プレミアムフライデーとは
プレミアムフライデーは平成29年2月から始まった、「月末の金曜日を就業時間に関係なく15時に帰社しましょう」という経済産業省の取組です。しかし義務化している制度ではないので、まだ全ての企業が導入しているわけではありません。
プレミアムフライデー導入の意図
個人が幸せや楽しさを感じられる体験(買物や家族との外食、観光等)や、そのための時間の創出を促すことで、
(1) 充実感・満足感を実感できる生活スタイルの変革への機会になる
(2) 地域等のコミュニティ機能強化や一体感の醸成につながる
(3)(単なる安売りではなく)デフレ的傾向を変えていくきっかけとなる
といった効果につなげていく取組です。
プレミアムフライデーはアメリカのブラックフライデー(黒字の金曜日)を参考にしています。これは毎年11月の第4木曜日に行われる感謝祭の翌日の金曜日を指す言葉であり、それに合わせたクリスマスセール等で小売店の黒字を目指す前夜祭です。
日本ではそれを「毎月行おう」という目的でプレミアムフライデーが始まりました。
導入している企業はどれくらいあるの?
経済産業省によると現在導入している企業はおよそ2,000社、全国的に見ると約0.05%という実施率です。また実際の取組として実施した企業は第1回時点(2月24日)で136社。しかし第2回(4月3日)には、330社と2倍以上に増えました。住友商事や森永乳業、大和ハウスなどの大手企業を始め、ベンチャー、中小と幅広く導入されており、今後は就活生や転職者の選定基準になり、徐々に普及していくことでしょう。
プレミアムフライデー導入によって派遣社員の需要が更に増える
個人消費の増加が目的であるように、サービス業が盛り上がることは間違いありません。導入している企業がまだ少ないため、その効果を実感している方はほとんどいませんが、今後ほぼ間違いなく導入企業が増えるためサービス業の人材不足は加速し、派遣社員の需要が各企業で高まることでしょう。
またそれに伴いサービス業で提供しているものが売れ始めると、メーカーや商社、製造業で働く方達も忙しくなります。制度自体はフルタイムで月収制の正社員を対象にしているようですが、その恩恵は派遣社員にもあります。
プレミアムフライデーによる派遣社員へのメリット
サービス業の時給が上がる
サービス業の人手不足が加速し、特に小売やレジャー、飲食業界が盛り上がることでしょう。
人材を集めるため時給は上がり、派遣社員にとって働きやすい環境が整うことが予想されます。
企業全体の派遣の求人数が増える
サービス業が忙しくなることで、そこで扱っている商品も売れるようになります。そのためメーカーの事務や製造業も忙しくなります。もともと人気がある職種のため、サービス業ほど時給は上がりませんが、求人数が増えることは確実です。
派遣社員には契約期間があるため、企業にとってもプレミアムフライデーの傾向を図りながら人材調整が可能となり、双方にとってメリットが考えられます。
空いた時間に派遣会社でスキルアップできる
15時に終業となるためフルタイムで働いている方でも、派遣会社で行っているPCスキル研修やビジネス講座に参加できます。月1回でもスキルアップの時間が確保できれば、その後の職種の可能性がどんどん広がります。
プレミアムフライデー導入による派遣社員の注意点
給料が減ってしまうことも
正社員の場合、プレミアムフライデーの導入如何に関わらず給与が減ることはありません。しかし時給換算の派遣社員は毎月3時間分の給与が減ってしまいます。
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
導入している派遣先の都合により15時以降の休業を行っていますが、この法律に基づいても9:00~15:00まで働いている時点で平均賃金の6割を満たしているため、3時間分の派遣料金を派遣先に請求することはできません。
他の日に仕事が増える
締め日に大きなしわ寄せを受ける事務の仕事は大きな影響を受けます。金曜日の15時で終業するためにスケジュールを前倒しで行うことになり、前日までの仕事量が増えてしまいます。
プレミアムフライデーと派遣の今後について
かつて土曜日が通常の平日だった時代のように、今後は金曜日も毎週休日の扱いにすることが最終目標のようです。国民の祝日を月曜日に移動させたハッピーマンデー制度が法律で定められたり、2014年8月11日には新しく山の日が国民の祝日として制定されました。山の日も今後は月曜日に移動させる予定となっています。
電通の過労死事件を始め、昨今の労働環境が非常に問題視されているため、カレンダーによる強制的な休暇、企業への有給休暇取得奨励にどこも積極的です。確かに否定的な意見も多いものの、休暇を増やすことで業務の偏りや個人の分担が浮き彫りになる・見直しのきっかけになると言われています。しわ寄せもこの業務改善を並行していけば一時的なもの。
特に派遣社員は「働きたいときに働くことができる」「稼ぎたい人はたくさん働くことができる」というニーズとその相性が抜群です。今後はさらに導入企業が増え派遣の需要が高まる好循環となることでしょう。