日本には140万人を超える派遣社員がいますが、多くの方が新型コロナウィルスによる派遣切りや、次の仕事が見つからず苦しんでいます。
当記事ではそんな派遣社員の詳しい実情を調査するべく、派遣切りの割合、理由、新型コロナウィルスの影響、給料の金額、テレワークの頻度といった様々なデータを、150人の男女を対象としたアンケートの結果に基づいて紹介していきます。
派遣切りや派遣社員の実情に関するアンケート
実施:派遣ガールズ 編集部
回答方法:Webアンケート調査
調査日時:2021年2月17日 ~ 2021年2月19日
調査対象:
[予備調査]全国の18~55歳までの男女(3,000名)
[本調査 ]現在の雇用形態が派遣社員、無職になる前は派遣社員と回答した方
回答者数:150人(男性53人 女性97人)
今回のアンケートは、まず予備調査として3000人の男女を対象に現在の雇用形態について調査をしました。
そしてその中から現在の雇用形態が派遣社員、あるいは無職になる以前は派遣社員だったと回答した方だけを対象に本調査を実施した結果となります。
派遣社員の33%が派遣切りに遭っている
アンケートで派遣社員と回答した150人の内、33%もの方が派遣切りに遭ったことあると回答しました。
これは単純計算で3人に1人もの方が派遣切りを経験しているということであり、派遣社員の方に取って派遣切りは隣り合わせの存在であることを示しています。
派遣社員の内、約85%の方が将来が不安と回答
そのような事情からか、別の設問で派遣社員としての働き方に何らかの不安、不満があると回答した方にその理由のアンケートを取った結果、84.54%もの方が『将来が不安』と回答していました。
3人に1人の方が派遣切りを経験し、急に仕事を失う経験をしていることを鑑みれば、85%というほぼすべての派遣社員が将来への不安を感じるのは当然と言えるでしょう。
また次点で直近の不安として『次の仕事が見つからない(31.96%)』『次回の契約が更新されるか不安(23.71%)』と回答している方も多かったです。
この結果から、派遣切りにあった方の多くはすぐに次の仕事が見つからず、不安と共に過ごしているようです。
派遣切りに遭った方の内、新型コロナウィルスの影響が関係しているのは38%
また、弊社では合わせて派遣切りに遭った経験のある派遣社員の方に、その理由に新型コロナウィルスが関係しているかどうかも調査しました。
その結果、38%という1/3以上の方が自身の派遣切りに新型コロナウィルスが関係していると回答しています。
新型コロナウィルスによる派遣切りは2020年に話題になりましたが、2021年2月現在になって尚、数多く起きているのが実情のようです。
新型コロナウィルスの影響で派遣切りに遭った詳しい理由をアンケート調査
弊社では上記のアンケートで派遣切りの原因が新型コロナウィルスが関係していると回答した方を対象に、詳しい理由について調査しました。
その結果、以下のような理由で派遣切りに遭ったという回答が集まりました。
- コロナ以前から当該部門の業績が悪く、コロナをきっかけに派遣切りに
- 働いていたお店のお客様が減少し、シフト数が激減しそのまま派遣切りになりました
- 働いていた会社の売上がコロナ禍で減少した
- 新型コロナの影響で前年の売上を大幅に下回った為
- コロナで次の現場が見つからなり、そのまま切られてしまった
- 職場で仕事がなくなりそのまま派遣切りに遭いました
- 新型コロナの影響で業務で扱う物量が減ってしまい、そのまま仕事がなくなった
新型コロナウィルスの影響により売上や仕事が減少し、そのまま派遣切りに繋がった方が非常に多いようです。
どれだけ仕事を頑張ったり結果を出しても、新型コロナウィルスという自分ではどうしようもない事象のせいで雇用を切られてしまうのであれば、先の設問にあった通り多くの派遣社員が将来に不安を感じるのは当然と言えるでしょう。
新型コロナウィルス以外で派遣切りに遭った理由も調査
先程の設問で新型コロナウィルス以外の影響で派遣切りに遭ったと回答した、62%の方にもその詳しい理由についてアンケートを取りました。
その結果、新型コロナウィルスと関係なく以下のような理由で派遣切りに遭ったという回答が集まりました。
- コロナと関係なく部署自体がなくなった
- 働いていた事業所はコロナとは無縁の業種だったが、閉鎖したためそのまま派遣切りに遭いました
- 働いていた会社の経費削減により
- コンサルティング会社からの指示で切ると説明されました
- 派遣先の売り上げが落ち倒産寸前にまでなったので派遣切りに
- コロナとは関係なく需要がなくなったため派遣切りに遭いました
- システムの導入で働いていた会社の事務作業が減り、事務担当者が減らされました
- 派遣先の業績悪化で派遣切りに遭いました
- 営業の方からコンサルの指示で切らせてもらうと言われました
単純に業績が落ちた、コンサルティング会社の影響、人件費の削減などで切られた、といった回答が集まりました。
派遣社員の給料は100,000円未満が34%と最多に
合わせて派遣社員の方に現在の給料をうかがった所、100,000円未満と回答した方が最も多かったです。
これは派遣社員の平均時給が極端に低いというワケではなく、派遣社員の中には週2~3回の出社の仕事や1日6時間の勤務で働いている方が多かったり、平均給与が低い地方で働いている方も多いのが関係しています。
ただ、中には劣悪な職場環境により、フルタイムでありながら給料が100,000円未満という方もいるようでした。
次点で100,000円~200,000円の給料を受け取っている方が多いという結果が出ており、週5のフルタイム出社の多くの方はここに該当します。
ちなみに合わせて『派遣切りに遭う前は派遣社員だった』方に受け取っている失業保険の金額を聞いたところ、100,000円~150,000円と回答している方が多かったです。
派遣社員でテレワークを導入しているのは14.67%
なお、派遣社員でテレワークを導入している人の割合について調査した結果、現在派遣社員でテレワークを導入しているのは僅か14.67%という結果が出ました。
正社員のテレワーク導入率が約25%と言われているのに対し、この数字は約10%低いです。
このことから派遣社員は正社員と比べテレワークが導入されているケースが少なく、正社員よりも感染リスクや健康の安全が軽視されている事が予想されます。
実際、後述する『派遣会社への不満』のアンケートでは、「派遣社員も正社員同様、テレワークをさせてもらいたい(28歳 女性)」「正社員はテレワークなのに派遣社員は出社させられている(40歳 男性)」といった意見がありました。
派遣社員のテレワークの頻度は週5回以上が最多
なおテレワークの頻度は週5回以上と回答している方が最も多かったです。
このことからテレワークを導入している企業は正社員、派遣社員に関わらず週5日の全てをテレワークにしているケースが多いことが読み取れます。
次点では週2回、3回テレワークが導入されているといったケースが多かったです。
派遣社員として働いている期間は1年以上~3年未満が最多。10年以上の方も多い
派遣社員としてどれだけの期間働いているかもアンケートを取った結果、1年以上~3年未満と回答した方が28.67%と最も多かったです。
次点では10年以上派遣社員をやっていると回答している方が20.67%と多かったです。
派遣社員の不満の声
また、当アンケートでは任意回答という形で、150人の派遣社員の男女に対し派遣会社への不満や要望の声も調査しました。
その結果、100を超える意見が得られましたので、その中でもいくつかの回答をピックアップしてご紹介します。
- 交通費完備とかいているのにいざ働くと出してくれない求人があって困る(44歳 男性)
- 次の仕事を探しやすいようにしてくれない(47歳 女性)
- 契約が更新されない時は、早めに次の職場を探せるように援助してほしい(33歳 女性)
- 命に関わるので急な解雇は辞めてほしい(48歳 女性)
- 無期雇用契約をしていたが、派遣先を自分で選べず条件に合わない案件を紹介され結局有期雇用に戻ることになった。無期雇用の意味がない(47歳 女性)
- 提示される職種の範囲が狭すぎて選べない(42歳 女性)
- 出退勤を電話連絡ではなくネット上でできるようにしてほしい(45歳 男性)
- コロナでお仕事が無くなってしまったのでどうにかしてほしい(27歳 男性)
- 時短勤務でも保証有り、交通費支給にして欲しい(33歳 男性)
- 派遣会社は派遣先にも労働者の要望を伝えてほしい(48歳 女性)
まとめ
今回のアンケートの結果から、派遣社員は新型コロナウィルスの影響の影響もあって派遣切りに遭ったり、様々な不安や不満を抱いていることが分かりました。
派遣社員の3人に1人が派遣切りに遭っているような状況では、自分が切られなくてもある日突然周りの仲間が切られたりする光景を見ることになるので、安心して働くことは難しいでしょう。