派遣検定とは
派遣検定は人材ビジネスコンプライアンス推進協議会(CPC)が2010年より実施している資格試験です。合格者には合格認定証と合額認定バッジ、名刺用の印字データが送られます。そのため派遣登録者には営業担当が派遣検定の取得者であるかどうか判断できるようになっています。
しかし弁護士や税理士のような国家資格ではなく、漢検や英検と同じ民間資格の分類なので、社会的な評価や信用度はまだ課題です。今後は1級、2級のように等級になったり、「派遣〇〇士」のような国家資格となって独占業務になれば業界全体のイメージアップ、スキルアップが望めるのではと考えます。
現状の派遣の実務においては、特別な資格がなくても誰でも派遣業務を行うことができます。そのため中にはコンプライアンスに欠ける営業担当も多く、その改善が大きな課題でした。
また人事労務に関する法律は毎年のように改定・新設されるため、一度取得したら終わりの試験ではなく、TOEICのような更新型資格にする必要があり、派遣検定の有効期間は3年間と定められました。
派遣検定の実施概要
受験料 | 8000円 |
受験資格 | 20歳以上 |
実施 | 年2回 |
合格点 | 100点満点中80点 |
合格率 | 10~40% |
実施地域 | 東京・仙台・名古屋・大阪・福岡 |
出題形式 | 択一式マークシート |
出題内容 | ・労働者派遣法 ・労働基準法 ・労働安全衛生法 ・個人情報保護法 ・社会保険 |
合格発表 | 試験日から2週間後に電子メールで通知 |
最近では派遣会社に勤める派遣社員以外にも、派遣先企業の方や人材業界に興味がある就活生も受験しています。しかし問題が実務や、労働者派遣元責任者講習を受講される方を想定した内容になっているため、派遣会社の方以外が合格するのは難しいでしょう。
なお2017年現在、試験会場は表中の5地域に各1箇所しかありません。また試験ごとに会場が変わるため、受験申し込み時に確認してください。
派遣検定の勉強方法
派遣会社で働いている方は派遣元責任者講習で受ける内容を予習したり、派遣法や労働基準法に関する書籍を中心に勉強しています。それ以外の方は、試験実施団体による事前研修(費用10,000円)に申し込んで勉強している方が多いです。過去問題で予習したりインターネットを利用し、知識を補足して試験に臨んでいる方も多いです。
派遣検定の合格率
2010年に始まってから年2回のペースで行っており、全14回で受験者数9269人の内、合格者2859人と合格率約30%となっています(人材ビジネスコンプイライアンス推進協議会)。基本の合格点は100点満点中80点以上としており、偏差値調整によってその合格点が変動する可能性もあります。
優良派遣事業者との違いについて
優良な派遣会社かどうか見極めるために、「優良派遣事業者認定制度」があります。内部調査や派遣会社の事業主とのヒアリングによって、一定の厳しい基準を満たすと優良マークが認定されます。これから優良な派遣会社を選ぶ際の重要な指標です。
事業所単位で行う優良派遣事業者認定制度に対して、個人単位で行うのが派遣検定であるイメージです。
第14回 合格率上位の派遣会社
順位 | 派遣会社 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
1位 | 損保ジャパン日本興亜キャリアビューロー | 25名 | 11名 | 44.0% |
2位 | カインズ | 16名 | 4名 | 25.0% |
3位 | エスプールヒューマンソリューションズ | 18名 | 4名 | 22.2% |
(参考:月刊人材ビジネス vol.369 オピニオン)
派遣検定の将来
現在、優良マークを取得している派遣会社は約140社近くあります。大手派遣会社であれば、どこも優良マークを取得している状況です。毎年のように優良マークが認定される派遣会社が増えてきました。優良マークがあることは派遣会社にとって当たり前の登録免許のようになってきました。
その中で良い営業担当を見極める指標となるのが派遣検定です。
優良マークのある派遣会社でも、営業担当が法律に詳しいかどうかは実際に担当にならないと分かりません。しかし派遣検定が今後解決策の1つとなることでしょう。優良な派遣会社で法律に詳しい営業担当に出会えることで、さらに派遣社員として働きやすくなります。まだ優良マークほど企業へ浸透していないものの、今後は派遣検定に合格していることが派遣会社で働く方の必要資格となってくるでしょう。