残業代の未払い賃金請求の方法
労働契約で結ばれている内容で賃金を支払うことは雇用主である派遣会社の義務です。労働契約で定められている賃金のことを所定賃金といい、基本給や時給などのことを指します。
労働契約書の内容を確認する
まずは自分の計算方法に間違いがないか、改めて労働契約書の内容を確認しましょう。特に、残業時間の割増や、休日出勤に係る計算方法は間違いが多いものとなります。派遣社員の場合は時給制なので、タイムシートやタイムカードが提出される度に派遣会社が計算しています。
派遣会社の給与振込のフローを確認する
システムを導入していない会社ではどうしても人為的なミスが起こってしまいます。また給与システムを導入していても、実際の銀行送信の手続きは全て人が行います。そのチェック体制が会社としてどうなっているのかも確認してください。大手企業であれば、給与振込など大きな金額が動く手続きには二重・三重チェックは当たり前で、四重・五重・六重と確認を行います。
たった一人の給与担当が、その派遣会社の派遣社員の給与振込を任されているのであれば、それは会社として非常に問題です。つまり、正しく給与が振り込まれていないのはあなただけではない可能性もあるということです。
派遣会社に相談
派遣会社内には必ずタイムシートやタイムカードの予備が控えてありますので、一緒に確認しましょう。
余程のことがない限り未払い賃金請求をするまでもなく解決できます。というのも、人材派遣業界は超戦国時代なので、こんな基本的なミスを繰り返していれば簡単に廃業に追い込まれ、また賃金に関するトラブルは早期に気付かれてしまうため、騙すとしてもやり方が安易過ぎるからです。
大手の派遣会社ではまずあり得ないことであり、派遣社員は派遣会社を選び放題の時代なのですぐに乗り替えられてしまいます。
未払い所定賃金請求書を派遣会社に送付
明らかな未払い賃金が発覚しても、派遣会社がその非を認めないときは内容証明郵便で請求書となる書類を送付してください。内容証明郵便であれば、後に催告したことの証拠となります。
この際の請求書となる書類は労働契約書・タイムカードorタイムシートです。この2つをセットで送付しましょう。内容証明郵便の送料には1000円程度かかりますが、ここまで受けた精神的苦痛、仕事を見つけるまでの手間賃、慰謝料を含めて請求することができれば問題ではありません。
労働基準監督署に申告
賃金の未払いは労働基準法第24条に違反することになり労働基準監督署に申告することで、派遣会社に対して調査と指導が入ることになります。賃金の未払いはいわゆる「完全にアウト」の事項なので、証拠をしっかり揃えて労基に相談するのが手っ取り早い方法かもしれません。労働契約書・タイムカードorタイムシートを労働基準監督署へ持って行ってください。
労働基準監督署に申告しても賃金(60万円以下)を払ってくれないときは少額訴訟を起こすことが可能です(法務省)。イメージとしては「簡易的な裁判」。手続きが非常に簡単で1日で判決が下ります。ただ「裁判」であることには変わりないため、「最終手段」として心得ておくようにしましょう。
自分で全て解決しようとしない
派遣会社も人なので、人為的なミスは十分に起こり得ます。残業代や割増賃金など、少しでも「おかしいな?」と感じたら、できるだけ早めに派遣会社に相談しましょう。また営業マンと会社内部の事務担当は全く別なので、少し声をかけるだけですぐに改善される(今回がたまたま)こともあります。
ただ「給与の未払い」は派遣会社に関わらず絶対にあってはならないことです。大手であればそういったことが起きないという保証はありませんが、中小派遣会社では賃金未払いは日常茶飯事で起こっています(ミスではなく意図的に)。自分を守るためにも派遣会社選びというのは慎重に行い、また実際に法的手続きに入るときは必ず弁護士や専門知識のある方に相談し、その方と一緒に行うようにしましょう。