転職直後に産休・育休を取得してもいいの?

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みなみ
産休・育休は、法律による権利ですよね?派遣社員であっても問題なく利用できると以前酒井先生から教わりました。ということは、転職直後に休みを申請しても問題ないのでしょうか?
酒井先生
産前産後休暇については労働基準法上明確に定められているため、働きたいと思っても働くことはできません。育休については会社によって取扱が様々です。ただ問題なのはそこではありません。例えばみなみさんが企業の採用担当である場合、『転職が決まった瞬間に休みを申請しようとする人材』を欲しいと思いますか。
みなみ
ギク・・・
酒井先生
企業が求めているのは即戦力です。そもそも女性の採用で最も気を遣うポイントは、結婚や出産、育児などによる長期離脱又は離職です。その可能性がある女性の人材は最も転職において不利となります。

産休・育休を期待して転職活動をしてはいけない

  1. 使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあつては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
  2. 使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
  3. 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。

労働基準法65条

労働基準法65条を見ると「転職直後でも産休もらえるんだ」と思う女性も多いかもしれません。それは間違いではないですが、そもそも妊娠している場合は転職活動自体をするべきではないですし、入社前から産休・育休について過度に聞いてくる転職者を企業を躊躇するでしょう。

なぜなら、企業が求めているのは「採用した瞬間に産休に入るかもしれない女性」ではなくて「入社後にすぐ即戦力となりえる女性」だからです。

また、仮に会社が許してくれたとしても、転職したばかりでまだ素性も知らないあなたの妊娠を、周りの同僚は祝福してくれるでしょうか。転職者であるあなたに企業が期待しているのは、企業の利益となる生産性であることを忘れないようにしましょう。

言い換えれば、既婚、子持ちの30代後半又は40代の女性は転職において非常に有利になります。昔はこうした女性の転職は企業が毛嫌いしていたのですが、時代・ニーズの変化で活躍の場が広がってきています。

転職先における産休・育休の取得は1年以上の間隔を空ける

転職活動中は妊娠を控え、転職が成功したら、今度は「転職をしたらいつまで妊娠を我慢しなければいけないのか」という疑問が出てきますよね。

本来は会社である程度の実績をあげ、会社や同僚の信頼を得てから妊娠するのがベストですが、転職した女性の実態として、やはり「1年以上我慢する」という女性が多いようです。

また、気持ちの面でも仕事面でもだいぶ落ち着いた状態で出産を迎えられます。

1年以上働けば育休を確実に取得できる

事業主に引き続き雇用された期間が 1 年に満たない労働者は育児休業を取得することができない。

育児・介護休業法第6条

育休の取得条件に該当しないのは、日雇い労働者、就労1年未満の新入社員・契約社員・中途社員、派遣社員です。

言い換えれば、就労1年以上の労働者に対しては育休を認めなければならないということになります。転職先における育休は即時取得できるわけではなく、1年以上の就労、またその職場における「空気」を読むためにも、ある程度の勤務実績を積む必要があります。

雇用保険で所得補填ができる

ノーワーク・ノーペイの原則上、企業は、産休・育休中の社員に給与を支払う義務を伴いません。そのため、企業から育児手当をもらえない場合は、雇用保険の一つである育児休業給付金を支給してもらえます。

雇用保険を払っていれば、育児休業給付金を受給する条件として

  • 休業開始前の2年間のうち、賃金支払基礎日数(給与として計算できる日)が11日以上の月が12か月以上
  • 育児期間中(子供が1歳になるまで。保育所における保育の実施がおこなえない場合などは1歳6か月まで)

以上2つを満たしていれば、出産手当金として稼いでいた標準金額(日額)の67%を受給することができます(受給から6か月経過後は50%)。

もちろん企業から育児手当をもらっている場合は減額されますが、少なくとも給与の3分の2は保証されているため、安心して子育てをすることができます。

酒井先生
1年という期間を設けることで、自分が得をするということだけでなく、会社に貢献することができれば、自信を持って産休・育休を申請することができますし、会社も気持ちよく許可することができます。

産休・育休は断れないと知らずに許可しない会社もある

産休・育休の取得手続きは、実は非常に事務的な手間を伴います。そのため、女性社員の労働環境が整っていない中小企業、育休・産休の取得実績が無い会社に転職してしまうと、どんなにこちら側が会社の負担にならないように期間を調整しても、その取得を認めてくれないことがあります。これは派遣会社でもよくあるケースです。

もちろん労働基準法を使って企業と戦うこともできますが、出産明けのことを考えるとゆううつになってしまい、結果として産休・育休後にもう一度転職活動するという女性も多いようです

そうならないようにするには、最初の転職活動で産休・育休取得の実績のある企業に転職するのが1番です。しかし上でも述べた通り、こちらからあまりにもしつこく聞いてしまうと、採用担当から敬遠されてしまいます。

そんなときに便利なのが転職エージェントです。転職エージェントは、紹介企業の内部についても詳しく理解しているため、面談のときに相談しておけば、産休・育休の実績がある企業の中からあなたにピッタリの転職先を探してきてくれます。

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