エキタスによる最低賃金時給の引き上げ運動
「最低賃金、時給1500円なら夢ある」若者らデモ:朝日新聞デジタル https://t.co/1tqvXlQL9O
「のぼりや旗の持ち込みも初めて歓迎したところ、連合(日本労働組合総連合会)や全労連(全国労働組合総連合)などの傘下組合のメンバーも多く集まった。」
— AEQUITAS /エキタス (@aequitas1500) April 15, 2017
2017年4月15日に労働者の最低賃金を時給1500円に引き上げることを求め、デモグループ「エキタス」が都内を回りながら国民や国へ呼びかけました。
エキタスとは、格差や貧困が拡大している日本の不公正について訴えるための団体で2015年秋から活動。活動のきっかけは、安部政権の「世界で一番企業が活躍しやすい国づくり」によるもの。消費増税や公共サービスの民営化は、正規労働者有利に働く仕組みであり、それを実現するには最低賃金1500円が必要だと訴えています。
時給1500円の根拠
時給が最も高い東京の最低賃金時給は932円(厚生労働省:平成28年度地域別最低賃金改定状況)。エキタスの言い分では「この時給では健康で文化的な最低限度の生活など送れない」とのことで、こうしたデモ活動を行っています。
「時給1500円にはリアリティーがある」ことを主張し、実際に海外のアルバイト時給1500円のファーストフード店を例に挙げ、日本における現実可能性を訴えました。
日本の時給が低い第一の理由は、1人当たりのGDP(国内総生産)が低いことが挙げられます。最低賃金が高いルクセンブルクやオーストラリアは1人あたりのGDPでもトップ10に位置し、データ上では「生産性の高い国民」が多いことが分かります。
日本は世界でも上位の経済大国だと言われていますが、1人当たりのGDPでは世界26位と先進国の中では非常に低い位置に付けています(Intertional Monetary Fund)。しかし500兆円規模のGDPの実態は、その8割以上が内需(国内における地産地消)によるもの。従って、最低賃金を引き上げ、消費や所得によって循環させることで国民はより豊かになるものと言われています。
日本のGDPの85%が内需、その殆どが個人消費、個人の所得が増えたら消費ものびる
要は国家として全国民としてより良い暮らしを作っていこうという運動を、「自らも資本から使われる労働者に過ぎないのに」最低賃金デモを馬鹿にしている人達をみると、社会人としての知見が片手落ちなのかと思う
— SeriousTom (@SeriousTom1) April 16, 2017
最低賃金を引き上げるメリット
給与の安定
最低賃金を引き上げることで、特に契約社員やアルバイト、派遣社員などの非正規社員の給与が安定します。
仕事を選ぶ必要がなくなる
どんな仕事でも時給が保証されるため、人が集まりにくい・時給が低い軽作業や接客、事務の仕事でも一定の収入が確保されます。最低賃金が引き上がることで職種幅が広がり、「時給が低い」ことが理由で敬遠されていた仕事にも人が集まるようになります。
非正規社員の社会的地位向上
正社員の場合だとボーナスや交通費支給、各種手当てなどが福利厚生に含まれている企業が多く、非正規社員と時給以上の格差がありました。しかし、もし時給1500円以上の最低賃金時給となると、非正規社員でもフルタイムで働くと月収24万円以上となり、正社員並の給与を得ることができます。
最低賃金を引き上げる問題点
非正規社員を採用する企業が減る
最低賃金時給が引き上がることで、その賃金を支払える企業が減り、雇用そのものが減少してしまうことも考えられます。現状、コンビニやファーストフード店では最低賃金ギリギリで時給を設定し、経営難に陥っている会社も多く報告されています。
簡単な仕事でも能力が求められる
時給を高くするため多くの仕事で能力・学歴・経歴が重視されるようになります。アルバイトでも就職活動のように筆記試験や書類選考が設けられ、年齢に対する差別も出てくることでしょう。今までは高年齢でも可能だった仕事も若年層に仕事が奪われてしまう可能性もあります。
実際に私は派遣の営業マンとして現場で働いていましたが、今は派遣でも無期雇用化が進み、就職活動における面接のような「選考」も行われています。派遣登録の段階でも選考を行っている派遣会社も増えてきています。
物価が上がる
賃金と物価は比例関係にあります。東京の最低時給は国内で最も高いのですが、物価や家賃も同じように高いですよね。しかし物価が上がることは経済成長に欠かせない要素なのでこれは問題ではありません。問題なのは、賃金据え置きで物価だけが上がってしまうこと。
ここまでまとめた「雇用の減少」と「能力主義」という問題点において、あなたが実際に仕事を見つけることができないまま物価が上がってしまった場合は最悪です。つまり「最低賃金を上げろ!」と人任せに結果だけを求めていると痛い目を見ることになり、自分自身のスキルアップが今後更に求められることになります。
最低賃金1500円に関する今後の課題
例えば「年収300万円」と聞くと多くの方が「少ない!」と感じますが、「時給1500円」と聞くと今度は「高い!」と多くの方が反発します。
つまり、否定的な意見を述べている方は数字の実態を見ているわけではないのです。年収・月給ばかりで判断する否定的な意見を発している方は、時給で働く「非正規労働者」がそもそも視野に入っていません。そんな時代遅れな考えを持っている方が日本に非常に多いということ自体がまず問題であり、非正規社員の社会的地位が今でも向上しない大きな理由であると感じます。
もちろん以上に挙げたような課題は残るものの、個人的には時給1500円というのは十分に実現可能であり、日本全体の経済底上げの要因となると信じています。