日本人の海外勤務と言えば日本企業から派遣される駐在員が一般的ですが、専門職や技術職の場合であれば、現地国で直接採用される場合があります。ただし、どんな専門職でも求人がある訳ではありません。海外で求人のある日本人の専門職は限られています。
読者の方には意外に思われている方も多いかも知れませんが、保育士や幼稚園教諭は実は 海外での求人が多い、限られた職種の一つなのです。
そこでこの記事では保育士や幼稚園教諭の海外勤務事情についてご紹介すると共に、保育士や幼稚園教諭として海外転職する場合にオススメの転職サイトや転職エージェントをランキング形式でご紹介致して参ります。
なぜ日本人保育士・幼稚園教諭が海外で需要があるのか
駐在員家族のニーズ
なぜ海外で日本人の保育士や幼稚園教諭の求人需要があるかと言えば、最も大きな理由は駐在員家族の保育ニーズです。駐在員は海外出張と異なり、一般的には4~5年程度、長期の場合には10年程度海外で暮らすことになります。
そのため、単身赴任より家族同伴で海外へ赴任するケースが多く見られます。家族同伴で海外へ赴任した場合、その家族にとって重要な問題になってくるのが子供の教育です。小学校高学年や中学生ぐらいの年代であれば、現地スクールに通って現地国語の教育を受けることでバイリンガルを目指すこともできます。
とろこが幼児は母国語となる日本語自体がまだ十分身についていない段階ですので、現地の幼稚園に預けることに不安を覚える方が少なくありません。
こうした駐在員家族の不安を解消すべく、欧米先進国や中国など日本人駐在員が多数赴任している国には日本人幼児を対象に日本語で幼児教育を行う幼稚園が続々と開校されていった結果、海外で日本人保育士や幼稚園教諭の求人ニーズが生まれた訳です。
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日本語で幼児教育を行う幼稚園が続々と開校
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海外で日本人保育士や幼稚園教諭の求人ニーズも増えた
少数ながらインターナショナルプレスクールの求人もある
少数ながら日本人保育士や幼稚園教諭には現地の教育機関からも求人ニーズがあります。特に先進国では幼児へ国際的な教育を行うインターナショナルプレスクールが、日本以上に存在しています。インターナショナルプレスクールは現地国の言語だけに限らず、非英語圏であれば英語を教えたり、中国語やポルトガル語を教えたりもしています。
最近は日本のカルチャーや言語(漢字など)、食文化などは世界的ブームになっていますよね。
そうした影響から日本語での幼児教育をカリキュラムに組み入れるプレスクールも増えてきているんです。
日本人を対象とした幼稚園ほどそうしたスクールがある訳ではありませんが、日本語で幼児教育を行うネイティブの指導者として海外のインターナショナルプレスクールでも日本人の保育士や幼稚園教諭に対する求人ニーズがあります。
保育士・幼稚園教諭の海外求人事情
どんな国で求人があるの?
日本人保育士や幼稚園教諭が海外で需要があることはお分かり頂けたと思いますが、具体的にどのような国で求人があるかご紹介しましょう。
・アメリカ
・イギリス
・インド
・オーストラリア
・オランダ
・シンガポール
・タイ
・台湾
・中国
・ベトナム
・マーレシア 等
ご覧の通り、欧米先進国と、日本企業の進出が著しい東南アジアの国々で求人需要があることがわかります。
これらの国でもっとも求人が多いのはどこかと言えば、国別邦人在留数(平成27年度で約42万人)が最も多いアメリカです。
また正、確な数値が把握できている訳ではありませんが、中国やオーストラリアも邦人在留数が多いことから保育士や幼稚園の求人数が多い国として知られています。
海外での給料は?
海外で保育士や幼稚園教諭として働いた場合の給料ですが、為替レートの変動を無視すれば、条件が良い所になると日本円水準で月額30万円以上の場合も。この点は国と言うより採用された幼稚園で多少異なりますが、総じて言えることは現地国国民の給料水準ではなく、日本の保育士や幼稚園の給料水準に合わせている場合が多く見られます。
日本より物価水準が安い国では月額15万円程度のところもありますが、そうした国々であれば15万円であっても日本で暮らす場合より豊かな生活を現地で送ることができますので、一概に給料の額だけでは満足度は測れません。
勤務条件は?
拘束時間は1日7時間から8時間程度
土日が休日の週休二日が基本です。
週二日の休日以外に現地国の祭日は休日となる場合がほとんどですし、多くの幼稚園では更に夏季や冬季にまとまった休みを取れます。
欧米のような労働者の権利を大変重視している国の幼稚園では日本より好条件で有給休暇も取得できます。残業や休日出勤はケースバイケースですが、勤務条件を厳しく規制している国も多く、日本のようなサービス残業はあまりありません。
幼児や女性が多い職場ですので、治安や警備上の理由からも夜遅くまで残業することはできない場合が断然多いため、日本より総じて勤務条件は良いと言っても良いでしょう。
求人状況や応募倍率は?
日本と異なり、永住権を獲得できた方など特別なケースを除けば、日本から転職してきた保育士や幼稚園教諭は就労ビザの条件でずっと働き続けることはできません。一定期間ごとに必ず誰かが辞めてゆきますので、定期的に求人が生じることになります。その結果、世界的規模で日本人保育士や幼稚園教諭は、安定した求人がある職種となっている訳です。
ただし、安定した求人があると言っても1件あたりの求人数はそれほど多くありません。アメリカでもロスアンゼルスやニューヨークといった大都市圏近郊の一部の幼稚園を除けば、日本人を主要対象にしている幼稚園の規模は大きくないからです。
そのため、だいたいどの求人も1名から多くとも3名程度といった求人数となることから、1件あたりの競争倍率はどうしても高くなる傾向があります。特に先進国で給料など条件が良い求人には応募が殺到し、数十倍程度の倍率に達することもあります。
従ってアメリカやオーストラリアといった海外旅行先としても人気が高い国を目指す場合は、保育士や幼稚園教諭であっても「狭き門」との認識が必要です。
海外転職を実現させるために必要な条件とは
ご紹介したとおり、特に好条件の求人や人気の高い国へ保育士や幼稚園教諭として海外転職を果たす場合には高い倍率を勝ち抜いて採用される必要があります。
ではどのような資質があれば採用されやすくなるのでしょうか。
高倍率を勝ち抜いて保育士や幼稚園教諭として海外転職を実現させるための条件について、ご紹介することにしましょう。
現地国の会話力は?
日本人の保育士や幼稚園教諭を求めている一番の理由は、日本語で幼児を指導することができるからです。
そのため、幼児の保育中や指導中において現地国語が求められることはまずありません。
しかしながら日本人を主な対象とし、日本語で保育や指導が行われることを理解した上であえて入学を希望する現地の方もいますし、現地国の方が現地語で問い合わせをしてくる場合もあります。
そうした場面もあるため、現地国の言葉が話せる人と話せない人では現地国の言語が話せる人の方が有利になります。
絶対条件とまでは言えませんが、高倍率の競争を勝ち抜くためには現地国の会話力があった方が望ましいと言えます。
実務経験はどれくらい?
高倍率の競争を勝ち抜くためだけでなく、現地国で就労ビザを確実に取得する条件としても保育士や幼稚園教諭としての実務経験は「必須」と考えてください。
どれくらいの実務経験期間が必要かということですが、この点は求人を行っている幼稚園のある国の就労ビザ条件によって異なってきますので一概には言えません。
その上で、最低でもどれくらい必要かと言えば「1年」ではとても十分とは言えません。
最低でも2年の実務経験は必要と考えておくべきです。
必要な資格は?
日本の保育士資格または幼稚園教諭資格が必要なことは当然です。
ではそれら以外にあった方が望ましい資格ですが、必須とまでは言えませんが次のような資格があると多少有利になってきます。
- TOEICで600点以上、英検準1級以上(もしくは現地国の言語検定で2級以上)
- 自動車免許
- 幼児安全法支援員
- マイクロソフトオフィススペシャリスト 等
必要とされる技能は?
保育士や幼稚園教諭の資格保持者であっても、ピアノが弾けないという方がいます。
日本ではそれほど著しいハンディにはなりませんが、海外の幼稚園ではピアノが弾けることはとても重視されます。
中にはピアノが弾けることが応募条件となっている幼稚園もありますので、高い倍率をかいくぐって海外転職を果たすためにはピアノが弾ける技能も必須要件と考えておいた方が良いでしょう。
海外を目指す場合にオススメの転職サイトや転職エージェントランキング
マイナビ保育士
海外転職を目指す場合には転職エージェントの活用が欠かせません。中でもオススメの転職エージェントが「マイナビ保育士」です。マイナビ保育士は就活情報でお馴染みのマイナビ社が運営する、保育士や幼稚園教諭の転職支援専門の転職エージェントです。そのため、企業としての信頼性や実績は抜群です。
また、マイナビ保育士は利用者の満足度を最重視していますので、良い意味で大手企業らしくない、心の通った人間味のある支援やサポートを期待することができます。
尚、マイナビ保育士は海外専門の転職エージェントではありませんので、紹介を受けられる求人数はそれほど多いとは言えません。
しかしながら海外にも拠点を持つ大手幼稚園などに強固なネットワークを有していますので、海外からの直接求人以外に、日本の幼稚園から駐在員として海外派遣してもらうケースなども狙うことができます。
リクナビネクスト(リクナビNEXT)
転職エージェントを利用せず、自分のペースで求人情報を探し、海外転職に臨みたいという場合にオススメなのがリクナビネクスト(リクナビNEXT)です。就職情報で日本を代表する企業と言って良いリクルート社が運営している転職情報専門サイトであり、海外を含めた求人情報が充実していることは言うまでもありません。
また、特にリクナビネクスト(リクナビNEXT)をオススメする理由ですが、同社の高い実績と信頼性から同社独占の求人情報が多いということです。
例えばメディアにも取り上げられたことがある、タイのコールセンターの日本人オペレーター大量募集の求人はリクナビネクスト(リクナビNEXT)の独占求人でした。
リクナビネクスト(リクナビNEXT)は保育士や幼稚園教諭専門の求人情報サイトではありませんが、掘り出し物件と言えるような海外の独占求人情報をゲットしたい場合には欠かすことができない転職サイトの一つと言えます。
保育情報どっとこむ
保育情報どっとこむは文字通り、保育士や幼稚園教諭専門の転職エージェントです。保育士や幼稚園教諭の求人数は2017年7月現在で1万3千件を超えており、保育士や幼稚園教諭専門の転職エージェントとしては国内最大クラスです。同社のセールスポイントは、採用面接を国内で受けられる求人があることです。
保育士や幼稚園教諭が海外勤務を目指す場合に大きな経済的負担となるのが、採用面接を受けるためだけに海外へわたらなければならないということです。
海外渡航費はごく例外的な場合を除けば自己負担となりますし、採用されるとは限りませんので海外渡航費が1回で済むとは限りません。
同社であればわざわざ海外まで出掛けて面接試験を受けなくとも、国内で面接を受けることが可能な求人がありますから、渡航費負担を軽減することができます。
また同社もマイナビ保育士同様、手厚いサポートを受けられることで評判が高い転職エージェントです。