勤務間インターバル制度の内容について
勤務間インターバル制度は労働組合である日本労働組合総連合会が企業への導入を促進させています。ヨーロッパ連合加盟国では1993年に制定されており、24時間のうち最低でも連続して11時間の休息時間を義務化されるようになりました。
日本でも2016年11月16年に日本労働組合総連合会より開催された長時間労働是正の記者勉強会により、企業への導入が加速しました。それに基づき導入した企業には厚生労働省から助成金が支給されるようになりました。
インターバルで空いた時間の給与について
仮に勤務間インターバル制度(11時間の休息時間)が導入されているところで就業している場合、残業によって24時まで働くと、11時間後の11時が始業時間になります。その会社の就業規則によって午前9時からの始業となっていると、9時~11時までの2時間分の賃金はどういった扱いになるのでしょうか?
結論を言うと、カットされることなくそのまま支給されます。しかし実働における「残業」の対象時間は各企業によって異なるため、インターバル制度を実施している企業に就職・転職を考えている方はよく確認してからに応募しましょう。制度そのものが従業員のことを本当に考えたものなのか、体外的なアピール要素となっているかが大きなポイントです。
導入した企業には厚生労働省から助成金が支給される
長時間労働の多い企業が導入した際のみ、厚生労働省から助成金が支給されるようになっています。しかし元から就業規則等で長時間労働の可能性を匂わせていたり、みなし残業代などを支給し「残業ありき」の考えである会社は対象となりません。
本助成金でいう「勤務間インターバル」とは、休息時間数を問わず、就業規則等において「終業から次の始業までの休息時間を確保することを定めているもの」を指します。なお、就業規則等において、○時以降の残業を禁止、○時以前の始業を禁止とするなどの定めのみの場合には、勤務間インターバルを導入していないものとします。
助成金が支給されるため、多くの中小企業で勤務間インターバル制度を導入する動きが盛んになっています。
過労死への抑制が本当にできるの?
結論から言うと、勤務間インターバル制度だけで過労死を抑制することは現状では難しいようです。
1ヶ月当たりの時間外労働が80時間を超えている場合を過労死ラインと言われていますが、1日当たりだと12時間を越える残業や1週間当たり60時間を越えるだけでもそのラインに該当してしまいます。この過労死ラインはたとえ勤務間インターバル制度が導入されても、連続した休憩時間が11時間以上であれば良いという考えに基づくと、見せかけの制度だけになってしまい改善されているとは言えません。
結局、就業時間が9:00~18:00となっている企業で22時まで4時間残業しても、次の日の始業は9時始業になります。また会社によっては「9時間以上・11時間未満」の残業で設定しているところもあります。
勤務間インターバル制度実施の有無でブラック企業を見極める指標になる
過労死の原因の1つに睡眠不足が考えられます。勤務中や通勤中の居眠り運転や入浴中の事故が睡眠不足によって引き起こされています。またストレスから自殺する方も少なくありません。
見せかけの勤務間インターバル制度であったとしても、最低11時間の休息時間ができることで睡眠時間の確保が確実になります。そのため過労死ラインに触れることはあっても、睡眠時間をまるで取れない最悪のケースや、ブラック企業を見極める指標にはなりそうです。