20代でIターン転職をするのはデメリットばかり
Iターン転職とは、「都会で生まれ育ち、就職も都会でおこなった人が転職先に地方を選ぶこと」です。
都会の喧騒から離れた田舎で生活をしながら、自分の働きたいペースで仕事ができそうというイメージがありますよね。しかし私は20代女性にIターン転職をおすすめしたことは一度もありません。むしろIターン転職はしない方がよいとアドバイスをしていたくらいです。
実は、Iターン転職は若いうちにおこなってしまうと、都会を離れたことで得られるメリットよりもデメリットの方がはるかに大きくなってしまいます。
Iターン転職で得られるメリット
地方自治体の各種支援を受けることができる
Iターン転職者に対して独自の支援サービスを展開している地方自治体はたくさんあります。たとえば富山県の「とやま移住応援団」はIターン転職を検討している対象者が富山に赴いた際のレンタカーや宿泊費の割引、実際に居住を決めた際の引越費用や家賃割引などの支援をおこなっています。
自分の行きたい地方の支援サービスは、国土交通省の「ふるさとsearch」で調べることができます。
地方の家賃は安い!
都会に比べると地方の家賃は安く抑えることができます。全国賃貸管理ビジネス協会によれば、東京都の平均家賃が71,874円であるのに対し、平均家賃が最も安い富山県は43,902円と、約3万円もの差があります。
しかし、地方では移動に自動車が必要である場合もあるため、車両代や維持費などを考慮するとそこまで変わらない可能性もあります。興味のある地方や地域での移動手段は確認しておく必要があります。
通勤ラッシュに悩まされなくなる
都会なら会社や駅から近い物件は家賃が高く借りられず、出勤時はいつも満員電車でストレスが溜まっている人も多いでしょう。家賃の安い地方では会社が近い物件を借りることで、そのようなストレスに悩まされることはなくなります。
Iターン転職をする際のデメリット
同じ職種でも求められるものが増える
まず都会と地方では、同じ職種であったとしても求められる仕事が違うことが多々あります。何故なら、都会では分業されていて同僚にやってもらっていたような仕事を、地方では分業化せず1人でおこなうことの方が多いからです。
分業化された仕事を都会でおこなっていた結果、都会ではマッチングが難しくない仕事でも地方の求人案件にマッチさせるのは難しいという場面も出てきます。
地方の企業は都会の企業に比べると人材確保が安定していません。だからこそ、Iターン転職で希望者を募っているのです。今と同じ職種だからと気を抜いて転職してしまうと、痛い目を見るかもしれません。
都会で転職するよりも給与は減る
dodaの2016年平均年収ランキングでは、東京都に住んでいる女性の平均年収が387万円だったのに対し、家賃が一番安かった富山県の女性は平均323万円しかもらっていません。家賃が安くなった分貯金に回そうと思っても、下がった年収の方が多くなってしまうため、都会で生活するよりも節約生活をする羽目になるかもしれません。
転職先とミスマッチングが起きたら絶望的
何よりも怖いのは、Iターン転職で選んだ転職先が自分に合わなかったときです。新しい職場を探そうと思っても都会に比べて選べる企業が少ないため、希望に合う転職先を探すだけでも一苦労です。
地方で転職ができないのなら都会で転職し直せばよいのですが、転職の面接を受ける度に上京することになると交通費も労力もかかります。休みの日にしか面接はいけませんから、面接の日は1日転職活動で潰れる覚悟をしておきましょう。
交通費や時間的に無理があるならば、退職して都会に戻って転職活動をすればよいかといえば、引越費用や新しい住居の敷金礼金の支払いは大金のため、貯金がなければできません。特に東京から地方への引越しは、単身引越しであっても10万円以上です。都会に戻ってきても離職中のため一時的にアルバイトをしなければいけなくなるかもしれません。
Iターン先では友人や親族も近くにはいないため、直接会って相談する相手もいません。いくら家賃が安いと言っても、女性一人で見知らぬ土地、しかも地方での暮らしへ慣れることにも時間がかかります。Iターン転職は何事においても失敗が許されないのです。