無期契約社員のメリット・デメリット~正社員との差は歴然

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無期雇用転換に関する誤解(正社員ではない)
みなみ
派遣社員だと同じ職場には最長3年という抵触日がありますが、契約社員にも期間の定めはあるのでしょうか?
れいか
契約社員にも5年という決まりがあるわ。もし5年以上その契約社員を働かせたいなら、就業先は期間の定めのない無期契約社員に転換しないといけないの。
みなみ
「無期雇用」ということは契約社員で5年働けば正社員になれるということでしょうか?
酒井先生
無期雇用は契約期間の定めをなくしただけで、正社員になれる制度ではありません。契約期間以外で雇用条件の変更はなく、あくまで「雇用安定」の側面で従業員を守らせる目的です。従って、無期雇用となっても給与や福利厚生面における変化は期待できません。

無期雇用転換は本当に契約社員を守る制度なのか

無期労働契約への転換:有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を越える場合、労働者の申込みにより無期雇用に転換できるルールです。

厚生労働省

以上のように2013年4月より労働契約法が改正されました。雇用の安定を図るための新しいルールで、直接雇用される方の中でもアルバイト・パート社員や契約社員のような有期雇用されている方が対象です。企業によって準社員・嘱託・非常勤・臨時社員などと呼び方が違う方も同様に該当します。

この制度は労働契約法の改正後からの通算になるので、2013年から5年後の話になります。そのため2018年には無期雇用契約社員が一気に増えることでしょう。

無期雇用契約社員になる条件

  • 通算して5年の契約期間があること
  • 2回以上有期労働契約の更新を行っていること
  • 労働者が契約期間内に無期労働契約の申込みをしたこと

この3つの条件「全て」が揃っていることで無期雇用契約へ転換できます。5年間働いていればいいというわけではありません(全ての契約社員が無期雇用を望んでいるわけではないため)。

雇用主は以上の条件を確認し、労働者から無期雇用の申込みがあった際には、労働契約法第18条により有期契約から無期契約に転換しなければなりません。

クーリング期間があると勤続年数がリセットされる

2013年以降から通算して5年というルールですが、例外としてその契約期間内に一度でも契約を解除した期間が6ヶ月以上ある場合、その期間がクーリング期間となってしまいます。

クーリング期間となると解除される前までの勤続年数がリセットされてしまい、通算契約期間はクーリング期間後のみになります。そのため合計して5年以上働いていても、その期間内にクーリング期間があると無期雇用の対象にはならないのです。

れいか
産休育休で1年以上仕事から離れることになる場合、この期間がクーリング期間になることはないのですか?
酒井先生
産休や育休は仕事をしていないだけで、労働契約は続いています。契約が解除されているわけではありません。同じ職場に1年以上働いている方であれば、契約社員でも育休・産休の対象者になります。また対象者になれば就業先から労働契約を切られることもなく、雇用保険から育児休業給付金が支給されますよ。

正社員や無期雇用派遣社員と何が違うの?

契約期間が無期の雇用形態には正社員や無期雇用派遣社員があります。それぞれの雇用形態や福利厚生がどのように違うのか確認していきましょう。

  無期契約社員 正社員 無期雇用派遣社員
就業先 直接雇用先 直接雇用先 派遣先によって異なる
給与形態 月給・時給・日給 月給 月給
雇用主 直接雇用先 直接雇用先 派遣会社
福利厚生 ・交通費(就業先による)
・有給休暇
・社会保険
・育休・産休
・健康診断
・交通費
・有給休暇
・社会保険
・健康診断
・終身雇用
・退職金制度
・育休・産休
・交通費
・有給休暇
・社会保険
健康診断
・レジャー施設やベビーシッターの割引等
・育休・産休
賞与 有or無 有or無 有or無
昇給 有or無 有or無 有or無

無期契約社員の場合は、有期契約が無期に転換するだけです。ボーナスや昇給といった給与面に対する扱いは、正直のところ雇用形態の違いというより、「会社によって」考え方や評価制度が違うためなんとも言えません。

「正社員と同じ雇用形態になるのでは?」と期待する方も多いと思いますが、実際の契約内容は有期契約時とほとんど変わりません。労働契約法でも有期を無期に転換することを促しているだけで、それ以外の契約内容に関しては雇用主に任せています。

言い方を変えれば「契約社員として塩漬けにできる制度」でもあるのです。安定した雇用・(低く)安定した給与を確かにもらうことはできますが、正社員と比べると年数を重ねるごとに不安を感じることでしょう。また無期雇用派遣社員と比べても、実は劣る点が多いのです。

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無期契約社員のメリット・デメリット

メリット

  • 更新の必要がない
    契約期間が無期となるため、切られる可能性がほぼなくなります。
  • 仕事量や仕事内容は変わらない
    契約社員時代と扱われ方が変わることはありません。同時に正社員のように責任の重い仕事もありません。

デメリット

  • 正社員への道が遠ざかる
    雇用主としては契約社員を無期雇用にし、同じ雇用条件で雇うことができるためわざわざ正社員にする必要がなくなります。
  • 契約期間以外の内容が変更されない
    何度も繰り返しになりますが、変わるのは契約期間が有期から無期になるだけです。それ以外の変更はありません
  • 用条件は無期雇用派遣社員より悪い
    無期雇用派遣社員として働いているほうが賞与や昇給が高いケースもあります。

以上のデメリットは現行制度による表面上のものです。企業によっては、そもそも5年経つ前に契約を切ったり、逆に無期雇用に転換した契約社員には手厚いサポートを行おうと前向きの会社も多いと聞きます。法改正も整備・改善される可能性があるため、その動向には常にアンテナを張っておくべきでしょう。

みなみ
契約社員が無期雇用になってもメリットが少ないような印象です。
酒井先生
繰り返しになりますが、無期雇用になっても他の条件が変わることはありません。そのため無期雇用に転換しても、正社員との差が埋まるわけではありません。大きな期待をしてしまうほどそのギャップが大きくなるため、今は様子見で、目の前の仕事に集中することをおすすめします。

無期契約社員ではなく正社員を目指す

無期雇用を目指すために5年という月日を過ごすのであれば、正社員を目指すために転職活動を進める方がよっぽど近道でしょう。賞与や昇給面はもちろんですが、特に退職金については正社員だけの制度です。退職金の金額は勤続年数に応じて増え、リタイア後も精神面で安定します。

また時間を確保しながら就職活動を進めるのが難しい場合は、紹介予定派遣など派遣社員から正社員を目指せる制度も現実的です。

無期契約社員は契約が無期になっただけで、雇用先から切られる可能性がなくなったわけではありません。正社員であってもクビ・解雇になることは珍しくありませんので、その誤解はないようにしてください。また他の雇用条件が改善されない限り給与の安定も難しいでしょう。

特に昇給や賞与に関しては正社員だけでなくても無期雇用派遣社員でも貰うことができます。正社員への道が遠ざかることを考えると、契約によって労働時間と給与形態が縛られているアルバイトに近い存在です。

また雇用先によっては契約社員の5年ルール前に、無期雇用への転換申込みをされる前に、契約を切る企業も出てくるでしょう。そういった状況を考えると5年という期間も長く、無期雇用を狙うのは非効率と言わざるを得ません。

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