幼稚園教諭の(保育士)求人ナビ※給料や年収・働くメリット・デメリット

幼稚園教諭の(保育士)求人ナビ

みなさん幼稚園教諭(幼稚園の先生)というとどのようなイメージがありますか?
幼稚園の先生は小学校~高校までの先生と同じように「教諭」なのですが、現状はなかなか理解されない面もあり、大変なお仕事です。

ここでは幼稚園教諭として転職したい人向けに情報を提供したいと思います。

幼稚園教諭と保育士の違い

幼稚園教諭と保育士の違い
幼稚園と保育園の違いは皆さんご存知だと思いますが、管轄が異なります。

  • 幼稚園:文部科学省
  • 保育園:厚生労働省

でもやっていることの中身は小学校入学前の子どものお世話でしょう、と思いがちですが実は結構違いがあります。
ともに小さな子どもの成長期に寄与するところですが、以下のような違いがあります。

幼稚園

  • 管轄:文部科学省
  • 子どもの年齢:3~6歳までの未就学児
  • 通所条件:原則、全ての3~6歳児が対象
  • 標準教育時間:4時間
  • 給食:任意
  • 種類:公立・私立
  • 夏休み等:あり
  • 先生:幼稚園教諭免許[1種・2種・専修](国家資格)

保育園

  • 管轄:厚生労働省
  • 子どもの年齢:0~6歳までの未就学児
  • 通所条件:共働きなどで「保育ができない」子どものみ
  • 標準保育時間:11時間
  • 給食:義務
  • 種類:認可保育所(公立・私立)・認定保育所(私立)・無認可保育所
  • 夏休み等:なし
  • 先生:保育士(国家資格)

保育園は、親が共働きなどで日中の保育ができない子どもを預かって保育するのに対して、幼稚園は小学校(義務教育)就学前の子どもに教育や生活習慣、学校生活への慣れなど「プレ小学校」としてものを教える場所です。

保育園に子どもを預けるのは、親の仕事(本当に平日保育ができないのか)など審査がありますが、幼稚園は学校なので入学を拒否することはできません。

子どもの年齢も、保育園は「乳児+幼児」ですが、幼稚園は幼児のみ、つまりほとんどが最初から言葉が話せて理解できる子どもたちを相手に、基本的な生活習慣や簡単な教育をします。

日中あずかってその間面倒をみる「保育園」に対して、幼稚園は積極的に義務教育前の教育をしていくイメージです。
それを担うのが幼稚園教諭になります。保育園は「福祉施設」、幼稚園は「学校」です。

幼稚園教諭のお仕事とは?

幼稚園教諭の仕事

幼稚園は「学校」なので、そこで教える幼稚園教諭の仕事内容は「学習指導要領」の「幼稚園教育要領」に沿った内容でなければなりません。
保育園よりも仕事内容、教えなければならないことが細かく決まっていると思ってください。

「学習指導案作成」「行事の準備」「保護者へのお便りの作成」など、実際に子どもに教える時間だけではなく、その準備も大変です。

例えば三月三日のひなまつりをとっても、保育園ならば「こういう行事がありますよ~」と一緒に「ひなまつり」を歌い、お餅を食べて終わりですが、幼稚園は季節行事の背景やひなまつりの意義などをわかりやすく教えながら、「ひなまつり」の歌を練習し、と社会や音楽の教科のエッセンスを入れないといけません。

「行事をした方がいい」のが保育園、「行事をしなければならない」のが幼稚園です。

幼稚園教諭は忙しい!

幼稚園教諭は忙しい

「幼稚園児は14時には帰るのだから楽」
「保育園みたいに早番や遅番がない」
「幼稚園は学校だから週休二日じゃん」

確かに、同じような仕事をしてる保育園よりも楽な印象があります。

しかし、実際は全くそうではないようです。
小学校の先生と同じようなイメージで、実際は翌日の指導案作りや行事の準備などに追われて、全然楽勝ではありません。

幼稚園児は当然小学生よりも手がかかりますし、何かあった時大変です。
しかも担任になると35人学級を一人で担当するかもしれません(幼稚園設置基準による)。

保育園の場合

0歳乳児3人に先生1人
1、2歳児乳児6人に先生1人
3歳児幼児20人に先生1人
4、5歳児幼児30人に先生1人

保育園よりも幼稚園は担当する子どもの数が多いんです。

教育の面でも、保育園は極端な話、毎日あずけている間の面倒をみるだけでいいのですが、幼稚園は決められた内容を教えないといけません。
そのため学習指導案は毎日変わっていきます。
同じことの繰り返しは保育園ではOKですが、幼稚園ではNGです。

だから、準備や書類の作成に大きく時間を取られるため、幼稚園によっては小学校~高校までの先生が直面している深夜までの残業などブラックな労働環境に置かれることが増えています。

保育園はシフト制ですが、自分のシフトが終わったら比較的早く帰れるのに対して、幼稚園は様々な準備に追われるという構図です。

それは

  • 保育園:「親が働いている間あずかって面倒をみる」(受動的)
  • 幼稚園:「義務教育前の子どもにその準備となる教育をする」(能動的)

から来るのでしょう。

土曜日勤務は幼稚園の場合は基本ありませんが(学校だから)、小学校以上でも土曜日授業が復活しているところがあるように、月1回か2回、特別授業や、保育園の延長保育のようなことをしているところも出てきています。

決して楽ではない、というのが正直なところで、幼稚園がブラックすぎて保育園の保育士になる人(両方の免許を持っている場合)も結構います。

幼稚園教諭の職場

幼稚園教諭の職場

幼稚園教諭の免許を活かして働ける職場は以下のとおりです。

  • 公立幼稚園(公務員の身分になります)
  • 私立幼稚園
  • 認定こども園

公立幼稚園の場合は公務員になります。
給与や待遇は公務員のそれですので、安定しています。

認定こども園は近年新しくできた幼稚園と保育園の統合施設です。
保育士を持っていなくても、現在は経過措置で働けます。
「保育教諭」という資格になり、0歳児や1歳児の乳児の保育を担当する可能性もあります。

そのほか、子ども関連の企業や児童館、児童養護施設などで幼稚園教諭の資格を活かして働くこともできます。
幼稚園教諭免許だけでは保育園では働けないので注意してください。

かなり低い幼稚園教諭の年収

幼稚園教諭の年収

幼稚園教諭の年収はどうなのでしょうか?

結論から言うと、保育士よりはマシですが、小学校~高校の先生にははるかに及ばないというのが現実です。

公立幼稚園の先生は公務員なので、そこまで悪くないのですが、私立幼稚園の待遇は良くありません。

保育士等に関する関係資料などに幼稚園教諭の年収もあります。

おおよそ、公務員の公立幼稚園教諭以外で比較すると下記のようになります。

幼稚園教諭の年収:約340万円
保育士の年収:約320万円

保育士よりはいいのですが、働きに見合っていないような気もします。
もちろん、公立幼稚園の教諭であれば公務員なので問題ありません。

年収が高い幼稚園はあり得るの?

年収が高い幼稚園

保育士は低年収で、公立保育士と私立保育士の格差がすごいのですが、幼稚園教諭もそれに似ているかもしれません。

しかし、幼稚園の場合は「名門幼稚園」に就職する方法があります。
「名門保育園」は聞きませんが、「名門幼稚園」は結構ありますよね。

慶応幼稚舎、青山学院幼稚園、学習院幼稚園など、これらにはVIPや有名企業会社員、芸能人の子ども御用達で知られています。

学費も高いですし、ネームバリューも大きいですから、そこで働く幼稚園教諭の待遇もかなりいいといわれています(附属の小学校~高校の先生レベル)。

ただし、倍率はすごいことになりますし、コネが効く世界なのかもしれませんので、一般採用でどこまでうまくいくのかわかりませんが、保育士よりも稼げる道はあると覚えておいてください。

幼稚園教諭の苦労とやりがい

幼稚園教諭は大変な苦労がありますが、やりがいも大きいようです。その声を拾ってきました。

Aさん 公立幼稚園勤務3年目

授業の準備などであわただしい毎日を送っています。幼稚園の年齢の子どもはまだまだ弱い存在で、何かあると体調を崩したり、風邪をひいたりしてしまいます。先生と同時に、養護(保健)の先生や親代わりもやらなければならず、とても大変です。

しかし幼稚園にいる期間で、子どもは大きく成長します。片言しか話せなかった子どもが、文章を書き、時には生意気なくらい口をきくようになります。もう一人前の人格がそこにはあり、人生における大切な人としてのスキルを身に着けていく時期に関われるのは、大きな責任とともにやりがいを感じます。

やはり子どもがいろいろなことを覚えて、できるようになるのをこの目で見られるのはとてもうれしいですね。

Hさん 私立幼稚園勤務7年目

幼稚園では様々な行事を行います。子どもたちにとってはそれが人生で初めて体験する「ひなまつり」だったり「七夕」だったり、目を輝かせてこれらの行事に取り組むのが見られるのは、幼稚園の先生をやっていて本当に良かったと思います。

「一年中を思い出してごらん~」の『思い出のアルバム』の曲そのままの世界を体験することができ、卒園式では毎年涙が止まりません。先生をやっていて本当に良かったと思います。

幼稚園に転職をするメリット

幼稚園に転職するメリット
以上、幼稚園教諭として働くときのやりがいや待遇を書きました。

幼稚園教諭として働くメリットとして

  • 子どもがいちばん成長する時期の教育に関与できる
  • 土曜出勤がある保育士と比べて土日休みのところが多い
  • 名門私立幼稚園ならば大きなステータスになり給料もよい

こういうことが大きいのだと思います。

こども園ならば保育士のようなこともでき、幼稚園教諭免許を活かしてキャリア形成やスキルアップも図ることができます。
幼稚園教諭出身の大学教授もいますから、研究職方面へのステップアップも期待できるかもしれません。

幼稚園に転職をするデメリット

幼稚園に転職するデメリット

デメリットもあります。

まとめるとこういう感じでしょうか?

  • 行事の準備や指導案の作成など子どもがいない時間の仕事が大変
  • 同じ「教諭」でも給与水準は小学校~高校の先生にはるかに及ばない
  • 保育園と比較して指導、教育内容が学習指導要領に縛られ「あそび」の部分が少ない

幼稚園と保育園、どっちがいいかと聞かれると、その人次第、就職する園次第、ということになるでしょう。

幼稚園教諭として転職する際に持っておいた方がいい資格

幼稚園教諭が持っておいた方がいい資格

最後に幼稚園教諭として就職、転職する場合、「幼稚園教諭免許」以外に持っておくと有利になる資格を書きます。

1.保育士

一緒に取れる学校も多く、両方持っていることで「認定こども園」の「保育教諭」になることができます。
幼児教育分野でつぶしが効くようになります。
どちらか片方の場合、在職しながら通信教育などでもう片方を取りやすい制度もあります。

2.リトミック指導者

リトミックとは音楽に合わせて身体を表現し、歌ったり踊ったりするヨーロッパ生まれの音楽教育法です。
幼稚園の授業にリトミックを取り入れているところもあり、指導者の資格を持っていると評価されやすいです。

3.絵本専門士

「独立行政法人 国立青少年教育振興機構」が認定する民間資格で、絵本に関する知識を身につけて、人に絵本の良さを伝えることができる、とされる能力を保証します。

「読み聞かせ」は幼稚園での教育では非常に重要ですので、この資格があれば絵本の選定などにも関われるかもしれません。そ

4.育児セラピスト

「日本余暇文化振興会」(文部科学省所轄)系列の、「日本アタッチメント育児協会」が認定する資格です。
子どもの発達、発育について深くについて学ぶことができます。

また、保護者とのコミュニケーション方法や、保護者のカウンセリング、行事の企画方法など広く育児について扱う資格になります。

5.幼児安全支援員

日本赤十字が主催する講習を受けると授与される資格です。
幼児が遭いやすい事故の予防や、事故に遭った場合の手当ての方法、さらに児童がかかりやすい病気とその対処法、どういう症状か、などについての知識を有します。
幼稚園は保育園と違い、常勤の看護師の設置が義務ではないので、何か起きたときにこの資格があると頼りにされるでしょう。

このほかにもありますが、持っているとすぐに評価され、採用されやすくなるのはこのあたりの資格になります。

幼稚園教諭として転職するためには「保育士専門」転職サイトか転職エージェントを活用

幼稚園教諭として転職する際には専門の転職サイトや転職エージェントを使った方がいいのですが、この場合「保育士専門」のところになります。

「保育士専門」「保育」と書いてあるものは幼稚園の求人も含みます。
求人数自体は保育園の方が圧倒的なので、保育士向けのものに幼稚園の求人が入るかたちになります。

求人が少ないからこそ、専門家に頼りましょう。
上で書いた名門幼稚園も、こういう専門エージェントに求人が出ることもありますし、攻略法も経験豊富なエージェントに聞いた方がいいです。むやみやたらに応募しても採用されないかもしれません。

保育士は売り手市場ですが、幼稚園教諭の場合それよりも求人倍率が低い傾向にあり(※)、だからこそしっかりと戦略を立てて、いい求人を逃さないことが大切です。
だから、専門の転職サイトや転職エージェントを活用しましょう。

※参考 幼稚園の人材確保支援事業 |文部科学省

求人倍率

  • 保育園 2.4
  • 幼稚園 1.9