦労することです。
給与・月収
ショートステイ専用施設で働く介護士の月給は、介護職員処遇改善加算をもらっている施設の常勤介護士の場合、平均20万円前後といわれています。
勤務形態
ショートステイ専用施設の介護士の勤務は、特養や老健と同じく不規則勤務です。月間シフトに従って日勤・早番・遅番・夜勤を交代でこなします。
休日は1年間または1か月間を通じて週40時間労働になるよう、シフトに組み込まれます。
この8種類の施設の特徴を押さえれば、転職先を探す際の大きな力となります。
介護施設の選び方まとめ
介護施設とは、種類により、いろんな違いがあります。介護士として他の施設への転職を考えるなら、特徴をしっかりと理解した上で自分の力を発揮できる施設を探しましょう。
そのためにはハローワークなどで探すよりも、完全無料で利用でき質のいい求人が揃っている転職サイトやエージェントを利用することをオススメします。
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