保育士は子供と一緒に遊んだり生活活動のお世話をするのが主な仕事ですが、目に見えない数々の仕事内容があります。
そこで今回は保育士の仕事内容を子どもや保護者への対応、保育そのものの作業などに分けて解説します。また労働時間や1日のスケジュールもご紹介しますので参考にして下さい。
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保育士でメインとなる仕事内容
保育士のメインとなる仕事は、子供の保育と保育に関する事務作業、そして保護者対応になります。
子供の保育では遊びを通じて他の子供と協力したり譲り合ったりする関わり方を教える、食事や着替え、排泄などの生活習慣を身につけさせる、運動をすることで心身共に健康な成長を促すことを土台に保育を行います。
事務作業は日々の保育に関する記録や報告書、行事やイベントの計画、準備など保育をする上で必要な書類の作成をします。
保護者対応は、連絡ノートを通じて子供の様子を報告するのが日々の業務ですが、必要があれば保護者の悩みや要望などへの対応をします。
子どもへの対応編:保育士の仕事内容
傍から見る保育士の仕事は、園庭で遊ぶ子供を見守っていたり、散歩をさせていたり、絵本の読み聞かせや工作をしているのが大まかなイメージかもしれません。
しかし、子供の保育と一口に言っても、細かく分けると業務は多岐にわたります。それでは、保育士がどういった保育内容を行っているのかを見ていきましょう。
身の回りの世話をする
保育士の一番の仕事は、子どもに生活する上で必要な行動を身につけさせることです。
担当するクラスの年齢に合わせて着替えを手伝ったりトイレに付き添ったり、食事の仕方などを一人ひとり見守って、必要な時はサポートをしながら、基本的な生活習慣を自分で出来るようにしていきます。
このとき、もう一つ重要となるのが健康状態をチェックすることです。子供はちょっとしたことで熱を出したり風邪をひいたりするので、生活習慣を身につけるサポートをしている時に、様子に変化がないかも確認していきます。
熱などがなくても少し元気がないようであれば、お迎えの時に保護者に状態を伝えるのも重要な仕事です。
一緒に遊ぶ
保育の仕事は、「子供が健全な心身の発達を図る」という目的に沿って行われるので、遊びを通して譲り合いや協力、助け合いなどを学ばせる必要があります。
ただし、子供同士で遊ばせていても学ぶのは難しいため、保育士が混ざり子供達と一緒に遊ぶのも大切な仕事の1つです。
一緒に遊んでいく中で子供と保育士の信頼関係を結びます。また、子ども同士が喧嘩になったりした場合も、保育士が正しい方向へと導いて仲良く遊べるように指導していくのも仕事です。
集団生活におけるルールを学ばせる
保育施設は、大半の子供達が初めて触れることになる社会です。よって、両親がいない環境で保育士に見守りつつも、たくさんの子供達と一緒に生活をおくっていく中で他者との集団生活におけるルールを学ばせていかなくてはいけません。
保育施設で身につける社会性は人生の土台となるものですが、小さい子供を決まり事でがんじがらめにすることは出来ないので、ルールを学んでもらうと同時にどのようにしたら集団の中で楽しく生活できるのかを考えてあげるのも仕事となります。
集団に馴染めない子供がいる場合は、障害の可能性はないか、家庭でのトラブルはないかなどもチェックします。
成長とともに出来ることを増やす
保育施設では、遊びを通じて子供の成長を促すとともに出来ることを増やしていきます。
工作や図工では、はさみや糊、テープなどの使い方を学んだり、絵を描くことで創造力を養ったり、読み聞かせではいろいろな感情を持つことや自分と他者の考え方の違いなどを学びます。
お散歩では交通ルールを覚え、鉄棒や鬼ごっこなどでは運動能力を育てるなど、さまざまな遊びの中から自分で出来ることを増やしていきます。
指導計画に沿った遊び道具や教材の準備
毎日の保育時間では子供達と触れあいながら成長や学びをサポートしますが、お昼寝中などの空いた時間には指導計画に沿った遊び道具や教材の準備も行います。
実際に使用する遊び道具や教材に関しては、子供達が使って危険がないか安全に指導できるかなどもチェックします。この時点で使用しない方がよいものが見つかった場合、指導計画の変更や代替えのものを用意しなくてはいけません。
また、工作の場合は子供達が自分で作成できるよう、どういったサポートをすれば良いのかも事前に確認しておきます。
保護者への対応編:保育士の仕事内容
私立の名門幼稚園などでは、保護者対応にもかなり時間を割きますが、普通の保育園や幼稚園では保護者対応はそれほど大変な仕事ではありません。
基本的には、子供の成長やその日の出来事を報告するのが主な仕事になります。
連絡ノートの作成
連絡ノートは保護者に渡すもので、その日の子供の様子や体調、怪我やトラブルがあった場合は原因や解決法などの報告、保護者へのレスポンスなどに活用するため、毎日つけるのが基本です。
連絡ノートに記載する内容でポイントとなるのが、保育の中での発見です。「こういった遊びをしていたらこんなことをした」「こんな絵本を読んでいた」などいつもと違う行動を発見したら、それを書くだけでも保護者はとても喜びます。
1つでも新しい情報を得られたり、保育の様子がよく分かったりすることで、保護者からのクレームはぐっと少なくなります。
毎日は大変かもしれませんが、3日に1回ぐらいの頻度で何かしら新しい情報を記載するのは保育士としての大切な仕事とも言えるでしょう。
担当する園児が多いと大変な仕事量になりますが、保護者とのコミュニケーションを円滑にするための重要なツールなので、連絡ノートは出来るだけ細かく丁寧に作成することが求められます。
子供の成長を伝える
基本的に保護者対応は連絡ノートで行いますが、子供の成長はお迎えの時や保護者会などで伝えることも仕事となります。
日中、子供の行動を見られない保護者にとっては子供の成長が一番気になるところです。また、連絡ノートに記載をしても、具体的な状況が伝えられないこともあります。
立っちや逆上がりなどを子供が初めて出来たこと、前よりも早く走れるようになったこと、嫌いだった野菜を食べたといった事をどのような状況やタイミングで出来たかを伝えると、保護者も休日に同じ状況でチャレンジしてくれるかもしれません。
これは子供のさらなる成長にも繋がるので、保育における重要な仕事の1つと言えます。
子育ての悩みや不安などの相談に乗る
連絡ノートや懇談会、個人面談の時に子育ての悩みや不安などの相談に乗るのも保育士の仕事です。
また、保護者の中には保育方針を理解していなかったりすることもあるので、保育に協力してもらえるように、相談の乗るだけではなく方針や理念を説明することもあります。
ただし、新任保育士の場合は相談に乗ったり方針などの説明をしたりするのが難しいこともあるため、上司に対応を任せることもあります。
保育士の保育に関する仕事内容
保育士は残業が多いと言われますが、その理由となっているのが事務作業と雑務です。
保育士なのにどうして残業するほどの事務作業があるのか、ピンとこない方も多いかもしれません。
ここでは保育士の仕事の中で、保育と同じぐらい大きなウエイトを占める事務作業についてご紹介します。
月間・年間の指導計画を作成する
保育施設では、月ごとの指導計画と年間での指導計画を立てて保育を行います。
年間での指導計画は園全体の活動なので全体会議をしますが、月ごとの指導計画はクラス単位になるため担任と上司、園長で会議をして保育内容を決定します。
指導計画は毎年同じではなく、厚生労働省の指針に変更があった場合や保護者からの提案なども取り入れて計画をするので、各保育士が事前に企画案を作成しておくのが一般的です。
園行事・イベントで使う物を準備する
保育施設では、ほぼ毎月何らかの行事やイベントを行います。たとえば運動会や遠足、お遊戯会などの行事や夏祭りやクリスマス会、お誕生日会など月ごとのイベント前には、そのための準備もしなくてはいけません。
行事やイベントでは小道具を作ったり絵を描いたり、お正月やひな祭り、七夕など季節に合わせた園内の飾り付けの作成をすることもありますし、園によっては衣装の制作もします。
こういった仕事は保育の合間に行うこともありますが、終わらせるのが難しい場合が多く基本的には残業をして仕上げることになります。
クラス便りの作成
日々の保育の様子や行事、イベントのお知らせをするためのクラス便りを作成します。
主な内容は保育状況と行事の連絡ですが、季節によっては体調管理のためのレシピやおすすめの食材の紹介、規則正しい生活習慣の身に付け方、歯磨き方法など子育てに役立つ情報を載せることも多いです。
クラス便りを工夫することで保護者からの質問が減ったりクレームの緩和に繋がったりするので、多少時間がかかっても園便りの中身をしっかり考えて作成する保育士が多いようです。
懇談会の報告書作成
懇談会の頻度は保育施設ごとに違いますが、懇談会を行った後には報告書を作成します。
保護者とどういった話し合いをしたか、保育方針への質問、保育に関する心配事などあらゆる意見を取りまとめて報告をし、必要があれば次の指導計画会議に挙げるべきかなどを話し合います。
子供の保育記録の作成
保育士の事務作業で必ず毎日行わなくてはいけないのが、子供の保育記録(保育日誌)の作成です。
同じ年齢であっても、子供はそれぞれに成長度合いが異なるので、各自の出来ることや出来ないことの成長確認や適切な保育を行うための記録を付けていきます。
保育記録のフォーマットは決まっている施設と決まっていない施設があるため、フォーマットがない施設だと情報の整理が難しく、作成に時間がかかってしまうので毎日の仕事の中でもウエイトが大きいという保育士も少なくありません。
しかし、保育記録の作成は課題や問題点の洗い出しや次年度の指導計画にも役立ちますし、何らかの障害がある場合は早期発見にも繋がる重要な仕事です。
保育士の仕事時間(労働時間)は8時間が基本だが…
保育施設によって保育時間は異なりますが、共働きの増加や働き方の多様化によって、早朝保育や延長保育を取り入れている園が多くなっています。
そのため、多くの保育施設では朝は7時から夜は7時まで12時間保育を導入しています。もちろんその保育時間すべてに一人の保育士が勤務するわけではなく、基本的な労働時間は8時間となっています。
シフトの割り振りは早番・中番・遅番の3交代が基本となっていますが、保育士不足の現状により早朝保育と延長保育はパート保育士や派遣の短時間勤務でまかない、8時から5時までの日勤を正規職員で行うという保育施設も増えています。
こういった施設であれば毎日同じシフトで働けるので、求人募集でも一番人気があります。
ただし、保育士の場合は定時になれば帰れるわけではなく子供達が帰った後にしか出来ない事務作業や雑務があるため、保育士同士で仕事を割り振っても週に数回は残業が必要になります。
そのため、保育士の労働時間は日によっては9時間程度になるのが実情ですが、人手が足りていない施設の場合はほぼ毎日残業となるので9時間労働が当たり前になっています。
保育士の1日のスケジュール例
1日のスケジュールは保育施設によって違いますし、担当するクラスごとでも違いがあります。
ここでは保育園の年少から年長クラスで働く保育士の、通常シフトでの1日のスケジュール例をご紹介します。
時間 | 業務 | 具体的な内容 |
---|---|---|
8:00 | 登園対応 | ・早番の保育士から引き継ぎ ・その日の保育の準備 ・園児の出迎え・健康チェックと保護者対応 |
9:00 | 朝の会 | ・日勤の保育士と保育指導を確認 ・園児にその日の予定を伝える ・出欠席の最終確認後、通常保育 |
10:00 | クラス別保育 | ・乳幼児クラスから年長クラスまで、各クラスに分かれて、年齢に合わせた遊びや運動、工作などを行う。 ・行事やイベントが近い場合は、その準備や出し物の練習をする。 |
11:30 | 昼食準備 | ・昼食の準備、配膳 ・園児の手洗い、うがいの指導 ・アレルギーのチェック |
12:00 | 昼食・後片付け | ・園児と一緒に昼食 ・お箸の持ち方や食事のマナーを指導 ・食べ終わった園児から後片付け ・お昼寝準備に合わせて昼食の片付け |
13:00 | お昼寝準備・お昼寝(お昼休憩) | ・園児の歯磨き指導 ・布団を敷く、園児をトイレに行かせる ・寝かしつけ ・園児の様子を見守りながら、保育記録や連絡帳の記入など事務作業をする |
14:45 | お昼寝・片付け・おやつ準備 | ・園児を起こす ・布団の片付け ・起きた園児とおやつ準備 |
15:00 | おやつタイム | ・手洗い指導 ・おやつの食べ方の指導 |
16:00 | クラス別保育 | ・お迎えの準備 ・絵本の読み聞かせや集団遊び ・さようならの挨拶 |
16:15 | お見送りと見守り | ・16時ごろからは保護者のお迎えが始まるので、お迎えが来た園児はその日の様子や連絡ノートを渡すなど保護者対応を行う ・お迎えが来るまでは園庭や室内で遊ぶ園児の見守りをしながら、保育室の掃除や保育記録の記入などする |
17:00 | 通常保育終了 | お迎え対応が終わったら業務終了。 この時点で事務作業や明日の準備が終わっていれば帰宅 |
こちらが保育士のスケジュールと仕事内容となります。
スケジュール表では17時で終了となっていますが、事務作業が残っていたり指導計画やイベント企画の会議があったりするときは残業が発生します。
また、勤務上は残業が発生しなくても明日の準備などを家に持ち帰って行うなど、実質残業が発生するケースも珍しくありません。
保育士の仕事内容まとめ
どんな職業でも言えることですが、仕事内容はどんなに詳しい情報を見ても文字だけではいまいち分かりづらいものです。
何となく「こういうことをするんだな」というのは分かるかもしれませんが、実際に働いてみたら自分が思っていた仕事内容とは違うと感じることも少なくありません。
特に保育士は日々成長していく子供と接する仕事ですし、事務作業や雑務は外側からは見えないので、具体的なイメージを掴むのは難しいでしょう。
身近に保育士がいれば話を聞くこともできますが、いないのであれば保育士の仕事に興味のある方は保育士転職サイトのエージェントに聞いてみるのが一番です。
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