あなたは中国で転職したいですか?
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GDPでは日本に2倍以上差をつけ、テクノロジーの分野でも世界を先導する国となった中国。現在、中国で働いている日本人は多いですが、実際に中国で転職活動をする上での注意や、転職できる人・できない人の特長などを知るべく上海の人材会社で働く知人にインタビューしました。
中国の給与水準は年々増加しており、最近では中国の大手通信機器メーカーHUAWEIが日本進出にあたり、日本の求人サイトに掲載した初任給が月収40万円として話題になりました。
もちろん各種社会保険も完備されており、退職金制度も整っている優良企業で、日本の企業で初任給40万円もある企業はほとんどないので、中国企業への見方が変わった人も多いのではないでしょうか。市場の大きさもありますが、中国には世界的企業に成長している企業が多くあります。
では日本人が中国で転職することは可能なのでしょうか?
結論から言うと十分可能です。
経済大国となった中国への転職は、競争は激しいですが、待遇面でも大きく増える可能性が期待できます。
今回お話頂いたKさんは上海の人材派遣会社で働いています。中国滞在歴10年を超え、上海で長年日系企業へ多くの人材を紹介されています。そんなKさんに今の中国転職の実状を聞きました。
まず、中国転職にあたり、日本の転職と大きく異なる点に就業ビザがあります。中国で働くには中国政府から就業ビザを発行してもらって、はじめて働くことができます。
その就業ビザ取得にあたって条件となってくるのが、年齢、学歴、日本での就業経験です。
- 年齢は60歳以下であること
- 学歴は本科卒以上(例外あり)
- 就業経験は日本での2年以上の就業経験
以前はこれらの条件をクリアしていれば、ビザ取得が可能でした。しかし、昨年(2017年)から中国で働く外国人労働者を取り巻く環境は大きく変化したようです…。
目次【クリックして移動できます】
最新の中国での日本人転職動向
中国といっても都市によって大きく状況は変わってくるので、今回お伝えできるのは上海に限ってですが、昨年から日本人が簡単に中国で転職できる環境ではなくなりました。それは2017年4月に就労ビザ発行の条件が改正され、日本人に限らず外国人に対する就労ビザの発給条件が厳しくなったからです。
中国に長期滞在する外国人全員にランク分け制度が始まり、年齢、学歴、年収、中国語試験の級などによってそれぞれポイント制で管理されるようになりました。そのポイントが60点以上無いと現時点で中国の就労ビザが出にくいというのが実情です。
また転職する場合は同じ職種でないと難しいのが多いので、私の会社で日本人求職者を企業へ紹介して、内定をもらった後にビザの発給が下りなかったというパターンもあります。
就労ビザのランク分けでハイレベル人材以外は排除?
ランク分け制度はA、B、Cにランク分けされており、C類は今度もっと制限がかかって行くものと思われます。
A類 | 85ポイント以上のハイレベルな人材 | 中国でその高い技術や能力が求められている専門職・技術職・管理職、あるいは起業家など |
B類 | 60ポイント以上85未満 | A類ほどハイレベルではないがある程度の学歴や経験(そもそものZビザ取得条件である本科卒以上や2年の就業経験)が求められる |
C類 | 60ポイント以下 | 季節労働者や臨時的な雇用、専門的な知識・技術が必要ない一般的なサービス職など |
外国人就労者ポイント制一覧
引用元:大和総研サイトより引用 中国が外国人就労者をランク付けへ
日本人が上海で転職活動を行う場合、例えば30代、中国在住経験無しでメーカー営業職の場合、手取り1万元(17万円)から2万元(34万円)程度が相場と考えてもらえばいいと思います。業種にもよりますが、日本人求人の賃金相場はここ数年あまり変化がありません。
但し中国は年々物価上昇が続いているので、日本人というだけで高い給料がもらえて、優雅に暮らせるということはないでしょうね。
新卒の場合は中国での就職が極めて難しいでしょうね。それは就労経験2年以上というビザ発給条件がクリアできないからです。ですので中国で留学した人でも結局は一度日本の企業で経験を積んで中国へ戻ってくるという人が多いのが現状です。
中国で求められている日本人求職者とは
中国に滞在している日本人の総数は減ってきていますが、日本人自体での人材の募集は依然として減っていない印象です。これはどういうことかというと、今まで日本から駐在員として派遣していた日本人は確かに減っていますが、駐在員に変わって現地採用で雇用を考えている企業が増えているからです。ですので、現地採用で管理職のポジション募集があることも結構多くなっている印象です。
また今まではメーカーの募集が断トツで多かったのですが、ここ数年はサービス業やIT企業の求人の割合が増えてきているのも最近の傾向です。
中国転職に有利な技術は?
専門的な技術を持っている人も優遇されます。
特に中国転職市場で有利な技術は、製造現場での知識、製図などの設計能力、飲食店等の調理師免許など即戦力となり得る能力が求められています。日本でそれらの経験があり、成果を上げた実績等を提示することができれば転職にとても有利に働きます。
専門的なスキルといえばIT。日本のIT技術は優れていますので、IT系求人の割合が増えてきているのも納得ですね。
圧倒的に営業が多いですね。これは以前も今も変わらずに需要があります。特に日本人の募集で必要とされているのは管理経験者や、中国での営業実績がある人などです。またエンジニアの求人は待遇も高いことが多いですが、日本での経験や実績が見られるようです。
管理職経験者は中国転職に有利?
管理職の経験があることも大きなアピールポイントになります。
現在中国で日本人に与えられるポジションの多くは管理職としての役割が多いので、自分の能力はもちろん、部下の管理能力等も問われることになります。
その際、管理職として職務を経験した実績などがあれば、管理職として採用を考えてもらうことができるので高待遇も期待できます。
中国語が必須という職種もありますが、全く話せないという人でも採用される可能性は十分あります。日本人が中国で働く場合、その多くが日系企業となりますので、中国語能力よりも日本人として業務をきちんと遂行する力があるかを問われるでしょう。
中国語が話せると断然有利!
中国語が話せることが強みになるのは想像がつくかと思いますが、実際に日本人人材で中国語が話せる人の割合はとても少ないです。
そんな中で中国語が話せるのであれば大きなアドバンテージになるでしょう。
中国国内ではHSK(漢語水平試験)という中国語の試験がありそのレベルが一つの目安になります。
HSKで4級程度があればある程度中国語が話せるという証明になりますし、それ以上の級であると、仕事で十分使えるレベルと評価してくれるでしょう。
目安としては、1200語程度の語彙力があるレベル、ということになります。就労者レベルを決めるポイントでいうと、HSK4級保持者は8ポイント加算。(※5級以上なら10ポイント)
では、他に人柄や特性で考えるとどのような条件が絡んでくるのでしょうか?
まずは中国という国への適応能力がある人ですね。過去に中国で生活をしたことのある人であればまだいいのですが、日本からの求職者の場合、中国の食べ物や商習慣が合わずに、体調を崩したり精神的に弱ってしまう人もいます。そういった意味では若い人の方が、順応性が高いので転職に向いていると思います。
営業職であれば、酒が飲めることも意外と大事なポイントです。中国では未だに宴会の席が多く、その場で上手く立ち回れないと仕事が進まないことがありますので酒が飲めることは間違いなくプラスになります。
日本人が中国転職で有利になる条件とは
以上のことから、日本人が中国転職で有利になる条件はこの4つであるといえます。
- 中国語が話せること
- 専門的な技術を有していること
- 管理職の経験があること
- 適応能力があること
中国で日本人が働くメリット
キャリアアップにつながる可能性大
成果主義の中国は、結果を残せば給料に反映されてそのままキャリアアップにつなげることもできます。例えば、飲食店で働いていたとしましょう。日本ではその月の店舗売上が目標より上回った場合、よくがんばったと褒められても、臨時ボーナスが出ることはほとんどありません。
しかし、中国の場合、売り上げ目標を上回った分だけボーナスとして上乗せしてもらえる所が多いです。これが続くと基本給や待遇がアップすることもあります。外資系企業の場合、現地の中国企業からスカウトされて好条件で転職する人もいます。
将来日本に帰って働くときも、この実績が評価されていいポストにつけることも多いです。
残業が少ない&プライベートが充実
海外で働く最大のメリットは、基本的に定時で帰れることです。企業にもよりますが、現地のスタッフが定時で帰るため日本に比べて仕事の雰囲気がゆるく、自分のペースで自由に仕事ができます。
仕事に集中したい人には物足りなさを感じるかもしれませんが、オンオフがはっきりしているのもメリットです。日本ではなかなか実現できないアフター5が楽しめるため、プライベートが充実します。
中国で働くデメリット
就労ビザの取得が難しい
2017年4月に中国で働く外国人労働者ランクをつけてポイント制度を採用するなど、ビザの種類や取得条件の変更が行われました。申請は複雑化され、必要書類も増えるだけでなく、能力のない人にはビザの審査が下りないため中国の就労ビザの取得が難しくなっています。
レベルが低い外国人労働者を阻止して、中国国内の一般労働者を守るための政策です。そのため以前よりも中国で働きたいと思っても、働けなくなっています。また、ビザの審査にかかる期間が長くなったことで、実際働き始めるまでに所要時間がかかります。
業種によっては給与(賃金)が安い企業もある
中国は物価が安いので、基本的にお給料が安くても暮らすことには困りません。しかし日本と同じ水準を保ったまま中国で暮らしていこうとすると、かなり生活が圧迫されます。
上海の新卒者の月収は約13万円が平均的です。キャリアがあったとしても、上乗せされる金額も微々たるものなので期待はできません。管理職や技術指導などの職種の場合、比較的多くもらえますが、営業系や工場だと期待できないかもしれません。
反日感情がある人もいる
国同士の関係と人同士の関係は別だという人もいますが、中には領土問題に対する反日感情を持っている人も多くトラブルになることもあります。実際中国で生活している日本人も、外で日本語を話すのを控えたり、日本食レストランには行かないなど気を使っている人もいるそうです。
言葉の暴力があることもあります。現地の人と信頼関係をしっかり築けるか?がポイントになります。
大気汚染の問題
日本でもたびたび話題になるPM2.5ですが、中国の場合視界が見えないレベルで大気汚染が問題になっています。空気清浄機を複数台でフル稼働が日常的だとか!
外に出ても、目やのどが痛くなるなどのトラブルが多く、マスクとゴーグルは必需品だとも言われています。慣れるまではかなり辛いでしょう。
中国の経済はこのまま順調か崩壊か?
中国経済は一時期の著しさと比べるとマイナス要因が増えてきたと言われていますが、まだ発展する見込みがあるのではないか?と考えられています。
エンジニアやIT系を始め、工場の管理者職は安定して人気の職種です。しかし、中国の経済状況がずっと順調にいくとは限りません。とりあえずなんでもいいから就職しようとすると、中国経済が崩壊したときに打撃を受けるリスクがあります。中国の企業では朝出社と同時に突然解雇を言い渡されることがよくあります。
中国の経済状況をチェックしつつ、少しでも雇用形態の良い転職先をしっかり吟味する必要性があります。その場の条件に飛びつくのではなく、先を見据えながら就職先を決めることがポイントです。
結果を残すことができれば、経済状況が悪化したとしても、さらに上の会社にヘッドハンティングされる可能性も十分あります。
中国で求人探しするなら知っておきたい転職事情
中国語がビジネスレベル以上なら中国系企業がおすすめ
中国語に自信があるのであれば、現地の中国系企業でかなり優遇されたポジションにつけることがあります。日系企業の安定感も捨てがたいですが、自分がどこまで通用するのか、チャレンジしてみるのもオススメです。大手企業に限らず、中国企業で働く場合、日常会話程度の中国語は必須条件であることがほとんどです。
英語は話せなくても問題ないですが、キャリアアップを視野にいれた大手企業の転職の場合は、中国語と英語の2か国語が話せるとかなりの武器になるでしょう。中国語がそこまで自信ない場合は、待遇面は平均的なところを選んで、働きながら中国語を習得、のちに転職するのも1つの方法です。
日系企業や外資系企業ならではの安定感
中国経済の項目でも少し触れましたが、中国系の企業は結果次第で評価が上がるため待遇が良い一方、突然解雇されるケースも多いです。
就労ビザや許可証の有効期限は十分にあるのにもかかわらず、勝手に就労許可証の取り消し手続きを進められていたなんてこともあります。そのため、安定性や、突然の解雇ではなく次の仕事までのサポートまできちんとしてもらえる日系企業や外資企業の求人に的を絞って探す人も多いです。
中国企業の実際の待遇について
中国内にある日系企業へ転職するというのが日本人求職者の一般的な転職方法だと思いますが、中国企業への転職も考えられます。中国企業の場合、転職にあたり日系企業とは別の難しさもありますので、そのあたりを理解した上で検討すると良いでしょう。
中国企業は日本人技術者を採用することで会社の技術レベルを高め、日本の技術を自社に取り込みたいと思っているからです。
日本で大手家電メーカーを早期退職した人や、定年退職した人にも高待遇で採用をされるケースが多いです。
中国企業に転職する場合、能力や経験によって待遇に大きく差があります。
日本人の場合、管理職としての部下の育成や、目標達成等の課題も多いですが、その分待遇も高いことが多いです。
営業職等ではインセンティブの割合が多いのも中国転職の特徴です。技術職であれば通訳がつく場合も多いですが、営業職であれば自分である程度中国語が使えることが転職の条件になってくるでしょう。
中国で転職するコツは?
まずは人材会社には複数登録しておく方が良いでしょう。人材会社によっても得意不得意がありますので、自分に合った求職情報が少ないと思ったら他の会社にも登録しておきましょう。
年齢的には30代が最も多いので、そのあたりの人は中国赴任経験が無くても中国転職できる可能性が高いです。逆に新卒や定年後の再就職は非常に難しいです。
最近は面接をスカイプで行う企業も増えており、中国へ来なくても転職活動が可能となっています。興味のある企業があれば、スカイプ面接を実施しているかをまず確認しておくと良いでしょう。
中国の転職エージェントの使い方
中国人は一つの企業にずっと勤めるという人はまれで、転職が当たり前の社会ですので、当然転職エージェントもたくさん存在します。
転職エージェントに登録
中国に転職しようと決めたらまずは転職エージェントに登録しましょう。
転職エージェントは大きく日系、中国系と分けることができますが、あなたの希望する企業や、能力によって選びましょう。
中国語が堪能な場合、日系・中国系両方から情報を入手するために両方登録しておくのが良いでしょう。中国語が話せない場合はやはり日系エージェントを中心に登録することになりますが、日本でも大手転職エージェントの多くは中国に進出していますので、それらを利用するのが良いでしょう。
キャリアカウンセリングを受ける
登録したら次はキャリアカウンセリングを受けることをおすすめします。
これは実際に現地の転職エージェントでキャリアカウンセラーと相談をして、最新の転職事情から、あなた自身の転職可能性、能力に合わせた転職先の斡旋等を受けることができます。
会社によっては現地に行かなくてもスカイプ等で対応してくれるところもありますので聞いてみてください。
まとめ
中国で働きたいのであれば職種については妥協しない方が良いです。過去の職種経歴が同じでない場合、採用する側の企業も不安に感じるでしょうし、採用されにくくなります。ですので、業種よりも職種が大切と覚えておいてほしいです。
中国企業が国際的な地位を高めている現在、日本人にとっても中国で転職するというケースが増えてくるのではないかと予想しています。中国は企業も若い会社が多く、そこで働いている人も仕事に対するモチベーションが高いので、日本で仕事をするよりも刺激的で面白いと感じることが多いでしょう。
言葉の問題や転職活動のサポートは、現地の転職エージェントを上手に利用することで、転職活動が可能になりますし、スカイプ等を使った遠隔面談等も可能です。
待遇も日本で働くより良いケースも多いので、興味がある人は一度挑戦してほしいです。
私自身中国で10年以上仕事をしてきましたが、中国マーケットの方が成長の可能性が大きく、挑戦できることも多いと感じています。北京、上海、シンセン等中国の主要都市には日系の転職エージェントが何社もありますので、一度相談をするのが良いでしょう。