派遣社員のクーリング期間とは?抵触日も有休もリセットされるので要注意!

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みなみ
派遣社員という立場のまま同じ派遣先で3年以上働き続けることはできないのでしょうか?
酒井先生
派遣法により「抵触日」が定められているため、派遣社員を3年以上同じ派遣先で就業させることはできません。しかし、「クーリング期間」を空ければ再び同じ派遣先で働くことができます。クーリング期間とは期間制限の通算期間(抵触日)がリセットされる空白期間のことです。

派遣社員のクーリング期間とは?

抵触日をリセットするための期間

クーリング期間とは3ヶ月超(3ヶ月と1日以上)の間に派遣社員を雇い入れることをしなければ「抵触日をリセット」できる期間です。

つまり、3年間働いて抵触日が来てしまったら、3ヶ月と1日以上派遣社員に休んでもらことで同じ派遣先でまた3年間働くことができるという制度です。

れいか
3年間の就業実績を、クーリング期間によって無かったことにするイメージね。一度その職場で派遣で働いたら、職場が合っているのに二度とそこで働けないのは酷よね。

抵触日とは?派遣の抵触日の仕組みについて解説します

2016.12.05

派遣法による直接雇用をくぐり抜けるのが目的

派遣法により派遣社員を同じ派遣先に3年以上派遣することはできません。

派遣法で、3年以上継続して働く場合は派遣元(派遣会社)の無期雇用になるか、派遣先の直接雇用に切り替える必要があります。

しかし、実態として様々な事情から直接雇用は難しい企業が多いので、3ヶ月のクーリング期間を挟んだ後、同じ職場に再雇用します。

派遣社員として働きたい人にはメリット

クーリング期間は法律の抜け道という悪い点が目立ちますが、メリットもあります。

というのもすべての人が無期雇用や直接雇用を望んでいるわけではなく、自由度が高く責任が軽い派遣社員のまま働きたいというニーズも少なからず存在します。

そのため、直接雇用でなく派遣社員として働いていきたい方にとっては、クーリング期間は必要なシステムです。

派遣のクーリング期間のメリット・デメリット

メリット デメリット
・同じ職場で働くことができる
・抵触日の影響を受けない
・空白期間が生まれてしまう
・有休やその他福利厚生の対象からも除外される恐れ
・派遣先や派遣会社がそれを悪用する可能性がある。

基本的には、契約満了後も同じ職場で働けるのがクーリング期間のメリットでしょう。

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酒井先生
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派遣のクーリング期間と抵触日の関係について解説

抵触日の設け方には2015年9月30日の派遣法の改正によって、「個人単位」と「事業所単位」の2種類生まれましたのでそれぞれ解説していきます。

個人単位の抵触日

個人単位の抵触日とクーリング期間を表した図

2015年9月30日の派遣法改正に基づき、今まで部署単位でしか設けることはできなかった期間制限を個人単位でも設けられるようになりました。

上図のように同じ派遣先であっても個人単位で抵触日を設けている場合、クーリング期間を設けることで同じ派遣社員に改めて3年の抵触日が付与されます。

部署異動で続けて働くことができる
個人単位で期間制限を設けている場合、派遣社員1人に対して抵触日が与えられます。そのため、同じ派遣先であっても派遣されている「課」もしくは「部」を異動することでクーリング期間を空けることなく続けて同じ会社を回すことができます。限りなく黒に近い派遣法違反行為ですが、実態としてはよく行われています。

このような違反行為紛いの行いを防ぐには、派遣会社側の規則がしっかりしている大手に登録するのが一番です。

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事業所(派遣先)単位の抵触日

事業所(派遣先)単位の抵触日とクーリング期間を表した図

派遣先の事業所単位で抵触日を設けている場合は、個人単位でクーリング期間を設けるのではなくその事業所としてクーリング期間を空ける必要があります。

その派遣先に派遣される派遣社員全員が対象となるため、部署異動で抵触日を逃れることもできません。

上図のように、事業所で期間制限を設けた場合、初めて派遣される派遣社員Aの抵触日は派遣から3年後、後から派遣されてくる派遣社員Cの抵触日は派遣社員Aと同じ日になります。

派遣社員が3ヶ月後に出戻りしても歓迎される?

結論から言うと歓迎されます。

出戻りをする場合、派遣先からすればあなたは経験者なので教育コストがかからず、社風も知っているので働き方や人間関係などでミスマッチが起きる心配がありません。

そのため、人手不足で派遣社員を雇っている派遣先からすれば、喉から手が出るほど欲しい人材なので歓迎されます。

実際、派遣期間が満了して退職したものの、数カ月後、早ければ3週間後には「うちに戻ってこないか?」と声をかけられた派遣社員の方は少なくないです。

派遣先から戻ってきてほしいと言われている場合は、確実に歓迎されるでしょう。

人間関係に問題があった場合は例外

ただし、出戻りしたい派遣先を辞めた理由が人間関係であったり、何らかのトラブルが起きていた場合は出戻りをしても歓迎されない可能性が高いです。

出戻りしてくれて嬉しいのは「問題やトラブルのない経験者」の派遣社員ですので、問題行動があった場合は出戻りをしない方が良いでしょう。

出戻りする会社が盛大に送り出してくれた場合は自分次第

また、以前の派遣先を辞める時に盛大に送り出してくれた場合も、歓迎されない訳ではありませんが「もう戻ってきたの?」という風にはなるでしょう。

ただあなた個人として恥ずかしいというだけで、出戻りの話が出ている時点で派遣会社と派遣先は出戻りを認めていますので、受け入れてしまっても問題ないかと思います。

最初は少し戸惑われるかもしれませんが、1ヶ月もすればまた同じ空気で働くことができるでしょう。

派遣社員のクーリング期間における注意点

クーリング期間だけの直接雇用は禁止

クーリング期間を逃れようとして、派遣社員をクーリング期間だけ直接雇用に切り替える派遣先もあります。

そしてクーリング期間が終わればまた派遣に戻して働かせる、という荒業をしでかすのですが、この行為は派遣法で禁止されています。

しかし派遣法では直接雇用した方を1年以内に派遣することができません。

禁止行為を行う派遣先にまたもな会社はありませんので、もしクーリング期間に話を持ちかけられた場合は断った方が良いでしょう。

派遣法ではクーリング期間を設けること以外で抵触日をリセットさせる方法はありません。

抵触日に加えて有休もリセットされる

クーリング期間はこれまでの就業実績を無かったことにする、まっさらにする制度です。

従って、クーリング期間の3ヶ月超を何もせずにいれば抵触日も有休もリセットされます。

例えば、3年間フルタイムで就業し続けていれば、派遣会社内で20日以上の有休が残っているでしょう

しかし、同じ派遣会社で1ヶ月以内に仕事をスタートしなければこの有休は消滅します。

また、抵触日もリセットされるので、仮に出戻りをしても直接雇用を頼めるようになるのはまた3年後になります。

クーリング期間をうまく使いながら同じ派遣先で就業し続ける、かつ有休もしっかり使いたいという場合、派遣先・派遣会社共に協力体制になければ相当困難です。

3年に至る前にまとめて有休を使ってしまうなど方法はありますが、そこまでして派遣先があなたを残したいと思うか分かりません。

抵触日に派遣先で直接雇用を勧められた場合は?

抵触日まで働く派遣社員であれば派遣先から直接雇用の話があるかもしれません。

クーリング期間中だけの一時しのぎの直接雇用でなく、ちゃんとした直接雇用であれば判断は派遣社員であるあなた次第です。

「派遣社員としてまだまだ働いていたい」という気持ちがあれば無理に直接雇用に切り替える必要はありません。

クーリング期間を利用してまた同じ派遣先に戻ることもできますし、私の経験でも同じ派遣先にクーリング期間を空けて10年以上も派遣した派遣社員がいました。
※実態は派遣法違反です。

また、直接雇用は多くの場合「契約社員」としての雇用を前提にしているため、あまりおすすめはできません。

詳しくは以下に参考としてまとめていますが、正社員以外の直接雇用の話であれば派遣で働き続けた方がお得です。

【実態】派遣先から直接雇用されるリスク7選!契約社員はゲームオーバー?

2022.05.27

派遣社員のクーリング期間と抵触日リセットまとめ

今回は派遣社員で度々問題にもなるクーリング期間と、抵触日や有給リセットの関係などを紹介しました。

クーリング期間を挟むことで派遣社員は同じ職場に出戻り、再び働くことはできます。

勝手知ったる職場なので居心地がよく、快適に働けるかもしれませんが、抵触日のリセットに伴い直接雇用の道が遠のくデメリットや、有給もリセットされるリスクは知っておくべきでしょう。

また、派遣会社によっては「派遣社員を同じ会社に派遣するのは禁止」と定めている所も少なくありません。

その場合は仮に派遣先があなたの出戻りを求めても派遣されませんので、対策として別な派遣会社から応募するという方法になります。

異なる派遣会社に登録することで、同じ職場に再び出戻りで働けるでしょう。

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酒井先生
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