みなさん、「マレーシア」と聞くとどういうイメージをお持ちでしょうか?「東南アジアにある暑い国」くらいの印象の人も多いかもしれませんが、海外で働きたい日本人にとっては現在とてもホットな国になっています。
今回はマレーシアで働きたい日本人のために情報を提供したいと思います。どうせ海外で働くならば、マレーシアをその候補に入れてみてはいかがでしょうか?
<マレーシアの就職事情を知るメリット>
- とても働きやすい国で自然災害の危険も低いです
- ビザには学歴や実務経験の要件があり、それがない人はどうすればよいか知れます
- 現地の物価は低く、ビザを取って就職すればかなり贅沢な暮らしができます
- マレー系、華僑、インド系というモザイク国家の特徴を知ります
- 新卒や未経験者でも就職する方法はあります
- 日本人を積極採用したい業種がわかります
- 働きながら語学の勉強もできます
■マレーシアはこういう国!
マレーシアは、東南アジアのマレー半島南部とボルネオ島北部にある連邦立憲君主制国家で、イギリス連邦の加盟国です。
タイ、インドネシア、ブルネイと陸上の国境で接しています。
よくインドネシアと混同されますが、マレーシアはインドネシアの北にあり、人口は3000万人ほどでインドネシアの約2.5億人のよりも全然少ない人口です。
ASEAN加盟国として、日本の自動車会社と技術提携をした自動車産業や、ITインフラの整備が進んでいます。
DELLコンピューターの生産拠点はマレーシアにあります。
遅れた発展途上国のイメージはなく、今やハイテク先進国家です。
イスラム教国ですが、中東のような厳格なイスラム教の国ではなく、緩やかに解釈をしています。
人口の6割がマレー系(現地の人)、3割が華僑(中国系)、1割がインド系の人たちです。
華僑やインド系の人はイスラム教ではない人が多いので、お酒も豚肉も普通に買うことができます。
背景が違う3つの民族がうまく共存できているので、日本人が行っても差別されたり、排外されたりすることはないようです。
また、意外ですが自然災害ともあまり縁がない安全な国です。台風はマレーシアの北で発生してフィリピンや台湾の方に行きますし、プレートの境がないので、地震大国であるインドネシアと違い大きな地震がありません。
津波も来ず、火山もなく、暑い南国の国ですが災害リスクがかなり低くなっています。
■マレーシアの言語は英語でOK!
マレーシアの公用語は「マレー語」ないし「マレーシア語」と言われていますが、日本にいながらそうした言語を学ぶのはなかなか難しいですよね。
大学の「マレーシア語専攻」などで専門的に学んだ人は別ですが、そうではない人は語学教室で学ぶ機会もそれほどありません。
しかし、英語が「準公用語」となっているので、英語が話せれば大丈夫です。
一般的な日本人は英語がほとんどできない人が多いのに対して、マレーシアの人は流ちょうに英語を話します。
また華僑の人には中国語(北京語)や広東語も通じます。
中国語ができる人も重宝されます。
インドは英語が公用語ですから、インド系の人ならば英語ができればOKです。
■マレーシアの就労ビザは下りやすい?
マレーシアで働くための就労ビザですが、「雇用ビザ」か「プロフェッショナル・ビジット・ビザ」が必要になります。
後者の方が上級のビザに見えますが、こちらは特別プロジェクトや技術指導などのため、マレーシアに1年未満の短期滞在をする人で、マレーシア以外の国に本社がある人に限られます。
つまり短期の赴任のビザであり、通常マレーシアで働きたい場合は、前者の「雇用ビザ」を取得します。
- 学歴
専門学校卒以上 - 就労年数
大卒3年以上。専門卒は5年以上。または専門分野における10年以上の経験があること
年齢制限はなく、ビザを取得して働く場合5,000リンギット(約14万円)以上の支払いが保証されます。
つまり新卒で働くのは相当ハードルが高いと考えてください。
ビザ発行は日本との結びつきが強い国のため条件を満たせば比較的容易です。
■マレーシアで働くならば首都クアラルンプール
マレーシアにはいくつかの大きな都市がありますが、特別「電気が通っていない地域に電気を通したい」「貧困の子どもを助けたい」といった目的な目的がなければ、まずは、首都クアラルンプールで働くのをおススメします。
クアラルンプールで働くメリットはいくつかあります。
都会であり、様々な娯楽があり、日本の食べ物が手に入りやすく、日本食レストランもあります。
イスラム教国ですが、4割は非イスラム教徒なので、お酒を飲めるお店も、娯楽性が強いお店も普通にあります。
■物価が安い!5万円で十分暮らせます
マレーシアの物価はとても安く、3DKの単身用マンションですら500リンギッド(1万円弱)です。
一軒家でも月額2000リンギッド(5万円)あれば借りれるので、正社員ならば月収約14万円が就労ビザで保証されていることからしても、かなり余裕がある贅沢な暮らしができるでしょう。
高級コンドミニアムにも滞在が可能なので、毎日がリゾートホテル、という生活もできます。
■マレーシア企業か日系企業か?どっちで働く?
マレーシアの労働環境ですが、祝日は日本よりも少ないものの、しっかり有給休暇を取得する文化なので、働き漬けということはありません。
ただし、日が長く(赤道に近いので)、9時間労働(うち1時間休息)が基本になっています。
正社員として働く場合、日本の定時と比較して長くなるので注意してください。
また、イスラム教国ですから「安息日」などの文化が浸透しています。
日本のように休日出勤は宗教的にあり得ないわけで、オンオフがしっかりしていると考えてください。
イスラム教の信仰が篤い人はラマダン(断食)などをするかもしれません。
それも踏まえて、現地のマレーシア企業に就職するのと、日系企業や日本企業でマレーシア赴任するのではどちらがいいのでしょうか?
就労ビザの規定から、「外国人」としてビザを取得してマレーシアで働く場合、月額5000リンギット(約14万円)が保証されます。
これでも十分生活できることは書きましたが、日本企業に就職して、現地赴任という形になれば、日本での給与規定がそのまま適用されることがあり、日本基準で各種手当が支払われることもあります。
いずれにせよ就労ビザでは最大5年までしかいられないわけで、それ以上働きたい場合は永住権などを考える必要がありいます。
ただし、あまりに知られていない現地企業に就職してしまうと、最低14万円の賃金保証がなく、本当にマレーシア基準の給料(ちなみに現地の新卒給与はその半分の約7万円)になってしまうかもしれません。それは避けたいですよね。
■転職、就職を狙いたい業種はこれだ!
どんな企業に就職しても最低14万円の月給は保証されますが、できれば高い収入を狙いたいものです。
物価は安く、生活費がかからないのですから、稼げばその分貯金に回すことができます。豪遊してもいいですよね。
業種ごとの給与は以下の通りになっています。
- 営業職
5,000リンギット(14万円)~12,000リンギット(34万円) - ITエンジニア
5,000リンギット(14万円)~15,000リンギット(42万円) - カスタマーサービス
5,000リンギット(14万円)~15,000リンギット(42万円) - サービス業/飲食業
5,000リンギット(14万円)~9,000リンギット(25万円)
IT新興国だけに、ITの技術を持っている人が好待遇で就職できそうです。
また、カスタマーサービスは、例えばDELLコンピューターのコールセンターをイメージするとわかりやすいです。
あそこは現地採用した中国人や東南アジアの人がほとんどで、日本人が受話器にできることはまずありません。
高い給料が欲しい場合は、コールセンターの管理、統括業務になります(自分はオペレーターにはならない)。
という中で、日本人が働きたいというのであれば歓迎されるはずです(日本人の顧客は日本人との方が会話しやすいですよね)。
求人数は営業職が約30%と多く、サービス業が続きます。
待遇がいいエンジニア系は専門スキルが必要なので、誰でもいいというわけではなさそうです。
逆にどこでも通用する中で待遇がいいのが営業職です。
日本人や日系企業向けに営業をかける仕事があります。
■新卒、未経験者、女性が働きやすい国か?
新卒や未経験者はマレーシアで働きやすいのでしょうか?
また女性にとっては働きやすい国なのでしょうか?
前提として、マレーシアでの就労ビザの取得のためには
- 短大卒、専門学校卒以上
- 勤務経験3年以上
が必要になりますが、新卒が絶対NGというかというとそうではなく、一定の有名企業から内定が得られれば就労ビザは下りるようです。
上記条件は、とりあえリュック一つでマレーシアに行き仕事を探すような人に該当すると思ってください。
□新卒での就職はかなり難しい
新卒での就職はかなり難易度が高いです。
語学力(英語&マレーシア語)ができるのは当然として、学生時代に国際関係のボランティアやアルバイトをしていれば何とか・・という感じです。
就職サイトには求人はほとんどないため、現地に強い転職エージェントに登録するか、大学の教授などのツテを使うことになります。
起業としてみれば、実績がない学生を、マレーシア人の倍の給料で雇うメリットがどこまであるのか、という話になります。
それを十分説明できるだけの理論武装をしておく必要があります。
□未経験者求人はコールセンターや外食チェーンが中心
日本で数年働いた経験があれば、就労ビザは下りやすくなるはずです。
専門知識がなく、英語やマレーシア語ができない人の求人も探せばあります。
具体的には、コールセンターのオペレーターで日本人顧客相手に対応する業務や(ヘルプセンターやサポートセンターの事務所が現地にある)、レストランや居酒屋などの飲食店(日本料理店や日本の外食チェーンの現地展開)、日本人向けクリニックの受付などです。
□マレーシアで働く場合女性は不利になる?
イスラム教国では女性の地位が低く不利になるというイメージがありますが、中東のイスラム国家はそういう傾向がありますが、東南アジアのイスラム国家では特に不利になるということはありません。
東南アジアや韓国、台湾での求人と同じように、コールセンターのオペレーターや日本語学校の先生など、女性ならではの細やかさややさしさを生かせる求人はたくさんあるので安心してください。
■マレーシアでの就職方法
マレーシアでの求人を探す方法としては、知人やツテがない場合、転職エージェントを活用することをおススメします。
日本とは違うので、変な会社に引っかかって悪辣な待遇で採用されては大変です。
まだまだ「途上国」の一面もあるのでその点は注意しましょう。
当サイトがおススメする転職エージェントは以下になります。
1.リクルートエージェント
おなじみリクルートエージェントです。
こちらはエージェントの質も高く、的確にその人に合った求人を紹介してくれるはずです。
海外で働きたい人にとっても強い味方になります。
2.JACリクルートメント
年収600万~1,000万円を超える外資系求人に強みのある転職エージェントです。
マレーシアでこれだけの年収がある求人はとても少ないでしょうから、ハイクラス求人狙いの人はここに登録してもいいかもしれません。
3.桜リクルート社
2003年にマレーシア・クアラルンプールで設立された、マレーシアに特化した転職エージェントです。
現地企業に就職したい人は、この転職エージェントは外せないでしょう。
特にクアラルンプール現地採用の求人数については、圧倒的なアドバンテージがあります。
マレーシアでのビザの取り方や入社までの手続きなど、すべてにおいてフォローしてくれます。
エージェントとの面接は日本でできるので安心してください。
4.ビズリーチ
登録をしてスカウトを待つ、という独自のシステムを持っている、ハイクラス専門転職支援サービスです。
積極的に何かすることはできませんが、とりあえず登録しておくのはアリでしょう。
5.KL-WING
KL-WING|マレーシアの求人 就職 転職 仕事の情報掲載中!日本人向け
転職エージェントではなく、求人サイトになりますが、マレーシアに特化していて、特に新卒歓迎や未経験求人が多数掲載されています。
語学学校の日本語教師の求人や、自分でマレーシア語を学びながら働ける求人もあります。
新卒や未経験者の人はまずここで求人を探してみてください。
■マレーシアで働きたい日本人の為の求人と仕事の探し方 まとめ
- マレーシアは東南アジアにあるが台風や地震、火山などの自然災害が非常に少ない国
- イスラム教国であるが戒律は緩く、華僑やインド系の人も多い
- 首都クアラルンプール周辺は住みやすく環境も良く求人も多い
- 物価は日本の3分の1、月額5万円あれば一軒家に住める
- 就労ビザには学歴や実務経験が必要だが内定が出れば緩和されることもある
- オンとオフの切り替えがしっかりしている
- 稼ぎたいのであればIT技術職やカスタマーセンターの求人を目指す
- 新卒や未経験者は結構大変。だが求人をよく探せば活路はアリ
- 女性だから不利になることはない。イスラム教はあまり影響しない
- 未経験者はコールセンターや日本語講師、外食の接客求人が中心
- 転職エージェントに登録して求人を探すのがよい