派遣社員が加入できる労働組合とは
派遣社員として働いていくうえで、不当解雇や就業先での嫌がらせ(パワハラやセクハラなど)を訴えるためには、個人だけでは闘いづらく弱いです。そのために労働組合があります。労働組合は就業先での労働条件の維持改善、その他経済的地位の向上を図る目的としている団体や連合団体のことを言います。
そもそも使用者(派遣会社や派遣先)と労働者(派遣社員)では対等とは言えません。労働組合に加入することで、日本国憲法28条の労働三権によって対等になることを保証されるのです。
労働組合の加入条件
労働者であれば誰でも入れるのが労働組合です。そのため、当然ではありますが派遣登録するだけでなく派遣先を見つけて就業している実態がなければいけません。
派遣社員の加入方法
派遣社員の場合、派遣会社の社員が加入していなかったり、いくつもの会社で派遣登録をしていると派遣元が特定しづらく加入することが難しいです。そのため派遣社員の場合、個人で加入することが一般的です。
派遣会社に労働組合がある場合
派遣会社の社員の中には労働組合に加入しているところもあります。福利厚生に組合費を免除しているところもありますが、まずは登録時に担当の方に聞いておくことが大切です。
個人で加入するより、月々の組合費が安くなっていることがあります。しかし会社別で組合を結成していると、契約のある派遣社員が加入するために条件や審査がある可能性があります。派遣会社としても短期間や日雇いの方を組合に入れるのは難しいと判断されてしまうのでしょう。
派遣会社に労働組合がない場合
個人で加入する労働組合にはパートタイム労働者や契約社員を対象にした、コミュニティユニオンや地域合同組合、一般労働組合があります。また連帯ユニオンと呼ばれるものも個人で加入できる労働組合です。加入したい組合に個人で手続きを行い、組合費(約1万円前後)を月々納入します。
派遣先の抵触日を決めるのは労働組合
派遣会社側の話になりますが、派遣会社や派遣先で労働組合に加入している場合、派遣社員の抵触日について判断をするのは労働組合になります。派遣社員をその派遣先でいつまで雇い入れるかを決めます。抵触日は雇用してから最長3年と決まっていますが、派遣先によっては1年毎に設けているところもあります。その場合、1年毎に抵触日の更新を行っていくことになります。もちろん更新しても最長3年は変わりません(派遣法で定められているため)。
またどちらも労働組合に加入していない場合は、そこで働いている社員の方で決めていきます。
もし労働組合を自分で結成することになったら
労働組合は労働者が2人以上集まれば、いつでも自由に結成できます。役所などに届出をする必要もなく使用者の承認を受ける必要もありません。自主的な集まりであることが労働組合なのです。
結成大会で労働者を集める
労働組合は結成大会で組合規約・活動方針・予算・役員体制を決定するだけで、労働組合法で守られる組織になります。
派遣社員の場合、様々な派遣会社に登録して働いている方が多ため、結成したいなら同じ派遣会社で働いている方を集めることが近道です。こうした労働組合の結成は、派遣会社側の不祥事があったときに結成されることが多いです。しかし不祥事があった後では後手に回ることになるので、結成したいのであれば早めに行いましょう。
派遣会社に結成通告
派遣会社の承認などは必要ありませんが、労働組合を結成したことについては通告しないといけません。使用者と組合が対等な立場であることを主張し、派遣会社と良好な労使関係を築くようにしていきましょう。
派遣社員は個人で労働組合に加入しよう
派遣社員は労働組合に加入することも結成することもできます。なお加入することは問題ありませんが、結成することについては登録している派遣会社からよく思われることはありません。結成するということは、「今後その派遣会社が不祥事を起こしてしまうリスクを考えています」という意味に捉えられてしまいます。
その危機管理は本来褒められたものではありますが、派遣会社としては面白い話ではないのです。
そのために個人で加入できる労働組合があり、個人で加入することが派遣会社側にバレることはありません。労働組合は何らかのアクションを起こしたいときだけに働きます。また派遣社員の場合、労働組合に入らないといけないというルールはありませんが、加入することで派遣法以外で守られるものが増えるためあなたにとってはメリットしかありません。